最近では、動画を視聴するだけではなく、自分でも動画を配信しているという方も増えてきました。また、企業でも動画を使った施策を行うことが少なくありません。
しかし、動画配信をする方が増えた一方、解像度とアスペクト比についての知識を知らないまま動画制作を行っている方も多いようです。実は、解像度とアスペクト比にはさまざまな種類があり、利用するSNSによって、適したフォーマットが異なる場合があります。そのため、動画配信を行うにあたり、知っておくべき知識の1つです。
配信している動画をより見やすく投稿したい方や、さまざまなプラットフォームでの動画投稿を考えている方は、解像度とアスペクト比を理解することで、動画制作の幅が広がるでしょう。
本記事では、動画サイズの用語やSNSごとのアスペクト比について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
動画サイズの用語解説
動画サイズを考える際に知っておくべき用語が、「解像度」と「アスペクト比」です。
動画制作において、最適な解像度とアスペクト比を選べるかどうかで、ユーザーの視聴しやすさは大きく異なります。そのため、せっかく制作した動画も見づらくなってしまう可能性があります。解像度とアスペクト比の正しい理解を深めることは、動画制作をするための第一歩。ここでは、動画サイズの用語を具体的に解説します。
1)解像度
解像度は、動画を制作する際には解像度も重要です。
解像度は「映像の密度」を表す単位で、1インチ内に含まれるドット(ピクセル)の量を表しています。
動画はピクセルとよばれる点が縦横に並んで画像を作り上げており、解像度が高くなればなるほどきめ細かな動画となり、鮮明で詳細な高画質動画となります。低いとぼやけて文字などが読み取りにくくなります。
一般的によく使われる動画サイズの名称と解像度は以下の4つです。
(1)SD(480p) 画素数:854×480
ほとんど使用されなくなりましたが、2011年まで使用されていたアナログ放送の解像度です。
(2)HD(720p) 画素数:1280×720
現在の放送の主流のサイズとなります。
(3)フルHD(1080p) 画素数:1980×1080
よくフルハイビジョンと呼ばれており、現在のBlu-rayディスクやデジタル放送の最大の解像度となっています。
(4)4K(2160p) 画素数:4096×2160
フルハイビジョンの4倍の画素数を持っています。
高品質な動画を制作するためには十分な解像度が必要ですが、高ければ良いというわけではありません。解像度が上がるほど動画の容量が大きくなり、編集処理やアップロードに長い時間がかかるためです。通信環境によっては読み込みに時間がかかり、ユーザーが離脱する原因にもなるため、適切な解像度を設定することが大切です。
2)アスペクト比(画像比率)
アスペクト比とは、テレビやインターネット動画などの映像の横の長さと縦の長さの比率を表した数値のことです。
近年、よく使われるアスペクト比は「16:9」のワイドサイズ。現在の地上波デジタル放送やDVDなどの多くに使用されているため、お馴染みのサイズです。
「16:9」のワイドサイズに対して、デジタル放送に切り替わる前の主流のアスペクト比が、「4:3」の比率でスタンダードと呼ばれています。
デジタル放送前に作成された昔のアニメの再放送などを現在のテレビで見ると、両側に黒い部分があるのに気付く方も多いでしょう。これはスタンダードサイズの作品をワイドサイズの画面で放送していることによるものです。
その他、「WXGA」や「シネマスコープ」と呼ばれる比率も利用されているケースがあります。
動画を配信する媒体によってさまざまな画面比率が存在し、動画制作の際はこの画面比率を念頭に置く必要があります。制作者のイメージどおりにユーザーに視聴してもらうためには、適切なサイズで制作するようにしましょう。
動画における解像度やアスペクト比の重要性
動画制作において、初めに行わなければならないのが、解像度とアスペクト比を決めること。理由は、以下の2点です。
・動画編集の途中で解像度とアスペクト比を変更することは、非常に難しい
・動画を配信するプラットフォームをどこにするか、どのデバイスでの視聴を前提としているかによって、最適な解像度とアスペクト比が違ってくる
例えば、YouTubeの動画の多くはアスペクト比「16:9」で作られている一方で、Instagramでは「1:1」が主流。このようにプラットフォームごとにアスペクト比は異なるのです。加えて、パソコンやスマートフォンなどの異なるデバイスごとでも、最適なアスペクト比と解像度は変わってきます。
アスペクト比や解像度を動画編集の最中に変更するのは難しいため、編集作業の最初にどのプラットフォーム、どのデバイスでの動画視聴を前提にするのか決めておくことが大切です。
動画制作での一般的なアスペクト比
動画配信プラットフォームごとに異なったアスペクト比が推奨されているため、多くのアスペクト比があり、どのアスペクト比を使用するのかが重要です。適切なアスペクト比を使用しないとユーザーに与える印象が悪くなり、違和感を与えてしまう可能性があります。
例えば、YouTubeのパソコンで見た時の基本の動画比率は「16:9」のワイドです。
