コロナ禍を経てオンライン商談が普及したことをきっかけに、営業ツールに動画を活用する企業が増えています。従来のようにパンフレットやPowerPointの資料を用いた営業活動では、営業成績が担当者個人の能力に依存してしまうといった課題がありました。営業資料を動画化することで、こうした営業活動の課題を改善できるため、動画の活用に注目が集まっているのです。
この記事では、営業資料を動画化するメリットや動画制作のポイントについて解説します。
目次
営業資料おけるよくある課題
営業資料には、例えば提案している上で以下のようなものが挙げられます。
営業成績が営業担当者個人の能力に依存してしまう
営業活動においては、自社の商品・サービスを見込み顧客に提案する商談の場は必須です。しかし、営業担当者個人の資質や経験値によってヒアリングや提案のスキルが左右されるため、契約率などの営業成績にも差が出てしまうことが少なくありません。
特に、製品カタログやパンフレットなどテキストの資料を用いる場合、営業担当者のトーク力に頼らざるを得ないため、提案内容が各個人のスキルに依存することで営業組織全体の成果が安定しない可能性があります。
営業活動の成果が上がらない
商談の時間は30〜60分程度に設定されるのが一般的です。そのため、営業担当者は限られた時間内に以下のような話をまとめなければなりません。
- ヒアリング
- 商品・サービス紹介
- クロージング(価格の相談や、導入に向けたすり合わせ)
ヒアリングや商品・サービス紹介に時間をかけすぎると、時間内にクロージングまで進められず、場合によっては失注する可能性も否定できません。
オンラインやリモートワークに対応できない
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、人々の働き方は様変わりしました。例えば、直接の接触を避けるためリモートワークを取り入れる企業も増え、従来は対面が中心であった営業活動においてもオンライン商談が浸透しつつあります。
こうした状況下において、紙ベースのカタログやパンフレットをWeb上で共有するだけでは、「細かく読み込んでもらえない」「活字だけでは商品・サービスの導入後をイメージしにくい」という課題が生じかねません。
営業資料を動画化するメリット
営業資料を動画化することで、情報を抜け漏れなく伝え、正確な商品・サービスの説明が可能になるため、企業の営業活動に関する多くの課題を解決できる可能性があります。そのため、経験の浅い新人営業担当者であっても一定のクオリティで毎回安定した営業活動を展開できます。
動画化することにより得られるメリットは、以下の通りです。
【営業資料を動画化するメリット】
- 自社の強みをしっかり訴求できる
- 多くの情報を短時間で伝えられる
- 営業担当者の能力差を平準化できる
- URLを送付するだけで共有しやすい(動画を公開している場合)
- 視覚と聴覚両方に訴えかけ、多量の情報を一度に伝えられる
- 実物のない商品・サービスでも、どのようなものかをイメージしてもらいやすくなる
顧客に自社の強みをしっかり訴求できる
テキスト中心の資料や口頭説明と異なりビジュアルで情報を伝えられるため、顧客に自社商品・サービスの利用シーンをイメージしてもらいやすくなります。また、動画は短時間で視覚と聴覚から情報を受け取れるため、印象に残りやすい点も特徴です。
内容の抜け漏れなくわかりやすい構成で制作した動画を活用することで、顧客に自社の強みを訴求できるでしょう。
多くの情報を短時間で伝えられる
動画を活用することで、より多くの情報を短時間で伝えられるというメリットも得られます。
例えば、アメリカの調査会社「Forrester Research」のJames L. McQuivey博士の研究結果によると、1分間の動画から伝わる情報量は、文字にすると180万語、Webページにすると約3,600ページ分にのぼるとされています。
約3,600ページ分の資料を顧客に読み込んでもらうことはまずできません。その点、動画であれば膨大な情報量をわずか1分間で伝えることが可能です。
また、メラビアンの法則によると、人間は「視覚情報55%、聴覚情報38%、言語情報7%」の割合で情報を受け取っているとされており、情報伝達の大部分を視覚と聴覚に頼っていることがわかります。
そのため、映像と音の両方で情報を伝えられる動画は、テキストよりも圧倒的に多くの情報を提供できるのです。
提案にかける時間を増やせる
この点、動画なら商品・サービス紹介が2〜3分程度で端的にできるため、ヒアリングやクロージングに時間をかけられます。
