BtoB法人取引のビジネスにおける見込み顧客(リード)を獲得し商談につなげるために、動画の活用が効果的です。動画は商品・サービスの魅力を短時間でわかりやすく伝えられ、時間・場所に制限されず営業活動を行えます。
コロナ禍でも非対面で営業活動を行える動画の利便性から、現在では多くの企業が動画を活用し始めています。しかし、動画制作について「専門知識がなく人材が必要」「時間や費用がかかる」「運用体制がまだない」といった理由で着手をためらっている方も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、リード獲得に動画を活用することのメリットや注意点、効率的に動画制作を行うポイントについて解説します。
目次
営業活動におけるリード獲得とは?
リード獲得とはBtoBにおける「見込み顧客の獲得」のことです。自社の商品・サービスに潜在的なニーズがあり、顧客になる可能性のある企業(担当者)を新規のリストとして獲得します。リード獲得を狙うマーケティングでは、新規のリード獲得のみならず、リードを育成して商談につなげて受注することが重要です。
また、リードの獲得に成功している企業ほど、見込み度の高いリードを獲得できることが実証されています。
デジタルマーケティング支援業の株式会社コミクスが、BtoB事業を行う経営者・役員101名に対し、新規リードの獲得について調査したところ、「十分できている」「できている」と回答した企業は全体の30.7%でした。これら3割の企業のうち、90%以上が「受注につながる質の高いリードを獲得している」と回答しています。
【引用】BtoB経営者の69.3%が「新規リード獲得に課題」、41.7%の企業で「マーケティング担当者不在」の実態|PRTIMES
リード獲得の具体的な方法は以下の通りです。
【リード獲得のチャネル例】
- テレアポ
- 展示会
- ウェビナー(Webセミナー)
- ダイレクトメール
- マスメディア掲載(テレビ・雑誌など)
- Web広告
- 自社メディア
- SNSアカウント運用(Facebook・Twitterなど)
- 動画配信
新型コロナウイルスの拡大をきっかけに、リード獲得の方法がオフラインからオンライン施策への対応に迫られた影響で、各市場においてのリード獲得方法が大きく変わっています。こうした中で、紙や電子データでもテキスト情報だけに限らず非接触で視覚や聴覚に訴えかけ、たくさんの情報を簡単に届けられる動画を活用する企業が増えています。
リードの獲得に動画がおすすめの理由
リード動画の活用は、企業に以下のメリットをもたらします
- サービス・商品の魅力をわかりやすく伝えられる
- 場所や時間の制限を受けない
- 属人化を防げる
- 他社との訴求の差別化になる
サービス・商品の魅力をわかりやすく伝えられる
文章や写真で伝えきれない魅力を可視化することで、わかりやすく伝えられます。BtoBの商談では商品・サービスを導入することで「どれだけ顧客に利益をもたらすか」をイメージしてもらうことが重要です。しかし紙面のカタログやパンフレットを用いた口頭の説明だけでは、説明する時間の長さや提供できる情報量が限られてしまいます。
その点、動画は多くの情報を短時間で伝えることが可能です。
動画から伝わる1分間の情報量は、文字換算すると180万語、Webページに換算すると約3,600ページ分になると言われています。口頭での説明と比べ、短時間に視覚と聴覚の両方から訴求できる動画のほうが、商品・サービスの魅力を印象に残して伝えられるでしょう。
場所や時間の制限を受けない
リード獲得に動画を活用すれば、場所や時間の制限なく営業活動を行うことができます。
例えば、展示会では参加者を収容できる会場を確保する必要があり、また、開催時間にも施設の制約があることが一般的です。さらに、開催直前になってコロナウイルスの流行などにより、大人数で集まれないような事態が起こるかもしれません。
その点、ウェビナー(オンラインセミナー)であれば、場所・時間の制約を受けません。主催側は会場費や人件費などが不要です。参加する企業担当者も会場まで移動する時間や交通費を抑えられ、忙しい業務の合間をぬっての参加が可能となります。
属人化を防げる
従来の訪問営業では、営業担当者の経験や感覚に結果が左右されるケースが少なくありませんでした。動画の活用により、商品・サービスの魅力を伝えるスキルが平準化され、安定したリード獲得につながります。
その他にも以下のようなメリットを得られます。
- クオリティの高い説明を、常に再現できる
- 経験の浅い営業担当者のスキル不足を補える
- 何度も同じ説明をせずに済み、営業担当者の負担を軽減する
特に経験の浅い営業担当者は、「伝えるべき内容が漏れてしまう」「古い製品情報を伝えてしまう」といったミスをする場合もあります。こうしたリスクを防いで、確実に商品・サービスの魅力を伝えられる点もメリットです。
他社との差別化になる