制作した動画がワイド以外だと、ユーザーの視聴環境に合わせて自動的にサイズが自動的に調整されます。
一方、AndroidやiOSが搭載されたスマートフォンでは、プレーヤーが自動的に動画のサイズを調整します。画面比率は元の動画と一致しますが、縦型、横型、正方形のどの動画でも画面全体に表示されます。
正方形や縦向きの動画はサイズが「縦長」になり、ワイドスクリーンの動画では「横長」に表示されます。
プラットフォームごとにどのアスペクト比が適しているか、しっかりと確認しておきましょう。
1)スタンダード(4:3)
「4:3(スタンダード)」は、デジタル地上波放送の開始前に主流であったアスペクト比です。
アナログテレビや古いパソコン画面で使用されていました。現在、スタンダードサイズで動画制作することはほとんどなくなりました。しかし、一部のセミナー会場などではスクリーンが「4:3」サイズであるため、セミナーに使用する動画を作成する時にスタンダードサイズを使用する機会は残っています。
「4:3(スタンダード)」では、640p×480pの解像度が主に使われています。
2)ワイド(16:9)
現在の地上波デジタル放送に採用されているアスペクト比が、「16:9(ワイド)」です。
地上波デジタル放送以外にも、アニメDVDなど多く使用されており、YouTubeなどの動画配信サービスでも主流にもなっているので馴染みのあるサイズといえます。
「16:9」で主に使われている解像度は、「1280p×720p」。ノートパソコンやスマートフォンなどで多く使用されています。解像度1920×1080も同じく「16:9」のアスペクト比で使用されており、こちらは高画質の液晶テレビやパソコンのディスプレイで使用されています。
3)WXGA(16:10)
アスペクト比「16:10(WXGA)」は、パソコンのディスプレイ、プロジェクタに採用されています。
アスペクト比「4:3」のXGAをワイド化したもので、主流の解像度は「1280×800」。さらに、「WXGA」から縦横共により広げた「WXGA+」や、縦横比を2倍に広げた「WQXGA」などもあります。
4)シネマスコープ(2.35:1)
劇場公開されている多くの映画が採用しているアスペクト比が、「2.35:1(シネマスコープ)」です。
最近では、「16:9(ワイド)」とは雰囲気が異なった演出をすることができるという理由で、ドラマやテレビCMなどでも採用されることが増えてきました。YouTube動画でも、コントロールバーやタイトル文字が見やすくなるなど、雰囲気を変えることができるため、「2.35:1(シネマスコープ)」を採用する方も増えています。
主な解像度は1920×817.02です。
5)縦撮り(9:16)
スマートフォンの普及により、「9:16(縦撮り)」が主流の1つとなりました。
手軽にスマートフォンを縦向きのままで撮影したり、画面を傾けずに動画を視聴する機会が増えたため使用されることが増えたのです。また、人気の動画配信アプリ「TikTok」に採用されたり、Instagramで利用できるインスタライブも「9:16(縦撮り)」が使用されています。
最近はパソコンを使用せずにスマートフォンで動画視聴する方も増えたことから、今後も幅広く使用されていくアスペクト比だといえます。
6)スクエア(1:1)
スマートフォンの普及により、縦割りと共に多く使用されるのが「1:1(スクエア)」です。
Instagramが推奨サイズとしたことで、スマートフォン用の動画広告などに多く使用されるようになりました。一方で、パソコンやタブレット端末で再生すると違和感があるため、利用する場面をしっかりと理解しておかなければなりません。
SNS等で推奨される動画の解像度とアスペクト比
どの動画プラットフォーム、SNSで使用するかによって、最適な解像度とアスペクト比が変わってきます。ここでは、主な動画配信プラットフォームやSNSで推奨されている動画の解像度とアスペクト比をまとめますので、ぜひ参考にしてください。
1)YouTube
YouTubeが公式で推奨しているアスペクト比は、「16:9(ワイド)」。解像度は1280×720が主流となっています。
ワイド以外の動画は、YouTube側がユーザーの視聴環境によって、自動的にサイズを変更する仕組み。スマートフォンでの動画再生も同様に、自動的にサイズが変更されるため、視聴環境が良好でなくても問題なく動画視聴が可能です。
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2)Instagram
Instagramの普通の動画投稿では、「1.91:1」「1:1」「4:5」のアスペクト比、解像度は「600×315」「600×600」「600×750」が推奨されています。
Instagramでは普通の動画投稿の他、「ストーリーズ」というスライドショーのような投稿方法が用意されています。ストーリーズでは、普通の動画投稿とは別にアスペクト比「9:16」が採用されており、推奨されている解像度は「1080×1920」です。
Instagramはスマートフォンでの使用を前提とされたアプリのため、採用されている3種のアスペクト比は、スマートフォンの動画投稿サイズの標準として認知されています。
