「エンゲージメント」というワードは、マーケティング活動をしていく中で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。エンゲージメント率をアップする手段として「動画」は欠かせないコンテンツです。この記事では、そもそもエンゲージメントとは何か、そして動画コンテンツのメリットやエンゲージメント率を上げる動画作りのポイントなどについて紹介します。どうやってエンゲージメント率を上げるのか知りたい方や、今後エンゲージメントをあげるために動画をうまく活用していきたい方は必見です。
目次
エンゲージメントとは?
エンゲージメントとは、「約束、契約、誓約」を意味する言葉です。深いつながりをもつ関係性を表し、マーケティングシーンであれば「企業と顧客の関係性」、ビジネスシーンであれば「企業と従業員の関係性」という意味合いで使われます。
もともとSNSでは投稿閲覧数やクリック数、フォロー数といった単独の数値を参考に、効果を計測していました。しかしSNSは、企業と顧客の双方向でやりとりできる場として活用するものです。この双方の関係性がどれくらい構築できたのかをさまざまな指標をまとめて誕生した指標が、マーケティングシーンにおけるエンゲージメントになります。
顧客エンゲージメント
ビジネスシーンにおいては、「顧客の定着」を意味する言葉として使われ、マーケティング活動においては「企業と顧客との間に生まれる信頼性や絆」「長期間にわたって顧客と親密な関係性」を示す指標として重要視されています。顧客エンゲージメントの獲得によって、プロモーションコストをかけなくても情報発信の強化や効率的な集客ができる、信頼性から契約の継続につながるなど大きなメリットが期待できます。
商品・サービス、ブランドに対する顧客の「信頼」がどのくらいあるか、が一つの指標になります。
例えば、あるブランド商品の情報をSNSで配信した場合、顧客にどのくらい見られているか、コメントやシェアがどのくらいされているか、などが一つの指標になります。
顧客エンゲージメントが高まることで定期的なリピート購入やアップセル、別の商品を購入してくれるクロスセルのきっかけだけでなく、シェアやその顧客同士のコミュニティからの信頼性も相乗効果として考えられます。
社内エンゲージメント
社内エンゲージメントには、「従業員一人ひとりが働きがいや成長を高めて、組織価値を高めていく」「組織が成長することで従業員の働きがいや成長を高める」といった考えがあります。企業と従業員の関係性が強い状態を「エンゲージメントが高い企業」と表現し、従業員が企業を信頼することで意欲的に成長し、組織力が強くなっていけるのです。
HR総研が公開している2022年のアンケートによると、「テレワーク社員とのコミュニケーション状況」や「社内コミュニケーションが円滑か否かの違い」について、7割以上が「自社の社内コミュニケーションに課題あり」「対面が良い派」の割合が昨年より上昇、コミュニケーション不全を防止・抑制策は「従業員アンケート」が最多、大企業では4割という結果になっています。
社内コミュニケーションが不足すると相手が何を考えているか分かりにくいため、会社側としては社員の仕事量の把握やモチベーションの把握が難しくなったり、社員側としては会社の方針や社員同士のコミュニケーション、に影響が出ないかなど不安を抱えたりするケースも出てくるでしょう。
そのためエンゲージメントが高い企業にするための取り組みやどのように効果を検証して、エンゲージメント率を上げていくかが重要になります。
引用:HR総研 社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告2
エンゲージメント率アップには動画コンテンツが有効
近年日本の企業では、出世よりも仕事のやりがいを重視する傾向にあり、さまざまな価値観を持ったメンバーが働きやすい環境を求めるようになりました。また、便利な商品やサービスが市場には溢れていますが、類似品も多く差別化が難しくなっています。こういった個人や社会の変化から、エンゲージメントが注目されているのです。ここでは、エンゲージメント率アップに効果的な動画のメリットをご紹介します。
圧倒的な情報伝達力
動画コンテンツにおける大きな特徴は、聴覚と視覚の両方に訴えられることです。音と動きが視聴者からの注目を集め、数秒で膨大な情報を伝えられる動画は、たった数秒でも高いアピール力があります。
