スマートフォンやSNSの普及により、いつでも好きなときに動画を視聴できる時代となっています。
企業による動画活用は、今後ますます勢いを増していくでしょう。
多くの企業がこぞって動画制作に取り組む中、どんな点を意識すれば、ユーザーの興味を引くことができるのでしょうか。
ユーザーが動画に興味を持つポイントは、「ストーリー性」です。
この記事では、動画制作にストーリーが重要な理由やストーリー作りのポイントについて説明します。
目次
なぜ今「ストーリー性」が重視されるのか
動画投稿サイトには日々数えきれないほどの動画がアップされ、ウェブサイトを開けば、さまざまな動画広告が目に飛び込んできます。
いわゆる「動画コンテンツ」は、私たちの身の回りに溢れかえっており、すでに飽和状態です。
そのため、単に商品の特徴や性能を一方的に訴求するだけでは、他社との差別化を図ることが困難となっています。コンテンツ飽和状態の現代において、重視されているのが「モノではなくコトにフォーカスする」という考え方です。
「コト」とは、商品を通じて、顧客に提供できる「体験価値」です。
車の販売を例に挙げると、機能や品質だけを宣伝するのではなく、家族全員で旅行が楽しめるようになるなど、顧客のライフスタイルの価値を高める提案を行います。
動画制作においては、自社の商品を購入してもらうことで、具体的にどのような価値を提供できるかを「ストーリー」として見せることが大事です。顧客視点で商品の魅力を訴求でき、購入の疑似体験もさせられます。
加えて、「コト」は「モノ」のように消費されません。視聴者の心に残りやすく、商品の認知度アップにもつながります。自社独自の魅力をストーリーに集約することで、他社との競争で優位に立つことも可能です。
では、具体的にどうすれば動画にストーリー性を持たせられるのでしょうか。必要な準備と進め方について、説明していきます。
プロットとは
ストーリー作りにおいて欠かせないのが「プロット」です。プロットとは、ストーリーの大まかな筋書きのことです。小説や映画を制作する際にも、まずプロットを作成します。
動画制作においても、軸となるプロットがしっかりしていないと、その後の展開やキャラクター設定、演出の方向性が定まらず、肝心のメッセージがぼやけてしまいます。
人間の主人公を登場させる動画制作のプロットであれば、主人公が「いつ」「どこで」「誰と」「何を」する話なのか、ストーリーの核となる部分を決めましょう。
動画を視聴してもらいたいターゲットの価値観や関心事を分析し、共感しやすい世界観を設定することが大事です。
次に、主人公が「なぜ」その行動を選択するのか、という動機を考えましょう。
プロットができたら、社外の第三者も含めて全員で確認し、納得いくまでブラッシュアップすることをおすすめします。プロットの完成に労力がかかっても、その後の作業効率は高まるので、トータルの制作時間は短縮できるはずです。
また、仕上がりのクオリティも洗練されます。
ストーリーを組み立てるときのポイント
プロットを決めたら、そこからストーリー全体の流れを作っていきます。
ユーザーの興味を引くストーリー展開にするためには、次の5つのポイントを意識しましょう。
冒頭部分で引き込む
視聴者は数多くの動画の中から、興味が持てそうなものを直感的に取捨選択しています。
そのため、冒頭でつまらないと判断されると、すぐに別の動画に切り替えられてしまいます。
最後まで視聴してもらうためには、「いつ」「どこで」「誰が」をできるだけ早い段階で明確にし、視聴者を一秒でも早く、動画の世界観に引き込むことが大事です。
先に結末を決める
ストーリー作りにおいて、もっとも重要なのは終わり方です。
動画を視聴した後、視聴者にどんな感情を持ってもらいたいのか、そのためには主人公が最終的に何を達成すべきか、ふさわしい結末を先に決めておきましょう。
企業や商品に対する好意度を上げるためには、主人公の動機や行動に共感してもらう必要があります。
意外性のある結末も、視聴者の心に余韻を残すでしょう。結末を決めたら、そこに至るまでの展開や葛藤を逆算で考えていきます。
課題を設定する
主人公にあっさり目標達成されてしまっては、話が盛り上がりません。
視聴者を飽きさせないためにも、クライマックスまでの道筋に何かしらの課題を設定し、メリハリを持たせましょう。
自社の商品やサービスによって課題解決できるという構成が理想的です。
ただし、あまりにも不自然な展開では、視聴者が白けてしまうので匙加減も大事です。
主人公が課題を解決するまでの展開・葛藤が深ければ深いほど、視聴者の心に残ります。
キャッチコピーを生かす
新商品のPR動画などを制作する場合は、すでに決まっているキャッチコピーをストーリー作りに生かしてみるのも一つの手です。
キャッチコピーには、商品独自の魅力や特徴が凝縮されています。ストーリー展開を考えていく途中で、オリジナリティのあるアイデアが生まれるかもしれません。
文字では伝えきれない、顧客への「体験価値」というエモーショナルな要素も、動画であれば訴求できます。
時系列で作る
内容に集中してもらうためにも、シンプルで分かりやすい展開を心がけましょう。
基本的に時系列に沿った作りにして、視聴者を混乱させないようにすることが大事です。
長編のミステリー小説であれば、いきなり結末から始めるなど、時系列を入れ替えて読み手の好奇心をかき立てる場合もあるでしょう。
しかし、動画の場合は勝負できる時間が短いため、複雑で理解しづらい構成は得策とはいえません。
ストーリー性のある動画は心に届く
一方的に企業の伝えたことを詰め込んだだけの動画では、現代の視聴者の心には刺さりません。
動画制作では、企業目線の「モノ」の価値ではなく、顧客視点の「コト」の価値にフォーカスすることが大事です。顧客に共感してもらえるプロットを作成し、最後まで飽きさせないストーリー展開を工夫しましょう。
親和性の高いストーリーで視聴者の共感を得られると、それだけ消費行動を促しやすくなります。
「コト」の価値を選択軸にして商品を購入してくれた顧客は、リピーターになってくれる可能性も高いはずです。
加えて、動画はSNSとの相性も抜群です。多くの共感を集めた動画は、SNS上で拡散されやすいでしょう。
考え抜かれた良質な動画コンテンツによって、一気に商品の知名度を上げることも可能です。
まとめ
動画制作にストーリー性について考えるとき、まずは視聴者目線で他社の事例を参考にしてみることをおすすめします。優れたストーリーをたくさん見て知見をため、とにかく実際に手を動かしてプロットを書いてみることが大事です。
自社の商品にしかない魅力や特徴を「オリジナルのストーリー」という形に仕上げてみましょう。
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