ビジネスにおける動画活用が一般化しつつあるいま、動画の編集・制作を外部に依頼することなく自社で行うことを、動画制作の「内製化(インハウス)」といいます。動画制作の内製化は、長期的に見るとコストの削減・制作期間の短縮などの効果が期待できる取り組み。そのため、内製化に対する注目は年々高まっています。
そこで今回は、動画制作を内製化するメリット・デメリットをご紹介します。内製化を成功させるコツ等も併せて解説しているため、内製化を検討中の企業はぜひチェックしてみてください。
目次
動画を内製化するメリット
動画制作を内製化することにより、企業は多くのメリットを享受できます。
例えば、下記アンケートを見てみると、“動画での情報発信”に関して多くの企業担当者が「費用対効果がわからない」という悩みを抱えています。
しかし、動画制作を内製化すれば、外部に依頼した時の納期短縮や自社でクオリティを担保できる、動画発信における費用対効果を自社でしっかりと計測して検証することが可能です。
内製化がもたらすメリットは大きく以下の4つが考えられますので様々な視点からチェックしてみましょう。
1.外注費用を軽減できる
動画制作は専門性が高いため、外注すると大きな費用が掛かるもの。内製化すれば、都度発生する外注費用を削減できるほか、修正のたびに追加費用がかさむ心配もありません。そのため、内製化はある程度の初期投資が必要であるものの、長期的に見ると低コストでの制作を実現できるといえます。
外注した場合、相場は以下のとおりです。
・セミナー・イベント動画:20万~50万円
・会社紹介・採用動画:50万~200万円
・商品・サービス紹介動画:50万~100万円
一方で内製化した場合、相場は動画編集に利用するツールの購入形式(買い切り型・サブスクリプション型)によって異なり次のようになります。
・制作会社への外部委託:約20〜200万程度
<外部委託に掛かる費用の内訳> 企画(企画構成比/人件費など):15万~50万円程 撮影(撮影費/機材費/ロケハン費など):15万~100万円程 アニメーション制作:5万~50万円程 3DCG制作:30万~150万円程 編集(動画編集費/人件費など):20万~80万円程 |
・買い切り、端末インストール型:3万~8万円
・定額契約、サブスクリプション型(月額制):月額数千円~30万円
<内製化に掛かる費用の内訳> 買い切り型(動画編集/画像・字幕・音声挿入など):3万~8万円程 サブスクリプション型 動画編集/素材・BGM利用/エフェクト活用など:月額数千円~ 動画自動編集/テンプレート利用/テロップ挿入/動画共有など:月額10万~15万円程 動画自動編集/テンプレート利用/撮影サポート/ナレーション生成/SNS投稿分析など:月額15万~30万円程 |
2.配信するまでの制作までの期間を短縮できる
また、内製化すると制作コストだけではなく、動画の制作期間を大幅に短縮できるのも大きなメリットです。
社内で内製化して制作した時 | 外注に依頼した時 |
1本あたり1日~1か月程度 | 1本あたり1か月~2か月程度 |
制作会社などに外注する場合、まず“外注先の選定”から始めなければなりません。そして選定後も、
・見積もり依頼
・打ち合わせ
・構成チェック
・制作側による撮影・編集
・編集チェック
・修正依頼
といったさまざまな工程が発生するため、一般的に納品まで1~2か月は掛かります。
しかし内製化を図ると、選定・依頼という煩雑な工程を丸々飛ばして、すぐに制作へ取り掛かることやクオリティに納得がいかなければ、社内コストだけで何回でも修正が可能です。さらに、動画制作を効率化できる最新の編集ソフトを活用すれば、最短で数時間から1日と圧倒的な早さの制作も実現することもできます。
3.コミュニケーションコストの軽減
内製化は、コミュニケーションコスト=意思疎通に掛かる労力・時間も軽減できます。
外注する際は、動画に対する要望やイメージはもちろん、その背景にある“自社サービスの特徴・理念・競合”などに関しても共有が必要です。これらを正確に伝えるのには多くの労力が掛かる上に、伝達手段も限られているためコミュニケーションコストは高くつく傾向にあります。
しかし内製化すれば、ある程度の共通認識を持った上で進められるため、打ち合わせにも時間が掛かりません。さらに、制作過程においても顔を合わせて密なコミュニケーションを図ることが可能。そのため、仕上がりイメージとのズレが発生しにくいのも、内製化の魅力の一つだと言えます。
4.動画の制作をスムーズに行える
動画制作が円滑に進むのも、内製化のメリットです。
