効果的なマニュアル動画の作り方とは?具体的な活用事例を紹介

マニュアルといえばこれまでは印刷した冊子やPDFファイルの配布が主流でしたが、最近は動画を使った「マニュアル動画」を利用する企業が増えています。この記事ではマニュアル動画のメリットや導入事例、作成ポイントについて紹介します。

マニュアル動画とは

業務手順や製品の操作方法など、企業にとって必要な情報を動画形式にまとめたものが、「マニュアル動画」です。マニュアルといえば、今までは紙に印刷した冊子やパンフレットか、パンフレット形式のPDFファイルが一般的でした。しかし、最近では映像に音声やテロップを加えた「マニュアル動画」が、すでに広く普及しているスマホやタブレットを通して、テレビを視聴するような感覚で見られるようになりました。これにより、教育のたびに必要だった紙のドキュメントや、教育にかかる人件費、場所の確保といたコストが削減され効率化できると、昨今注目を浴びています。

マニュアル動画の種類

マニュアル動画は従業員向けの業務手順説明や研修用資料、顧客向けの製品紹介や取扱説明書など、社内向け、社外向けを問わずいろいろな場面で活用できます。
代表的なマニュアル動画を5種類に分けて紹介します。

サービス紹介、製品マニュアル動画

マニュアル動画がよく使われる場の一つに、ネットワーク経由で使うアプリ、いわゆるSaaS製品の機能説明や使い方を伝えるデモ映像があります。
次の動画はKaizen Adというアプリの「管理画面の使い方」を説明したものです。

ポインターの動かし方やクリックやタップのタイミング、アプリの色の変化や反応速度など、文字や図だけのマニュアルでは伝えきれないような内容を動画で伝えています。
キャプチャ画像なども使って操作方法をわかりやすく映像で説明するデモ動画は、今では商品の説明や導入に欠かせない存在になっています。

社内研修用マニュアル動画

社内向けの研修でマニュアル動画を活用するなら、研修のテーマごとに動画を用意していきます。新入社員向けの内容としては、電話応対などビジネスの基本ルールをまとめたものになるでしょう。また、新人教育担当者向けに「新人教育マニュアル」など、それぞれの立場の課題に即したマニュアル動画を制作します。

各地に店舗を展開するフランチャイズチェーンの飲食店や小売業なら「店舗運営マニュアル」を動画で制作して配布すれば、遠隔地の店舗にも充実した内容を伝えることができて便利です。

機械の使い方マニュアル動画

メーカーや企業、工場など、業務で使う機器の取扱説明書としてもマニュアル動画を活用できます。動画を使うことで、機器を操作するタイミングや具体的な動作なども直感的に伝えることができるのです。さらに動画のスロー再生や繰り返し再生なども利用すれば、文字と図だけの説明ではなかなか伝わりにくいような操作でも、各自のペースで何度でも確認することができるのでよりよい理解の助けになります。

研修用マニュアル動画

営業研修動画など、営業で成果をあげるために必要なスキルや考え方、営業準備や商談の流れなどを動画にまとめたものや、業務の手順やスキルとノウハウを動画にして配布すれば、指導対象者の前で実演する必要がなくなり、研修にかかる時間や人件費を大幅に削減できます。

また、営業では間の取り方など会話自体のテクニックも重要です。マニュアル動画なら、好ましいしゃべり方やしぐさなどをわかりやすく伝えることができます。優秀な営業担当者は外回りで不在がちなことも多いものです。そういった多忙な担当者が研修のために時間を割くのは難しいことも多いのですが、動画マニュアルを作成すれば研修のために予定を空ける必要がなくなります。

業務マニュアルは正しい業務の流れの手順やノウハウを正確に伝えやすくなり、研修を受ける側も自分の都合のよい時間に視聴することができます。このように、教える側と学ぶ側の両方に大きなメリットがあります。

マニュアル動画の特徴とメリット

マニュアル動画はいろいろな場面で活用が可能で、導入がもたらすメリットにもいろいろなものがあります。

メリット1.一度作成すると自社の資産となる

マニュアル動画は、機材の確保や動画作成アプリの準備、動画の撮影や編集など、最初は多少手間がかかりますが、一度作成してしまえば何度でも使うことができるので、社の“資産”として高い価値があります。もちろん、紙に印刷したマニュアルと異なり、印刷コストや配布コストは発生しません。最初にかかる手間やコストを差し引いても、長期的に見れば社の重要な情報資産として非常に価値が高いと言えます。

メリット2.コスト削減になる

人を集めて集団で研修を行うと、会場費や会場設営費、講師を呼んだ場合は講演料がその都度発生します。また、研修参加者の交通費や宿泊費などのコストが発生することもあります。

