目次
この記事の要点
- オンボーディング動画は、毎回同じ説明を繰り返している内容から作ると効果が出ます。歓迎の挨拶や理念の紹介から作り始めると、労力の割に現場が楽になりません。
- 作る順番は、「説明の回数 × 内容の変わりにくさ」で決まります。何度も説明していて、かつ内容が変わりにくいものが最優先です。
- 1本を長くまとめず、5分前後に分けて複数本にするほうが運用が続きます。制度が変わったとき、該当する1本だけ差し替えられるためです。
- ツール選びで見るのは5点です。画面録画・音声生成・字幕・複数人編集・視聴データ。機能数を比べても判断できません。
- 作った後は、動画ごとの持ち主・見直し時期・置き場所を決めておかないと、古くなって使われなくなります。
オンボーディング動画とは何を指すか

オンボーディング動画とは、入社した人が組織で働き始めるまでに必要な説明を動画にしたものです。新人研修そのものとは範囲が違います。
研修が「業務スキルを身につける」ためのものだとすると、オンボーディングは「まず動けるようにする」ためのものです。会社の全体像、就業ルール、社内ツールの使い方、誰に何を聞けばよいか。こうした説明は、入社のたびに誰かが口頭で繰り返しています。
対象になるのは、おおむね次の範囲です。
- 入社前:内定後の会社説明、入社までに準備すること
- 初日:会社の全体像、組織図、就業ルール、施設の使い方
- 最初の1週間:社内ツールの使い方、申請手続き、情報の探し方
- 最初の1か月:各部署の役割、よく使う業務フロー、相談先
新卒の一括入社だけでなく、中途入社が随時発生する会社にも向いています。まとめて説明する機会がないため、そのつど個別に説明することになるからです。
どんな場面で使われているか
オンボーディング動画として作られているものは、大きく4つに分かれます。
業務手順の説明
紙のマニュアルでは伝わりにくい作業手順を、映像で示します。製造現場の組み立て手順、システムの操作画面、店舗のオペレーションなどが該当します。一度作れば入社のたびに再利用でき、OJTの工数が下がります。
実務スキルの習得
接客対応やPC操作など、手を動かして覚えるものです。手元を大きく映したり画面を録画したりすることで、視聴者が自分のペースで繰り返し確認できます。
企業理念や文化の共有
代表メッセージや先輩社員のインタビューです。文字では伝わりにくい雰囲気や価値観を届けられます。採用活動に転用しやすいのもこの種類です。
コンプライアンス研修
法令遵守や情報セキュリティのルールです。具体的な事例を交えた映像にすると、ルールの読み合わせより実務での判断につながりやすくなります。大きな組織でも同じ内容を全員に届けられます。
何から動画にするか

4つとも作ろうとすると、着手する前に止まります。優先順位は次の2軸で決められます。
- 説明の回数:年に何回、同じ説明をしているか
- 内容の変わりにくさ:その内容は何年使えるか
この2つが両方とも高いものから作ります。
最優先になりやすいもの
- 社内ツールの使い方(勤怠、経費精算、チャット、ファイル共有)
- 申請手続きの流れ(有給、経費、備品)
- 情報の探し方(社内ポータルのどこに何があるか)
これらは入社のたびに必ず説明が発生し、しかも数年は内容が変わりません。画面録画に音声とテロップを足すだけで作れるものが多く、撮影も不要です。
後回しでよいもの
- 経営メッセージ、理念の紹介
- 事業内容の詳しい説明
- 組織体制の紹介
理念や歓迎メッセージから作りたくなりますが、入社した人が最初に困るのはそこではありません。「経費精算のやり方が分からない」「誰に聞けばいいか分からない」という具体的な詰まりのほうが先に来ます。また組織体制は変わりやすく、作り直しが頻繁に発生します。
動画の種類と作り方の対応
作りたい内容によって、向いている作り方が変わります。
レクチャー形式(講師の解説+スライド)
座学の研修をそのまま置き換える形です。オンライン会議ツールの録画機能で収録できるため、最も手軽に始められます。
画面録画(システムやツールの操作説明)
社内ツールの使い方に最適です。マウスの動きやクリック位置まで見えるので、初めて触る人でも迷いません。オンボーディング動画では出番の多い形式です。
実写撮影(現場の作業手順、接客フロー)
実際の環境を見せる必要があるものです。安全教育や品質管理では、映像でないと伝わらない情報があります。撮影が発生するぶん、他の形式より手間がかかります。
インタビュー(経営者・先輩社員)
理念や文化を伝えるものです。個人の言葉として届くため、感情面での納得につながりやすい形式です。
1本の長さと本数の考え方
