働き方改革や感染症対策などの影響で在宅勤務が普及した昨今では、面と向かって研修を行う機会が減少しました。
オンライン環境で研修を行う機会が増えていることから、研修用の動画の需要が増加しています。しかし、研修動画の作り方が分からないという企業担当者もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、研修動画を制作する際の流れやコツについてご紹介します。研修動画のメリットや、最大化するポイントが分かるようになる内容です。
目次
研修動画とは?
研修というと、受講者の前に講師が立って講習を行う光景を想像する方が多いのではないでしょうか。しかし、在宅ワークの普及や新型コロナウイルスによる出社が規制などの影響から、実際に人が集まって研修を行うのが難しい状況が増えています。
近年ビジネスシーンでは研修用の教材に動画を利用する企業が増えており、社員教育には動画が効果的という意見も一般的になりました。受講者は各々のペースに合わせて効率よく教育を受けられることから、有効な学習手段として広まっています。
研修動画の代表的な形式は3種類
研修に用いる動画はいくつかの形式があり、大別して3種類に分けられます。研修動画を有効活用するには、どのような種類があり、それぞれどのような特徴があるのは把握しておくことも大切です。ここでは、研修動画でよく用いられる3種の形式について解説します。
1.セミナー形式
セミナー形式は、講師が複数人の受講生相手に講義を行うタイプです。講義タイプの研修を撮影し、見やすく編集してから研修教材として使用します。受講生が理解しやすいように、テーマごとに分けて作成するのが一般的です。
セミナー形式の動画は定期的に行う研修に向いており、新人用の研修やマナー研修などによく用いられます。社員全体が共通の動画教材で学習すれば、講師の力量の影響を受けずに均質化された教育を受けられるでしょう。
2.マニュアル形式
業務に必要な知識を解説するマニュアル形式の動画もよく用いられます。音や動きを交えて説明できるのが動画の大きなメリットのひとつです。動画なら文字や画像だけでは伝わりにくい内容も具体的に解説できるため、紙のマニュアルよりも実用性の高い研修を行えます。
実際の業務の様子を自分の目や耳で確認できるのでイメージしやすいメリットがあり、接客やクレーム対応の教育に効果的です。基礎から一歩進んだ実践的な研修で重宝するでしょう。
3.ドラマ形式
ストーリー性を付与したドラマ形式の研修は、受講者が飽きにくく内容に入り込みやすいメリットがあります。登場人物の立場から心理的な内容も伝えられる長所があり、企業理念などを周知したいケースで効果的です。
社員の働く様子やインタビューを撮影したドキュメンタリータイプの研修動画も見られます。自分に近い立場の人の実体験や考えを知る機会になり、帰属意識や組織コミットメントを育むのに有効です。
研修動画制作の流れ
いざ研修動画を作ろうとしても、動画制作の全体の流れは分かりにくいものです。あらかじめ流れを把握しておけば準備もしやすく、スムーズに制作に取り掛かれます。肝心な時に困らずに済むように、研修動画制作の一連の流れを確認しておきましょう。
1.カリキュラム・構想を企画
まずはどのような用途の動画にするのか検討し、カリキュラムの企画書を作成します。研修の内容をなるべく細分化し、作成する動画をリストにまとめましょう。続いてテーマごとに研修の内容を整理し、伝えるべき内容を設定します。
ここで設定する内容は研修のフォーマンスに大きく影響するので、動画度ごとのコンセプトを明確にしたうえで伝えたい内容を絞りましょう。
2.絵コンテ作成
絵コンテは動画の設計図にあたり、カットがどのような意味をもつのか説明するものです。研修動画は多くの人で協力して制作することがほとんどなので、製作メンバー間でカットの意図や全体のイメージを共有するために絵コンテを作成する必要があります。
絵コンテは簡単な絵とテキストで構成されており、映像のイメージを絵で視覚化して文字で補足するのが基本です。そのシーンにどの程度時間を使うのかなども記入し、動画全体の流れを共有しましょう。
3.台本作成
作成した企画書と絵コンテを基に動画の台本を作成します。絵コンテでは動画のざっくりとしたイメージや流れを書き起こしましたが、台本ではさらに具体的に内容を詰めていきましょう。
台本なしでいきなり撮影すると、必要な素材が足りないことが判明して後日撮り直しになるといったリスクが発生する可能性があります。短時間の動画であっても、台本はきちんと用意しましょう。台本ではカットに沿って表示する画像やテロップ、ナレーションのセリフなどを決めていきます。
4.撮影準備
実際に撮影する前に、撮影場所の確保や必要な道具の準備が必要です。出演者のスケジュール調整や撮影当日のスケジューリング、移動が必要な場合は交通手段の確保などの段取りも整えておきます。
撮影に必要な機材はリストを作成し、当日までに用意を済ませておかなければいけません。カメラのバッテリーの予備やストレージの容量なども事前に確認し、スムーズに撮影に入れるように準備を整えておきましょう。
5.撮影
台本を基に実際に映像や音声の収録を行います。人がカメラに向いて説明するカットでは照明やマイクのセッティングが必要なので、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。
マニュアル形式の動画を撮影する場合は、複数のカメラで異なるアングルから撮影しておくことも大切です。豊富な映像パターンを用意しておけば素材が増えてクオリティの高い編集を行うことができ、ひいては動画全体の完成度に影響します。
6.ナレーション収録
ナレーションを入れる場合は撮影とは別に音声収録を行います。動画全体の案内や、映像だけでは分かりにくい部分に補足説明を入れるのがナレーションの主な役割です。音声で説明があったほうが分かりやすいので、ナレーションはなるべく入れたほうが良いでしょう。
