目次
この記事の要点
- 社内向け動画の負担は、編集作業そのものより編集の前後で膨らみます。目的が決まらないまま作り始めること、確認と修正の往復が終わらないこと、撮影の手配、作り直しが主な原因です。
- いちばん効くのは、作り始める前に「誰が見て、見た後に何をしてほしいか」を1行で決めておくことです。ここが曖昧だと、確認のたびに方向が変わります。
- 確認は1回で済ませようとせず、構成・仮編集・完成の3段階に分け、段階ごとに見る点を絞ると往復が減ります。完成後に構成から覆るのが、最も手戻りの大きいパターンです。
- 撮影しない作り方(画面録画・スライド・音声合成)を先に検討すると、日程調整と出演者の手配がまるごと不要になります。
- 1本を長くせずテーマごとに分けておくと、内容が変わったときに一部だけ直せます。作り直しの負担はここで決まります。
社内向け動画の制作負担はどこで生まれるか

社内向けの動画を担当すると、多くの場合ほかの業務と兼任になります。研修、業務マニュアル、社内広報、制度の説明など、依頼は部署ごとにばらばらに届きます。
制作の流れは、おおむね次の6工程です。
- 企画:何を、誰に、どのくらいの長さで伝えるかを決める
- 素材の準備:原稿、スライド、画面、写真、撮影映像を集める
- 編集:つなぐ、字幕を入れる、音声を入れる
- 確認:依頼部署や上長に見てもらい、修正する
- 公開:配信先に置き、対象者に案内する
- 更新:内容が変わったら直す
「動画制作は大変」と言うとき、思い浮かべるのは3の編集です。しかし実際に時間を取られるのは、1の企画が固まらないこと、4の確認が往復すること、6の更新で作り直しになることのほうが多くあります。編集ソフトの操作は慣れれば速くなりますが、前後の工程は慣れでは短くなりません。
負担が大きくなる6つの原因
1. 目的と視聴者が決まらないまま作り始める
依頼が「新しい制度を動画で説明してほしい」のような形で届き、そのまま原稿を書き始めるケースです。誰に向けたものか、見た後に何をしてほしいのかが決まっていないため、確認のたびに「もっと背景から説明したほうがいい」「管理職向けの話も入れたい」と要素が足されていきます。
目的が曖昧なまま作ると、確認者ごとに正解が違う状態になります。修正指示がぶつかるのはそのためです。
2. 確認と修正の往復が終わらない
社内向けの動画は、関係者が多くなりがちです。依頼部署の担当者、その上長、内容に関わる別部署、場合によっては広報や法務も確認に入ります。
往復が増える典型は次のとおりです。
- 確認者がそろって見ていない:1人目の修正を反映した後に、2人目から逆の指示が来る
- 見るべき点が決まっていない:構成を見てほしい段階で、文言の細部に指摘が集中する
- 完成してから初めて見せる:完成版で構成から覆り、ほぼ作り直しになる
確認の回数そのものより、後の段階で前の段階の判断が覆ることが負担を大きくします。
3. 撮影と出演者の手配が必要になる
人が話す映像や現場の映像を撮る場合、出演者と撮影者の日程を合わせ、場所を確保し、撮り直しにも備える必要があります。出演者が社外に出ることの多い営業職や管理職だと、日程調整だけで数週間かかることもあります。
また、話し手の映像は後から一部だけ直すのが難しいという性質があります。説明の内容が変わると、その部分を撮り直すことになります。
4. 1本に内容を詰め込みすぎる
せっかく作るならと、関連する内容をすべて1本にまとめると、尺が長くなり、確認する側の負担も増えます。長い動画は確認にも時間がかかるため、確認待ちの期間が延びます。
さらに、1本にまとめた動画は、内容の一部が変わっただけで全体を直す必要があります。次の原因5につながります。
5. 内容が変わるたびに作り直しになる
制度やシステムは変わります。そのたびに動画を直そうとしても、元の編集データが残っていない、作った人が異動していて手順が分からない、外部に依頼したので社内で直せない、といった理由で作り直しになることがあります。