長い動画を1本作るより、短い動画を複数本に分けるほうが運用が続きます。理由は2つあります。
1つめは、更新のしやすさです。制度が変わったとき、30分の動画に1か所だけ変更があると、その1か所のために全体を開いて編集することになります。5分の動画が6本に分かれていれば、該当する1本だけ差し替えれば済みます。
2つめは、見返しやすさです。オンボーディング動画は一度見て終わりではなく、実際にその作業をするときに見返されるものです。「経費精算のやり方」が単独の動画になっていれば、必要なときにそこだけ開けます。30分の中に埋まっていると、探すのを諦めて人に聞くことになります。
目安は1本5分前後、1本1テーマです。手順が長い場合は、工程で区切って複数本にします。
作り方の選択肢
オンボーディング動画は、既存の資料がそのまま素材になることが多い分野です。入社時に配っているPDF、説明用のスライド、手順書のスクリーンショットはすでに社内にあります。企画から作り起こす前に、まず在庫を確認するほうが早く進みます。
制作方法そのものの選び方(内製するか、外注するか、既存資料を動画化するか)については、別の記事で整理しています。
オンボーディング動画に限って言えば、内製に向いています。本数が増えること、制度変更のたびに改訂が入ること、撮影を伴わない内容が多いこと。この3つが揃うためです。逆に、会社紹介や理念のように1本を作り込んで数年使うものは外注が合います。
ツールを選ぶときに見る点

社内で作る場合、ツール選びで見る点は限られています。オンボーディング動画で実際に使う機能は次の5つに収まることが多くあります。
1. 画面録画をそのまま素材にできるか
オンボーディング動画の多くは、ツールの操作説明です。画面録画が扱えないと、この時点で成立しません。1回あたりの収録時間に上限があるツールもあるため、長い手順を録る場合は確認しておきます。
2. 原稿から音声を作れるか
ナレーションを録音する運用にすると、担当者の予定を押さえる必要が出てきて、更新が止まります。原稿を直せば音声も差し替わる形にしておくと、改訂が続きます。
3. 字幕・テロップを自動で付けられるか
オンボーディング動画は、入社直後に自席や自宅で見られることが多くあります。音を出しにくい環境でも内容が伝わるよう、字幕は入れておくほうが無難です。
4. 複数人が編集できるか
作れる人が1人だけの状態にすると、その人に依頼が集中して滞ります。人事だけでなく、情報システムや各部署の担当者が自分の担当分を作れる形にしておくと、本数が増えても回ります。
5. 誰がどこまで見たかが分かるか
就業ルールやコンプライアンスなど、視聴したことを確認したい内容があります。誰が視聴したか、最後まで見たかを記録できるかは、配信先の環境も含めて確認しておきます。
機能の項目数を比べても判断できません。上の5つが自社の運用で成立するかだけを見れば足ります。
内製する場合の選択肢:Video BRAIN
Video BRAIN は、動画の制作・配信・視聴分析をひとつのクラウド上で行う法人向けのサービスです。上の5点に照らすと、次のように対応します。
- 画面録画:ブラウザ・アプリ・デスクトップの操作を最大10分間収録でき、収録した動画はそのまま編集できます
- 音声生成:原稿のテキストを入力するとナレーション音声に変換されるため、収録の手配が不要です
- 素材:商用利用できる画像・映像・BGM・アニメーション・スタンプを1,000万点以上、無制限で使えます
- 複数人での運用:オリジナルテンプレートを登録してチームで共有できるため、担当者ごとに体裁が変わりません
- 視聴データ:配信した動画ごとに視聴状況を分析でき、結果はダッシュボードで確認するかCSVで出力できます
個人ごとの視聴履歴や受講管理が必要な場合は、社内の学習管理システムなど、動画を配信する先の仕組みとあわせて確認してください。
導入している企業の例
株式会社アイジーコンサルティング(住宅・リフォーム)
上司から教わる営業教育では、上司ごとの経験に基づくアレンジが加わり、教わる内容に差が出ていました。そこで伝えるべきポイントを動画の教材にまとめ、新人が後から復習できる形にしています。2022年4月公開の事例では、以前は「新入社員は1年目に1件でも受注をいただければすごい」と言われていたなか、1年間に4件の契約を獲得した新入社員の例が紹介されました。担当者は、動画で後から復習できたことも理由の一つかもしれないと話しています。
株式会社アクティオ(建設機械レンタル)