この圧倒的な伝達力で、静止画やテキストのみのコンテンツよりも企業や商品の魅力、こだわりなど、たくさんの情報を相手に伝えたい場合に、より伝わりやすいのがメリットです。また動画には、視聴後のサイト訪問や購買行動にもつながりやすいという調査結果もあり、企業の認知度向上にも効果が期待できるでしょう。
日本では活字離れが加速している
現代の日本では活字離れが急速に進んでおり、普段から本を読まないという人が増えています。そういった人たちへ情報発信する手段として動画コンテンツが効果的です。
インターネットに慣れている人たちは、欲しい情報だけを検索したり、長い記事は飛ばしてまとめ部分だけを読んだりしている場合が多く、テキストのみのコンテンツは読まれにくい傾向にあります。動画コンテンツでは、同じ時間で伝えられる情報量が文字よりも多く視覚にも訴えられるので、テキストだけでは伝わりにくかった情報も伝わりやすくなるのです。
視聴者からのリアクションを促すアクションが起こせる
動画コンテンツでは、配信側から視聴者のリアクションを促すようなアクションを起こすことができます。
YouTubeを例に挙げると、動画の最後に「コメント待っています」「高評価お願いします」などの視聴者のリアクションを促すようなコメントを残すことで、コメントをしてくれたりユーザー登録をしてくれたりと前向きなアクションが起きる場合があります。動画コンテンツでは、ほかにも届いたコメントにこまめに返信したり、気に入ったコメントにリアクションしたり、悪意あるコメントを削除したりと、コメント欄を盛り上げるのも、視聴者からのリアクションが起こりやすくなるでしょう。
エンゲージメント率を上げる動画作りのポイント
エンゲージメント率を上げる動画作りでは、視聴者目線で考えられていることがポイントになります。ここでは、動画作りのポイントを見ていきましょう。動画作りに自信がない、という方におすすめの動画編集クラウドも紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
ユーザー目線に立ったコンテンツ作りを意識
エンゲージメント率を上げる動画作りでは、ユーザー目線に立ったコンテンツ作りがポイントです。ペルソナを設定し、コンテンツのジャンルを絞りましょう。
事前にペルソナが興味ある内容を「いつ」見て、「どんな行動が起きるか」を考えておくと組み立てやすくなります。例えば、「ゲーム」「料理」「コスメ」と幅広い内容のコンテンツにすると、コスメ好きな人が見ても、コスメ以外の3分の2は興味のないジャンルです。興味のない動画を見てもアクションは起きないので、エンゲージメント率が下がってしまいます。
ユーザー目線に合わせた動画は、視聴者に当事者意識を持たせ、内容を自分ごとのように感じるため、動画の内容に引き込まれ、エンゲージメント率の向上にもつながるのです。
BGMや色合い、フォントなどに意識を向ける
動画作りでは、BGMや色合い、フォントも重要です。動画に最適な音楽を合わせるよりも、音楽に合わせて動画を作る方が、よいアイデアが生まれるといわれています。また、色は無意識に感情に影響を与える可能性があり、メッセージを伝える大切な要素です。そして、フォントは明確にメッセージを伝えるための重要なツールであるため、読みやすさを重視しましょう。ただ、これらを全て意識しながら一から動画を作るのは難しいと感じる方もいるでしょう。
動画を配信するSNSなど媒体に合う尺に収める
動画の長さはエンゲージメント率に大きく影響し、2分以内の動画はエンゲージメントが安定するといわれています。ただし、YouTubeやInstagramなど、動画をどの媒体で配信するかによって最適な尺が変わってくるので、おさえておきましょう。
YouTube
YouTubeでは2~3分程度の動画が好まれます。動画の投稿がメインとなるので、長い動画になっても内容がしっかりしていれば、見てもらえるでしょう。
Instagramでは30秒程度の短い動画がおすすめです。たくさんの数の動画や写真が投稿されていて、多くのコンテンツを見たいユーザーが多いため、短い動画であれば最後まで見てもらえる確率が上がります。
Twitterでは30~45秒程度の動画が最適となっています。短いテキスト投稿がよく読まれているので、動画も長いものより、簡潔でインパクトのある内容が好まれるでしょう。
Facebookには45秒~1分程度の動画が適しています。Twitterと比べて、1つの投稿を見るのに費やす時間が長いため、長い動画でも見てもらえる可能性が高くなるでしょう。
関連記事:社内SNSの成功事例4選!必ずおさえておきたいポイントは?