作り直しが重いと、古い動画がそのまま使われ続けるか、使われなくなるかのどちらかになります。
6. 作れる人が1人に集中する
社内で動画を作れる人が限られていると、依頼がその人に集まります。本人の通常業務が圧迫されるうえ、その人が休むと制作が止まります。体裁や作り方も本人の頭の中にしかないため、引き継ぎもできません。
原因と減らし方の対応
| 原因 | 起きること | 減らし方 |
|---|---|---|
| 目的と視聴者が決まらない | 確認のたびに要素が足される | 作る前に「誰が見て、見た後に何をするか」を1行で決める |
| 確認と修正の往復 | 後の段階で判断が覆る | 構成・仮編集・完成の3段階に分け、段階ごとに見る点を絞る |
| 撮影と出演者の手配 | 日程調整と撮り直しが発生する | 画面録画・スライド・音声合成など撮影しない作り方を先に検討する |
| 1本に詰め込みすぎる | 尺が延び、確認も長くなる | 1本1テーマ、短く分ける |
| 内容が変わるたびに作り直し | 古い動画が残る | 分割して作り、編集データと素材を社内に残す |
| 作れる人が1人に集中 | 依頼が滞る・引き継げない | 体裁を型(テンプレート)にして、複数人で作れるようにする |
負担を減らす制作プロセスの考え方

作る前に1行で決める
着手する前に、依頼者と次の3点を合意しておきます。
- 誰が見るか:全社員か、新入社員か、管理職か
- 見た後に何をしてほしいか:申請できるようになる、ルールを守る、問い合わせ先が分かる
- いつまでに、どこで見てもらうか:公開日と配信先
「新入社員が、入社初週に、経費精算を自分で申請できるようにする」のように1行で書ける状態にしてから作り始めます。確認の場面で要素を足したいという意見が出ても、この1行に照らして必要かどうかで判断できます。
確認は3段階に分け、見る点を絞る
完成してから一度に見せるのではなく、段階を分けて確認します。
- 構成:伝える順番と、入れる内容・入れない内容。文字や画面の細部はまだ見ない
- 仮編集:説明の正確さと、分かりにくい箇所。体裁はまだ見ない
- 完成:誤字、表記、画面の映り込みなど最終確認。構成の変更はここでは受けない
段階ごとに何を見てほしいかを依頼時に伝えるだけでも、指摘の方向がそろいます。確認者が複数いる場合は、誰の判断を最終とするかを先に決めておくと、指示がぶつかったときに止まりません。
撮影しない作り方を先に検討する
社内向けの動画は、必ずしも人が話す映像である必要はありません。
- 操作説明:画面録画で作れます。システムの手順説明は、ほとんどがこの形で足ります
- 制度やルールの説明:既存のスライドに音声と字幕を付けるだけで動画になります
- ナレーション:原稿から音声を生成すれば、収録の手配が要りません
撮影が必要なのは、現場の作業手順や、経営層のメッセージなど、映像でないと伝わらないものに限られます。まず撮影しない形で作れないかを考えるだけで、日程調整と撮り直しの負担がなくなります。
1本1テーマで分けて作る
1本を長くせず、テーマごとに分けて作ります。分けておけば、確認する側も短い時間で済み、内容が変わったときは該当する1本だけ直せます。
どこで区切るかは、「内容が変わるときに一緒に変わるもの」を1本にまとめるのが目安です。たとえば申請手続きと承認者の設定が別々に変わるなら、別の動画にしておきます。
型を作り、作れる人を増やす
冒頭のタイトル、字幕の位置と大きさ、締めの案内など、毎回同じになる部分をテンプレートにしておきます。型があれば、担当者が変わっても体裁がそろい、1人に依頼が集中する状態を崩せます。
あわせて、編集データと使った素材を共有の場所に残しておくと、作った人以外でも直せるようになります。作った後の持ち主や見直し時期の決め方は、新人オンボーディング動画の作り方の「作った後の運用」でも整理しています。
どこから手をつけるか