2019年に人事部が導入し、採用動画の内製化から始めました。その後、間接材調達部が社内の購買システムの操作説明に活用しています。約100ページある紙のマニュアルを補う動画を、業務を知る担当者が自ら制作。2025年1月公開の事例で、担当者は社内からの問い合わせが減ったことを実感していると話しています。
→ アクティオの導入事例(採用動画)/アクティオの導入事例(購買システムのマニュアル動画)
作った後の運用

オンボーディング動画で最も多い失敗は、作ったものが古くなって使われなくなることです。制度やツールは変わるため、動画も変わり続ける必要があります。
続けるために決めておくとよいのは、次の3つです。
- 誰が持ち主か:動画ごとに、内容の責任を持つ部署を決めておきます。決めていないと、制度が変わったことに誰も気づきません
- いつ見直すか:年1回など、内容に変更がなくても確認する時期を決めておきます
- どこに置くか:見たいときに探せる場所に置きます。共有ドライブの奥に入っていると、結局は人に聞くことになります
あわせて、入社時に「どの動画をいつ見るか」を一覧にしておくと、受け入れる側の負担も減ります。動画を用意しただけでは見てもらえません。
つまずきやすい点
1本に複数のテーマを詰め込む
重要な部分が埋もれます。「1動画=1テーマ」を守ると、見たい内容にすぐ到達できます。
社内用語をそのまま使う
業界特有の言い回しや社内の略語は、入社した人には通じません。冒頭で定義を示してから本題に入ります。
ファイル名が内容を表していない
「業務マニュアル_01」のような名前だと、本数が増えたときに探せなくなります。「経費精算の申請方法」のように、中身が分かる名前にしておきます。
作って終わりにする
公開したことが目的になりやすい分野です。次の章の指標を決めてから作り始めるほうが、改善が回ります。
効果をどう測るか
少なくとも次の3つは確認しておくと、次に何を作るかが決まります。
- 視聴されているか:作ったのに再生数が伸びない動画は、置き場所か案内の問題です
- どこで離脱しているか:同じ位置で離脱が起きるなら、その部分が長いか分かりにくい可能性があります
- 同じ質問がまだ来ているか:動画にしたのに問い合わせが減らないなら、動画の存在が知られていないか、内容が答えになっていません
3つめが実質的な指標です。オンボーディング動画の目的は、繰り返し発生していた説明をなくすことなので、説明の回数が減ったかどうかで判断できます。
まとめ
- 動画にするのは、何度も説明していて、内容が変わりにくいものから。理念や歓迎メッセージは後回しでよい
- 1本5分前後、1本1テーマに分ける。更新のしやすさと見返しやすさが変わる
- 既存の資料が素材になる。企画から作り起こす前に在庫を確認する
- ツール選びで見るのは5点。画面録画・音声生成・字幕・複数人編集・視聴データ
- 作った後は、持ち主・見直し時期・置き場所を決めておかないと使われなくなる
まずは繰り返し説明している手順を1本、画面録画で作ってみるところから始めるのが現実的です。
よくある質問
オンボーディング動画の長さはどのくらいが適切ですか
1本5分前後を目安に、1つの動画で1つのテーマを扱う形が続けやすくなります。長い手順は工程で区切って複数本に分けます。分けておくと、制度が変わったときに該当する1本だけ差し替えられます。
何から作り始めればよいですか
年に何度も同じ説明をしていて、かつ内容が数年変わらないものからです。社内ツールの使い方、申請手続きの流れ、情報の探し方が該当しやすく、いずれも画面録画で作れるため撮影が要りません。理念や歓迎メッセージは後回しで構いません。
動画を作るのに編集スキルは必要ですか
テンプレートが用意されたクラウド型のツールを使う場合、資料作成に近い操作で制作できます。専門的な編集ソフトの知識がなくても始められる形になっています。
新卒と中途で内容は分けるべきですか
前提知識が違うため、分けたほうが伝わります。新卒には基本的な業務知識やビジネスマナー、中途には自社固有のルールやシステムの操作を中心に構成すると、それぞれに必要な情報が届きます。
効果はどうやって測りますか
視聴されているか、どこで離脱しているか、同じ質問がまだ来ているかの3つを見ます。特に3つめが実質的です。動画にしたのに問い合わせが減らないなら、存在が知られていないか、内容が答えになっていません。
オンボーディング動画は採用活動にも使えますか
理念の紹介や先輩社員のインタビューは、採用向けにも転用できます。ただし社内向けと採用向けでは伝えたいことが違うため、そのまま使い回すより、必要な部分を編集し直すほうが効果的です。
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