オンラインセミナー/ウェビナーの動画制作のポイント

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、これまで会場で実施をしていたセミナーをオンラインで実施する「オンラインセミナー」(オンラインセミナーは、以下の見出し以降においてウェビナーと同意語とする)「ウェビナー」の活用している企業が日常的になりました。

質の高いセミナーの内容を撮影して動画として配信し、視聴したいユーザーが好きな時間ができるような仕組みと視聴する上での顧客情報のリスト獲得のマーケティングに活用している企業も増えています。そんな中で「オンラインセミナー動画を制作するコツを知りたい」「オンラインセミナー/ウェビナーを活用して顧客と有効な接点を持ちたい」といったお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、オンラインセミナー/ウェビナーの動画を制作するためのポイントや事例について解説します。

動画でオンラインセミナーを行うメリット

オフラインでのセミナー実施や、セミナーの生配信に比べ、オンラインセミナーを動画で配信することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

動画でオンラインセミナーを行うメリットは主に以下の7つです。

口頭よりも編集して多くの情報が伝えやすくなる

セミナーの内容を簡潔にまとめられるため、動画では多くの情報を視聴者に伝えられます。「字幕をつける」「グラフや図を使う」「アニメーションを使う」など、動画はセミナーの内容を編集できるため、多くの情報を視聴者に伝えることが可能です。

Liveよりも印象に残るセミナーを届けられる

予め動画を編集して配信すれば重要なシーンを強調できるため、視聴者の印象に残せるでしょう。

例えば、サービスの成長率をアニメーションやグラフで示せば、急成長していることを一目で伝えられます。また事業の思いを伝える部分は、ナレーションやBGMの雰囲気を内容に合わせたものにすることで、視聴者に印象を残すことも可能です。

何度でも繰り返し見られる(公開制限による)

一度セミナー動画を制作すると、何度でも再利用できます。

「セミナー参加者に復習用の動画として配信できる」、「セミナー担当者が後から見返すことで改善点に気づく」など、繰り返し利用可能です。

視聴環境に制限がなく参加者を集めやすい

動画はスマートフォンやパソコンなど視聴環境さえあれば、いつでも、どこでも、視聴できるため、国内に限らず海外からでも参加者を集められます。また会場の収容人数も関係なく、無制限に参加者を集められるでしょう。

会場や当日接客する人員費のコストが削減できる

オフラインでセミナーをする場合、以下のようなコストが発生します。

  • 会場を借りるための会場費
  • マイクやスピーカーなどの設備費
  • 受付や後片付けにかかる人件費

参考までに東京駅大手町で120席の会場で、4時間セミナーを行う場合には会場費だけで11万円ほどがかかります。オンラインセミナーなら、万が一集客できなかったときの赤字リスクも防げるでしょう。

参加できなかった人への再視聴の案内などのフォローもできる

以下のようなリアルタイムで参加できなかった人に対し、フォローすることも可能です。

  • 遠方に住んでいる人
  • 時間帯がどうしても合わない人
  • 当日に急用でできてしまった人

例えば、アーカイブを配信することで都合の良いタイミングで視聴してもらえます。

  • オンラインセミナー以外の用途に再利用できる

動画はオンラインセミナー以外にもさまざまな用途で再利用できます。具体例は、以下の通りです。

  • 商品・サービス理解の教材
  • 有益コンテンツとして提供し、顧客との関係構築
  • 次回以降のセミナー誘致
  • 動画の一部をPPTスライド化して提案資料などに再利用する

印象に残るオンラインセミナーの動画を制作するポイント

印象に残るオンラインセミナーの動画を制作するコツは5つあります。

動画の目的や内容は最初に述べる 

ターゲットに興味を持ってもらうために、動画の目的を最初に伝えてください。途中で飽きられると離脱につながるため、重要度の高い内容だと伝える必要があります。ターゲットの興味に応じて、動画の方向性や専門性を変えることも大切です。

ターゲットの状態内容のポイント促したいアクション
①商品・サービスを知らない・あまり専門的にならないように広く浅く伝える・動画の時間を長くなりすぎないようにする・自社アカウントのフォロー・関連記事、動画への遷移・視聴・ホワイトペーパーダウンロード
②商品・サービスに興味がある・少し内容を専門的にする・事例などの具体性を含める・LP、料金プランページへの来訪・資料のダウンロード・問い合わせ
③購入を希望している・商品・サービスの特徴や事例など詳しく伝える・運用前後のイメージを伝える・無料体験・懸念・不明点の解消・予算取り、稟議検討

