営業部門の人が効率的に働けていないと、会社の商品やサービスを広めるのに時間がかかってしまい、上手く業績につながらないこともあります。また、会社内の働き方改革を行う際にもさまざまな角度から業務改善策を見直す必要があるでしょう。
こちらの記事では、営業部門や会社の業務改善を検討している方に向けて、営業部門の業務改善策について紹介します。まずは営業部門がどういう業務を行う部署なのかを把握した上で、業務改善の前に行うことや具体的な施策について見ていきましょう。
目次
営業部門ではどのような業務が行われているかを把握する
営業部門で行う業務内容について紹介します。どのような業務を行っているのかがわからなければ、どこを改善すれば良いのか分かりません。営業部門にどんな業務があるのか考えていきましょう。
見込み顧客探しなどの新規顧客開拓
営業部門では、新しいお客様を探して自社の商品やサービスを購入・利用してもらえるように提案していく仕事もあります。新規顧客開拓をすることで、顧客層が厚くなり業績拡大につながるでしょう。また、多くの人に認知されれば、それだけ将来顧客になるかもしれない見込み顧客を作れます。
しかし、見込み顧客や新規顧客を開拓する前、どこにアプローチをしたら良いのかなど、顧客情報の収集や管理が必要です。またどのようなアプローチが効果的なのかを探る必要もあるでしょう。
既存顧客へのフォロー
営業の仕事は、新規のお客様を探すだけではありません。現在、自社の商品やサービスを購入・利用してくれている既存のお客様に対してのフォローを行う必要があります。
フォローがなければ「商品の購入のときだけしか連絡がない」や「何もサポートがない」などとクレームの対象となるケースもあるでしょう。既存のお客様のフォローが適切に行われていれば、既存顧客が再度購入してくれたり、友人を紹介してくれたりする可能性が出てくるのです。
ある種、見込み顧客探しや新規顧客開拓の効率化が図れるでしょう。
提案資料や見積り書・請求書などの書類作成
見込み顧客や新規顧客、既存顧客が商品やサービスに興味を示したら、提案資料の作成が必要になります。提案資料をもとに見積り書を作成し、顧客の同意を得られれば、契約に進むでしょう。支払いが必要な場合は、契約時や契約後などに請求書を作成するという流れになるのが一般的です。
営業員は、こういった一連の書類を作成するのも仕事のうちです。自社の商品やサービスの優位性を顧客にどれだけ分かりやすく伝えられるのかが提案資料作成にかかっています。
また見積り書や請求書はミスがないように作らなければなりません。お客様の大切なお金を頂戴するため、間違ってしまうと信用を失う可能性もあるでしょう。
訪問営業
見込み顧客や新規顧客開拓の際には、いわゆる「飛び込み営業」という訪問営業を行うケースもあります。もちろん、既存顧客のフォローのために、お客様の家まで訪問することもあります。
訪問営業以外で考えられるアプローチ方法は、電話による営業やメールを通じた営業などがあります。最近は、SNSを使った営業も考えられるでしょう。
商品やサービスの納品・提供
契約が滞りなく終われば、商品やサービスの納品・提供となります。その際も基本的には契約を担当した営業員が行い、今後の対応もその営業員が行うことを伝えるのが一般的です。そうすることで、お客様と営業員との信頼関係を築き、強固な関係を作っていくのです。
前述の既存顧客のフォローと重なりますが、納品・提供後はそのままにするのではなく、こまめなフォローを行うことで、さらなる営業展開へとつながるでしょう。
営業業務で効率化が重要視される理由
なぜ営業部門で業務の効率的が求められるのでしょうか?ここでは、営業業務の効率化が重要視される理由について紹介します。
昔ながらの営業スタイルを好む人の場合、顧客との関係が希薄になることの不安から、営業部門の効率化を反対するケースもあります。しかし方法次第で、顧客との希薄化を防ぐことは可能です。
売上アップにつながる
最大の理由は、会社の売上アップにつながるからです。例えば、1人の営業員が1日に10人の顧客に電話営業したとします。その中から成約につながる顧客が1人いました。営業員の仕事が効率化され、営業員に時間ができれば、顧客へのアプローチ件数は増えるでしょう。
一概には言えませんが、顧客へのアプローチ件数が増えれば成約件数も増える可能性があります。また成約件数が増えれば会社の売上アップにつながります。
次は他の視点で考えてみましょう。一方の営業員は、顧客との契約のために交通費をかけてあちらこちらへと移動、もう一方の営業員はオンライン商談で契約しました。この場合、同じ売上であっても、交通費がかかった営業員の方が、コストがかかっているために、売上は減ってしまいます。
このように、営業業務の効率化で時間を確保したりコスト削減したりすることで、売上アップにつながるのです。
営業員本人への負担が減る
業務の効率化を行うことで、移動にかかる時間や労力を削減でき、営業員本人への負担を減らすことができます。