ナレーターには収録の前に原稿を渡しておき、実際に収録する前に内容を確認してもらうことも大事です。原稿を読む速度やリズムを事前に話し合っておきましょう。ナレーターの体調によっては声の調子が変わってしまうこともあるので、収録は可能な限り1日で済ませるのが理想です。
7.編集
収録した映像や音声を使って編集を行います。絵コンテを参考にしてイメージ通りの動画になるように、素材を切り貼りしたり音楽と文字を挿入したりする作業です。研修動画は事務的な説明が多く、ただ説明が続くだけの内容では冗長な内容になってしまいます。受講者が飽きないように、映像にメリハリを持たせるといった工夫も必要です。
ひとりで編集を行うと内容が偏っていても気付きにくいため、他のメンバーにチェックしてもらうことも心掛けましょう。複数の視点から内容を確認することで、不自然なところや分かりにくいところの洗い出しができます。
研修動画を導入するメリット
動画で研修を行うことでどのようなメリットがあるのでしょうか。実際に向かい合って研修を行う場合とどのような違いがあるのか分からなければ導入に踏み切れない担当者も多いでしょう。研修動画を導入する4つのメリットを紹介します。
学習効果が高い
動画は文字や画像で構成される資料よりも情報量が多く内容を理解しやすいため、優れた学習効果を発揮します。実際の様子を動きで確認できるので、言葉や静止画像だけでは伝わりにくい細かなニュアンスも伝えられるのがメリットです。
テキストで学習するには、受講者が自分から文章を読み込んで図などを確認する必要があります。動画は気軽に見られるので心理的なハードルが低く、苦手意識を与えずにスムーズに学習に取り掛かれる点も利点です。
講師の負担軽減
講習は定期的に行うケースも多く、開催するたびに講師に負担を掛けることになります。社員が講師を担当する場合は準備や実施にリソースが割かれて通常業務に悪影響がある場合もあるでしょう。外部から招いている場合は実施のたびに費用が発生します。
一度動画化しておけば、講師にリソースを割かずに何度でも同じ内容の研修を行えます。動画なら研修内容に違いが出ることもないので、等質の教育を施せるのも長所です。
何度も復習できる
対面の研修の場合、もう一度話を聞きたいときは同じ内容の研修を受講する必要がありますが、動画なら何度でも復習できます。復習したい1部分だけを見返すこともできるので、無駄なく効率的に学習が可能です。
研修では講師の言葉を聞き逃すことや、同じ研修を受けていても受講者によって理解度に差が出たりすることは珍しくありません。復習が容易な動画なら、理解度の差を埋めて均質的な教育を施せます。
場所や時間に左右されず受講できる
講師と受講者が一堂に会さなければ開催できない対面の研修とは異なり、動画なら場所や時間に左右されずにフレキシブルに受講できます。動画はPCやスマートフォンさえあれば視聴できるので、ちょっとした隙間時間を活用して都合がよいタイミングで学習可能です。
講師と受講者のスケジュール調整や会場の確保も必要ないので、企業にとっても手間やコストを大幅に軽減できるメリットがあります。
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効果的な研修動画を制作する3つのポイント
研修動画の目的は社員に良質な教育を施すことにあり、内容にも気を配る必要があります。ここでは、効果的な学習効果を持つ動画を作成するポイントを3つ解説します。これから研修動画を作成する担当者は、ぜひ参考にしてみてください。
「自分ごと化」を意識する
研修動画の効果を最大化するには、受講者に動画の内容を「自分ごと化」させる内容にすることが大切です。動画の内容に当事者意識を持って向き合ってもらうことで危機感と向上心を醸成し、学習の定着率を高める効果が期待できます。
運転免許の講習会では、事故を起こした側の映像を流してこれからドライバーになる受講者の危機意識を高めるために活用しています。これらを参考にして、受講者の意識を高めるリアリティのあるシーンを挿入しましょう。
根拠を提示する
研修動画を視聴する方は業務内容や業界のマナーに詳しくない場合が多いため、ただ事実のみを述べても身に付かない場合があります。うわべだけの知識にならないように、受講者が納得して理解するための根拠も示すことが大切です。
「なぜそうなるのか」を理解していれば、自分で考えて次の行動につなげることもできるようになるでしょう。知識を伝えるだけでなく、応用力や思考力を養うことも研修を実施する大きな目的のひとつです。
分かりやすい編集を心掛ける
動画の分かりやすさは編集の内容によって大きく変わります。映像や資料といった素材が良くても、編集がうまくいかないと見にくくて分かりにくい動画になってしまうので注意が必要です。
冗長な部分はカットして適宜テロップを入れるといった、分かりやすさを意識した編集を心掛けましょう。動画の尺や演出の使い方を意識して、飽きのこない内容にすることも大事です。
エフェクティブな編集を行うには編集ソフト選びが大切
学習効果が高い効果的な研修動画を作成するには、編集ソフト選びも配慮する必要があります。編集の経験が少ない方や未経験者でも扱えるように、初心者向けの機能が充実しているソフトがおすすめです。
初心者でも扱い易いソフトの特徴
・少ない手順で編集を行える
・操作方法が簡単で分かりやすい
・動画自動生成機能がある
・素材を豊富に内蔵している
・デザインフォーマットが充実していてユニークな編集ができる
・素材の管理がしやすく直感的に作業できる
まとめ
研修動画には学習効果の高さや企業の負担軽減、いつでも受講できるといったメリットがあり、さまざまな企業が導入しています。動画制作の流れや制作のポイントを把握して、質の高い研修動画を作成することを目指しましょう。
効果的な研修動画を作成したいなら、編集ソフト選びにも気を配る必要があります。機能が充実していて初心者でも扱いやすいソフトを導入しましょう。
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