社内広報の目的と役割とは?参考となる成功事例も紹介!

社内広報を運用しているけれど、「なかなか読んでもらえない」「活用されていない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。社内広報と聞くと紙媒体をイメージする方も多いかもしれませんが、ほかにもさまざまなアプローチ方法があるのです。そこで今回は、社内広報の目的や伝えるべき内容、各アプローチ方法の特徴、社内広報の成功事例について紹介していきます。多くの社員に伝わる社内広報を作りたい、自社にマッチする社内広報をもう一度見直したい、という方は必見です。

社内広報ってどんなもの?目的は?

社内広報はよく耳にするワードですが、そもそも何のために行うものなのでしょうか。ここでは、社内広報の目的について詳しく見ていきましょう。

社内広報とは、企業が自社の社員向けに行う広報活動です。社内広報では主に、企業理念や今後のビジョン、新サービスや社内イベントなどの社内情報、経営層からのメッセージなど、多種多様な情報を発信します。社内広報でさまざまな情報を共有することで、社員同士のコミュニケーションやモチベーションアップなどを図り、社内の意識をひとつにまとめ、組織全体の強化を目指していくのです。

大きな組織の中では経営本部の意向が社内全体に伝わりにくくなりますが、社内広報を行うことで情報の伝達を均一にできます。社員の心に響く社内広報を目指すには、伝えるべき情報を効果的なタイミングで発信することが必要でしょう。

社内広報を行う目的はさまざまで企業によって異なります。ここでは主な3つの目的を見ていきましょう。

社内情報の共有

企業が大きくなったり、社員が増えたりすると、企業全体の取り組みや他部署の情報を知る機会が少なくなります。日常業務に関わる庶務関係や、社外メディア掲載関連など、社内で共有が必要な情報について社内広報を使うことで自社の現状を把握できるのです。

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コミュニケーションの強化

部署が違うと、なかなか接点を持つのが難しいケースも多いのではないでしょうか。社内広報にて経営陣や新入社員、各部署の活動を紹介することで、同じ企業で働く仲間意識が芽生え、企業としての一体感が生まれます。社内広報を通してコミュニケーションの強化を目指せるでしょう。

社員だけでなく、家族も企業への理解を深められる

社員が働くうえで、家族からの理解はとても重要です。社内広報で社員の家族が企業の考えや働き方について知ることで、社内の雰囲気が伝わって安心感につながるでしょう。

インナーブランディングの一環としても

インナーブランディングとは、社員に自社について理解してもらうための活動です。その中で、社内広報は定期的に企業理念や経営方針などを発信し、社内に浸透させる役割があります。企業が目指すポジションや大切にしている想いなどを繰り返し伝えていく中で、社内の一体感が高まるでしょう。

さらに、理念や方針に社員が共感できれば、企業への愛着心が生まれ、モチベーションアップや離職率の低下も期待できます。

採用ブランディングツールにもなる

社内広報は、採用したい人材に、自社について知ってもらう採用ブランディングツールとしても活用できます。社内の情報についてピックアップされた社内広報ですが、企業説明会や採用面接など多くの人が集まる機会にも活用することで、企業の雰囲気について知ってもらいやすくなるのです。

新入社員・既存社員のインタビューや社内イベント、各部署の紹介といった内容は、社内の雰囲気を知ってもらうときに役立つでしょう。

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社内広報で伝える内容は?

社員の心を動かすような読み応えのある社内報を意識することがポイントです。ここでは、社内広報で伝えるべき主な内容を紹介します。

経営方針や経営理念など、将来に向けた目標企業の行動指針

・企業の使命
・企業の構想
・企業が持つ価値観
・企業の行動指針

経営理念は、企業案内に掲載されているような既存の言葉ではなく、経営にあたっての考え方や方針や熱意がこもったメッセージをリアルタイムで発信することが大切です。経営トップと接点がない社員も企業の考えを再確認し、社員の行動基準が明確になることで一人一人が自信と自主性を持って業務に当たることができます。 

経営理念の浸透は社員が会社に対して抱いている「貢献意欲」「愛社精神」「出世意欲」といったエンゲージメントや会社と従業員同士の関係性にも影響し生産性の向上も期待できます。さらに外部に経営理念を発信することで企業価値やブランドイメージの向上や優秀な人材の確保にもつながるため、伝わるメッセージになるように意識すると良いでしょう。

