会社全体の売上を伸ばすため営業活動に力を入れていても、「なかなか、営業成績が伸びない…」「営業力を強化したいけれど、何から手をつけたらよいかわからない…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
営業力を強化するには、営業力が低い理由を分析し、チームと個人、両方の力を高めることが大切です。本記事では、具体的にどのような取り組みを行えば営業力を強化できるのかを解説します。
目次
営業力が低い理由とは?
営業力を強化させる方法を知る前に、「そもそもなぜ営業力が低いのか」について考えてみましょう。営業力が低い原因を知ることが、営業力の強化につながります。
営業部内での情報共有ができていない
営業力の低さに悩む会社は、部内での情報共有が不十分なケースが多いです。営業担当者だけが、クライアント情報や商談の進捗を抱え込むと、担当者の不在時にクライアントから問い合わせがあっても、ほかの社員が適切にフォローできません。また、途中で営業担当者が交代した際も、引き継ぎ漏れが起こりやすくなり、クライアントからの案件に対する問い合わせの対応ができずに満足度を低下させてしまいます。
このようなトラブルを防ぐためにも、可能な限り、営業部全体で顧客情報や活動状況を共有できる仕組みを作っておきましょう。
担当者間による競争や売り上げ依存
よくある営業組織の各営業員の成績の決め方として、社内の営業担当者同士で成績を競い合う状況が、チーム全体の営業力低下を招くことがあります。切磋琢磨し合い、お互いに高い成果を目指すなら問題ありませんが、足の引っ張り合いをしていては逆効果です。また、一部の能力の高い営業担当者に売上がを依存している場合も営業チーム全体として売り上げが上がるような体制の状況改善が必要です。
現状、チームとしては目標を達成できていても、主に売上を上げている営業担当者が休職・退職することがあれば、事業が一気に傾いてしまいます。チーム内で無駄な競い合いをせず、一部の営業員の営業力によって売り上げを依存しないようなノウハウの共有やナレッジの共有を行いやすい営業組織にすることで、チーム全体で能力を高めることが大切です。
営業の問題点が把握できていない
営業力を強化するには、各営業員や営業活動の全体の問題点を正確に認識することが大切です。自分としては努力しているつもりなのに、満足いく結果につながらないようであれば、受注に至らない原因や障害が把握できていないのかもしれません。原因を追求するには、日々の営業活動の記録・分析・課題の振り返りの仕組みを作ることが重要です。
ただ目標の営業数字を追いかけるだけの活動ではなく、根本的な課題となっている営業プロセスやスキルを解決することが営業力の強化繋がるでしょう。
営業力強化のために必要な2つの要素
「チーム・組織としての営業力」と「営業担当者個人の営業力」両方を強化すると、会社全体の営業力を高められます。それぞれの営業力を高めるには、どのような点を意識すればよいのでしょうか?
チームや組織の強化
どんなに能力の高い営業担当者がいても、チーム力が低ければ、全体の結果に結びつきません。チームや組織の力を高めるには、情報共有が大切です。目指すビジョンをチーム全体で共有すれば、たとえ担当者が異なっても、同じ価値をクライアントに提供できます。
また、問題点やノウハウを共有すれば、効率的に目標達成を目指せるでしょう。
個人の営業力の強化
チーム・組織の営業力を高めると同時に、個人の営業力の強化も目指しましょう。チームとは、個人の集合体です。組織の営業力を強化するためには、営業担当者一人ひとりのレベルアップが欠かせません。せっかくチームのビジョンを共有しても、営業担当者に理解力や行動力が備わっていなければ、結果につながらないからです。
このように、組織が効率的に結果を出すには、チーム力の強化だけではなくと成果を上げている営業員の営業プロセスをモデルケースとして教育するなどの個人のスキルアップ、どちらも大切です。
チームや組織の営業力を強化する方法
チームや組織の営業力が高い会社は、情報共有や人材育成の仕組みが整っています。チームや組織の営業力を強化するには、どのような取り組みを行えばよいのでしょうか?
