昨今、企業が見込み顧客を獲得するための手段として注目されているのがWebセミナー(ウェビナー)です。
ウェビナーは低コストで開催でき、設営や案内の手間も少ないメリットがあります。見込み顧客を獲得する流れを理解し適切なプロセスを踏むことで、ウェビナーから商談につなげることも可能です。
しかし、開催しやすい反面で視聴者の反応が分かりづらく、開催内容に工夫をしないと視聴者が飽きやすく温度感が下がる要因にもなります。また視聴後のアフターフォロー体制が整っていないと、せっかく獲得したリストも無駄になる可能性があります。
この記事では、ウェビナーからの商談化を高めるポイントや視聴後のアンケートの回収率を高め、適切なアフターフォローや商談獲得につながるポイントについて詳しく解説します。
目次
ウェビナーとは
Webセミナーとはインターネット上で配信するセミナーで、現在多くの企業が採り入れるようになりました。Webセミナーやオンラインセミナーとも呼ばれています。
ウェビナーを開催する目的は、見込み顧客を集め商談や案件を獲得することです。これまでは見込み顧客を獲得するためには、ターゲットをリスト化して1件ずつアプローチする必要がありました。
しかし昨今では、見込み顧客を集客し商談につなげるまでの役割を、一度開催したセミナーやウェビナー用の動画コンテンツを作成し、視聴できるようにすることで自社サービスサイトなどWeb上の申込みフォームに顧客情報を入力してもらい、視聴してもらう仕組みです。また、視聴後のアフターフォローによって商談獲得するために活用する例が多くなっています。
オンラインイベントの開催動向
2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大により、対面でのコミュニケーションを自粛する動きが広まりました。多くの人が集まるイベントが相次いで中止になったことで、インターネットを介して実施するオンラインイベントが主流になりつつあります。
総合制作事業会社の株式会社博報堂プロダクツが、企業のオンラインイベントを企画したことがある方を対象に、「オンラインイベントに関する調査」を実施しました。
結果、コロナ禍以降で約8割の企業が「オンラインイベントが増えた」、また約6割が「オンラインイベントに満足している」と回答しています。
また利用用途として、「社内向けのイベント(40.0%)」が多く、次に「既存顧客の関係構築(39.3%)」、「新規リード獲得(38.5%)」が上位を占めていることから、オンラインイベントが企業のマーケティングにとって欠かせない施策となっていると言えます。
【引用】【オンラインイベントに関する調査】オンラインイベント(ハイブリッド開催含め)の継続意向は約90%-成果を上げるカギは「参加者のエンゲージメント向上」|PRTIMES
ウェビナーを開催する目的
ウェビナーを開催する目的は、見込み顧客を集め商談や案件を獲得することです。これまでは見込み顧客を獲得するためには、ターゲットをリスト化して1件ずつアプローチする必要がありました。
しかし昨今では、見込み顧客を集客し商談につなげるまでの役割を、一度開催したセミナーやウェビナー用の動画コンテンツを作成し、視聴できるようにすることで自社サービスサイトなどWeb上の申込みフォームに顧客情報を入力してもらい、視聴してもらう仕組みです。また、視聴後のアフターフォローによって商談獲得するために活用する例が多くなっています。
オフラインでの対面セミナーと比較した場合、ウェビナーは以下の点で優れています。
・コストがほとんどかからない(インターネット上で配信するだけで会場費用や現地スタッフのコストがかからない)
・日程を調整しやすい(複数の日程で開催しやすく、会場の予約が不要で参加しやすい)
・場所や人数に制約がない(会場の収容人数などの物理的制限がない)
スマートフォンやタブレット端末の普及が進み、外出先でも誰でも手軽にWeb上にアクセスし視聴できるようになりました。環境が整備されたことも後押しして、各企業がビジネスチャンス拡大に向けて積極的にウェビナーを手がけるようになったのです。
ウェビナーの開催方法
大きくは三つの開催手段や利用用途があります。
一つは、過去に実施したセミナーを動画視聴できるようにし、申込フォームに入力してもらった顧客がいつでも都合良い時間に視聴できる方法です。
