営業担当者が身につけておくべき知識やスキルには、ビジネスマナー、ヒアリング、プレゼンテーション、交渉などさまざまな内容があります。従来の研修では、担当する講師の営業経験などによって研修の内容や質にばらつきがあるという課題があります。
そのため、営業研修を行う際は、内容の理解が深まるだけでなく、育成コストの削減や育成手法の統一、業務の効率化といったメリットのある動画が活用される機会が増えています。
この記事では、営業研修での動画の使用例を紹介するだけでなく、動画作成時や営業研修を実施する際のポイントをわかりやすく解説します。
目次
営業研修における動画とは
営業研修において動画は、さまざまな用途で使われています。
例えば、集合研修を録画し研修用の動画として使用するケースがあります。リアルの集合研修と同程度の内容を再現できるため、理解しやすいだけでなく、集合研修に参加できなかった人でも動画を視聴でき、くり返し視聴することで内容の理解が深まる点もメリットです。
このほかに各営業担当者が身につけておくべき営業活動の流れや商品の訴求ポイントを説明した研修や、商談を獲得するために必要なヒアリング項目、成約に至った商談のやりとりなど、スキルアップを目的とし様々な用途で活用されています。
また、営業担当者の採用活動においても、優秀な成績やカルチャーを体現している社員にインタビューした動画を掲載することで、同じような意識や共感ができる人材を獲得するためのコンテンツとして活用できます。
営業研修 | テキストでは伝えにくい自社の商品の知識や顧客や競合他社と比較した時の訴求ポイント、営業活動の一連の流れなどの基本的な知識や営業活動において身につけておくべき基本的な業務内容を動画でわかりやすく伝えることができ、習得すべき知識・スキルの質と内容を口頭で説する必要がなくなります。 |
スキルアップ | 商談や成約を獲得するために必要なヒアリング項目や商談中を獲得しやすいポイント、成約した商談のやりとり事例など、これまで各上司や指導者が行っていた業務を繰り返し行う必要がなくなります。 また、新商品をリリースする際に各営業担当者に案内する商品の概要・特徴やセールスポイントを個別に伝えなくても一斉に伝えられます。 |
人材採用 | 自社のカルチャーや理想的な営業活動の例となる社員のインタビューや、採用予定の営業部門の業務紹介、メンバー紹介、業務風景といった動画を掲載することで、より入社への意欲や入社後のイメージがしやすくなります。 |
営業研修に動画を用いるメリット
営業研修に動画を用いることで、育成コストの削減、育成手法の統一、内容理解の促進、業務の効率化が可能となるため、これらの問題を解決できます。
育成コストの削減
各営業担当者や新入社員への研修に係る上司や人事担当者などの人的なコストだけでなく、研修対象の従業員が多い集合研修の場合、研修会場の費用や講師謝礼、参加者の交通費や宿泊費といったさまざまな費用が発生します。
一方、営業研修用に動画を作成して活用する場合、動画作成するための運用や作成時のコストはかかりますが、各営業担当者毎や集合研修で必要となる費用を大幅に削減できます。さらに、動画の内容に変更がない限り、同じ動画を何度でもくり返し使用できるため、上司や社内の研修コストをかけなくても各営業担当者の空き時間やリモートワークなどの環境でも必要なタイミングで学習することができます。
育成手法の統一
営業活動は、一つの事業活動だけでなく、各事業所や関連会社、取り扱っている商品・サービスによっても営業活動の方針や活動方法が大きく異なるケースがよくあります。そのため、活動拠点やその上司の教育方針などによっても、内容や教え方が大きく異なるという大きな課題がよく見受けられます。
また、研修用の動画を作成することで、研修担当の講師の教え方の違いによるブレを無くし、質の高い研修内容を、研修会場のコストや各研修担当、個別指導が不要になるなど、常に動画で閲覧することで繰り返し学習することができます、
内容を理解しやすい
文字情報が中心となるテキストや印刷した資料を研修資料として配布する場合、テキストに書かれている文字や図、イラストからしか情報を得られません。
営業研修用に動画を用いた場合、研修の担当者や上司による口頭などでのニュアンスの教え方の違いが少なくなり、繰り返し閲覧できることで各営業担当者や営業組織全体でも学習しやすくなります。
また、営業研修以外で活用する場合も、上記同様に伝えたい内容や学習してほしい点を伝えやすくし、社内共有や学習コストを削減するメリットもあります。
業務を効率化できる
従業員数が多い事業会社において、一般的には集合研修は研修を実施する度に、研修担当者や指導役の稼働が必要になります。研修内容は同じでも毎回異なる対象の社員に行うことが多いため、研修内容や種類が増えるほど、「研修担当者や指導役の拘束時間が増えてしまう」という問題があります。
一方、営業研修用に動画を作成した場合、同じ研修内容で適切な学習してほしい内容を動画にして配信できれば、研修担当者や指導役の社員を毎回稼働させる必要はありません。
そのため、作成済みの動画を配信するだけで研修が行えるため、業務の大幅な効率化につながります。
営業研修における利用シーンの代表例
営業担当者に求められる知識・スキルとして、ビジネスマナー、ヒアリング、プレゼンテーション、交渉、クロージングといった能力があげられます。
営業研修に動画を用いることで、費用を抑えながら短時間で効率良く学習を進められるでしょう。
さらに、営業経験のない新人のワークショップにも動画を活用できるため、さまざまなシーンで営業研修に動画が利用されています。
以下のような活用例があります。
ビジネスマナー
営業担当者にとって最低でも社会人や営業活動においてのビジネスマナーを身につけておかなければ、どれだけ提案力やプレゼンテーション能力に長けていたとしても、顧客からのイメージが悪くなってしまいます。特に新人の場合は、ビジネスマナーを最初に身につけることで、商談などに良い影響を期待できます。