外注すると、発注から納品までの間に多くの確認作業が発生してしまいます。また、外注先とのスケジュール調整をしながら進める必要があるため、社内での公開内容チェックや急な変更があった場合は対応してもらえない、もしくは納期がそのぶん遅れる可能性もゼロとは言えません。
対して内製化すると、意思決定のプロセスを簡略化できる上に、自社の都合だけで進められるため非常にスムーズ。細かな変更にも対応しやすいほか、修正も迅速に行えるので手軽に動画のブラッシュアップを図れます。
動画を内製化する時のデメリット
動画制作の内製化には、上述したようにさまざまなメリットがある反面、以下のような3つのデメリットもあります。
ここからは、内製化により発生するデメリットをご紹介します。いざ内製化してから困ってしまうことのないように、あらかじめデメリットもしっかりと把握した上で外注・内製化の判断を下しましょう。
1.社員の制作リソースが必要になる
内製化すると、撮影・編集作業などを自ら行うぶん、外注時よりも社内リソース(人材などの資源)を制作作業に多く振り分ける必要があります。そのため、社内リソースが元々不足していた場合、コア業務を圧迫してしまう可能性もあるので要注意です。
なお、社内リソースの確保に不安がある企業は
・制作作業を細分化して、一部の作業のみ外注する
・繁忙期のみ外注する
といった方法も有効です。自社の状況に合わせて、より動画制作の効率化が図れる道を探ってみましょう。
2.初期コストがかかる
また、内製化すると編集・制作の環境を整えるために以下のような初期コストが発生します。
必要なコスト | 相場 |
編集用PC | 10万~30万円程 |
動画編集ソフト | 買い切り型→3万~8万円程サブスクリプション型→月額数千円~30万円程 |
カメラ | 5万~数百万円程 |
マイク | 2千~7万円程 |
三脚 | 5千~10万円程 |
いずれも価格設定の幅が広いため、予算重視で選べばある程度はコストを抑えられます。しかし、基本的に価格と機能性・使い勝手は比例するので、動画のクオリティや作りやすさを追求したいのであれば、ある程度の出費は想定しておいたほうが無難です。
これらに加え、外部ディレクターやコンサルなどを依頼するとさらにコストがかさみます。そのため、制作動画数が極端に少ない場合は、負担ばかりが増えて逆に高くついてしまいがちなので留意しておきましょう。
なお、制作頻度がそこまで高くないのであれば、“撮影機材はレンタルする”という選択肢もあります。
3.編集・制作の基礎スキルが必要になる
内製化するには、訴求力の高い動画に仕上げるための“企画・構成”や“撮影”はもちろんのこと、伝えたいことを効果的に伝えるための“編集”スキルも求められます。
これらのスキルは、一朝一夕で身につけられるものではありません。特に編集は、動画の結合・カット・テロップ挿入・エフェクトの設定など「動画編集ソフト」の複雑な機能を使いこなす必要があり、初心者だと機能を理解するだけでも一苦労。そのため、制作初期は動画のクオリティが不安定になってしまうことも考えられます。
なお、スキルを身につける時間がなかなか確保できない、PCが得意な社員がいない等の場合には、コンサルや外部ディレクターを活用したり、「Video BRAIN」などのインターネット上で簡単に動画制作ができる「動画編集クラウド」を利用したりするのも有効な解決策です。
動画編集クラウドならデメリットを大幅軽減
「動画編集クラウド」とは、「商品紹介をしたい」「採用向けのPRをしたい」「動画広告を作成したい」といった用途に合わせて数百以上の動画テンプレートが用意されており、動画の編集作業をサポートするソフトのこと。基本的には、動画・画像・テキストなどの素材をアップロードし、適したテンプレートを選択し、テロップやナレーション機能で表現を追加するだけでイメージ通りの動画に仕上げてくれます。
そのため、動画編集クラウドを利用すれば編集スキルは不要です。そのぶん、制作時間を短縮できる=社内リソースの節約もできます。つまり、内製化を実現しつつも上述したデメリットを大幅に軽減できるのです。
内製と外注を徹底比較
ここからは、動画制作を内製化した場合・外注した場合を徹底比較していきます。
比較項目 | 内製化 | 外注 |
制作 | 〇 1本あたりの相場が3万円~ or 月額数千円~ | △ 1本あたりの相場が20万円~ |
撮影 | △ 撮影機材・動画編集ソフトなどの用意が必要 | 〇 不要(企画・構成費をクオリティに含めた場合) |
編集 | ○ 自由度の高い編集ができるが、学習コストが必要 | △ 不要。編集内容の修正に追加コストやディレクションが必要 |
クオリティ | △ 制作初期は、一定の品質を担保しにくい | 〇 プロならではの技術・設備で高品質を実現 |
