現在、新型コロナウィルスの影響でリード獲得に効果的だった対面でのセミナーやイベントの開催が困難な状況です。これを機に、対面のセミナーから動画形式に移行する企業が増えています。
そこでこの記事では、セミナーを動画形式で配信する方法を解説します。セミナーを動画化する道筋がわかり、スムーズに移行できるようになる内容です。
目次
セミナーを動画形式で配信する手順を解説
動画配信はオンライン上で行うため、リアルで対面するセミナーを開催する場合とは異なるアプローチが必要です。ここでは、セミナーを動画化するにあたって知っておくべきことや検討するべきことにも触れながら、配信するための手順を紹介していきます。
手順1.企画
動画コンテンツは今まで培ってきたセミナーの内容で問題ありませんが、より良い動画とするためにもビジネスゴールとターゲット層を言語化しましょう。言語化することで動画時間や配信プラットフォームの選定といった項目をスムーズに決められます。
動画撮影や、ひいてはウェビナー成功の基礎となる部分なので、次の段階に進む前にゴールとターゲットを明確にしてチームで共有しておきましょう。
手順2.配信スタイルの検討
セミナー動画の配信スタイルは、大別してオンデマンド配信、完全ライブ配信、擬似ライブ配信の3種類です。それぞれの概要をメリットとデメリットを含めて紹介します。
完全ライブ配信
概要 | セミナーを生放送で配信するスタイル |
メリット | 臨場感があり、視聴者のリアクションに応じて内容を変えられる |
デメリット | 日時が限定されるため視聴者の負担がある。やり直しがきかない |
オンデマンド配信
概要 | 収録したセミナー動画を配信するスタイル |
メリット | 動画は編集できるためクオリティを上げられる。準備時間を確保できるためリスクマネジメントができる |
デメリット | 動画作成には費用も時間もかかる。臨機応変に対応できない |
疑似ライブ配信
概要 | 完全ライブとオンデマンド配信の長所を合わせた配信で、セミナー自体は動画で行い質疑応答やチャットは生放送で行うスタイル |
メリット | 生放送のリスクを排除しつつ、視聴者のリアクションに応じて補足や質疑応答を行える |
デメリット | 完全ライブ配信ほど柔軟な対応はできない |
手順3.配信環境の決定
どのような環境で配信するかを決める段階です。配信環境はオープン環境とクローズド環境があります。
・オープン環境
人数や料金などの条件をつけずに誰でも視聴できる環境で配信します。とにかく多くの人に見てもらいたい場合はオープン環境で配信すると良いでしょう。
・クローズド環境
オープン環境とは対称的に条件を設定して配信する環境を指します。有料にしたい場合や人数を限定してセミナーに付加価値をつけたい場合はクローズド環境を選択しましょう。
手順4.配信プラットフォームの選定
配信プラットフォームにはそれぞれ特徴や長所・短所があります。チャットの有無、視聴定員、利用料金などはあらかじめチェックが必要です。
加えてプラットフォームの視聴者の男女比や年齢層の傾向などをチェックしておくと、よりビジネスゴールに直結したセミナーを開催できます。プラットフォームは自社のセミナーの条件や方向性を総合的に判断して選ぶことが重要です。
手順5.セミナーの収録
セミナー動画を収録する際は以下のような機材が必要です。社内で準備できない場合はレンタルも視野に入れましょう。
・カメラ
どの程度の性能のカメラを用意するかは予算と相談して決めましょう。ウェビナーは他の作業をしながら聞く人も多いので、どちらかと言えばカメラ映像よりも音声を重視する傾向があります。
・マイク
話の内容聞き取りづらいと途中離脱に直結します。単一指向性マイクで雑音を防ぎつつ、「聞こえる」ではなく「聞きやすい」音質を提供できるように心掛けましょう。
・脚立
座っている人の頭がカメラに映りこまない程度の高さは必要です。
機材のほかに、機材を扱うカメラマンや照明係などの人員も必要です。社内に機材の知識がある人材がいなければプロに依頼することも検討しましょう。
手順6.動画編集
オンデマンド配信や疑似ライブ配信では、撮影した動画を編集して配信できます。字幕を入れて補足を入れたり、トリミングで不要な場面を取り除いたりと、編集内容はさまざまです。
編集で動画のクオリティが上がり視聴者の理解度が深まれば、視聴後に得られるアクションもより大きくなります。訴求力のある編集を心掛ければ、ビジネスゴール達成に大きく近づくでしょう。
手順7.動画配信
完全ライブ配信の場合は、カメラやマイクの位置、セミナー内容に不備がないか、時間配分は問題ないかなど、事前にチェックできることは全てしておきましょう。疑似ライブ配信の場合も、チャットの使い方などを事前に理解しておくことでトラブルを防止できます。