また、動画を見終わってから求めるアクションを明確にし、行動しやすい動画の構成にすることも重要です。

目次をつけて動画の内容を分ける

動画の内容に応じた目次を設定することで、「どのような話をいつしているか」を一目で把握できます。忙しい企業担当者でも、興味のある箇所だけをピックアップして視聴できるため、利便性が高まるでしょう。

注意点は「動画の一部だけではなく全体を通して目次を設定する」、「目次の見出しと内容を一致させる」ことです。

例えば、会社説明の場合には以下のように設定します。

  • 00:00 会社概要
  • 05:00 事業内容
  • 15:00 社員紹介
  • 25:00 福利厚生
  • ​30:00​ 選考フロー

また、見出しと内容が一致していないと、視聴者は求める情報にたどり着けません。内容を端的にまとめた見出しを設定してください。

聞き取りやすい音程や言葉を使う

とくに注意したいポイントは、音程や言葉など音声をしっかりと聞き取りやすくすることです。映像や資料がわかりやすかったとしても、音声が聞き取りにくいと内容を理解しにくく、最後まで視聴してもらえません。

収録のポイントは、以下の通りです。

  • パソコンの内蔵マイクではなく、集音マイクやピンマイクを使用する
  • 周波数を2,000Hzから4,000Hzにする
  • 話し声は平均で-12デシベル程度にする

視聴者は他の作業をしながら動画を見ていることもあります。音声にはこだわり、聞き取りやすい周波数や音圧を選んでください。また動画編集ソフトによってはナレーション生成機能がありますので、自然な口調で利用できるものと実際の音声とで組み合わせてシーンによって活用の検討すると良いでしょう。

字幕やテロップを使って重要事項を強調する

淡々と内容を説明するだけの動画では、視聴者が途中で飽きてしまいます。字幕やテロップを挿入して、大切なポイントを強調すると動画に緩急がついて最後まで視聴してもらえるでしょう。

重要事項を強調する方法は、以下の通りです。

  • 登壇者の声に字幕をつける
  • 字幕を色やサイズ、フォントで装飾する
  • アニメーションを使い視覚的なイメージを伝える

図解や資料を組み合わせて理解を深める

図解や資料は目を引くため、セミナーの内容をより理解しやすくなります。

具体的なポイントは、以下の通りです。

  • ポイントを整理した資料を投影する
  • データの説明にはグラフや時系列がわかるものを使用する
  • アニメーションをつけた楽しい演出をする

目を引く情報があることで、視聴者はセミナーの内容を深く理解できるでしょう。

1シーン読み込むのに短尺すぎないことと、長尺しすぎないこと

1シーンの秒数が短すぎても視聴する情報量が多いほど直感的な理解がしづらくなるため、予め視聴者が読み込める時間や飽きない長尺までに設定しておくと良いでしょう何度か運用してみて、顧客からのフィードバックや社内でも客観的見直しをすることで良いよい運用になります。

印象に残るオンラインセミナーの活用事例

ここでは、印象に残るオンラインセミナー動画の具体例に活用事例について紹介します。過去に他社で実施したオンラインセミナーは、自社における動画制作のヒントになります。

エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエ株式会社

まずご紹介するセミナー動画は、NTTビジネスアソシエ株式会社のサービス紹介動画です。

NTTビジネスアソシエ株式会社 セミナー動画 社宅管理代行サービス「teNta Ace」

動画のポイントは、以下の通りです。

  • データをグラフで表示しているため、情報を一目で理解できる
  • アニメーションを用いて、課題や自社サービスを視覚的に説明している
  • 耳ざわりのいい音域やBGMを使っていて、聞き取りやすい
  • テロップで話している内容を理解しやすい

サービスがどのように課題を解決できるのか、わかりやすく8分間に凝縮した内容。また、動画の終盤で自社サービスへの導入を促しており、興味を持ったユーザーがすぐに次のアクションを取れる工夫が施されています。

株式会社Wiz

次にご紹介するセミナー動画は、株式会社Wizの会社紹介動画です。

【Wizオンライン会社説明会】〜会社紹介〜

印象に残るポイントは、以下の通りです。

  • 明るくクリアなトーンで話しており聞きやすい
  • グラフで事業の成長や社員構成を表し、すぐに理解できる
  • 説明資料とともに従業員の様子を映し、業務を具体的にイメージできる