どの業界においても多くは、紙は減少傾向にあっても電子データが多く提案時のバリエーションや工夫には限界があります。動画を活用することによって、特にオンライン上の商談では直接対面で説明しづらい情報を補うためのより事前の準備や情報のわかりやすさ、共有のしやすさが求められます。
動画が競合との差別化になるポイント
- 営業提案に動画を活用している競合が少なく、印象の差別化がしやすい
- 同じスペック、クオリティの説明をしていても動画の方がわかりやすい
- 多彩な表現や顧客提案用にオリジナル動画を見せることで強い印象が残りやすい
- 契約を検討する上で、自社サイトでの視聴や電子メールへの添付、顧客内での動画視聴がしやすい
リード動画を活用する時の問題点
メリットの多いリード動画の活用ですが、以下のような問題点も起こり得ます。
【リード獲得に動画を活用するための問題点】
- 動画制作に時間と費用(コスト)がかかる
- 撮影のための機材や人材が必要
- 内製化して運用する場合、動画制作・編集のスキルが必要になる
社内で動画制作に関する知識・スキルが不足していれば、制作に苦戦しがちです。
また社内に経験者がいないことやクリエイティブ性に小sだ割りたい場合に外注すれば、多大な費用がかさむこともあるでしょう。
これらを補うためにいくつかの内製化の方法を紹介します。
動画制作・編集サービスを利用する
昨今では、初心者でも簡単に動画を制作できるサービスも充実しており、自社の運用にあったサービスを運用することで内製化でも費用を抑えながら、最低限の人員配置でハイクオリティな動画を制作できます。
動画制作サービスを導入するメリットは、以下の通りです。
- 写真・イラスト・映像・音楽などの素材を入れるだけで制作できる
- 希望する機能やアカウント数に応じて最適なプランを選択できる
- 導入から運用までサポートしてもらえる
- 動画制作のアドバイスを受け、未経験でも安心して利用できる
動画制作サービスを利用することで、時間・お金の負担を減らし、リード獲得に貢献できるでしょう。
※VB CTAを入れる
リード獲得のために動画を効果的に活用するためのポイント
動画を活用してリードを獲得、成約につなげるためには、各利用シーンに合わせて複数のポイントを意識することが大切です
リード獲得するための動画の役割を明確にする
マーケティングも含めた全体の営業活動において、リード獲得は最初の一つのステップに過ぎず、リードを獲得してから成約やリピートにつなげられる一連の営業活用に動画を活用することが重要です。
動画の具体的な役割として、
「潜在的な課題に気づかせる」
「自社の商品・サービスの魅力を伝える」
「購入を検討する上での理解を深める」
などが挙げられます。
ただし、動画単体で完結させるのではなく、営業活動の全体の流れを汲み取ったうえで、最適な利用シーンで動画を活用することが良いでしょう。
また、まだ社内への動画活用の認知が浅い場合、まず一つの利用シーンや部署などでテスト的に実際の提案などに活用してみて、どのくらいの成果が見込まれそうかを試してみると良いでしょう。
これまでの活用シーン以外の発見もあるかもしれないため、一部の部門や担当者でも実施してみた結果を元に
「潜在的な課題を引き出せたか」
「有効な提案になりそうか」
「良い印象を与えられたか」
などこれまでと比較した顧客や社内の印象も含めて動画活用を検討すると良いでしょう。
ユーザーの段階や利用シーンに合わせた動画を作る
動画制作の際は、見込み顧客の段階に合わせることを意識してください。すでに自社のサービスを知っている方や初めて知った方、他社サービス含めて比較中の段階など、一つの動画ですべての層にアプローチしようとすると、相手に刺さる動画を作れないためです。
例えば、他社の商品・サービスと比較している人に対し、サービスの概要を一から伝えることは効果的ではありません。他社と比べて自社サービスはどの点で優れているか、比較検討の判断材料となるコンテンツを設定するとよいでしょう。またまだサービスの認知が浅い顧客には、先方が抱えている課題や要望を想定した解決するためのコンテンツを用意しましょう。
訴求したい相手の状況をしっかりと把握し、その状態にあった動画を制作することが重要です。
獲得したリードを育成する仕組みを考えておく
いくらリードを獲得しても、受注や成約につながらなければ意味がありません。そのため、獲得したリードをいかに育てて商談につなげるか、仕組みを考えておくことが大切です。
【リード育成方法の例
電話やビデオ通話
電話やビデオ通話を通じて見込み顧客にヒアリングします。見込み度が高ければそのまま商談を約束したり、場合によっては、非対面のまま商談を進めて成約につなげることもあります。
メール配信
メール配信ツールを用いる方法です。複数の顧客にメールを送信する場合、単に個別や一斉送信でメールを送るのではなく、以下のような特定の条件やメールからのリアクションのシナリオを設定してからリードの育成を狙います。