自社の経営状況の発信

会社の規模が多いほど、会社全体の経営状況や事業部毎の状況を知るきっかけがないケースが多く見受けられます。

・各事業部でどのくらいの売上や利益に貢献しているか
・どの事業部が上手くいっていなく、どのような課題や打ち手があるのか

外部へ公開する決算情報だけでなく、毎月や四半期毎に各事業部の状況を配信することで、貢献している事業部の社員は自信になり、うまくいってない事業部も課題が明確であれば他事業部への相談や連携もしやすくなり事業としての相乗効果も考えられます。発信する時は特にその情報を潜在的に知りたいと思っており、自発的に事業への貢献や生産性の向上のアクションをしそうな社員など、読者(ペルソナ)をしっかり設定した上で行うと良いでしょう。

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メディア掲載の発信

自社で対外的に発信している取り組みやメディアに取り上げられた話題や内容は、どんな取り組みが注目されたのか、どのような取り組みをしているかをこれまで知らなかった社員も関心を促すことが把握でき、対外的な取り組みへの理解や企業としてのブランド価値を各社員が再認識することができます。また従業員数が多い企業ほど各事業拠点毎の取り組みやコミュニケーションが疎遠になりがちなため、事業部毎の対外的な取り組みを配信することで遠隔地の事業所間の取り組みへの理解やコミュニケーションも期待できます。各事業部の良い取り組みを定期的に把握することで、社員の関心を得られそうな社内へ発信する情報が得られる仕組みを作っておくとよりスムーズに情報配信ができるでしょう。

競合他社・業界の動向

自社ブランドの製品がある場合、個人や法人に限らず市場リサーチを実施し、そのアンケートデータを社内に共有することで、直接ユーザーとの接点がない社員もどのように思われているか、又は製品企画や開発する上でのアイデアのきっかけになる可能性があります。また同時に競合の他社製品についても調査することで、競合他社と比較した時の業界内での立ち位置の理解にも繋がります。

主要な競合の新商品や業界内での動向も定期的に社内へ配信することで、各社員が自身の業務をこなすだけでなく、市場感を持って売上や利益に繋がるような取り組みのきっかけにもなります。競合と明らかに劣っている場合やブランドイメージを損ねる情報の場合、配信を控えるなどマイナスイメージならない工夫をするようにすると良いでしょう。

社内広報の具体的なアプローチ方法

テーブルの上のノートパソコンを見ている女性

中程度の精度で自動的に生成された説明

社内広報にはさまざまな手段があります。ここではアプローチ方法とその特徴について見ていきましょう。

冊子や新聞、掲示板など紙媒体を配布する

紙媒体は配布ルートを構築することで、すべての社員に確実に届けられます。冊子タイプは一覧性があり、たくさんの情報を載せても見てもらいやすいため、じっくり読んでほしい記事などにも向いているでしょう。ほかにも、PCやスマートフォンを使わない社員にも情報共有できる、長期保存でき繰り返し読んでもらえるといったメリットがあります。

ただし、制作には手間とコストがかかり、情報にタイムラグが発生してしまうのがデメリットです。そこでニュースなどすぐに共有したい情報に関しては、速報性の高いWeb媒体と併用するケースも増えてきています。

イントラネット

イントラネットとは、社内専用に構築されたオンラインネットワークです。セキュリティ対策にも対応しているうえ、社内情報をタイムリーに発信できるため、外出先や移動中、在宅勤務中の社員にも安全に情報共有できます。また、イントラネットでは誰でも簡単に情報をアップロードできるため、紙媒体に比べて手間とコストがかからないのもメリットです。

注意点としては、アップロードするだけでは、読み飛ばされたり見たい情報しか見てもらえなかったりする可能性があることです。情報を確認してほしい人に再度メールを送る、目につきやすいようにレイアウトを工夫するなど、社員が情報にアクセスしやすい環境を整えましょう。

最近では、自社でシステム構築をしなくてもWeb上で社内への情報配信が簡単にできるツールが提供されているので、合わせて検討してみると良いでしょう。

イベントやセミナーを実施する

社内広報のひとつとして、イベントやセミナーの開催もあります。イベントやセミナーを使った社内広報のメリットは、直接相手の反応を見ることができるという点です。毎回決まったタイミングに開催することで、参加率アップにもつながります。

人数が多い企業になると、参加人数が限られ参加できない社員が出る場合があるでしょう。各部門のトップだけが集まるのではなく、若手や中堅社員がなるべく参加できるような形態にし、コミュニケーションを図れるようにすることが大切です。

社内報ツールを導入する

これまで本格的に社内報に取り組んでない場合、情報を発信する仕組みを作るのはコストや時間がかかります。一から社内報の仕組みを構築する前にWeb社内報ツールの利用を検討することもおすすめです。

NotePM(https://notepm.jp/)は、社内版ウィキペディアのように社員が様々な情報を書き込み、蓄積ができ、ファイルサーバーやチャットよりも検索機能に優れているため、知りたい情報や社員間のコミュニケーションが取れるツールで。さらにマニュアル、業務手順書、社内FAQ、議事録などのナレッジの管理や静止画だけではなく動画も共有することができます。様々なツールがありますので、自社にあったものを検討すると良いでしょうか。