制作期間 | 〇 1本おおよそ数時間~数週間 | △ 1本おおよそ1~2か月程度 |
費用面で見ると、内製化は初期費用が掛かるものの制作費用が安価。そのため、ある程度制作を続けていく場合は、内製化したほうがコストを抑えられます。また、内製化は制作期間が短いのもポイントです。
一方クオリティで見ると、やはりプロならではの高い技術・最新の設備を用いている外注に軍配が上がります。しかし内製化した場合でも、高機能な編集ソフトを活用し、制作スキルを磨くことによってクオリティUPを図ることは可能です。
動画制作を内製化させた成功事例
1.株式会社湖池屋【製品・小売メーカー】
ポテトチップスやカラムーチョなど、ロングセラーのお菓子を販売する『株式会社湖池屋』では、コロナ渦の影響で世間的にも「営業DX」が求められるようになり、社内からも「営業の場で動画を使った提案ができないか」という話が持ち上がり、動画を内製化と商談資料や店舗用など用途別の動画を制作するために動画編集ツールの「Video BRAIN」を導入しています。
毎月発売される新商品を説明した30秒ほどの動画やプレゼンシーズンには、複数商品をまとめて紹介する2−3分程度の動画を制作して営業活動に利用しています。商品説明の動画内に営業担当者から取引先様だけに向けた一言コメントを入れるだけで好評で、そこから笑いや会話が広がることもあり、他社との差別化につながっています。またQRコードを活用して動画に誘導した施策も行っていたり、自社サイト内に商品のアレンジレシピを掲載したり、店頭のサイネージでも流しています。
社内のセールスから動画を活用したいという問い合わせが50%も増え、宣伝用に様々な動画を作るようになり動画のバリエーションも5倍に増えています。コロナ渦での動画の活用をきっかけに販売促進の手法にも新しい取り組みを取り入れて成果を上げています。
2.DIC株式会社(旧 大日本インキ化学工業株式会社)【製造・製品メーカー】
化学メーカーの『DIC株式会社』は、世界トップシェアを誇る印刷インキをはじめ、有機顔料や合成樹脂などの製品の開発を手がけています。コロナ禍の影響でオンライン商談の機会が増えたものの、紙媒体しかななかった資料はカメラに映してお見せする方法をとっており、早急に改善する必要性を感じていました。
最初は画像加工をしてPowerpointで共有していたが、ベースで文字や写真だけの資料を使った説明に限界や外注の場合、依頼から完成までに早くて1カ月、長ければ半年ほどかかっていましたが、「完成したものがイメージが違う」「1本あたり20万前後かかる時もある」ため、動画を内製化と量産化するために動画編集ツールの「Video BRAIN」を導入しています。
複数の企業が集まる合同セミナーで、紙で説明することが難しかった「製品の扱いやすさやニュアンス」「複数の材料を機械に投入し、撹拌して製品を作る工程」が伝えやすくなり、セミナー後に参加者から「他社に比べると段違いでわかりやすい」「興味深く飽きずに見られた」というコメントが覆うなりサンプル請求や問い合わせ、成約に繋がるケースも多くなったと言います。コロナの影響によるオンライン商談の増加が後押しをする形で顧客との商談やセミナー、商品紹介の資料を動画化し問い合わせの獲得や成約数の増加で成果をあげています。
3.株式会社イズミテクノ【製造メーカー】
アルミニウムの金属パーツに「アルマイト」という表面処理を施す株式会社イズミテクノ。事業拡大に伴う教育体制の見直しに伴い、紙ベースでアップデートされず活用しきれていなかった「50種類以上の1マニュアルあたり数十ページある作業手順書の動画の量産化」を「Video BRAIN」で動画制作を行っています。
4.株式会社オンワードコーポレートデザイン【製造・小売メーカー】
法人向けにユニフォームやセールスプロモーショングッズ、メンズウェア、ジュエリー等の一般ユーザーが使用するアパレル製品の全般の企画・生産・販売を行う株式会社オンワードコーポレートデザイン。
新型コロナウイルスの感染拡大により、オンラインの営業が増加するようになり、対面営業を得意としていた同社では打開策が必要だったため、動画を活用できないかと考え、「Video BRAIN」を導入した動画施策に取り組んでいます。
その中で人事領域での活用の可能性を感じ、インタビュー動画など運用が成功したことで様々なシーンで動画を活用しています。
内製化を成功させるためのコツ
多大なメリットを得られる内製化ですが、必ず成功するわけではありません。
内製化を成功させるには、あらかじめメリット・デメリットをしっかりと勘案することはもちろん、“成功のコツ”を押さえておくことも重要です。そこでここからは、内製化における成功のコツをご紹介していきます。