配信で大事なことは準備した予定を滞りなく進めることです。いくら動画のクオリティが高くても、配信で不手際があると視聴者の不安の種になり、視聴者のネクストアクションに悪影響を及ぼします。準備やリハーサルを十分に行って本番に備えましょう。
手順8 効果分析
ウェビナーの長所のひとつにさまざまなデータを得られる点があります。視聴数や離脱率、視聴層、チャットのコメント数などのデータは今後のセミナーの内容や構成の改善に役立つ貴重な情報です。
動画投稿や開催の数が増えればデータの精度向上が期待できます。セミナーだけでなく、マーケティング戦略全般でデータを有効活用しましょう。
セミナーを動画形式で配信する5つのメリット
セミナーを動画配信するためにはコストやある程度の時間がかかります。「リスクとコストをかけてまで、これまでの方法を変えて配信形式にする必要があるのだろうか……」と疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは配信形式を導入するメリットを解説します。
コスト削減
対面で行うセミナーは会場費や人件費、設備費が必要で、規模に比例して発生する費用も大きくなります。ウェビナーは動画撮影に費用がかかりますが、以降にかかる費用はチャット管理やプラットフォームの利用料程度で、対面方式に比べると費用は抑えられるのがメリットです。
ウェビナーは集客が思い通りにいかなかった時のリスクヘッジにもなり、費用面の負担や不安の軽減に貢献します。
環境の影響を受けない
配信はオンライン上で行うため、当日の天候や交通状況の影響を受けずに開催できます。中でも特に恩恵が大きいのが、距離の影響を受けないため視聴者がどこにいても参加できることです。配信であればインターネットが繋がっている世界中の人々を対象に開催できます。
物理的に接触する心配がないため、感染症対策としても効果的です。イベントを開催しにくい環境でも安定して実施できる点も大きなメリットと言えます。
インタラクティブコミュニケーションの増加
対面方式のセミナーでは規模が大きくなるほど主催者・講師と受講者の交流が難しくなり、コミュニケーションが一方的になりがちです。主催側からすれば大規模なセミナーはスケジュール管理が大変になり、視聴者は大勢の人前で話さなくてはならなくなるためです。
配信形式であればチャットでの発言になるので視聴者は気軽に発信でき、主催側はコメントが多く寄せられた場面や質問に反応することで活発なコミュニケーションとスムーズな進行を両立できます。
開催負担の軽減
対面方式では会場の確保や受講者への対応、アンケートの実施といった人手を必要とする場面が多くあります。配信化すればこれらの多くを省くことができ、人件費の削減や時間の有効利用が可能です。
ウェビナーは対面方式で必要だった多くを省略できることから開催のハードルが低く、開催頻度を高められる効果もあります。少人数で開催できるため、規模が小さい企業も開催しやすくなるでしょう。
再利用が可能
一度動画を収録してしまえば、その動画を再利用して雪だるま式に価値を生み出せます。例えば、動画を分割してウェビナーの宣伝動画に組み込む方法や、スクリプトをテキスト化してブログやSNSの活性化につなげる方法も可能です。
撮影した動画は企業の立派な資産になります。リード獲得や企業ブランディングなどで有効に活用しましょう。
セミナー動画の種類
セミナー動画は大別すると、ルバージョン動画、ダイジェストバージョン動画、セミナーブランディング動画の3つに分類できます。それぞれにどのような特徴があるのか把握して、用途に合わせて効果的に使い分けましょう。
フルバージョン動画
講師の映像とセミナーで使った資料をひとつにした動画です。講師が話した内容やセミナーの流れを完全に把握できますが、長時間の動画になるので離脱率も高くなる傾向があります。
途中離脱を防ぐには、内容やテーマごとに区切るといった、視聴者が見やすくする配慮が必要です。セミナーを全て見たいという視聴者はリード獲得の観点から重要な存在になるので、見やすさを意識して丁寧に編集を行いましょう。
ダイジェストバージョン動画
セミナーの要点をまとめてダイジェストにした動画です。動画を短くまとめることで途中離脱を防ぎ、セミナーに興味があっても時間がとれない方を取り込むことを目的としています。
動画の時間が3分以上になると離脱率が上がると言われているため、動画の時間は3分以内に抑えることを意識しましょう。セミナーの大部分をカットすることになりますが、多くの人に見てもらうために必要な工夫です。
セミナーブランディング動画