情報を共有できる仕組み作り
情報を共有し、チームや組織の営業力を強化するには、以下のような取り組みを行いましょう。
・クライアント情報の共有
クライアント情報や案件の進捗状況は、営業担当者だけでなく、チーム内で共有しましょう。情報を共有しておけば、担当者不在時もほかの社員が問題なく対応できます。
・適時ミーティングの実施
情報共有の機会を定期的に設けましょう。チーム内で適宜ミーティングを行えば、問題点やノウハウを共有しやすくなります。
・営業担当者の活動履歴の記録
営業担当者の活動履歴を記録すると、人材育成にも効果的です。上司が部下の営業に同行・同席できなくても、記録を踏まえてアドバイスを行えるでしょう。
・営業プロセスの統一
商談や営業時の必須ヒアリング項目を含め、営業プロセスは属人化せず、営業部門内で統一しておきましょう。有効なアプローチ方法を共有しておけば、チーム全体の営業力強化を目指せます。
・営業ツールの導入
情報共有を進めるには、営業ツールの導入も効果的です。「SFA=Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」などの営業支援に特化したツールを導入すると、個人レベルでの営業ノウハウなども共有しやすくなるでしょう。
営業ノウハウやナレッジを共有
営業力強化のため、特にチーム全体で共有したいのは、営業ノウハウやナレッジです。ビジネスシーンでの「ナレッジ(knowledge)」とは、チーム・組織に有益な情報のこと。個人が体験から得た技術・ノウハウも含まれます。
営業活動は人を相手にするため、対応する業種や用途、顧客の特性によってマニュアルどおりにことが進まないことが多々あります。そんなときに役立つのが、営業担当者それぞれが積み重ねてきた営業ノウハウです。ナレッジを共有するには、受注につながった提案の成功体験を共有できる「顧客情報管理ツール」「社内システムの運用」やチャット機能などを使い随時メンバー同士がコミュニケーションを取れる「グループウェア型」など、さまざまな方法があります。
人材を育てる仕組み作り
営業ノウハウを共有する仕組みが構築できたら、人材育成の仕組みも見直しましょう。前述のとおり、優秀な営業担当者のナレッジをマニュアル化するのも有効です。例えば、自社の商品・サービスを検討いただく上で「必ずヒアリングすべき内容」「商談中に契約に繋がりやすいトークスクリプト」「商談確度の見極め方」といったナレッジをマニュアル化することによっての誰もが同じ手本を見て育つため、同じ水準の営業活動をクライアントに提供できるようになるでしょう。
また、多くの会社では、先輩営業担当者と新人営業担当者が同行し手本を見せる「OJT」教育を取り入れているのではないでしょうか。OJT教育のメリットは、マニュアルだけでは伝えきれないテクニックや空気感を伝えられること。一方で、営業経験が豊富な人にしか分からない感覚的な部分も多く、先輩の営業スタイルを真似たからといって、新人営業担当者がすぐに結果を出せるとは限りません。
効率的に人材を育成するには、よき手本を見せるのに加え、日頃から後輩が先輩や上司に相談しやすい雰囲気を心がけること、そして1対1で質問やコーチングできる場を適宜設けるのも大切です。
各営業員のスキルに依存しづらい成果を出せるようになると、○○さんは数字出てないから営業成績が悪い、といった偏ったネガティブな社内での印象もなくなり、各営業員のモチベーションアップにも繋がります。
営業の手法を増やす
新しい営業手法を学ぶのは、営業力強化への近道です。個人で営業活動を進めていると、いつも同じ手法ばかりに偏ってしまったり、知識の更新がおろそかになってしまったりします。例えば、以下のような社内ナレッジの共有や人材を育てるための仕組みを作るなど、さまざまなパターンの営業手法やノウハウの共有を行うだけでも営業力を高めることにつながります。
- 営業の成功事例・失敗事例
- 訪問アポイントのとり方
- 緊張をほぐすためのアイスブレイクの手法
- 営業トークの切り出し方
- 企画書・見積書を説明する際のポイント
- 契約を断られたときの切り返し方
- 業界の裏知識
動画やデータベース、社内wikiなど、さまざまな手法でこのような営業ノウハウやナレッジを知れば、これまでの自分にはなかった営業の手法を学びやすくなるでしょう。
個人の営業力を強化する方法
チーム・組織の営業力を高めるため、仕組みを整えたら、同時に個人の営業力強化を目指しましょう!個人の営業力を高めるには、具体的にどのような取り組みを進めればよいのでしょうか。
これまでの営業活動の振り返り
まず行うべきは、これまでの営業活動における成功例・失敗例の振り返りです。ただ数だけこなしていても、日々の振り返りを行わなければ、営業の質は変えられません。自分自身で振り返るだけでなく、ときには上司や同僚など、第三者からの意見をもらうようにすると、自分の強みと弱みを正確に把握できるでしょう。
必要であれば、チーム全体の営業プロセスにも反映すると、組織全体の営業力強化にもつながります。
ヒアリング力の強化
営業活動においては、話をする能力以上に、聞く力が重要です。どんなに巧みに商品の説明ができても、クライアントの要望や悩みを正確に聞き出せなければ、受注につながりません。
ヒアリング力を高めるには、営業力が高いメンバーの対応を参考にするのがおすすめです。ヒアリング力を高めれば、すでに自社の商品に十分な興味を持つ方だけでなく、興味を持たないクライアントの無意識下の要望・悩みを聞き取れるようになるため、契約受注につながりやすくなるでしょう。
商品知識を深め提案力を強化
商品を売るためには、自社の商品の機能や訴求ポイントについて知り尽くしておきましょう。自社の商品についてしっかり理解していなければ、クライアントの要望・悩みに合った提案はできません。クライアントから質問があれば、その場ですぐに答えられるのが理想です。商品の仕様を理解しておけば、イレギュラーな要望に対応できることも。
- 自社の商品ならではの機能
- 競合他社との差別化ポイント
- 業界、職種、クライアントのタイプ別訴求ポイント
これらのノウハウを、商品の仕様に詳しい開発部と営業部でまとめ、社内で共有するとよいでしょう。
売れている営業員のノウハウを学ぶ
ベテランの営業員で定常的に売上を上げている社員のノウハウを学ぶのが一番成果に繋がりやすい近道になります。社内でノウハウを共有する仕組みもそうですが、受注に繋がりやすい成功パターンを教えてもらったり、商談に同席させてもらって学ぶのも一つの手段です。
成果が出れば、そのベテランの営業員の自信や営業力強化に貢献したモチベーションのアップやそのノウハウを学んで成果を上げた営業員のモチベーションアップや評価にもつながり、結果として売上アップにつながります。
まとめ
会社全体の営業力が低いのには、さまざまな原因があります。営業力を強化するには、チームや組織の強化と、個人の営業力の強化、どちらも大切です。営業力を強化するには、さまざまな手法があります。動画や、SFAなどの便利なツールや外部のセミナーも活用しながら、自社の営業力強化を目指しましょう。
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