企業が、利益を上げることを、目的とする営業活動。企業の業績にかかわる営業は、効率的に行うことが大切です。営業を効率化できれば、社員の負担が軽減するほか、営業の質が上がり顧客満足度アップにもつながります。
そんな営業効率化のためには、ITツールの導入が欠かせません。ITツールを使えば、時間や労力、さらにはコストを抑えることもできるでしょう。ぜひ、本記事を参考にして、社員の意識を高め、営業効率化を実践してみてください。
目次
営業の効率化によって得られるメリットとは?
営業の効率化は、さまざまなメリットを生み出します。ムダを省いて業績アップにつなげましょう。
そもそも営業の効率化とは?
営業効率化とは、営業活動をする際にムダを省いたり、抑えたりすることです。ここでのムダとは、必要以上にお金や時間を投入することを指します。そもそも、営業活動の目的は、企業に利益をもたらすこと。自社の製品で、顧客の生活の質を向上させたり、自社のサービスで、顧客の問題や悩みを解決したりします。
外回りの営業だけでなく、営業活動に関わる全ての業務の効率化を図る必要があります。事務作業から商談まで、効率化できる業務には、さまざまなものがあるでしょう。顧客とのやり取り以外の業務にかかる時間を短縮できれば、顧客に対してより丁寧なフォローができるはずです。
効率化によって得られるメリット
営業の効率化を図ることにより、以下のメリットが得られます。
・社員の負担の軽減
・営業の質を向上
・売上の増加
まず1つ目は、社員の負担を軽減できることです。営業の業務は多岐にわたり、外回りだけではなく、契約書や請求書作成などの事務作業も含まれます。営業の効率化をして、外回りや事務作業の時間を減らせば、疲労やストレスも軽減できるでしょう。ムダな業務が減れば、人件費の削減にもつながります。
2つ目のメリットは、営業の提案の質を向上させることにあります。多岐にわたる業務をこなしていると、営業の質が低下しがちです。顧客への提案以外の業務の効率化ができれば、顧客の課題発見や新たなアイディアの創造、提案力のアップにもつながるでしょう。顧客のニーズを汲み取る余裕ができれば、顧客満足度の向上にもつながります。
3つ目の営業効率化によるメリットは、売上を増加させられることです。売上をアップさせるためには、顧客の数を増やすか、客単価を上げる必要があります。営業の効率化でムダな時間を削減できれば、その分アプローチできる顧客数も増えるでしょう。より多くの新規顧客を獲得できれば、売上もアップするはずです。
営業効率化のために行う基本的な方法
営業効率化のためには、どのようなことを行えばよいのでしょうか。基本的な営業効率化の方法を知ることで、ムダな時間を削減しましょう。
社員に効率化を意識してもらう
営業の効率化のためには、まず社員の意識改革が必要です。なぜ効率化するのかを社員に理解してもらい、営業効率化を実行に移してもらわなければなりません。
外回りや事務作業など、たくさんの業務を抱える営業社員はとにかく目の前のことをこなすことに必死な場合もあります。やるべきことを精査したうえで、優先順位をつけ行動に移せるよう意識してもらうことが大切です。必要性や緊急度に応じて優先順位をつけると、営業効率化を進めることができるでしょう。
営業効率化をすると、労働時間の短縮や、業務の負担が軽減されることで、ライフワークバランスの実現にもつながります。社員の仕事に対するモチベーションアップにも結びつき、将来的な業績の向上が見込めるでしょう。
書類作成や事務処理の効率化を考える
外回りが業績につながりやすい営業の仕事。オフィスでの事務作業は、なるべく効率的に行いたいものです。事務処理には、ルーティンワークも多くあるため、効率化することで業務を大幅に改善できるでしょう。メールテンプレートを整えたり、パソコン操作のショートカットキーを覚えたりするだけでも時間の短縮につながるはずです。
見積書や契約書、発注書、請求書などの書類をはじめ、プレゼンテーションの資料などは、効率的かつ正確に作成する必要があります。しかし、忙しい営業の仕事にとって、数字データの入力や書類の作成はミスしやすい分野でもあるでしょう。このミスをなくすことで、営業効率も上がります。
顧客と商談する際に重要になるデータや書類。ミスがないようチェック体制を見直すことで営業効率化を図りましょう。
見込み客の見込み度を把握し顧客情報を分類して管理
営業を行う上で、すべての顧客に対してアプローチを行うことは、効率的ではありません。見込み客の見込み度合いを把握し、顧客情報を分類して管理しておけば、営業アクションもとりやすくなります。成約の見込みがある顧客に絞って営業アプローチを行うことで、営業効率化を目指しましょう。