セミナーブランディング動画は内容を知ってもらうためではなく、セミナーの流れや雰囲気を知ってもらうための動画です。1分程度の尺に講師の熱量や受講者の様子を収めて、セミナーに興味を持ってもらうきっかけを作りましょう。
WebサイトやSNSなどの多くの方の目に触れる媒体に組み込むことで、自社を周知させて注目してもらえる効果が期待できます。
セミナー動画を作成する際の5つのポイント
セミナー動画は視聴の入り口が広い分出口も広く、対面のセミナーと比べて離脱率が高い傾向があります。「セミナー動画が全体のどの程度視聴されたか」というデータでは60%程度に止まっており、対面式では考え難い数字です。
しかしこの数字はあくまで平均であり、中には高い数字をもつ動画もあります。ここでは、離脱率の低い動画が押さえている5つのポイントを紹介します。
動画の目的を明確にする
対象と目的を明確にしなければセミナーを有効活用することは難しくなります。ターゲット層がセミナーのテーマにある程度の知識があるのであれば専門用語を交えながら踏み込んだ内容にする、自社やテーマへの知識がない潜在客であれば動画の時間は短めにして簡潔にまとめる、といった工夫が必要です。
セミナーの役割は対象をビジネスゴールという目的地に誘導することです。どのような人をどこへ連れていくかを意識してセミナーを組み立てましょう。
テンポよく見られるように編集する
動画形式は動画の編集ができることも大きな強みです。講師の工夫や熱量も大事ですが、編集をすれば講師の良さを際立たせて足りない情報を補うこともできます。
動画形式には離脱率が高いというデメリットがありますが、編集を活用すれば離脱率を抑えることも可能です。冗長な場面をトリミングしたり、場面転換でエフェクトを入れたりすることでテンポのよい動画に仕上げることができるので、編集は時間を惜しまず丁寧に行うことをおすすめします。
字幕や資料を挿入して情報を補完する
テンポを調整と併せて行いたいのが、内容を補足する編集です。字幕を入れてテキスト化することで視聴者の理解の助けになり、色を変えて強調すれば知識の整理にも役立ちます。
表や図を挿入すれば、より理解を深める手段として役立ちます。数字の羅列や言葉だけではスムーズに頭に入ってこない内容も、グラフや図で視覚的に補完すれば整理の手助けになるでしょう。
音声のクオリティを重視する
セミナー動画は他の作業と並行して聞きたい視聴者も多くいます。映像を見ずに音声だけを聞いている視聴者にとって、音声はセミナーそのものです。講師の音声が聞き取りにくく内容を把握できないと判断すれば、早々に離脱してしまうでしょう。映像を見ている視聴者にとっても、低品質の音声は理解の妨げになります。
離脱率を抑えるためにも使用するマイクの種類や品質をよく検討し、音質テストも入念に行いましょう。聞きやすいように編集で音量を整えるといった工夫も大切です。
自社のコンテンツ訴求につなげる
セミナー動画を作成する際は、視聴者のセミナー後のアクションを意識するのがポイントです。セミナーはリードや潜在客を自社コンテンツへ導くマーケティングの一環であることを意識して、本来の目的を忘れずに一連の行動を構想しましょう。
動画を配信して終わりではなく、資料の配布や面談、販売誘導などを行いコンテンツの訴求につなげることが大事です。
セミナー動画を作成するときは編集ソフト選びも重要
一度作成した動画は編集を行うことで様々な形でマーケティング戦略に役立てられます。ひとくちに編集と言っても多くの種類や方法があり、動画の用途によって使い分けることで用途に沿った動画に仕上げることが可能です。
動画形式では編集ソフトの性能と編集の良し悪しがそのまま自社のコンテンツへの訴求力へ直結します。用途に適した動画に仕上げるためにも、編集ソフト選びは慎重に行いましょう。編集ソフト選びに迷ったときは、以下の特徴を備えたソフトを選ぶのがおすすめです。
・多機能で編集の自由度が高い
・デザインテンプレートやフォントが豊富
・AIのサポートで簡単に動画を作成できる
・UIがシンプルで初心者でも扱いやすい
まとめ
現在新型コロナウィルスの影響もあって、オンライン上でのマーケティングが注目されています。セミナーも影響を受けており、対面形式から配信や動画へ移行する動きが活発です。オンライン環境ならではのメリットをよく理解して運用すれば、これまでとは異なるメリットを得られるでしょう。
編集ソフトは動画のクオリティに大きな影響を与え、企業のマーケティング力にも直結します。機能や扱いやすさを考慮して、自社の用途に適したソフトを選びましょう。
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