SNSや顧客エンゲージメントアップに動画を活用している事例
動画の活用方法は各SNSによっても配信する時間の最適な尺や配信する内容が重要になってきます。動画でエンゲージメントを高めたいくつかの活用事例を紹介します。
日華化学 イーラル プルミエ(商品・サービス紹介動画)
化学品事業・化粧品事業の領域を手がける界面活性剤メーカー、日華化学株式会社。化粧品事業で展開する美容室専売ヘアコスメブランドの「DEMI COSMETICS(デミ コスメティクス)」と「EraL(イーラル)」では、「Video BRAIN」という動画編集ツールで自社の素材を活用した様々な動画制作と配信を行なっています。主にプロ用の美容コスト商品のInstagramでの訴求や施術時の利用マニュアルなどでユーザーにとってわかりやすい内容になっています。
生活協同組合コープかごしま (商品・サービス紹介動画)
鹿児島市に本部を置き、共同購入や個別配送、店舗事業、SDGsにつながる取り組みも積極的に行っている生活協同組合コープかごしま。従来のテキストによる情報発信に課題を感じ、商品情報や組合の取り組みをよりわかりやすく社内外に広報するために「Video BRAIN」で年間約110本の動画制作を行い、自サイトやSNSで配信した結果、組合理事や組合員からの反響や販売促進力のアップにも貢献しています。
大和リース (社内広報・ブランディング)
PPP・PFI(公民連携事業)、土地活用、商業施設開発・運営、カーリースなど、さまざまな事業を手がける大和リース株式会社。「どう伝えたかではなく、どう伝わったか」を意識した発信を目指しており、社内で動画編集のノウハウが殆どないところから「Video BRAIN」を導入し、広報宣伝部内で新たに制作チームを築き、動画の制作を行っています。新しい工場の紹介動画を社内にも展開したところ、従業員から大きな反響や評価を受けたり、従業員インタビューをを交えた動画を配信したところ、社内で話題になりコミュニケーションの活性化につながっています。
媒体ごとのエンゲージ率計算方法
エンゲージメント率の算出方法はSNSの媒体ごとに変わります。SNS運営には欠かせない一つの指標となるエンゲージメント率について、媒体ごとに計算方法を見ていきましょう。ここでは主要SNSであるYouTube・Instagram・Twitter・Facebookそれぞれ4つの算出方法について紹介していきます。
YouTube
YouTubeのエンゲージメント率は、一般的な人気よりも根強いファンの多さを表す指標となります。「高評価数+コメント数」でエンゲージメント数を評価し、再生回数で割る計算です。
誰もが知っている人気ユーチューバーの動画だからエンゲージメント率が高くなるということではありません。チャンネル登録数が低くても、多くの視聴者が強い関心を持っている動画はエンゲージメント率が高くなり、一定層から支持されているということになります。見応えのある動画を作って、エンゲージメント率を高めましょう。
Instagramでのエンゲージメントは、「いいねの数+投稿の保存数+コメント数」の3つのアクションの合計となっています。TwitterやFacebookと違って、「シェア機能」がないInstagramでは、「保存数」をエンゲージメント指標に活用できます。このエンゲージメントを、表示された回数を示すインプレッション数、または投稿を見たアカウント数を示すリーチ数、もしくはフォロワー数で割って算出した数値がInstagramのエンゲージメント率です。
ハッシュタグから流入することが多い場合は、リーチ数やインプレッション数を活用して算出する方が適切でしょう。運用しているアカウントの反応の発信源がどこからきているのかによって、分母を決めることがポイントです。
Twitterのエンゲージメントは「クリック数+リツイート数+いいね数+フォロー数+返信数」の合計で、この数をユーザーがツイートを見た数の合計を表すインプレッション数で割って算出します。インプレッション数は、同じユーザーが投稿を3回見た場合は、「3」です。
Twitterのエンゲージメント数は、ツイートアクティビティやアナリティクスから詳細をチェックできます。例えば、「動画や画像へのエンゲージメント」や「ハッシュタグのクリック数」「プロフィールのクリック数」などが各アクションの実際の数値になります。
Facebookのエンゲージメント数は「コメント数+いいねの数+クリック数+シェア数」の4つのアクションの合計で、この合計を投稿にリーチした人数で割った数値がエンゲージメント率になります。
投稿のリーチ数とは投稿を見たユーザー数を指し、同じユーザーが同じ投稿を何度見てもリーチ数は1回にカウントされます。
まとめ
「企業と顧客」「企業と従業員」との関係性を示すエンゲージメント。今回はエンゲージメント率アップに欠かせない動画コンテンツについて紹介しました。
動画は投稿するSNS媒体によって適正な尺があり、ユーザー目線のコンテンツ作り、BGMやフォント、色合いによってどれだけ見てもらえるかが変わってきます。多くの人の心に刻まれるような動画作りが大切です。
動画編集クラウド「Video BRAIN」は、初めての動画制作でも簡単に作れる機能が含まれています。さらに配信分析機能では、SNSとデータを連携し、配信タグで動画配信することで、投稿した動画ごとに配信後の分析も可能です。自社で動画を制作し、エンゲージメント率をアップしたい方は検討してみてはいかがでしょうか。
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