2026/06/12

日鉄興和不動産株式会社

繰り返し見られる、好きな時間に確認できる。入居説明会の再設計。 

対面でのマンション入居説明会をオンデマンド動画配信へシフト。LIVIOがお客様との接点に込めたこだわり

日鉄興和不動産株式会社 住宅事業本部 販売統括部 販売企画グループ 兼 販売推進グループ 
チーフマネージャー 瀧川 様 

マンションの購入は、人生でそう何度も経験するものではありません。契約書類への署名、司法書士との登記手続き、引き渡し前の内覧会――初めての購入者にとっては、聞き慣れない専門用語が並ぶ複数の説明を、一度の対面説明で理解しきることは容易ではありません。 

日鉄興和不動産が展開する分譲マンションブランド「LIVIO」は、この「入居説明会」を根本から問い直しました。単なる対面からオンラインの代替ではなく、「情報を届ける」設計から「お客様が理解できる」設計へ。2026年1月に実施した初めてのオンデマンド配信型入居説明会では、お客様満足度は90%を超え、方向性の正しさを証明しています。 

デジタルとリアルを融合したまったく新しい体感型マンションギャラリー LIVIO Life Design! SALONにて、販売統括部で契約後のお客様対応全般を束ねる瀧川チーフマネージャーに、プロジェクトの経緯と、その先に見据えるお客様体験の構想を伺いました。 

契約後から引き渡しまでを支える仕事 

── まず、瀧川様の担当領域について教えてください。 

私たちのチームは、お客様が申し込み・契約されたあと、お引き渡しまでの全プロセスをサポートします。入居説明会の実施、必要書類の送付と記載説明、内覧会のご案内、残金請求書の発送、そしてお客様からの随時の問い合わせ対応と、業務は多岐にわたります。 

特にお引き渡し前は、お客様が初めて向き合う手続きの連続です。必要な情報を、正確に、わかりやすく届けることが、私たちの役割です。 

入居説明会を見直す必要があった

── 今回の取り組みの起点を教えてください。 

直接的なきっかけは、自社販売・引き渡し件数の増加見込みでした。今後、グループ全体での自社対応が拡大していく中で、従来どおりのマンパワー中心の対面運営の見直しを図る時期となっていました。限られた人員の中で、どうスケールさせるか。これは、取り組みの出発点にある課題意識でした。 

あわせて、LIVIOというブランドを育てていく上で、物件ごと・担当者ごとで説明品質を一定水準に保つことも重要なテーマでした。効率化と品質担保を同時に実現する方法を考えていたところに、DX活用という方向性が重なった形です。 

── お客様側の変化も影響しましたか。 

大きかったです。今は共働き世帯が住宅購入の主流になっています。以前は世帯主が単独名義でローンを組まれるケースが多かったのですが、今はご夫婦でペアローンを組まれる方がほとんどです。 

そうなると、「休日に二人の予定を合わせて会場に来てください」というお願いは、相当な負荷です。お客様にとっては、そのために有給を使うことさえ珍しくない。対面方式では、ご夫婦揃って休日の予定を調整した上で来場していただく必要があり、時間的拘束を避けられませんでした。それぞれが好きなタイミングで動画を見られる形への転換は、「タイムパフォーマンス」重視の時代において、お客様のニーズに応える上で自然な方向性でした。 

入居説明会は、情報量が多い 

── 入居説明会は、具体的にどのような内容を扱うのでしょうか。 

売主・管理会社・司法書士・引っ越し会社など、複数の関係者それぞれが、お引き渡しまでに必要な手続きや書類の書き方を説明します。引き渡しスケジュール、残金のお支払い内容、引き渡し会の案内、入居者向けウェブサービス「my LIVIO」の登録方法、登記に関する説明――内容は多岐にわたり、対面での入居説明会はまる1日かけて実施していました。 

マンション購入という経験は、多くの方にとって生涯で一度か二度のことです。そこに、複数の専門家がそれぞれの領域の情報を持ち寄ってくる。情報量の多さは構造的なものです。事前に資料をお送りしていても、当日までにすべて読み込んでいただくのはなかなか難しく、当日数時間の説明を聞いて一度で理解しきるには限界がありました。 

── その前提を崩すことが、今回の取り組みの本質だったわけですね。 

そうだと思っています。「オンライン化」という言葉を使っていますが、実態は対面を動画に置き換えただけではありません。「情報を届ける設計」から「お客様が自分のペースで理解できる設計」に変える、ということです。 

動画であれば、わからなかった箇所に戻れる。ご夫婦が別々の時間に見られる。深夜に見直すこともできる。「もう一度聞きたいけれど、聞き返せない」という対面特有のストレスがなくなる。この差は、特に初めてマンションを購入されるお客様には大きいと思います。 

現場の担当者が、自分たちで作り、更新できる

── Video BRAINを採用いただいた決め手は何だったのでしょうか。 

当初は制作会社への依頼も検討していましたが、試算してみるとかなり高額でした。10分程度の動画でも100万円前後という水準感で、それを複数本、しかも物件ごとに少しずつ内容を変えながら作るとなると、継続的な運用は現実的ではありませんでした。 

Video BRAINは内製することができ、サブスクリプションのように月額固定で利用できるため、継続的かつ経済的に動画を制作・運用していけると判断しました。物件ごとに内容を柔軟に変えながら、日々の業務の中で必要な説明動画を作り続けられることが、私たちには重要でした。 