見込み客へのアプローチでは、顧客の不安や検討したいと思っているポイントを事前に把握しておくことが大切です。そのうえで、納得できる情報を提供し、信頼関係を築いていくことで成約につながる可能性も高くなります。
インサイドセールスの活用
インサイドセールスの活用も、営業効率化に大きなメリットをもたらします。インサイドセールスとは、見込み客に電話やメールなどでアプローチする内勤型の営業です。インサイドセールスの役割は、外回りの営業などで獲得した見込み客との信頼関係を深めること。
企業の中には、インサイドセールスが商談までする場合もありますが、基本的には見込み客のニーズが高まったところで、外回りの営業にバトンタッチします。商談へつながる情報を受け渡すことが大きな役割です。
インサイドセールスは、外回りの営業とちがい、顧客先に訪問する時間を削れるため、その分顧客へのアプローチする時間も増えます。また、訪問先に出向かないため、交通費などのコスト削減にもつながるでしょう。
人材育成や社内での情報共有を円滑に行う施策を考える
社内での情報共有を円滑にすることも、営業効率化につながります。そのために大切なのは、情報やノウハウを共有する仕組みづくりです。営業活動は属人化しやすい傾向にあります。営業活動の情報やノウハウは、営業組織全体で共有しておくことが大切です。
そこで、情報共有の場として、社内研修などを設けるのも一つの手です。営業担当者が日々の業務をテキストや画像、動画などを使ってまとめることで、新入社員や引継ぎされた社員が、効率的に業務を進めやすいようにしましょう。
わかりやすいマニュアルを作成しておけば、担当が変わった場合でも、対応しやすくなります。人材育成の際にも役立つでしょう。
関連記事:成約率を上げるための営業効率化のポイントとその方法を解説
営業効率化にはITツール導入が欠かせない
ITツールの導入も、営業効率化で欠かせないツールです。さまざまなツールを駆使して業務を円滑に行いましょう。
見込み度の低い顧客からの問い合わせをHPで完結
自社のホームページを活用して営業効率化を図るのも1つの方法です。見込み度の低い顧客から問い合わせがある場合は、ホームページにFAQをのせたり、サービス資料のダウンロード情報をのせたりすることで営業担当の手間を省きましょう。
また、ホームページに申込フォームをのせる場合、フォーム内容は重要です。顧客のフォーム情報次第で、営業担当の商談角度の見極めや対応も容易になってくるでしょう。
オンライン商談で移動時間やコストを抑える
顧客との商談をオンラインで行えば、移動時間やコストを抑えられます。これにより、交通費や人件費の削減にもつながるでしょう。遠方の顧客とも、距離を気にせずに商談ができるのもうれしいポイントです。インターネット環境が整っている場所ならどこでも商談できるので、スケジュール調整もしやすく、スピーディーな営業活動ができます。
ビジネスチャットなどを利用して社内会議を省く
営業効率化には、会議のための会議といった、ムダな社内会議を減らすことも大切です。何かと会議を開催すると、本来やるべき業務の時間が割かれてしまいます。内容次第では、わざわざ会議を開催しなくてもテキストコミュニケーションで済む場合もあるでしょう。
そんなときにおすすめなのが、ビジネスチャットです。ビジネスチャットを利用すれば、話し合いの目的も明確になり、非効率的な会議を省けます。
営業効率化の成功事例
営業効率化とは言っても、企業の業種や営業活動、規模によっても課題が様々です。
成功事例から自社の業務効率化のヒントになる実例を紹介します。
事例1.江崎グリコ株式会社
「ポッキー」「グリコ」などの有名ブランドを提供しているメーカーの江崎グリコ株式会社は、企業や組織を対象にしたB2Bビジネスも積極的に手がけており、グリコ製品を企業キャンペーンなどに活用してもらう「法人ノベルティ」事業がその一つです。
オリジナル名入れノベルティは、プリッツやポッキー、カレー職人のノベルティがトップ3となっており、年間100万個を超える出荷実績があるという。用途としては、イベントの景品、PR向け粗品、ご挨拶用の景品といった使われ方を一般的にされています。
以前は営業担当者が集めてきた名刺情報や、電話による問い合わせ、代理店からの紹介などをExcelでリスト化し、営業担当者が案内状と見本を持参して訪問営業をかけ、新規開拓を行うというスタイルがメインだったという。しかしこの方法では顧客の購買タイミングに合わせた営業活動が難しく、採用に至らないケースも多かったため、営業担当者の新規開拓意欲も上げにくい課題があった。
