現在の日本のインターネット利用率は89.8%(※1)。以前は紙媒体や、テレビなどマスメディアなどに頼りがちだった観光誘致は、ネットの普及にともない、ウェブサイトやSNSなどを利用して、各地方自治体が地元の魅力を発信する機会が増えました。なかでも、動画のPR効果は高いといわれており、さまざまな地方自治体や地方の企業が多くの動画を制作、観光PRに活用しています。この記事では、観光PRに動画を導入するメリットや費用、成功事例などをご紹介します。
※1)出典:総務省2019「通信利用動向調査」
目次
地方自治体が観光誘致に動画を導入するメリット
インターネットや、スマートフォンの普及にともない、今や多くの人が、情報収集にSNSや動画サービスを利用するようになりました。観光や旅行に行くときも、情報誌や旅行雑誌よりもインターネットで動画を見て、現地の雰囲気などの情報を得るようになってきています。
観光PRにおいては、文字情報だけでは伝えることが難しい観光名所の美しさも、静止画と合わせて動画なども入れることで、伝わる感動は変わります。ただ風景を固定アングルで見せるだけでなく、来ていただいた観光客に見せたいところを動画で再現することで、その興味を引き出すことができるでしょう。例えば紅葉の季節ならその全景だけでなく、木々の下の参道を歩いた雰囲気を見せたり、渓流下りなら客目線でみた渓流の雰囲気を映したりするなど、方法論はさまざまです。
また、イベントやお祭りなどのPRでは、動画で音声や人々の躍動感を伝えたほうがより強いインパクトを与えられ、名物料理なども、写真だけよりもしずる感を演出したり、試食でおいしさを伝えたりするのは動画のほうが効果的です。
文字で伝えるには何ページも必要で読み込むのに数分かかる魅力も、動画だと凝縮して数十秒で伝えられることも動画の特徴です。このように、多くの魅力をより具体的に、短い時間で伝えることができる動画コンテンツは、地域の魅力を伝えるのにとても適しているといわれているのです。
観光PR動画を成功させるポイント
では、より効果的な観光PR動画を作るためには、どのようなポイントがあるのでしょうか。
魅せるポイントはなるべく絞る
観光誘致を目的とする動画であれば、その誘致先の「どの魅力」を伝えるのかを絞ったほうがより効果的な動画を作成することができます。動画コンテンツは画像だけでなく、そこにナレーションや音楽、さらに文字情報も付け加えることができますが、あまりに多くの情報を一本の動画で伝えようとすると、視聴者を混乱させ、結局何が伝えたかったのかがわからない動画ができあがってしまう恐れがあります。
“風景の美しさ”“地元のグルメ”“有名なイベント・お祭り”“特産品”“伝統芸能”など、地元のどの部分にフォーカスをあてるのか。魅せるポイントはなるべく絞ることが重要です。
ひとつに絞り込むのができないという場合は、『風景編』『グルメ編』『〇〇お祭り編』など短い動画をシリーズ化したほうが、より顧客のニーズに合ったPRをすることができるでしょう。
「外」から見る
地元では、ごくごく普通のことでも、遠隔地の方から見れば普通でない、そのような地域の魅力を見逃さないよう、外部の意見を取り入れることも大切です。また、海外からの観光客を呼び込みたいなら、英語での制作はもちろん、日本人には当たり前に見えるものでも、海外の方から見て魅力となるような地元の特色などを盛り込む工夫が必要となります。
観光PRは、メインは地元の人々ではなく、他地域の方々に向けて発信するものです。そのためには、地元の関係者だけで作るのではなく、他県からのアドバイザーなどを入れるのもひとつの手かもしれません。
観光PR動画制作にかかる費用
自治体で制作する場合は、地域の税金を利用して制作することになるので、無駄な支出は避けたいものですが、その制作費用はピンキリです。
自治体の職員が手弁当で制作した場合は、1万円~30万円程度で制作できるものもありますが、外部の映像製作会社などを利用したり、地元出身のタレントを起用したり、また実写でなくアニメーション仕立てにするとなると、費用は100万円以上はかかり、なかには数千万円かかる場合もあります。