二つ目はウェビナーツール活用して、実際にオンライン上で資料を見せながらセミナーを実施する方法です。実際に実施する方が、視聴中に意見をチャットなどで意見や質問を聞いたり、終わる前にその場でアンケートに回答してもらって回収と集計できる点です。
三つ目は、社内研修やサービスを契約している顧客のe-ラーニングとして、上記二つのいづれかの配信方法で実施するケースがあります。経験の浅い社内メンバーや顧客へのアフターフォローに活用しやすい点がメリットです。
1時間近いウェビナーを開催する場合、動画編集ができるツールが限られてくるため、再編集する場合、用途にあったツールを利用すると良いでしょう。
商談化を高めるウェビナーを開催する方法
ウェビナーは、ただ開催するだけでなく、視聴して欲しい顧客やユーザー像を明確にしテーマを設定したり、見やすい資料を作成し、開催中や開催後のQ&Aやアフターフォローにより、視聴者の満足度や商談化の温度感を確認することで視聴者との関係性が高まり、商談を獲得しやすくなります。
開催の目的と対象ユーザーを設定する
「新規顧客のリスト獲得する」「リスト獲得した後に商談を獲得する」「社内向け研修やイベント」「既存顧客の関係構築」といった目的とどのような顧客や対象のユーザーに参加してもらいたいのかを明確にしましょう。
テーマにあった資料や登壇者を用意する
視聴者を獲得するためにセミナー内容自体が「抽象的な内容ではなく、実際に行った施策や成功例」など視聴者が具体的にイメージしやすい内容でなければ、参加者が増えないケースがよく見受けられます。
テーマ自体も重要ですが、図解やテキスト量の少ない「資料の見やすさ」「他社では得られないような専門知識」が得られるセミナーの内容であれば興味を引くでしょう。
また、上記のように専門知識やこれまでの経験を必要する内容の場合、登壇者のプロフィールや肩書き、共催セミナーの場合は会社の知名度や登壇者も参加者を増やす重要なポイントになるでしょう。
ウェビナー開催中に視聴者とコミュニケーションを取る
予めウェビナーコンテンツを設置して、誰でも都合の良い時間に視聴してもらう配信方法だと、視聴者の反応も見えづらく視聴の満足度やアンケートの回収がしづらく、温度感がわからないケースがほとんどです。
実際に登壇者が会話しながら行う場合、会話中にチャットや視聴者のコメントによって意見やQ&Aなど実際の声を聞くことができます。
また、最近のウェビナーツールは、開催中にリアルタイムで質問やチャット、またアンケート機能が豊富にあるため、開催中にアンケートに回答してもらうことで、開催後に回答してもらうよりも回答率が高くなります。
ウェビナーのアンケート回答率を高めるポイント
商談獲得に向けて、ウェビナー開催後の「アンケート回答率」は重要な指標となります。回答率が悪ければ、見込み顧客へのアフターフォローが十分にできない可能性があります。
ウェビナーのアンケートでは、回答率を高めるポイントを事前におさえたうえで実施するといいでしょう。
アンケート回収率の傾向
JRMAインターネット調査品質委員会は「アンケート協力者が回答したいと思う時間」について調査を実施しました。結果、PC・スマホともに7~8割程度の人が「10分以内」と回答しています。
【引用】インターネット調査における調査分割法の導入の可能性~調査品質向上の視点から~|JDMAインターネット調査品質委員会
例えば「5分程度で回答できるアンケートを10問だけ視聴後にご協力ください」と事前に伝えることで、忙しい顧客担当者が回答の手間に取られる心理的ハードルが下がり回答率は自然に高まるでしょう。
ウェビナー開催中か終了前に回答してもらう
ウェビナーのアンケート回答率は、実際に登壇して視聴中のやりとりや開催終了前にその場で回答してもらう形式以外は高くはない傾向にあります。
最初の冒頭だけでも登壇者やウェビナー案内者が参加をして、視聴の流れの説明や視聴後のアンケート回答の案内をするのも良いでしょう。いつでも視聴できるウェビナー動画配信の場合、視聴後にアンケート回答をしてもらう機能を利用するなど工夫すると良いでしょう。
アンケートの回答に特典をつける
アンケートの目的や回答したことに付随する特典(セミナー中のオリジナル資料があとでもらえる、ウェビナー動画が再視聴できる、課題に対しての回答がもらえる、など)などの回答する手間に対するメリットを明確に伝えると、より回収しやすくなるでしょう。
ウェビナー開催ツールのアンケーつ機能を利用する