一方、マニュアル動画なら、一度作成すれば何度でも繰り返し利用できますし、研修参加者を遠隔地から呼び寄せたり、研修者を集める会場を用意したりする必要がないため、その分のコストを削減できます。もちろん、天候不順や公共交通機関の遅延など当日のインシデントに左右されることもないので、研修に必要な時間をトータルで短縮できます。

メリット3.テキスト情報より一目で分かりやすく覚えやすい

動画のメリットの一つに、テキスト情報よりも相手に伝わりやすいという点も挙げられます。特に、体の動きを伴う操作など、文字や画像だけのマニュアルでは理解しにくかった内容も、動画を見たらすんなり理解できるということがあります。
動画では、細かい動きのニュアンスやタイミングなど、文字と画像の組み合わせに比べてはるかに多くの情報を凝縮して伝えられます。もちろん、視聴者の印象や記憶にも残りやすいと言えます。

メリット4.繰り返し学習できる

動画マニュアルは繰り返し再生して何度も見直せるため、納得がいくまで学習できるのもメリットです。複雑な作業工程や操作方法など、一度では理解しにくかったところを、ニーズに合わせて何度も見ることで、習熟度を効率よく上げられます。

マニュアル動画の活用事例

実際にマニュアル動画を取り入れている企業は、どのように活用しているのでしょうか?ここではマニュアル動画を社内でも簡単に制作できるツール「Video BRAIN」などのマニュアルに動画を活用した制作事例をいくつか紹介します。

1.株式会社オールハーツ・カンパニーの事例

全国にベーカリーとパティスリーを展開する株式会社オールハーツ・カンパニーは、2002年の創業当初から根強い人気を誇る「マジカルチョコリング」、高級食パンにかわいらしさをプラスした「ねこねこ食パン」など数々のヒット商品を生み出しており、レシピの共有にマニュアル動画を利用しています。

同社では人気の定番商品など、レシピ通りに作られているかを判定するチェックを各店舗に対して定期的に行なっています。人気NO.1のベーカリーで商品「とろりんチーズフランス」のクオリティチェックをレシピを動画に切り替えた後に行ったところ、以前実施した際は8店舗中2店舗のみのクリアだったのが、8店舗中7店舗がクリアになるなど、動画の効果を実感しています。

 

2.イズミテクノ株式会社の事例

アルミニウムの金属パーツに「アルマイト」という表面処理を施す株式会社イズミテクノ。事業拡大に伴う教育体制の見直しに伴い、紙ベースでアップデートされず活用しきれていなかった50種類以上の1マニュアルあたり数十ページある作業手順書の動画の量産化をVideo BRAINで行っています。

3.株式会社アイジーコンサルティング社の事例

新築設計・施工、不動産仲介及び売買、総合リフォーム事業、耐震補強事業、住宅メンテナンス事業など、総合的な住環境づくりを行う、株式会社アイジーコンサルティング。不動産業界の中でもいち早くDX化を推進し全社タブレット支給や営業マニュアルの動画化に取り組む。1本あたりの制作コスト、編集の充実さ、継続的なサポートの手厚さで「Video BRAIN」で営業マンやお客様向けのマニュアル動画を制作。

4.ティーペック株式会社の事例

医療相談のサービスを主軸に看護師など有資格者が体調や治療に関する疑問やストレス・メンタルヘルスの悩みに対し、電話やチャットでの健康や企業向け研修事業などを行っているティーペック株式会社。健康リテラシーを上げるためのマイクロラーニングや社外向けの研修動画をVideo BRAINで制作しています。

5.株式会社リオの事例

コンサルティング業などを手掛ける株式会社リオが作成した食品加工業向けの身だしなみを伝えるマニュアル動画です。

食品を取り扱う際、衛生管理の基本である身だしなみは非常に重要です。動画では、帽子や制服を着用する手順や、爪の切り方などをテロップやナレーションを活用しながらわかりやすく解説しています。従業員一人ひとりが正しい衛生知識を身につけたり、衛生管理に対する意識を高めたりするために動画が非常に有効である例の一つです。

6.株式会社岡本工作機械製作所の事例

研削盤や半導体関連装置の製造・販売で高いシェアを誇る「株式会社岡本工作機械製作所」では、同社の製品である平面研削盤とその技術を紹介するマニュアル動画を作成しています。

▼動画では、前半で研削盤の機能を解説し、後半で操作方法を説明しています。この動画では、ナレーション音声や説明の文章にすべて英語が使われており、字幕テロップで日本語の説明が加えられています。つまり、英語をメインにして、日本国内向けと海外向けの両方を一つの動画マニュアルで兼ねられるように工夫されています。同社はシンガポールやタイに生産拠点があり、今後も国外の拠点で広く導入することを見据えて動画を作成しています。