また、動画を流している間に相手の反応を見ながらその後のトーク展開を調整するなど、戦略を練る時間に充てられる点でも、効率的な営業活動が可能です。
営業担当者の能力差を平準化できる
営業スキルは、営業担当者個人の経験や素質によって差が出ることが多く、それにより営業活動の成果も左右されます。
売上等の営業成果を特定の営業担当者に依存してしまうと、急病・ケガ、退職などにより不在になった際に「業績が落ちてしまう」「ノウハウが蓄積できず組織全体として成長できない」といった営業組織全体のマイナスにつながりかねません。
営業ツールとして動画を用意しておくことで、どの営業担当者が対応しても同じ量、同じレベルの情報を伝えられます。そのことにより見込み顧客の理解に差が出なくて済むため、結果として営業担当者の能力差を平準化できるのです。
営業資料の動画活用例
様々な提案や商談中に利用している資料を動画化することで、より顧客へ自社商品・サービスの優位性や魅力が伝わりやすくなります。また何度でも視聴もできるため、短時間でも繰り返し見るだけで理解が深まりやすくなります。印刷や紙を用意する必要がないため、電子メールやWebサイトや各配信先にも活用することができ、ペーパーレス化にも繋がります。
【動画化できる営業資料例】
- 商品・サービス紹介:自社の商品・サービスについて、内容をわかりやすく伝える
- デモンストレーション:実際に使用している様子を紹介し、利用シーンをイメージしてもらう
- お客様の声を紹介:既存の顧客から客観的な評価を紹介し、信頼や安心感を高める
- プレゼンテーション:商談前に自社を知ってもらい、信頼関係を構築する
- ウェビナー(オンラインセミナー):商材に関連する分野のセミナーを開催し、商材の必要性に気づかせる
- サイネージ:店頭説明にサイネージの動画を配信する
商談中に利用する提案資料
自社の商品・サービスについて、テキストよりも実際のデモイメージがわかるものや視覚的にわかりやすい内容にまとめることで、紙の資料よりも情報量を減らして伝えやすくなります。
製品・サービス紹介サイト
顧客は商品・サービスを検討する際に何度も情報を確認し、来訪をした上で意思決定をしているケースが多く見受けられます。検討する上で関係者が多い場合、自社サイト上にも情報を掲載しておくことで、商談中以外での訴求に繋がります。
Web・SNS広告
Web上やSNS広告の中でも動画配信できるものが多くあります。
自社の顧客と相性の良い広告に制作した動画を配信し、顧客獲得に活用するのも有効です。
不特定多数のユーザーへリーチするケースが多いため、自社商品・サービスの紹介が主ではなく、課題の認知から解決策を提示や解決する上での手段の一つとして自社を紹介するなど営業要素を少なくして配信すると良いでしょう。
顧客の導入事例や声
実際に商品・サービスを契約頂いた顧客にインタビューや成果に繋がった実績を事例として公開するのも購入の検討している顧客への提案には有効です。必ずしもインタビューした内容である必要はなく、ヒアリングした内容をわかりやすくまとめたいくつかの例を短尺でまとめるのも良いでしょう。
イベント・展示会
特に不特定多数の見込み顧客が来訪するイベントや展示会では、立ち止まってもらったりイベントに参加してもらうために足を止めてもらう必要があります。制作した動画をサイネージやディスプレイなどに人通りが多く視界に入りやすい位置で配信することで目に止まりやすくなります。
セミナー・ウェビナー
自社で過去に開催したセミナーや実施したセミナーの内容があれば、それを再度編集して動画化することによって、オンラインセミナー(ウェビナー)として、Web上に公開したり限定的に見込み顧客に配信をしてリストを獲得するのも有効的な施策です。
営業研修・マニュアル
提案資料としてだけでなく、営業活動や商談時に参考になる営業マニュアルを動画化することで、紙やテキストで情報を理解するよりも外出先や空き時間に短時間で動画を視聴するだけで各営業の研修やスキルアップにも繋がります。またオンライン商談などで商談中を議事録代わりに録画させてもらうことで、社内でも良い商談事例を共有することもできます。
営業資料を動画化する時のポイント
動画化した営業資料を実際の営業成果につなげるためには、ポイントを押さえた動画を制作することが大切です。例えば、以下のポイントが挙げられます。
商談中に伝えたい内容や目的を明確に設定する