ウェビナー開催ツールには、アンケートの回収率を高めるための便利な機能が備わっています。
例として、「Zoom Webinar」(https://explore.zoom.us/ja/products/webinars/)は、終了時にアンケートを送信できるよう事前に設定することが可能です。また、アンケートの回答をレポートとしてダウンロードし、フィードバックの収集を簡素化できます。
アンケートの形式は、以下の種類が選択可能です。
単一選択 | 出席者が1つのオプションのみで回答できるようにする |
複数選択 | 出席者が1つまたは複数のオプションで回答できるようにする |
評価スケール | 出席者が数値の範囲内で回答できるようにする |
長文回答 | 出席者が回答を書き込む形式にする |
このようにさまざまなアンケート形式を利用することで、回答率を高めるだけではなく、重要な情報のフィードバックを得やすくなります。
ウェビナーから商談化率を高めるポイント
まずはウェビナーを視聴してもらった参加者にメールでお礼や追加の質問事項やセミナーの資料を添付するなど、記憶に残っており温度感が少しでも高いうちに案内しましょう。
また、参加者の中で自社がアプローチしたい顧客や視聴後のアンケート結果の商談見込みの温度感によって、商談の機会を獲得することが重要です。
アンケート結果の視聴の満足度や自社が知りたい商談の温度感を確認した上で、見込み顧客毎に丁寧にアプローチすると良いでしょう。
開催後のお礼メールを送る
開催後に参加者へのお礼メールの配信は、48時間以内にしましょう。
リストの整理に時間がかからなければ、できる限り当日中か翌日には「参加への御礼」「視聴した講演コンテンツの添付」「関連するコンテンツやウェビナーの案内」といった参加者が知りたい内容にし、自社製品・サービスにいきなり誘導しないようにすると良いでしょう。
また、アンケートを回収してない場合、回答しやすい項目の「アンケート回収フォームを案内する」ようにしましょう。
温度感の高い見込み顧客へメールやコールをする
視聴中のやりとりやアンケート結果から視聴の満足度やサービスへの興味など温度感の高い参加者には、直接メールやコール等でアプローチするのも有効な手段の一つです。
見込み顧客になりそうなアンケート例)
「もっと○○について具体的な話が聞きたい」
「講義内容がとても参考になり、○○の活用の検討をしたい」
「○○についての課題感があり、具体的な解決手段が知りたい」
「○○製品・サービスに興味を持った」
など
上記のように予め視聴中のやりとりや回収したアンケート結果を元に見込み顧客への回答を用意した上でコンタクトを取ると良いでしょう。
温度感の低い顧客はリストを分けて長期的な関係性を構築する
視聴中やアンケート結果で満足度や回答結果が悪い見込み顧客にアプローチをしても、相手方が求めていない以上は、無理やり商談を獲得するのはむずかしいでしょう。
見込みの高い顧客とリストを分けて、次回また参加や自社製品・サービスに興味を持ってもらえるようなウェビナーやコンテンツを定期的にメール配信をして、温度感が高まるまで関係性を構築するのが良いでしょう。
継続的に信頼関係を築くためには、以下のポイントを押さえるといいでしょう。
定期的なメール配信例)
・見込み顧客に価値ある情報を届けることを心がける(顧客の課題解決につながる情報)
・接触頻度を減らして定期的にコンタクトする(月隔週で2回のメルマガ配信やウェビナー案内など)
何よりも大切なことは、マニュアル化された自動的な案内だけでは顧客と信頼関係を築くことは難しいため、顧客との距離感に応じてコミュニケ―ションを図ることです。
まとめ
オンラインでのイベントが盛んになる中、ウェビナーは質の良いリードを獲得する手段として有効な手段の一つです。従来は各営業担当者のリード獲得するための営業活動のリソースや属人的なパフォーマンスに依存していた企業も、ウェビナーを活用することでより多くの顧客リストや商談獲得ができる可能性があります。
重要なことは、ウェビナー開催前からしっかりと商談を獲得したい視聴者のユーザー像に合わせたテーマや開催内容を実施し、開催後のアンケート回収を元にアフターフォローの体制を設計することです。初めて取り組む場合、しっかりとウェビナーの全体設計をして、上手くいかなかったとしても改善点の振り返りを繰り返して、商談が取れるように工夫すると良いでしょう。
関連記事
この記事をシェアする