動画配信を行う

動画を活用した社内広報は、テレワークが進んで人とのつながりが希薄になった現代、社員のモチベーションを上げるツールにもなるともいえます。また、動画であれば多くの情報量を可視的に伝えられ、声のトーンや場の雰囲気など、文字で伝えるよりも送り手の意図を「リアル(臨場感)」に正確な情報を伝えやすいのも特徴です。

社員が自発的に情報の書き込みや検索、閲覧した時の文章や写真では伝わりづらい内容を短時間で分かりやすく伝えることができます。特にマニュアルや業務手順書などの紙媒体では伝わらない、見られない情報のペーパーレス化とナレッジ共有の効率的な活用にも役立つため、社員のスキル向上やモチベーションも期待できます。

Video BRAIN(https://video-b.com/)は、動画の活用したことがない初心者でも「社内広報」「社員インタビュー」「業務マニュアル」といった2700以上の動画テンプレートが用意されており、パワポ感覚でお手持ちの素材やテロップやナレーション機能を利用するだけで簡単に動画制作と配信をすることができるツールです。制作した動画を社員間で共有できるURL発行や配信後にどのくらい見られているかの分析もできます。

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社内広報の成功事例3選

社内広報にはいくつかアプローチ方法があり、伝える情報もさまざまです。自社が抱える課題や現状に合わせて、目的・形態・使い方を考えることが大切でしょう。ここでは、社内広報の3社の成功事例を紹介します。

事例1.株式会社マクロミル

株式会社マクロミルでは、紙とイントラネットを活用した社内広報に取り組んでいます。もともと紙の社内広報で発行していましたが、人数や拠点が増えたことによって、2013年にWeb社内報を立ち上げました。「社内報アワード2019」では、グランプリを受賞しています。

紙社内報では、経営陣や社員の本音を聞き出した「リアル」を伝えていて、若手社員が自社について理解が深まるような内容です。Web版では、全社員に向けて最新情報を即座に伝えることを重視し、社内ニュースを毎日更新しています。ほかにも社員のモチベーションが上がるような新卒MVPの表彰など、豊富なコンテンツを用意。コンセプトを明確にして紙とWebを活用しています。

引用:マクロミルの社内報『ミルコミ』が、「社内報アワード2021」でゴールド賞を受賞(マクロミル 公式)

事例2.株式会社ニトリ

株式会社ニトリでは、1979年から冊子での社内報を発行しています。20ページの構成で毎月欠かさず発行され続けていますが、企画からライティングまでをほとんどが自社で行っているのが特徴です。自社の社員が書くからこそ、ほかの社員にも響くリアルなコンテンツで作られています。

株式会社ニトリの社内報では、トップが描く想いや企業の方向性を全ての社員と共有し、同社が目指すロマンを実現していこうという考えのもの成り立っています。社員が定期的に企業の方向性を知り、自分が目指す方向性も見つめなおすツールとして活用されているのです。現在の社内報では、社員が自立したキャリアを送るためのサポートや、社内コミュニケーションの活発化を強化した内容になっています。

引用:40年以上の歴史があるニトリの社内報─社内報制作も自前主義!従業員のキャリアを本気で応援(ニトリ 公式)

事例3.エン・ジャパン株式会社

エン・ジャパン株式会社では、社員だけでなく、その家族や友人にも見てもらえる社内広報を目指し、社外にも公開している社内広報になっています。ライターや社内広報担当者で構成するのではなく、社員一人ひとりが、ありのままの社内の様子や情報を発信しているのが特徴です。

社員がレポーターとなって、各部門の活動報告や社内ニュース、仕事のヒントなど、動画を交えて日々更新しています。社員の働く様子がよりリアルに伝わってくるWeb社内報になっているため、社内のコミュニケーションの円滑化だけでなく、アットホームな雰囲気を外部にも発信できる点が魅力です。社外にも発信することで、企業に興味を持った人が集まって、優秀な人材確保にもつなげられる事例といえるでしょう。

引用:最初の「50本」までは我慢。エン・ジャパンに学ぶWeb社内報・YouTube継続運用のカギ(SELECK)

まとめ

社内広報には、社内の情報共有を行うことで、社員のコミュニケーションやモチベーション向上を図り、組織全体を強化していく目的があります。紙媒体やイントラネットを含むWeb媒体・SNS・イベント・動画など、さまざまなアプローチ方法がありますが、それぞれの特徴を理解し、情報発信の目的や自社の課題に合わせて活用することが重要です。


 

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