地元の風景や料理店、名所などを撮影してそれを見せる、というと簡単に思いますが、制作会社に頼んで撮影をしてもらう場合、一日に回れる箇所は限りがあり、その場所が増えれば増えるほど撮影にかかる日数も増えていき、費用もかさんでいきます。
また最近では、4K、8Kなど画質にこだわった撮影方法ももちろんあります。そのような機材の変更などを入れると価格はまた変わってきますので、外注する場合は事前に確認する必要があります。
そのほかにも例えばリポーターでタレントを起用したり、ナレーションに地元出身の著名人を使ったりするとまた費用は増えていきます。基本的に製作会社や動画制作業者が出している見積りは「純粋な撮影料金」「完成までにかかる基本費用」だけの場合が多いため、実際には+αの費用がかかると考えたほうがよいでしょう。
また、地元のキャラを使ったアニメーションなどを作ってみようとした場合、だいたい1秒につき一万円くらいかかると考えたほうが無難です。つまり15秒の動画を作成する場合、シンプルなものでもそれだけでプラス15万はかかります。
そのほかにも凝ったCGなども完全オリジナルを作ろうとすると、外部発注だと5万円~数十万円かかるということも覚えておくとよいでしょう。何を盛り込みたいのか、最終的にどのような仕上げにしたいのかで制作費用は大きく変わるので注意が必要です。
ただし、自分たちで撮影を行い、編集もすると、それら費用はぐっと抑えることができます。自治体や地元の人間たちの手だけで作る動画も、それ自体が話題になることもあります。もしも内製する場合は、ビデオブレインのような、これまで動画編集を手掛けたことが無い人でも簡単に編集ができるサービスを利用することで、費用を大幅に抑えることができるので検討してみてはいかがでしょうか。
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このeBookでわかること
・動画制作の費用に影響する制作工程について
・制作する動画の種類によってかかる費用の違い
・最適な動画制作をするために抑えるポイント
各自治体の観光PR動画成功事例
費用はかかる動画製作ですが、うまく作れば大きな効果が得られる場合があります。話題となった観光PR動画を少しご紹介しましょう。
東北6県(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)Autumn Colors in Tohoku, Japan 4K – 東北の秋
風景を魅せることにこだわった、観光動画のお手本ともいえる作品です。4Kで撮影されており、その映像美から国内だけでなく海外からのコメントも数多く寄せられています。四季折々のシリーズもあり、現在でも視聴数は伸びているようです。
大分県「シンフロ」シリーズ
大分県の有名な温泉とシンクロナイズドスイミングを融合させて観光名所を大々的に表現したPR動画です。かなり話題を集めて有名になったことから、動画はシリーズ化され、現在はコロナ禍を意識した「ウチフロ」という新作が公開中。製作費用は1千万円とかなりかけていますが、その効果は数十億円といわれています。
長野県小諸市「小諸がアツ・イー!」
実際に製作で使われた予算は1万円以下。低予算観光PRの決定版ともいえる作品です。自治体職員たちが工夫と努力で地元の魅力を伝えようとした動画で、その内容と低予算が話題となっただけでなく、動画を公開した翌年のふるさと納税が前年比4千万増となったことも大きな注目を集めました。ほかにもさまざまなワンテーマで地元の魅力を伝える、短い動画が配信され、人気を博しているそうです。
まとめ
たしかに費用をかければかけるほど、大々的で美しいPR動画は作れるかもしれません。しかし、話題となった動画のなかには、地元の人たちがアイデアや工夫を凝らし、自らの手で作り上げた動画も数多くあります。
観光PRで大切なのはアイデア。ビデオブレインなどの編集サービスを使えば、比較的低予算で地元の魅力を最も理解している自治体の方々や、地元の人々の手でクオリティの高い動画を作ることができます。ぜひ選択肢のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。
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