先ほどの契約のケースで考えると、交通費をかけてあちらこちらへ移動する営業員は、顧客宅までの交通機関を調べたり到着時間を逆算して予定表を作成したりしなければなりません。そのため、提案書や契約書の作成以外にも時間を割くことになります。
反対に、オンライン商談を利用した営業員は、会社にいながらオンライン商談することが可能です。会社が許可していれば、自宅やレンタルスペースなどでも商談できます。
空いた時間に自己投資!営業の質がアップする
営業部門の業務の効率化ができると、自身の時間を作ることも可能です。趣味の時間を通じて、人脈作りにつながるケースや懇意の顧客担当者と親交を深めることもあります。
また積極的に自社サービスや営業スキルに関連するセミナーや勉強会に参加することで、より幅広い知識が身につきます。
資格取得やセミナー等での学習を通じて学んだ幅広い知識を使えば、顧客との会話や関係性が広がるはずです。また説得力の高いプレゼンにもつながるでしょう。
定時で退社してリフレッシュする
早めに退社して家族との時間を作ってリフレッシュするのも、趣味の時間に使うのも良いでしょう。普段から数字や売上に追われるプレッシャーから解放され、精神的にも安定することによって、モチベーションの維持や継続的な売上貢献への意識が高まるケースもあります。
上場企業であれば、営業効率が上がることによって売上UPだけでなく労働基準法の労働時間の遵守にも繋がるため、勤怠管理のコストやリスクも減ります。
雑務に時間を取られず営業に集中できる
顧客の名刺管理や会話の内容、書類の作成・提出など雑務にかかる時間が多いと、退社時間が遅くなる可能性があります。退社時間が遅い状態が続くと、営業活動に集中できなくなったり営業員が体調不良になったりすることもあるでしょう。
また、営業員の中には営業活動に向いているものの、雑務が苦手な人もいます。そういった雑務の効率化ができると、そういった営業員の負担も軽減できるでしょう。
営業の業務改善で初めに行うこと
営業の業務改善を行う際にまず行いたいことを紹介します。順を追って紹介しますので、業務改善の際も順番通りに進めてみてください。
どのような業務に多くの時間が取られているかをピックアップする
どの仕事でも同じですが、仕事量や内容、取り掛かる順番などを決める際は、棚卸作業のように、抱えている仕事をすべて出してみ必要があります。そうすることで、不要な仕事やまとめられる仕事などが見えてきます。
営業部門すべての人の仕事をリストアップすると、AさんはこれをしているのにBさんはしていないなどの作業がわかります。そうすることでと、営業員別の効率の雑務にかかる時間をチェックすることができます。
本当に必要な業務?無駄な工程の削減を検討
どのような仕事があるのかが見えてきたら、本当に必要な業務なのかを判断していきます。中には不要な業務や自分の役割ではない仕事が含まれている可能性もあります。また、会社独自・自分なりの営業活動の工程がある場合は、無駄な工程がないかチェックしてみましょう。
例えば、見込み顧客の報告を共有ファイルやメールだけではなく、ペーパーに印刷して提出させているケース、逐一営業員の行動を確認するために、連絡をこまめにさせているなどがあげられます。
これらの工程がすべて無駄というわけではありませんが、その営業部門において本当に必要なものなのか、もしくは何か簡単な作業で共有できないのかを考えると良いでしょう。
営業プロセスの標準化
不要な業務や工程の把握ができたら、営業プロセスの標準化を考えていきます。特に営業成績の良い人や作業効率が良い人の営業プロセスを参考にしながら、普段、どのような作業をしているのかをチェックしてみてください。
そうすると、その会社の営業部門における勝ちパターンが見えてくるはずです。データ分析をすることで、根性論ではなく何が不足していてどんな強みがあるのかがはっきりわかるでしょう。これらのことを総合して、独自の営業プロセスを標準化すれば営業員全体の営業力アップにもつながるはずです。
移動や待機時間を有効活用・削減
リモートワークやオンライン商談を活用すれば、移動や待機時間を有効活用できたりコストを削減することが可能です。営業部門では顧客先への訪問が多く「家から会社、会社から顧客先への訪問」という工程をとると、移動時間や待機時間が省けて効率的な活動にも繋がります。
また、オンライン商談を増やすことによって、これまで移動時間やコストで対応できなかった顧客への対応も増やすことができ、リードや商談数も増加しやすくなります。
SFAやCRMを導入して営業管理
営業部門では、各営業員の進捗状況、売上予測、上司やチーム内に自分がどのような業務や活動を行っているかの報告レポートを作成する業務もあります。
これらを実現するために、SFA(Sales Force Automationセールスフォースオートメーション)というツールがあります。類似するツールでCRM(Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)もあります。
