オンライン商談とは?メリットと導入の方法を解説

2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、オンライン商談が注目されるようになりました。大企業に限らず、中小企業でもオンライン商談の導入が進んでいます。一方で、「オンライン商談は本当に役立つのか」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、オンライン商談にはどのようなメリットがあり、導入するにはどのような準備が必要なのかを解説します。現在オンライン商談を導入するか検討されている方や、効率的に営業成績を伸ばす方法をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。

オンライン商談とは? 

近年普及するようになったオンライン商談。どのような背景で普及したのでしょうか。

オンライン商談の概要

オンライン商談とは、パソコンやスマートフォンを使い、Web上で行う商談のことです。

かつて商談といえば、顧客のもとへ足を運び、直接会って話すのが一般的でした。しかし、現在は、ビデオ会議などのツールを使って、顧客に直接会わなくても交渉を進められます。インターネット環境さえあれば、自宅やサテライトオフィスなど、場所を選ばず商談を行えるのです。

オンライン商談が普及した背景

オンライン商談は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い普及しました。

感染症予防のため、従業員の外出自粛やテレワークを推進する企業が増え、大人数での会合や会食、テレアポや対面商談などの営業活動にリスクが伴うようになったのです。このように、人々の行動に制限が設けられたことで対面での商談が難しくなりました。

そこで、急速に注目されるようになったのがオンライン商談です。オンライン商談なら直接顧客と会う必要がないため、多くの企業が導入するようになりました。なかには、「取引先がオンライン商談を取り入れたので、自社も導入せざるを得なかった」というケースもあるようです。

オンライン商談のメリット

オンライン商談には、以下の4つのメリットがあります。

・訪問先への移動の時間が削減や営業エリア拡大に繋がる
・紙の資料を準備する必要がなく、ペーパーレス化にも繋がる
・営業が効率化するので商談数が増える
・同僚、後輩、部下への共有や教育・研修資料に利用できる

訪問先への移動の時間が削減や営業エリア拡大に繋がる

オンライン商談のひとつ目のメリットは、場所を選ばず商談でき、移動時間が削減できることです。

オンライン商談は、パソコンがあればどこからでも参加できるため、会社に限らず自宅からでも参加可能です。商談を行う側としては、相手の会社に訪問する移動時間や営業車の維持費、電車代などの交通費も削減できます。渋滞やバス・電車の遅延により、商談に遅刻するトラブルも防げます。

オンライン商談にすることで、対面商談では難しかった遠方の地域にも営業エリアを拡大できます。さらに顧客先への移動コストも削減できるため、長い移動時間や高額の交通費がかかることを理由に、商談を諦めざるを得なかったクライアントへのアプローチする営業エリア拡大や1日の商談数を増やすことができるため営業の効率化にも役立ちます。

例えば、会社から営業先への移動に1日2時間費やしていた場合、1カ月に換算すると移動時間だけで約40時間必要になります。オンライン商談を導入すれば、移動時間の必要がなくなるのでこれまで移動に使っていた時間を別の商談にも充てられます。

天候や感染症にも左右されないため、台風などの悪天候で移動や出勤が難しい日でも、問題なく商談を進められます。また、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症のリスクからも社員や取引先のリスクを守れます。環境要因に阻害されず商談を進められるのは、大きなメリットと言えるでしょう。

紙の資料を準備する必要がなく、ペーパーレス化にも繋がる

オンライン商談は、紙の資料を準備せずにすむのも魅力です。

対面での商談では、紙の資料を訪問先に事前に配布したり、当日持参したりする方が多いでしょう。しかし、紙の資料の準備には、原稿の作成から印刷・製本と意外と手間がかかります。

オンライン商談なら、ビデオツールの「画面共有機能」や「画面録画機能」を使って、先方と簡単に資料の共有や議事録を残すことができます。これまで印刷した紙の資料で提案していた場合、予めPDFなどのデータ形式にしておく必要はありますが、画面共有機能を使えば、静止画や動画などさまざまなコンテンツのデータを共有がリアルタイムで可能になるので、商談内容をより理解してもらいやすくなります。

紙の資料が不要になることでペーパーレス化にも繋がるため、印刷作業の準備も含めたコスト削減ができるます。営業の人数や紙で印刷している担当者が多いほど企業全体のコスト削減にも繋がります。

また、データにしておくことで社内での共有もしやすくなります。情報の取り扱いには注意が必要ですが最近ではセキュリティ性の高い商談ツールも多いため、情報漏えいの防止も期待できます。

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営業が効率化するので商談数が増える

オンライン商談なら、商談を受ける先方の心理的ハードルを下げられます。

「商談できる時間が限られている」「商談スペースを確保しなければ」など、オンライン商談は、商談を受ける側もなにかと心構えが必要です。

しかしオンライン商談は、電話の延長のようなイメージもあるため、「話だけなら聞いてみようかな」と、顧客側が受け入れやすくなります。

オンライン商談であれば、クライアントの予定に合わせて自社のスケジュール調整もしやすく移動時間の考慮も必要ないため早ければ当日か翌日などすぐにでも商談を行うことができます。