ビジネスマナー研修の例には、言葉遣いや名刺交換の仕方、アポイントや商談の取り方といった内容があげられます。
ヒアリング
顧客の課題・ニーズを解決するために適切な提案を行うためには、顧客とのコミュニケーションを通じ、現在抱えている悩みや問題点をヒアリングしながら引き出すことが求められます。そのため、顧客に響く提案を行うためには、事前のヒアリングを通じて顧客のニーズを把握することが重要です。
顧客へのヒアリングの手順やヒアリング項目を営業研修用の動画にすることで、具体的にどのような内容を聞き取るかだけでなく、聞き取りを行う順番や声のかけ方などをわかりやすく伝えられるため、経験の浅い社員への営業研修に役立つ活用方法です。
プレゼンテーション
自社製品の特徴や魅力を顧客に伝え、購買につなげるために、プレゼンテーション能力の充実が営業担当者には求められます。また、競合に対して、同様に差別化するためのプレゼンテーション能力が重要になります。
プレゼンテーション能力を高めるためには、話し方のノウハウだけでなく、スライド作成に関わる能力も必要になります。聞き手の心を動かす話し方やパフォーマンスの方法、自社の商品の魅力や特徴を具体的に伝えられるスライド作成のノウハウを営業担当者に身につけさせることが重要です。
営業研修用に動画を作成することで、スライドの作成手順を具体的に伝えられるだけでなく、身振り手振りを含めた話し方もわかりやすく伝えられます。
交渉
顧客との交渉は、商品の購入や契約してもらう上で営業担当者にとって主要な業務です。交渉の際には、状況を的確に整理し、顧客の立場や要望を理解し、顧客と良好な関係を築き継続することが求められます。
交渉力を高めるためには、交渉に必要な基本的な知識だけでなく、ロールプレイングを通じて実践の機会を持つことが重要です。
動画を営業研修に用いることで、毎回上司や指導者が口頭で教えることなく交渉力の土台となる基本的な知識を学べます。さらに、ロールプレイングの様子を録画し振り返ることで、営業担当者が交渉を行う際のシミュレーションをしやすくなるでしょう。
クロージング
ヒアリングやプレゼンテーションといった提案を通して、売上の見込み顧客が自社商品・サービスに興味を示し、購買意欲が高まった状態でも、クロージングを行わない限り契約の締結に至らないケースがあります。
もし適切なタイミングでクロージングを実施しなければ、購買意欲が低下し、競合他社に契約を取られる可能性があり、商機を逃してしまいます。
そのため営業活動において、クロージングは顧客にとって適切な購買意欲のタイミングで自社の商品の購買を後押しする最重要なプロセスと言えます。
営業研修に動画を制作するポイント
営業研修用の動画を作成する際は、「動画を視聴する人材の習熟度に合わせた内容にする」だけでなく、「行動を促す研修内容にする」、「1本当たりの動画時間を短くする」といったコツやテクニックを活かすことが大切です。
人材の習熟度に合わせた内容にする
動画を制作する際は、視聴する人材の習熟度、いわゆるターゲット層を明確に定めることが重要です。
例えば、営業経験の浅い社員向けに製品説明用の動画を作成する場合は、基本的な用語の解説や製品を発売するに至った背景など詳しく説明する必要があります。
動画を視聴する時間を短くする
営業研修のテーマ別など、動画1本当たりの時間をできるだけ短くすることで、営業担当者が空き時間に動画を視聴しやすくようになります。
例えば、動画の視聴も営業研修のテーマで30分の動画を作成した場合、各営業担当者は30分はまとまった時間を空ける必要があります。複数回に分けて動画を視聴することも可能ですが、本来は営業活動に注力して活動量を効率化することが目的だと考えられるため、決して効率が良いとはいえません。
一方、テーマ別の研修動画を10分以内の内容で作成した場合は、紙や共有ドキュメントで1時間は読み込みや理解にかかる内容でも、動画であれば1各営業担当者の空き時間や移動中、会議の合間などで10分以内で理解ができます。
営業研修を実施する際のポイント
動画を視聴してもらう以外にも、営業研修の実施時にはおさえたいポイントがあります。
ロールプレイングを織り交ぜる
動画を用いた営業研修を行う際は、動画を視聴するだけでなく、実際に対面などでロールプレイングを再度行うことで、学んだ知識を実践する機会を作りましょう。研修動画で学んだ知識が実践できているか、実際に対面でも指導することが重要です。
また、ロールプレイングの様子を録画し、他のメンバーからフィードバックをもらうことで、良かった点や悪かった点を把握できます。
さらに、研修中やフィードバック時の様子も動画に残しておけば、研修や指導の内容を振り返りや他メンバーへの共有もでき、研修内容の改善につなげることも可能です。
動画をどの程度視聴されたかを確認する
作成した営業研修用の動画を各営業担当者と各営業部門へ展開するだけでなく、動画が本当に見られているのか、視聴データを確認することも忘れずに行いましょう。
動画の再生回数が少ないようであれば、研修対象者に再案内し動画の視聴を促したり、実際の学習度合や習熟度を対面で確認する必要があるのも念頭に入れて行うとよいでしょう。
まとめ
営業研修に動画を用いることで、育成コストの削減や育成手法の統一が可能となるだけでなく、内容の理解が深まり業務の効率化にもつながります。そのため、営業研修用の動画として、ビジネスマナー、ヒアリング、プレゼンテーション、交渉、クロージングといった内容の動画が用いられています。
今回説明した動画作成時のポイントや、営業研修を実施する際のポイントに注意することで、動画を用いた営業研修の効果はさらに高まります。営業研修を行う際に、動画を取り入れてはいかがでしょうか。
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