より商談率を高めるためにMA(Padot)を導入し、3~4ヵ月かけて顧客ターゲット像を明確にし「地域毎のエリアNo1広告代理店」「中規模IT/ソフトウェア企業」を主要なターゲットに決定し、同ターゲット向けの「販売促進ノベルティに関するアンケート調査」などのダウンロードできる資料や顧客事例のコンテンツを制作し、Webサイトに掲載。
これらのコンテンツをダウンロードするのに「会社名」「氏名」「メールアドレス」などの顧客情報の入力が必要なため、一元化された顧客情報へ商品カタログへ誘導するメールの送信などを実施し、営業に引き渡す仕組みを構築したことで、Webサイトからのリードの流入量が全体の1/4になり、成約金額も増大しています。
引用:営業の名刺情報のリスト化だけでは限界があった商談化率の向上(Sales force導入事例)
事例2.花王グループカスタマーマーケティング株式会社
花王グループカスタマーマーケティング株式会社(以下、KCMK)は、日本を代表する日用品・化粧品メーカーの花王株式会社や株式会社カネボウ化粧品など花王グループの中でグループ全体の卸売・販売機能を担い、流通・小売を通じて商品をエンドユーザーへ届けています。KCMKグループは長年、市場・業界の動向や、会社統合による取扱商品の拡大、また、それにともなうフィールド業務の変化に対応するため、フィールド活動支援システムを開発し、必要に応じて機能を拡張・進化させてきましたが、既存システムの柔軟性の低さや改修・メンテナンスに工数と時間がかかっていました。
店舗の定期巡回や改装の棚替、商品の推奨販売など、KFMの管轄する業務を改善するためにConsumer Goods Cloudを導入しています。
コロナ渦の中、全体で約2000名のユーザーが一気に利用を開始し、スムーズに移行ができたと言います。店舗営業担当者やラウンダーが、モバイル端末から新システムを利用して、フィールド業務における各場面で、訪問予定や店舗情報、作業内容などを確認し、作業報告や運転日報などを作成・登録していきます。そこにフィールド業務を効率化するさまざまな工夫を盛り込んでいます。
標準機能も使いつつ、多少のカスタマイズも開発を最低限に抑えられるなど、業務効率化の成果をあげています。
引用:2,000名が円滑に一斉移行!フィールド業務改革をConsumer Goods Cloudで実現
事例3.株式会社湖池屋
ポテトチップスやカラムーチョなど、ロングセラーのお菓子を販売する『株式会社湖池屋』では、コロナ渦の影響で世間的にも「営業DX」が求められるようになり、社内からも「営業の場で動画を使った提案ができないか」という話が持ち上がり、動画を内製化と商談資料や店舗用など用途別の動画を制作するために動画編集ツールの「Video BRAIN」を導入しています。
毎月発売される新商品を説明した30秒ほどの動画やプレゼンシーズンには、複数商品をまとめて紹介する2−3分程度の動画を制作して営業活動に利用しています。商品説明の動画内に営業担当者から取引先様だけに向けた一言コメントを入れるだけで好評で、そこから笑いや会話が広がることもあり、他社との差別化につながっています。またQRコードを活用して動画に誘導した施策も行っていたり、自社サイト内に商品のアレンジレシピを掲載したり、店頭のサイネージでも流しています。
社内のセールスから動画を活用したいという問い合わせが50%も増え、宣伝用に様々な動画を作るようになり動画のバリエーションも5倍に増えています。コロナ渦での動画の活用をきっかけに販売促進の手法にも新しい取り組みを取り入れて成果を上げています。
引用:店頭や商談など多方面での動画活用で、セールスからの問い合わせ50%UP!「営業DX」へ新たな一歩!
まとめ
営業を効率化すると、社員の負担が減り、営業の質が上がります。さらには、顧客満足度アップにもつながるでしょう。そのためには、電子データや動画の活用がおすすめです。
社内の情報共有や商談、社員研修に動画を用いれば、時間の短縮はもちろん、営業の質も高められます。労力やコストも抑えられるでしょう。ぜひ今回紹介した事例も参考に、ITツールを活用した営業効率化を実践してみてください。営業効率化の成果が見え始めると、社員のモチベーションも上がるはずです。
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