オンライン商談を導入している会社と、導入していない会社では、商談数の効率化に大きく差が開き、会社全体の売上げの差にもつながるでしょう。

同僚、後輩、部下への共有や教育・研修資料に利用できる

殆どのオンライン商談ができるツールには、商談中の映像を録画できる「画面録画機能」が用意されています。商談開始前にクライアントに録画の許可をとる必要がありますが、自分の商談シーンを録画しておくことで、より受注に繋がる商談時のシーンを共有や教育用の資料として利用することができます。

多くの商談は部下や上司に同行をしてもらわないと営業スタイルが学びづらい面がありますが、見本となる商談の映像があれば、説明をしなくても学習してもらうこともできますまた、失注や見送りになった場合に商談後の自身の振り返りにのなり、より受注を上げるための再現性の高い商談に工夫することもできるでしょう。

オンライン商談の注意点

スーツを着た男性

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オンライン商談には、さまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。以下の3つのデメリットを想定しておけば、導入後のトラブルを減らせるでしょう。

信頼関係の構築がしづらい

オンライン商談は対面商談に比べて、クライアントとの信頼関係の構築に時間がかかります。

最初のアプローチから成約までの過程を、すべてパソコン越しで行おうとしても、一度も直接会ったことのない人を信頼してもらうまでにはどうしても時間がかかってしまいます。オンライン商談で信頼関係をうまく構築するには、両者の緊張がほぐれるようなアイスブレイクの時間を設けるのもおすすめです。なかには動画資料を活用し、クライアントとのコミュニケーションのきっかけにしている会社もあるようです。

環境づくりに時間がかかる

オンライン商談をスムーズに行うには、導入前に環境づくりをしっかり行わなければいけません。環境づくりといっても、パソコンやタブレット、インターネット環境の整備や動画コミュニケーションツールのセットアップだけではありません。

オンライン商談では、直接対面しない代わりに画面越しに伝わる情報が重要です。音声の聞き取りやすさや、画面での表情の見やすさを考えると、静かで明るい環境が欠かせません。せっかくアポイントメントが取れても、周りの声が騒がしく、内容が聞き取りにくければ商談の進捗にも影響が出ます。

オンライン商談用のスペースを確保する、またはスペースの確保が難しければ、オフィスのメンバー(在宅勤務の場合は家族)の協力のもと、個室スペースを用意するなど静かな環境づくりを心がけましょう。

最近では半個室のシェアスペースやホテルの個室を商談に利用するケースも増えているため、より商談の効率化に繋がる環境の用意もコストと合わせて検討すると良いでしょう。

通信環境に左右されやすい

オンライン商談はインターネットを使用するため、通信回線の状況によってはスムーズに商談が行えない場合があります。インターネット回線が不安定だと、音声や動画にタイムラグが生じたり、画面が動かなくなってしまったりすることも。

通信回線のトラブルに左右されず、商談をスムーズに行うには、回線が不安定になった際の代替策(予備のビデオ会議ツールを準備する、チャット機能を使うなど)も考えておきましょう。

また画面表示するディスプレイが映らないなどのケースもよく見受けられますので、商談前にきちんと映像が表示されるかのテストをしておくと良いでしょう。

オンライン商談の導入方法と成約率をアップさせるには?

「自社でオンライン商談を導入することになった」「導入方法や成果が上がる運用方法がわからない」そんなときに見直してほしいのが以下の3つのポイントです。

オンライン商談システム・ツールを導入する

まずは、オンライン商談で使用するシステム・ツールをまず導入しましょう。オンライン商談で使用するシステムは、大きく分けて「Web会議ツール」か「オンライン商談専用ツール」の2種類があります。

オンライン商談ツールには「名刺交換」機能がついているが、Web会議ツールにはついていないなどのデメリットもあるので、利用できる機能についてもよく見ておくと良いでしょう。

Web会議ツールのメリットは、無料でも使えるものが多く、使いなれている人が多いこと。一方で、会話も動画もインターネット通信を使用するため、回線状況によっては、商談が途切れてしまうこともあります。

オンライン商談ツールは、使用するのに費用が必要ですが、「インターネット回線が不安定になっても音声が聞き取りやすい」「オンライン商談に特化した機能が付属している」などのメリットがあります。また、アプリのダウンロード不要のシステムを選べば、オンライン商談に不慣れなクライアントの心理的ハードルを下げられるでしょう。

顧客インタビューや取材など、録画したデータをコンテンツとして活用する場合、「音声・画質」に注意しましょう。

また、特に大手企業によってはオンライン商談をする上で接続方法やセキュリティの条件が決められている場合があります。システムやセキュリティ担当者も含めて選定前にチェックしておくと良いでしょう。