まずは、顧客に伝えたい内容の要約や伝えた上での目的を明確に設定しなければなりません。漠然とした目的で動画を制作しても、見込み顧客に伝えたい情報がブレてしまい、結局何を伝えたい動画かわからなくなり、逆に伝わりづらくなる可能性もあります。
動画を活用するにあたって、目的や用途(利用シーン)について以下のように細かく設定していきましょう。
- 1対1の商談でタブレットを使って顧客に見せる
- 展示会などの巨大スクリーンに映して、多くの人の目を惹くようアピールする
- 街中のサイネージに映して、自社ブランドの認知を高めていく
- YouTube/FaceBook上の動画広告に出して、潜在的な顧客層にリーチする
- 商談前後に商品・サービス理解や検討してもらいやすいようにメールで動画URLを送る
長過ぎると逆に顧客が飽きてしまうので、細部まで明確化することにより、目的に応じて効果的な尺やシナリオを調整して、飽きさせない表現や興味を引く工夫も入れると良いでしょう。
機能面など一方的な商品紹介や提案ではなく課題解決訴求にする
自社の商品・サービスを紹介する動画では、その機能そのものより「顧客のどのような問題を解決できるのか」を伝えることが重要です。顧客は商品を購入することが目的ではなく、自社が抱えている課題を解決したいと思っているケースが多いからです。
商談時には、顧客が自社商品・サービスにまだ興味をもっていないケースも少なくありません。その段階で商品のスペッなどクを延々と説明しても納得を得られにくいでしょう。そのため、まずは顧客が何に困っていて、何を解決できると喜んでもらえるのか考え、訴えかける必要があります。
例えば、以下のような動画のシナリオだと顧客の問題解決に訴求しやすいでしょう。
- 企業が抱えている問題に共感する
- なぜ問題を解決することが難しいのか解説する
- 自社の商品・サービスが解決に役立つことを示す
- 導入事例を紹介する
- 導入による懸念点を払拭する
自社商品・サービスを導入することでどのような効果が得られるのか、どのような問題を解決できるのか顧客がイメージできる内容に仕上げることが契約後の安心感を持ってもらうことも大切です。
要点を絞って尺は短めにする
動画制作は伝える情報を絞って尺を短めにすることも大切です。
動画が長すぎると顧客には飽きられてしまい、伝えたい点が散漫になるため要点を理解してもらえません。商談で顧客に視聴してもらう動画なら1分程度、商品のデモやインパクトのある魅力が伝わりやすい内容であれば長くても5分以内に収めることをおすすめします。
動画は営業活動をサポートするツールの一つですので、動画の視聴中にも営業担当者が顧客の反応に合わせた補足情報を提供するなどの相乗効果や対話をしながら理解を深めることで発揮されます。そのため、通常の商談と同様に必要な情報を端的に伝えることを意識することが最も重要です。
テキスト量を少なく、わかりやすさを最優先する
印象に残る動画を作りたいあまりアニメーションやフォントなどにこだわりすぎると、雑然とした仕上がりになり要点が絞れないため、本来伝えたい情報を届けることができません。
動画編集するときにオリジナリティを追求するのではなく、メッセージもシンプルにわかりやすさを最優先することをおすすめします。また、制作した動画を他部署の社員や各営業担当者にも試聴してもらうなど、客観的に評価してもらいながらよりブラッシュアップするのもおすすめです。
動画の活用を通じて社内でも商品・サービスの理解や共通のコミュニケーションが生まれることによって、良い取り組みになる副次的な効果も見込めます。
まとめ
多くの情報を短時間で伝えられる動画を営業資料に活用することにより、自社の強みを訴求できる、営業担当者の能力差を平準化できるなど、さまざまなメリットが得られます。動画を制作する際は、まずは目的を明確に設定し、それに合わせて伝えるべき情報を端的に盛り込むと良いでしょう。
また、営業ツールとしての動画は、顧客によって内容を変えたり情報をこまめに更新したりする必要があるため、できれば内製化したいところです。動画制作サービスを活用すれば、自社制作であってもハイクオリティな動画をコストを抑えながら制作できます。
例えば、「Video BRAIN」など法人利用サポートが充実した動画制作サービスを利用すれば、未経験であっても自社で動画制作が簡単にできます。自社のリソースに合わせて質の高い動画を効率的に制作したい場合は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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