3)Facebook
Facebookには複数の動画投稿方法があり、それぞれに推奨されているアスペクト比があります。
具体的な推奨アスペクト比は以下の通りです。
(1)フィード投稿……「4:5」
(2)Facebookストリーズ……「9:16」
(3)動画カルーセルフォーマット……「1:1」
(4)インストリーム動画……「16:9」
Instagramと同様に、投稿方法に合わせてアスペクト比を決める必要があります。
4)Tiktok
Tiktokは、若者に人気のスマートフォンアプリ。スマートフォンで撮影し、投稿するのが標準となっているためアスペクト比や解像度を気にせずに使用することが可能です。
パソコンで編集した動画をTiktokに投稿する場合、推奨されているアスペクト比は「9:16(縦撮り)」、解像度は「1080×1920」とされています。
また、Tiktokで広告出稿する場合、「9:16」「1:1」「16:9」の3パターンのアスペクト比が用意されていますので、広告出稿する場合には、事前に選んでおくのがおすすめです。
5)Twitter
Twitterの動画投稿における推奨アスペクト比は、「1:2.39」から「2.39:1」となっており、この範囲であれば問題なく投稿できます。最大解像度は「1920×1200」、最小解像度は「32×32」です。
Twitterで動画広告を出稿する場合の推奨アスペクト比は「1:1」となっていますが、「9:16」と「16:9」のアスペクト比にも対応しており、選択肢は広いです。また、推奨解像度は「1200×1200」となっています。
6)LINE
LINEのタイムライン機能で動画を投稿する場合、推奨されるアスペクト比と解像度は以下の3種類です。
(1)「16:9」、240×135~1920×1080
(2)「1:1」、600×600~1280×1280
(3)「9:16」、125×240~1080×1920
普段、LINEでの動画投稿の際、スマートフォンから行うことが多いです。そのためアスペクト比と解像度については、それほど気にすることはありません。LINE広告などを利用する方は、幅広い選択肢の中から最適なアスペクト比と解像度を選べます。
7)Vimeo
日本ではYouTubeほどの知名度はまだありませんが、広告なしで動画視聴ができるなどで差別化を図っている動画配信サイトがVimeo。厳しい規約のもと、プロのクリエイターが多い傾向にあります。
Vimeoでは、クリエイターが投稿する作品によって適したアスペクト比が異なるため、特に推奨されているアスペクト比はありません。
極端にアスペクト比が設定されている場合、表現の幅が狭くなってしまうため、多くの動画のアスペクト比は「16:9」で投稿されているのが現状です。
8)ニコニコ動画
ニコニコ動画は、動画再生中にリアルタイムにコメントを付けられるのが特徴です。
推奨されているアスペクト比は「16:9」。また、解像度は最大「1920×1080」となっており、画質は低めに設定されています。
9)デジタルサイネージ
設置するディスプレイのインチサイズの大きさによって、幅(mm)と高さ(mm)は大きく異なりますが、アスペクト比は「16:9」か「4:3」のいづれかで配信するケースが殆どです。
一般的な32インチ以上のサイネージとFHDサイズ(フルハイビジョン)「1920×1080」が多いですが、さらに大型のディスプレイで写しても映像が綺麗な4Kサイズ「3840×2160」もあります。
デパートや店舗、家電量販店などの商品棚などでよく使われている電子POPサイネージは、置かれている機種によって解像度が異なりますので、必ず確認するようにしましょう。
各種SNSに合わせたアスペクト比にできる動画編集ツールがおすすめ
動画配信プラットフォームやSNSで最適な解像度とアスペクト比がそれぞれ異なっているため、同じ内容の広告であっても、複数のプラットフォームに投稿する場合は、それぞれに合わせた動画を作成する必要があります。このような手間を減らすことができるのが、クラウド上で行える動画編集ツールの「Video BRAIN」です。
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動画制作や編集経験はないものの、動画広告の運用を検討している方は検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
普段、テレビやYouTubeなどで見ている動画に、どんな動画サイズが使用されているか意識されている方はあまりいないのではないでしょうか。サイズに違いが出るのは、動画の制作側が視聴者に違和感ないように、適したアスペクト比を採用しているためです。
SNSの浸透によって、個人が動画を配信する機会は飛躍的に増加。視聴者にとって見やすい動画を制作するためには、最適なアスペクト比を選ぶことが必要です。これから動画配信や広告動画の制作を考えている方は、自分の投稿したいプラットフォームの推奨サイズを知っておくことをおすすめします。
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