実際のオフィスや従業員の働く姿をアニメーションとともに投影することで、学生でも同社で働くイメージを持てる工夫がされています。

オンラインセミナー動画の作り方は2種類

オンラインセミナーの動画を作る方法は、大きく分けて2種類あります。

  • 外部に動画制作を依頼する
  • 自社で内製化して制作や運用する

それぞれの方法には、以下のメリット・デメリットがあります。

メリットデメリット
自社制作費用を安く抑えられる納期制限なく柔軟に対応できる社内の必要部署と相談しながら納得のいくものが作れる動画の量産や複数部門で活用できるクオリティの担保が難しい機材やソフトが必要人員が必要ある程度の動画編集知識が必要
外注クオリティが高い(=CM、TVなど)納期厳守(=品質にも影響する)マーケティングの知識も組み込める(=得意分野に依存する)効果検証もできる(取引先による)費用が高い納期が長いシーン毎の意図が伝わりづらいスケジュールの柔軟性が低い修正対応に追加コストがかかる

自社制作の場合には、費用を安く抑えられる反面、クオリティの担保が難しく制作に人員がとられる点がデメリットです。

外注の場合には、クオリティが高い動画を制作できるメリットがある一方で、コストが高くなるため動画を量産したい場合には向いていません。

なお、外注費用の参考目安は以下の通りです。

内容相場
テロップ5,500〜1万6,500円
構成3〜20万円
編集(カットや挿入)5〜50万円
音響3〜15万円
動画編集トータル20〜100万円

※各依頼先によって見積もりが大きく異なる可能性があるので、あくまでも参考値になります。

各作業項目の内訳とトータルの制作費用を比較した上で検討すると良いでしょう。

外注でオンラインセミナー動画を制作する手順

外注で動画を制作する手順は3つあります。

  • ニーズに合う外注先を探す
  • 動画内容について打ち合わせをする
  • 納品された動画をチェックする

1.ニーズに合う外注先を探す

どの範囲で動画を外注するのか決まったらニーズに合った外注先を探します。

2.動画内容について打ち合わせをする

発注者のイメージについてヒアリングを行います。動画のコンセプトや方向性について打ち合わせをして、制作する動画の内容を決定します。

3.納品された動画をチェックする

納品された動画をチェックして、修正箇所がなくなるまで、試写と修正を繰り返します。

外注を依頼する場合には、依頼できる内容は価格によりさまざまです。シナリオの作成から撮影、編集まですべて行うこともあれば、編集のみなど幅広くあります。完成したものを再編集し直すのに部分的でもセミナーの流れとして長尺の修正が必要となり、修正に追加コストがかかります。予めしっかりした動画のコンセプトと方向性などのシナリオを依頼先と詰めた上で範囲を決めて依頼するのも良いでしょう。

自社制作でセミナー動画を制作する手順

自社で動画を制作する手順は3つあります。

  • 撮影機材を整える
  • セミナー資料を作成する
  • セミナーを撮影する
  • 動画を編集する

1.撮影機材を整える

カメラや三脚、マイクなど撮影に必要な機材をそろえましょう。

会議室の机を利用する場合などは、特別bなものは必要なく撮影時のブレがないような高さにあった撮影機材が安定するものを用意しておくと良いでしょう。

2.撮影場所を用意する

プレゼンのような撮影であれば、会議室など利用してなるべく背景が白地など余計な映り込みがない場所を選ぶと良いでしょう。また頻繁に会議室の前を通る社員がいる場所であれば、予め避けるようにアナウンスするか、声や音を拾わないような準備をしておくと良いでしょう。

3.撮影する

セミナーを撮影します。撮り直しはできないため、音声のチェックや照明の明るさ、投影資料が映るかなどの事前準備を綿密に行った上で撮影を行いましょう。

4.撮影した動画に挿入する資料や素材を用意する

撮影だけでは表現式ない部分を追加で、パワーポイントで図やグラフ、アニメーションを作成して視覚的にわかりやすく理解できるよう資料を準備して、動画内に素材を入れておくようにしましょう。

5.動画を編集する

撮影が完了したら動画をチェックして配信用に編集しましょう。

編集時は、強調するシーンを中心に編集し、聞きやすい音声にすることや余計なシーンをカットしたり、必要に応じてアニメーションを入れるなど細かい調整を行うと良いでしょう。

まとめ

今回は、オンラインセミナーの動画制作について解説しました。オンラインセミナーを動画にすることで、クオリティが高く効果的な動画を制作できます。

動画制作をする場合には、自社制作と外注制作の2種類の方法があります。どちらにもメリット・デメリットがありますが、動画を量産したい場合には動画制作サービスの活用がおすすめです。初心者でも扱いやすいサービスもありますので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。


 

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