・企業規模や部署部門、役職、地域などで顧客を分類し、条件に合った企業や担当者のみなど、リスト毎の顧客のリアクションが計測しやすいように分類できるとより正確に反応が分析できます。
・あらかじめ準備していた複数のメールリストを、スケジュールに沿って順次配信します。
・ウェビナーへの参加や資料請求などの場合、申込ページや資料請求ページへの来訪、申込や資料請求完了数を見込み顧客の行動をベースに点数化し、見込み度に応じた提案のアプローチや次回のメールを配信するようにしましょう。
Web記事広告
特定の業界や課題別など様々なメディアに記事広告を出稿することができます。
その中でも動画を配信できるメディアもあるため検討しても良いでしょう。
記事広告によっては、資料請求などの申込が取れるまで一切顧客情報が得られなかったり、成果報酬型など様々なプランがありますので、自社にあったコストや媒体を選定することをおすすめします。
最近では、Amazomなどのマーケットプレイスにメーカーが直接取引していれば、ブランドの商品ページに製品動画を掲載することもできるため、より購入者にとって製品のイメージや利用方法のマニュアルなども掲載しておくと不明点の解消にもなるでしょう。
公式SNS・SNS広告
企業の公式アカウントを開設し、有益な情報を発信する方法。
コメント欄やダイレクトメールを用いて、各ユーザーと直接のやりとりも可能なため、距離を縮める際に効果的です。まだフォロワーやユーザーが少ない場合、地道に集めるには相当の期間と労力がかかえるため、各SNSでは動画広告をうまく利用して、数多くのユーザーに配信をしてアプローチすることで、まず母数を集めると良いでしょう。
動画を活用してリードを獲得できた成功事例
動画をうまく活用し、受注率を高めることに成功している企業の事例について、見ていきましょう。
Apple Inc
iPadやiPhone、Apple Watchなどの革新的なメディアデバイス、PC、スマートフォン、タブレット端末などのデザイン・製造・販売しているApple Inc。
Apple社の事例は、iPadやiPhone、Apple Watchなどの新製品について紹介する動画です。
動画のポイントは、以下の通りです。
- 各製品を担当する役職者がプレゼンターとして次々登場することで、説得力をもたせている
- 「Apple社の新製品プレゼン」を一つのストーリーに仕立てて臨場感を演出しているため、視聴側を飽きさせない
- 画面上の数字を効果的に強調し、視聴者に印象を残す
実際に各製品を使用するシーンを見せることで、イメージしやすくなります。「この機能をどうやって使えばいいのか」がわかり、購買意欲が自然にかき立てられるでしょう。
またApple Watchの紹介動画では、series6と比較してseries7は20%画面領域が広がっていると説明しており、この際「20%」という数字を画面上に色やサイズを変えて強調することで、視聴者の印象に残るように工夫しています。
日本サムスン株式会社
メーカーであるサムスン電子(韓国)は電子・電機事業における液晶パネルや半導体の世界シェアを持っています。
サムスン電子社の事例は、Galaxyの製品を紹介する動画です。
この動画のポイントは、以下の通りです。
- より良い世界を実現するためのサムスン社の取り組みを、ほど良い長さで冒頭に訴求することで、視聴者の共感を得ている
- 映画仕立ての動画を途中に挟むなど、視聴者を飽きさせない工夫をしている
国連が掲げる「グローバル・ゴールズ」に従って、全世界の目標達成に向けた取り組みと連動していることを強調。実際に、国連総裁のAchim Steiner氏のインタビュー動画を埋め込むことで、説得力を高めています。
また、視聴者を飽きさせないための演出も効果的です。中世の王宮を舞台にした映画仕立ての動画で、登場する女王がGalaxyを欲しがるなど、視聴者を楽しませる演出を取り入れています。
生活協同組合コープかごしま
鹿児島市に本部を置き、共同購入や個別配送、店舗事業などを手がける生活協同組合コープかごしま。地域や環境、社会に配慮したモノ・サービスを提供するエシカル消費をはじめ、SDGsにつながる取り組みを積極的に行っております。その中で組合員の普段活動の広報や販売商品を知ってもらうための販促やブランディングにも活用されており、50周年を記念して制作した高級食パンの制作工程や紹介動画は発売開始からわずか半日で完売に至ったと言われています。
まとめ
BtoBにおいてリードを獲得するため、動画は高い効果を発揮します。時間や場所に制限されることなく、提供する商品・サービスについて必要な情報を網羅しながら、わかりやすく安定して提供できるためです。
リードの獲得から商談につなげるために動画を活用する際は、動画の役割を明確化するとともに、電話やメール配信ツール、広告を用いて見込み顧客との関係を構築することをおすすめします。
関連記事
この記事をシェアする