関連記事:ウェビナーツールの選び方とは?おすすめ8選

事前準備の徹底

オンライン商談ツールを導入してから商談の成約率を高めるには、商談前の事前ヒアリングが重要です。

オンライン商談は、画面越しでクライアントとやり取りをするため、表情が読み取りにくいことも。事前ヒアリングで知り得たクライアントの要望や、自社に求めるポイントを踏まえ、商談の段取りを組めば、成約率アップにつながります。

また、場所や天候によっては、通信状況に差が出る場合や雑音が入りやすい場合があります。オンライン商談を行う環境に問題がないか、事前に確認しておきましょう。

最適なオンライン商談システム・ツールの選び方

オンライン商談の成約率は、コミュニケーションツールの性能にも大きく左右されます。

特に重視したいのは、「接続方法が簡単かどうか」です。クライアントに手間をかけさせないよう、ソフトウェアのインストールが不要で、URLのクリックだけで接続できる簡単なツールを選びましょう。

また、営業台本を自分だけに表示できる「トークスクリプト機能」や、クライアントと資料を共有し、書き込みもできる「ポインター機能」などがあると、スムーズに商談を進められます。

LINC Bi

Linc Biz(https://getlincbiz.jp/は、オンラインビデオ会議とチャット機能を備えたオンライン商談ツールです。オンライン商談だけでなく、社内外のビデオ会議、Webセミナー、Web社員研修にも利用されています。

サービスの特徴

・複数拠点からの同時参加することが可能
・PCでもスマホでもインターネット環境があれば操作や参加ができる
・ビジネスチャット機能からビデオ会議への移行が可能
・ZOOM MTGと連携できる

B-ROOM

B-ROOM(https://www.broom-online.jp/は、オンライン会議とチャット機能だけでなく、会議中の音声データを自動し的にテキスト化できる機能を備えたオンライン商談ツールです。オンライン商談中の内容記録機能により営業は議事録を取らなくてもトークに集中ができ、上司が商談内容の確認も行えます。

サービスの特徴

・最大4拠点からの同時参加することが可能
・PCでもスマホでもインターネット環境があれば操作や参加ができる
・音声自動議事録機能あり
・打ち合わせ終了後に訪問したらかかるはずの交通費や時間を画面表示

ZOOM

ZOOM(https://explore.zoom.us/ja/products/meetings/は、オンライン会議が行えるWeb会議ツールです。オンライン商談ツールと違い事前にチャットうあメッセージのやり取りができないため、商談相手とやりとりをしているメールやコミュニケーションツールでやりとりをする必要があります。

サービスの特徴

・拠点に関係なく100人まで同時接続が可能(追加オプションで最大1000名まで)
・PCでもスマホでもインターネット環境があれば操作や参加ができる
・事前にチャットやメッセージは送れない
・他システムとのデータ連携がしづらい

オンライン商談の活用事例から学ぶ

オンライン商談を活用するといっても、なかなか運用のイメージがつきづらいものです。

実際に活用している事例を紹介しますので、今後のオンライン商談の取り組みうや効率化の参考にして見てください。

東日本電信電話株式会社

東日本電信電話株式会社は、インサードセールスチームの立ち上げとオンライン商談ツール(ベルフェイス)を導入し、移動時間の削減により顧客との商談数が大幅に増加したことで、商談の獲得数が10倍程度、受注率が4倍程度を実現しています。遠隔地からでもオンライン商談中にスライドの資料を見せながら行うことで受注額と受注率が増加しています。

引用:リード獲得数10倍、受注率4倍に増やした、NTT東日本の「インサイドセールスセンター」

株式会社RICOH

株式会社RICOHは、リードである無料利用ユーザーを数千単位で獲得していたものの、営業が行き届かないという課題があり、オンライン商談の導入によって営業リソースの効率化によって成約数を従来の3倍に増加させています。通常の訪問であれば1人あたり1日数件の訪問数をオンライン商談の導入によって10件の商談数の効率化を実現しています。

引用:リコー社がオンライン商談完結営業で商談数20倍!成約数300%へ!!CSでも活用し次世代営業モデルを実践

株式会社湖池屋

株式会社湖池屋は、店頭やオンライン/オフラインの商談時に商品説明の動画を活用することで他社との差別化にも繋がり、取引先から制作したレシピや商品動画の活用の問い合わせが50%も増加しています。

引用:店頭や商談など多方面での動画活用で、セールスからの問い合わせ50%UP!「営業DX」へ新たな一歩!

まとめ

オンライン商談は、場所を選ばず営業活動が可能です。そのため、営業担当者の移動時間や交通費の削減、業務効率化など、さまざまなメリットが期待できます。

一方で、「クライアントとの信頼構築に時間がかかる」「導入するにはオンライン商談に適した環境づくりが必要」など、注意すべき点も。

オンライン商談を導入する際は、メリットだけでなくデメリットも理解し、自社の商圏拡大を目指しましょう。


 

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