効果的な動画マニュアルの作り方

では、効果的な動画マニュアルはどのように作ればよいのでしょうか?動画の作り方と、押さえておきたいコツやポイントを紹介します。

1.目的・目次を明確にする

まず、動画の目的と動画の内容、つまり目次を明確にします。何についての動画なのか、どのような内容をどのような順で見せていくのかをしっかり決めてから制作しましょう。目的の設定や目次作成は非常に重要な作業で、これがないと何を伝えたい動画なのか判然としないものができあがってしまいます。マニュアル動画は視聴者に内容を理解してもらえるかどうかが重要です。構成を考える際には視聴者目線に立つことを忘れないようにしましょう。

2.台本を作成する

目的を決め、目次を考えて動画の構成がまとまったら、次は台本の作成です。台本は文章で書くほかに、イラストを中心にした絵コンテのようなものでもかまいません。台本で撮影全体の流れを把握してから撮影することで無駄な撮り直しが防げます。伝えたい内容を過不足なく伝えるために、セリフや動作などを台本に書き出しておくことが大切です。

また、台本があれば、編集段階でも前後の流れをすぐに確認できますし、テキストデータの形で台本を作っていれば、そのテキストをコピー&ペーストしてテロップを作成できるので効率的です。

3.丁寧な説明や事例を入れる

例として業務の手順をまとめた動画マニュアルを作る際には、以下の点に気を付けましょう。

・新人でもわかるように丁寧に説明する(専門用語をなるべく多用しないなど)
・必ず作業の事例を入れる
・音声だけでなくテロップや図解なども用いる

業務のやり方や手順を説明するときは新人に業務を教えるときと同じように丁寧な説明や事例、編集する際にテロップや図解などを利用することで理解が早くなり、繰り返しの学習や補足説明する研修コストを減らすことができます。

4.動画を撮影・編集する

台本が完成したら、動画を撮影し編集します。撮影のポイントは、特定の方向や角度(アングル)だけで撮影せずに、アングルを変えながら複数のアングルで撮影しておくことです。同じシーンでも、撮影する角度が変われば見え方が変わります。まず、いろいろなアングルで撮影しておいて、編集の段階で最適なアングルの動画を選ぶ方法がおすすめです。

編集作業では不要なシーンをカットし、必要に応じてナレーションやテロップを入れて、見やすい動画にすることを心掛けます。テロップを出すタイミングや、表示するテキストの入力に多少の手間はかかりますが、テロップがあれば電車内などでも視聴できるため、作成しておくのが望ましいでしょう。ポイントは、ひと目で理解できる簡潔な文章を心掛けることです。さらに、BGMや効果音などを挿入すれば、クオリティの高い動画に仕上がります。

マニュアル動画で業務効率化を目指そう

マニュアル動画は、紙や文書ファイルでは伝えきれないような大量の情報や、細かいニュアンスなどの内容を的確に伝えられる画期的なアイテムです。もちろん、マニュアル動画を作成して最大限に活用するには、導入後も継続的に見直しながら運用していくことが大切です。

社員の習熟度チェックなどマニュアル動画の効果を確認しながら見直しを行い、定期的に更新していくことで運用効果をさらに上げることができます。

Video BRAINなどの動画制作ツールでは、手軽にマニュアル動画が作成できますので、マニュアル動画活用を検討の場合は合わせて検討してみるのをおすすめします。

マニュアル動画の作り方でよくある質問

最後に、マニュアル動画を作る際に、よく聞かれる質問をまとめて紹介します。

1.マニュアル動画の作り方のポイント

・マニュアルの目的や課題を分析して整理する
・業務内容や特に理解してもらいたい伝えるポイントをまとめる
・時間(尺)を長くしすぎないように短時間で分かるようにする
・音声や映像だけでなくテロップや図解なども入れて工夫する
・PC環境がない場合、スマホでも見れるなど閲覧環境に配慮する
・映像だけでは伝わらない場合、紙のマニュアルも利用する

2.マニュアル動画の注意点

・1つの業務マニュアルに複数のテーマを入れない
・動画だけでなく紙マニュアルやテキストも利用する
・動画だけで伝わらない部分は補足で説明する
・再生しやすいように動画容量が大きくならないようにする
・編集時に周りや見て欲しい人が理解しやすいかチェックしてもらう

3.マニュアル動画の長さ

・5分前後が目安(レシピや業務手順が長いものは不要な箇所をカットするなど工夫する)
・作業工程を分けるなど短時間で理解しやすい尺にする(機械の分解や組み立てなどは、分解 → 洗浄 → 組み立てに分けて動画を作成するなど)
・長尺で動画再生しづらいデータ容量にならないように注意する(アップロード時間が長くならないようにする)

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