すべてを一度に変える必要はありません。負担の大きさに対して手間が小さい順に並べると、次のようになります。
- 作る前の1行を決める:次の依頼から始められます。費用もかかりません
- 確認を3段階に分ける:依頼部署に段階と見る点を伝えるだけで始められます
- 撮影しない作り方に切り替える:操作説明や制度説明から置き換えていきます
- 型を作る:何本か作った後、共通する部分をテンプレートにします
社内で作るか外部に依頼するかの判断は、別の記事で整理しています。
内製と外注のどちらが向いているかは、社内動画は内製か外注か|研修・マニュアル・社内広報で変わる選び方をご覧ください。
内製する場合の選択肢:Video BRAIN
Video BRAIN は、動画の制作・配信・視聴分析をひとつのクラウド上で行う法人向けのサービスです。この記事で挙げた原因に照らすと、次のように対応します。
- 撮影の手配:ブラウザ・アプリ・デスクトップの操作を最大10分間収録でき、収録した動画はそのまま編集できます。原稿のテキストを入力するとナレーション音声に変換されるため、収録の手配も不要です
- 素材集め:商用利用できる画像・映像・BGM・アニメーション・スタンプを1,000万点以上、無制限で使えます
- 作れる人が1人に集中する:オリジナルテンプレートを登録してチームで共有できるため、担当者ごとに体裁が変わりません
- 作った後の確認:配信した動画ごとに視聴状況を分析でき、結果はダッシュボードで確認するかCSVで出力できます
まとめ
- 社内向け動画の負担は、編集より企画・確認・更新の工程で膨らむ
- 作る前に「誰が見て、見た後に何をするか」を1行で決めると、確認の方向がそろう
- 確認は構成・仮編集・完成の3段階に分け、段階ごとに見る点を絞る
- 操作説明や制度説明は、撮影しない作り方で足りることが多い
- 1本1テーマで分け、型と編集データを社内に残しておくと、作り直しと属人化を防げる
まずは次の依頼で、作り始める前に1行の目的を依頼者と合意するところから試すのが現実的です。
よくある質問
社内向け動画の制作で、いちばん時間がかかるのはどこですか
編集作業より、確認と修正の往復で時間がかかることが多くあります。特に、完成してから初めて関係者に見せて構成から覆るケースが最も手戻りが大きくなります。構成・仮編集・完成の段階ごとに確認すると、後からの大きな変更を防げます。
確認者が多くて修正指示がまとまりません。どうすればよいですか
作り始める前に、最終判断をする人を1人決めておきます。あわせて、確認の段階ごとに何を見てほしいかを伝えると、指摘の方向がそろいます。指示がぶつかった場合は、最初に合意した「誰が見て、何をしてほしいか」に照らして判断します。
撮影なしでも社内向けの動画は作れますか
操作説明は画面録画、制度やルールの説明は既存のスライドに音声と字幕を付ける形で作れます。ナレーションも原稿から音声を生成すれば収録が要りません。撮影が必要になるのは、現場の作業手順や経営層のメッセージなど、映像でないと伝わらない内容に限られます。
1本の動画はどのくらいの長さにすればよいですか
長さの目安より、1本で1つのテーマに絞ることを優先します。内容が変わるときに一緒に変わるものを1本にまとめておくと、更新のときに該当する1本だけ直せます。短く分けた動画は確認の負担も小さくなります。
動画を作れる人が社内に1人しかいません
毎回同じになる部分をテンプレートにして、編集データと素材を共有の場所に残しておくと、ほかの人でも作れるようになります。テンプレートを共有できるクラウド型のツールを使えば、担当者が変わっても体裁がそろいます。
Video BRAIN では撮影なしで動画を作れますか
画面の操作を最大10分間収録してそのまま編集でき、原稿のテキストからナレーション音声を生成できます。商用利用できる素材も使えるため、撮影や収録の手配をせずに社内向けの動画を作れます。
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