まずは各営業員の顧客リストを一元管理し、顧客の状態や活動状況を見える化することができます。
またCRMを導入すると、顧客管理や販売管理、売上予測分析が可能になるため、より顧客別やセグメント別の営業活動の進捗状況が把握しやす区なるためこういったデジタルツールを活用することによっていち早く課題発見や次の活動プランの対策をしやすくなります。
属人化を防ぐために営業工程を共有
営業プロセスの標準化や効率的な営業工程が完成したら、全営業員に共有しましょう。営業部門は営業成績によって社員の評価をすることもあり、トップの営業員に仕事が集中することもあります。それでは他の営業員の営業力は向上しません。
また、ある営業員が担当している顧客情報などを属人的に管理していると、その営業マンしか対応できなくなります。売上が上がりやすい営業員のに案件が集中するため負担が増えていくばかりです。
営業プロセスの中で売れる営業員ではなくても対応できる業務の分担や割り振りを見直すと良いでしょう。そうすることにより、より営業活動の業務バランスが平準化し、売上を上げるための業務に専念することができます。
営業の組織改善にどのような施策が有効か?
営業部門の営業効率化に向けた施策を紹介します。営業プロセスの削減も必要ですが、デジタル技術の積極的な導入が、営業効率化を促進する要となるでしょう。
オフィス内業務の分担
オフィス内で雑務を担当する部門と顧客先への営業活動を行う部門を作るなど、オフィス内業務の分担をするのも有効です。また、DM(ダイレクトメール)の発送やデータ入力を外部に委託するのも良いでしょう。得意な人が得意なことをすると、作業の進捗もスピーディで効率的です。
担当営業マンと連携して顧客のフォローアップを行う営業アシスタントやサポート部門を作るのも良いでしょう。各担当営業の性格や社内での関係性にもよりますが、に言いづらいことをフォローアップアシスタントやサポート担当には話しやすいなど、顧客のニーズを把握しやすくなります。本来かけなくても良い業務を分担することによって、より売上につながる業務に集中することができます。
テレワークやオンライン商談を活用
デジタル技術の導入で真っ先に考えられるのがテレワークやオンライン商談です。テレワークやオンライン商談を導入すると、移動時間や待機時間の削減につながり営業員の負担が減ります。もちろん会社側にとっても、交通費などのコスト削減にもつながるでしょう。
オンライン商談ツールの導入は顧客との利用だけでなく、テレワークなどの社内の会議をオンラインにすることも可能です。
自社サービスサイト内にダウンロード資料などをアップする
自社製品のサービスサイト内に顧客が欲しいと思われる資料をダウンロードできる充実はようにすることによって、顧客開拓につながるでしょう。営業員が、自社の商品やサービスを広めるのも大切ですが、顧客に見つけてもらうのも営業業務の効率化につながるでしょう。
自社でどんな商品やサービスを提供しているのかなどを凝縮した資料をホームページにアップしておくと、顧客からの流入が増えるはずです。
SFAやCRMを導入して業務を効率化する
各営業員の活動に顧客管理や対応方法が属人化している状況であるほど、SFAやCRMツールを活用した営業管理や見える化することがおすすめです。最近では高額のツールだけでなく月額低額コストで運用できるツールも充実しているため、自社の運用にあったものを選ぶと良いでしょう。
他社と差別化できるコンテンツを活用して顧客へアプローチ
顧客へのフォローや新商品・新サービスの案内にメールを利用するケースもあるでしょう。その際に文章だけのメールよりは商品やサービス内容がわかるページを用意して、そのURLをメールで案内するだけで簡単に顧客が理解しやすいコンテンツを案内することができます。また動画を用いることで、ページ内のテキストや画像より分かりやすく情報量を多く入れ込むことができます。
ページや画像の読了だけでなく視覚的に訴えることで、全体像をつかみやすくなり顧客の理解もしやすくなるでしょう。
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まとめ
営業業務の効率化のために改善する方法はいくつもあります。1つだけを見直しても変化は限定的です。営業部門全体を見直し、デジタル技術の積極的な導入で、大きく変化できるでしょう。ただし、デジタル技術の導入にはコストもかかります。
まずは、コストと得られる効率化を天秤にかけ、コストに見合った効率化が手に入るかを検討することをおすすめします。それから、どんな業務があるのかをすべてピックアップして、全体把握することから始めると良いでしょう。
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