一般的に映画と呼ばれる長編作品と同じように、短編映画も芸術作品として国際短編映画祭といったイベントも開催させるほどの注目を浴びています。
インターネットでの動画配信が大々的に行われるようになり、企業でもショートムービーの活用が積極的に行われています。
ここでは、企業がブランディングに活用しているショートムービーである、「ブランデッドムービー」についてご紹介します。
目次
ショートムービーの一つ「ブランデッドムービー」とは?動画広告との違いは
世界中から注目を集める国際短編映画祭では、数多くのショートムービーがエントリーされます。
その中でも、注目を集めているのが「Branded Shorts」です。Branded Shortsとは、2016年から始まったショートフィルムの部門です。
このショートフィルムは、各企業が商品ではなく自社のブランドに着目し短編としてまとめたもので、作品が対象にしているのは、企業自体や企業が売り出す商品などのブランドです。
そして、このブランドイメージを確立させるために制作する短編動画をブランデッドムービーと呼び、企業が自分たちの顧客対象に向けてブランドのイメージやメッセージを表現します。
スマートフォンなどが広まり、インターネットを利用したマーケティングが盛んになってきたことで、SNSなどで拡散されることから多くの企業で動画広告を活用したアプローチが増えています。
同じ企業が発信する動画の中でも、商品の説明などに特化したものではなく、企業のブランディング向上に重きを置いた動画がブランデッドムービーです。
売り上げを直接的に増やすのではなく、ブランドイメージを向上させることで、間接的なファン層を増やすことを目的としています。
商品のコマーシャルを直接的に行っていませんので、顧客が動画で購買を考えることはありません。
見込み顧客は能動的に動画を視聴するのでストーリーに入り込んでいけます。
これにより視聴する見込み顧客がブランドに共感すれば、後に商品認知、購買といった直接的なプロモーションにつながる可能性もあります。
ブランデッドムービーが注目される理由とメリット
なぜ今ブランデッドムービーが注目されているのでしょうか。その理由とメリットについて紹介します。
ブランデッドムービーはストレスフリー
ブランデッドムービーが注目される理由の最も大きなものに、ストレスフリーがあります。
動画広告に接する機会を考えると、通常なにかしらの理由でサイトにアクセスしたり、動画を見ようと試みたり、SNSでのコミュニケーションをとろうとしたときに、動画広告を見ることになります。
ターゲティングはされていますので、まったく不要な動画が配信されるわけではありませんが、まさに今見るものかといえば必ずしもそうとは限りません。
動画広告は企業が企業の理由で発信されているものですので、見る側は当然のことながらストレスに感じることもあります。
最初の1回目は見たとしても、2回目以降に知っている動画であれば、スキップ機能で最後まで見ないようになるかもしれません。
こういったストレスをなくすのがブランデッドムービーです。
ちょっと気になるストーリーは、とりあえず見てみようかという気持ちにさせてくれます。
ブランデッドムービーは、短編のストーリーで企業を印象づけるものです。
ブランデッドムービーは自分から再生
ブランデッドムービーのメリットとして挙げられるものに見込み顧客の能動的な再生があります。
一般的な動画広告とは異なり、ブランデッドムービーは、見る側である顧客が自分から再生をします。
「見る」という行為が顧客の行動から始まりますので、最初の動画へのハードルは低く友好的にスタートします。視聴を途中でやめてしまうことも少なく最後までストーリーを楽しんでくれます。
また、ブランデッドムービーは、企業自体のメッセージや、その商品への思いといったものを伝えるであって、商品自体をアピールするものではありません。
ブランデッドムービーに共感した視聴者がなんとなくその企業イメージを好意的に受け取り、結果として商品を選ぶ際に気にしてしまうということになります。
能動的に何気なく見ることになるブランデッドムービーは、将来的な潜在顧客へメッセージを届けることができます。
効果的なブランデッドムービーの事例
実際にどのようにブランデッドムービーが活用されているかを見てみましょう。
日経DUAL
日経BP社はさまざまな分野の書籍や雑誌を出版しています。
それぞれの雑誌は読者ターゲットが決まっていてそのまま雑誌のコンセプトへとつながっています。
雑誌に記載されている記事は毎号異なりますので、雑誌を広告するのではなく、雑誌のコンセプトをアピールすることで、雑誌購入へとつなげることができます。
日経DUALは、共働きで子育てをしている世代をターゲットにした雑誌です。
そのため、ブランデッドムービーでは、子育てをしているは働く女性とそれを支える男性に着目したストーリーになっています。
どのような問題を解決しようとする雑誌であるのかのメディアメッセージを、ブランデッドムービーではっきりと表現しています。
フィリップス
総合電機メーカーで世界展開をしているフィリップスは、近未来のストーリーでブランデッドムービーを組み立てています。
サスペンスや謎解きゲームのような展開は、つい見入ってしまいます。
最先端の製品を出し続ける電機メーカーであることが、このストーリーの根幹にありますので、商品を買いに行った際に、ついメーカー名を見てしまいます。
参照:CGI & VFX Short Films : “The Gift” – by BLR VFX | TheCGBros
ソフトバンク
「社会を、まるごと良くしていこう。」
というコンセプトを元に デジタルの力で理想の社会づくりを実現していくという、 新たなビジョンの強い意志が込められています。
参照:https://www.softbank.jp/sbnews/entry/20210708_01
佐賀県上峰町
「あたらしいふるさと」をテーマに長すぎず、短すぎない感動的な演出に仕上がっています。
新しい町
新しい友達
少し慣れなかった私を 助けてくれたのは小さなヒーローでした
佐賀県上峰町に引っ越してきた親子の 心温まるストーリー
その後にふるさと納税の活用について解説しており、興味を持ってもらえた人に納税を促す自然な内容になっています。
facebook上やtwitterでも投稿するなど、より上峰町の魅力を知ってもらえるように配信面でも工夫されています。
参照:https://www.facebook.com/107008270785453/posts/168326704653609/
まとめ
ブランデッドムービーは、さまざまなタッチポイントを提供します。
自分から「再生」を押してもらうことで、メッセージ性の高いストーリーを飽きさせることなく見せることができます。
面白いから見る、楽しいから見続けるというちょっとした飽きさせない工夫や感動を促すような構成がブランデッドムービーの制作の際には必要になります。
広告のような一方的な訴求ではなく、しっかりとしたコンセプトと顧客像をイメージした上でさりげなく潜在的なユーザーに情報を届けるという観点で制作すると良いでしょう。
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