── 運用面でも相性がよかったのでしょうか。 

そうですね。映像制作の専門知識がなくても、各担当者が自分たちで扱えることは大きかったです。現場で実務を担っている担当者だからこそわかる内容も多いですし、更新が必要になることもあります。そのたびに外部に頼らず、自分たちで改善しながら回していける。それが、継続的な品質向上につながると実感しています。 

伴走支援もサービス価値だった

── オープンエイトのサポート体制についてはいかがでしたか。 

非常に満足度は高かったです。新しい取り組みなので、最初はわからないことも多かったのですが、担当の方に相談するとすぐに解決策をご提案いただき、ストレスなく前に進めることができました。 

特によかったのは、プロジェクトマイルストーンの設定から進捗管理まで、同じゴールを見据えながら伴走していただけたことです。ツールを提供して終わりではなく、社内に定着するまで一緒に走り続けてくれる。ツールは入れただけでは使われません。その意味で、人的なサポートも含めてサービスの価値だと感じています。 

動画で「わかりやすさ」をつくる 

── 実際の動画制作で、最もこだわった点は何でしたか。 

一番意識していたのは、専門用語をいかにわかりやすい言葉に置き換えるかです。入居説明会には、抵当権、根抵当権、登記識別情報など、一般の方には馴染みのない言葉が必ず出てきます。対面の説明会では専門用語が多くなりがちで、初めて購入されるお客様が十分に理解しきれないまま手続きを進めてしまうことは、できる限り避けたいと考えていました。 

動画制作にあたっては、「この言葉は初めて聞いた人にどう聞こえるか」を常に意識しながら、表現を選び直しました。また、説明の順番も重要です。Aを理解してからでないとBが理解できない、という情報の依存関係を整理して、論理的な順序で組み立て直しました。単に資料を動画に置き換えるのではなく、どこでつまずきやすいか、どんな順番なら頭に入りやすいかを考えながら作る——資料を動画に変換する作業ではなく、コンテンツを再設計する作業でした。 

初回実施で、満足度90%超

── 初のオンデマンド配信型の入居説明会。反響はどうでしたか。 

お客様アンケートでは、全体満足度が90%以上と高い評価をいただきました。また「現在の方式(オンライン動画)での開催を希望する」という回答も80%を超えており、一度経験したお客様の大半が継続を望む形式になっていることも確認できました。 

社内では「初回にしては大成功」という嬉しい手応え。対面開催では避けられなかった関係者の休日出勤や会場設営の負担も、大幅に軽減され、これは今後、自社販売の物件数拡大を予定している当社において、大きな成果となりました。 

── 一方で、新たに見えてきた課題もあったと聞いています。 

あります。対面では担当者がその場で書類回収まで完結できましたが、オンラインでは視聴後の書類未回収が発生しやすい。内覧会に社員が出向き書類を受け取るなどの対応が発生するなど、今後における課題も確認しています。 

ただ、これは「オンライン化の失敗」ではなく、「オンライン化によって初めて顕在化した課題」だと捉えています。課題が明確になったことで、従前の紙ベースのオペレーションをどのように改善すれば良いかが検討のテーブルに乗った。これも成果のひとつだと思っています。 

次に見据えるのは、入居後のお客様接点

── 今後、この取り組みをどう広げていくお考えですか。 

入居説明会は、引き渡しまでの接点の一部に過ぎません。お客様との接点を時系列で見ると、契約後から引き渡し前、引き渡し直後、そして入居後の日常生活まで、それぞれの局面にコミュニケーションの機会があります。 

引き渡し前については、たとえば建設中の現場の様子を動画で届けることも考えられます。「自分の家がこういうふうに作られている」という情報を、これまで以上にオープンにしていくことは、お客様との信頼関係を深める上でも意味があると思っています。 

入居後に目を向けると、機械式駐車場の操作方法、共用部の予約の仕方、ゴミ置き場のルールといった、入居直後に頻繁に問い合わせが来る内容がある。こうした問い合わせは、現状では電話やメールで個別対応していますが、動画で分かりやすく説明できれば、お客様の自己解決率が上がり、サポートの質と効率が両立できます。「my LIVIO」を通じた入居後フォローの充実は、次のフェーズとして考えています。 

オンライン化の先にある、お客様体験の進化

── DXによるお客様体験の進化について、どのような考え方をお持ちですか。 

何でもデジタルに置き換えればよいとは思っていません。今回の入居説明会は、デジタル化によってお客様の利便性が明確に上がる領域でした。繰り返し見返せる、自分のペースで確認できる、という価値は、対面では提供できない。だからオンライン化した。 

一方で、たとえばお引き渡しの場でお客様を人の温度感でお迎えする瞬間は、デジタルでは代替できません。人が介在することで価値が高まる場面は必ずあります。デジタルと人のそれぞれの役割を意識しながら、組み合わせていくことが大切です。 

デジタルで効率化できた分だけ、担当者が人として向き合うべき場面に、より多くの時間とエネルギーを使える。デジタルにシフトすることでメリットを享受できる工程と、人が介在することで価値が高まる場面はそれぞれ異なります。オンラインとリアルを組み合わせながら、LIVIOとしてのお客様体験全体をさらに磨いていく——今回の取り組みは、その第一歩だったと思っています。 

日鉄興和不動産株式会社

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