ディレクターとなる人材の育成
動画制作の内製化には、“作業者”よりも、制作全体の進行管理を担う“管理者”=ディレクターを多く育成することが重要です。ディレクターさえ確保できていれば、人的リソース節約のために一部作業を外注してもスムーズに制作が進行し、より効率化を図れる=内製化の成功に繋がりやすくなります。
なお、ディレクターには動画制作全般における知識はもちろん、企画力・編集力も欠かせません。
企画力・編集力を培うには、制作初期の段階から「動画に対する世の中の需要やトレンドに敏感になる」「トレンドをコンテンツに活かす」ことを意識してみるのがおすすめ。ぜひ、ディレクターの育成に役立ててみてください。
制作マニュアルの作成
内製化の成功には、制作マニュアルの作成も欠かせません。マニュアルを作成することで、内製化の初期段階から制作におけるノウハウ・ルールをわかりやすく共有でき、動画のクオリティに均一性をもたせることができます。
また、将来的に新たな制作メンバーの参加や一部作業の外注が決定した場合、マニュアルが“行動指示書”の役割を果たしてくれるのもポイント。なお、マニュアルやルールの策定に不安がある場合は、マニュアルの企画・構成部分だけを外部に委託するのも一つの手です。
定期的な機能アップデートや利用マニュアルの充実
Adobeなどの機能が充実しているサービスでも端末インストール型の場合、編集時に必要なPCスペックや端末への負担だけでなく、利用者にわかりやすいマニュアルや利用中に機能や操作方法について不明な点が発生すると検索して解決策を調べたり本を読むなど、内製化するための自社の学習するコストもかかります。社内のリソース状況を考慮した上でサポートが充実したサービスを利用するかも検討すると良いでしょう。
内製化には「Video BRAIN」がおすすめ
内製化成功のコツである、「ディレクターの育成」「制作マニュアルの作成」「内製にかかる総コスト」。実は、これらに注力せずとも内製化を成功に導けるのが、「Video BRAIN」です。
「Video BRAIN」は、上述したように内製で運用するための編集作業の全般をサポートします。そのため、ディレクターによる強固な管理体制に重きを置かずとも、効率化が可能。かつ、誰でも簡単に編集ができ一定のクオリティを担保できるため、編集作業においてはマニュアルの作り込みも要りません。
買取やインストール型のソフトと比較して、導入時の運用体制を作るための徹底したカスタマサポート、活用ウェビナーや利用ユーザー会などのコミュニティも継続的に受けられる点や、定期的に機能がアップデートされるのが大きなメリットと言えます。
まとめ
動画制作を内製化した場合、長期的に見ると低コストかつスピーディーな制作を実現可能です。その反面、社内リソースの確保や複雑なスキルが求められるのも事実…。そんな悩ましい問題を解決してくれるのが「Video BRAIN」。積極活用すれば、苦労なく高品質な動画を作れます。
内製化で培ったスキルや制作したコンテンツは、“自社の資産”として蓄積されていくものです。本記事を参考に、ぜひ自社に適した内製化の取り組みを検討してみてください。
動画を内製化するためのQ&A
1.動画を内製化すると具体的にどのようなメリットがありますか?
・制作期間を短縮でき、配信するまでの期間が短くなる
・ノウハウを社内資産にでき、継続的に動画配信ができる
・一貫性のあるコンテンツやクオリティにこだわった制作ができる
・外注コストを削減できる
2.動画編集を外注するメリットは?
・企画のアイデアから制作、編集までの工程をすべて依頼できる
・制作会社に依頼した方が制作の工程や撮影時の機材が揃っている
・配信後の成果につながる制作実績が豊富にある場合がある
・必要な工程や業務だけ依頼できる場合がある
3.動画制作するときの依頼先は?
・広告代理店(制作コストだけでなくディレクションコストもかかる)
・動画制作会社(内容によって企画からのコスト負担や納期がかかる)
・フリーランス(コストは安価でも品質が安定しづらい、細かいディレクションコストが必要)
4.動画制作の内製化にかかるコストやデメリットは?
・動画を制作するためのメンバーやチームを持つことになるため、定常的に人件費などのコストが発生する
・特に商品やサービス撮影の場合、撮影機材やスタジオが必要になる可能性がある
・社内メンバーが稼働する学習スキル次第では外注の方が安価な可能性がある
・配信後にう効果が出るまで、一定の経験や実績がないと時間がかかる可能性がある
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