社内SNSとは、FacebookやInstagram、LINEなどのWeb上で社会的にコミュニケーションを行うものではなく、社員間での「情報共有」「業務連絡」「ナレッジ共有の促進」「社員同士の相互理解やコミュニケーションの活性化」ができるサービスやツールを利用した社内広報の情報配信やコミュニケーションを取ることを言います。
近年、様々な社内SNSのITツールが定着しており、社員間だけではなく全社横断的に情報共有できるようなグループウェアやビジネスチャットを導入する企業が増えています。
社内コミュニケーションに課題や社内SNSの導入を検討している方に注目されるようになった背景からメリット、具体的な活用事例について解説します。
目次
社内コミュニケーションにおける課題
2019年の働き方改革や2020年に始まった新型コロナウイルスの流行により、テレワーク・在宅ワークなどに切り替える企業が増えてきました。そのため、社員が顔を合わせる機会が減り、社内のコミュニケーションの頻度も下がってきているのではないでしょうか。
HR総研が公開している2022年のアンケートによると、「テレワーク社員とのコミュニケーション状況」や「社内コミュニケーションが円滑か否かの違い」について、7割以上が「自社の社内コミュニケーションに課題あり」「対面が良い派」の割合が昨年より上昇、コミュニケーション不全を防止・抑制策は「従業員アンケート」が最多、大企業では4割という結果になっています。
社内コミュニケーションが不足すると相手が何を考えているか分かりにくいため、会社側としては社員の仕事量の把握やモチベーションの把握が難しくなったり、社員側としては会社の方針や社員同士のコミュニケーション、に影響が出ないかなど不安を抱えたりするケースも出てくるでしょう。
引用:HR総研 社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告2
コミュニケーションの変化
各社員の出社時間や働き方の変化、テレワーク・在宅ワークによる対面以外の社内コミュニケーションの導入が進んだことで、オンラインでやりとりする効率的な反面、細かいニュアンスの伝わりづらさや反応が見えづらいなどの問題があります。そのため対面でのコミュニケーションが良いというケースが増加していると考えられます。
チャット、オンライン会議、ブログ・SNSでのコミュニケーションが増加
多くの企業は現在も「メール」「オンライン会議ツール」「電話」「チャットツール」を利用しているケースが多く見受けられるが、「グループウェア」「イントラネット・掲示板」「ブログ・SNS」でのコミュニケーションも一定数の効果ができていると考えられます。しかしチャットやオンライン会議ツールと比べるとブログ・SNSを有効に活用している例は少ないと思われます。
社内コミュニケーション不足を解消するための手段の多様化
働き方の変化に合わせて、「従業員アンケート」「社内報」「メンター制度」「コミュニケーション研修」が多く上げられているが、300名以上の従業規模の規模は「従業員アンケート」「社内報」の導入や活用が圧倒的に多い結果となっています。
全社員への経営側からの情報伝達や社員間や事業部間のコミュニケーションなど様々な手段での取り組みが活発化していると言えるでしょう。
社内SNSを活用するメリット
社内SNSを活用しただけで社内のコミュニケーションが活性化されるのか、これまでのメールだけでもよいのではないか、など社内SNSを導入する必要性について疑問を持つ方もいるでしょう。そこで、社内SNSを活用することでどのようなメリットが生まれるのかを以下で紹介していきます。
コミュニケーション不足の解消
社内SNSを利用することで、社員同士のコミュニケーション不足解消が期待できます。今まで社員間の連絡ツールは、電話やメールが一般的でした。メールでは文面が硬くなるほか、大人数でのコミュニケーションが取れません。
社内SNSであれば、プライベートで使うSNSと操作が似ているため気軽に使え、大人数でコミュニケーションを取ることも可能です。さらには、異なる部署や拠点にいる社員ともコミュニケーションが取れたりリアクションができたりするので、社員同士のディスカッションが活発になります。これまでは知り得なかった他部署の情報を知ることで、会社全体の動きが把握できるようになるでしょう。
加えて、テレワークなど出社せずに働く社員が増えている中、場所にとらわれないコミュニケーションが可能になります。
情報の共有・伝達がスムーズ
社内SNSを活用することで、情報の共有や伝達がスムーズに行われます。リアルタイムで更新された情報は、瞬時に全社員に共有できます。また、部署やプロジェクトごとに作れるグループチャットで、伝えたい情報を伝えたい人たちだけに共有することも可能です。社内で問題が発生した場合にも、社内SNSなら問題をすぐに伝達できるので、多くの改善案を募ることが可能です。
スケジュール管理がしやすくなる
多くの社内SNSは、タスクの進捗状況や納期などのスケジュールを共有できるため、スケジュール管理が容易になります。今は何を優先すべきか、どこに協力すべきかなどを考えるきっかけになり、納期遅延の防止や作業効率化につながるでしょう。
また、管理職であれば全体の進捗状況や納期などを確認できることで、それぞれの仕事への指示が出しやすくなります。
社内SNSを導入するための方法
社内SNSの役割として「社内コミュニケーション」「情報共有」「進捗・タスク管理」などが上げられますが、「メール」「チャット」「グループウェア」との違いを把握しておくことが大事です。社内SNSがない場合、「メールでのやりとり」「共有サーバー上のやりとり」「オンライン会議」が考えられますが、コミュニケーションの伝達方法として毎回メール送信する手間、共有サーバーに資料をおいてさらにメールで案内する、毎回会議のスケジュール調整をしないといけない、などの円滑なコミュニケーションが取りづらいと言えます。
どのような社内SNSとして活用できそうなツールがあるかをいくつか紹介します。
社員間のコミュニケーションツール
TUNAG(https://tunag.jp/ja/)は、社員エンゲージメントを高めるために「会社」についての「知らない」をなくすためのコミュニケーションツールです。プロフィール機能、タイムライン、社内制度、社長メッセージを掲載することができるため、社員間のコミュニケーションだけでなく経営層の考え方や経営のビジョンなども可視化することができます。
Unipos(https://unipos.me/ja/)は、社員間の感謝の気持ちをピアボーナスと呼ばれるメッセージやギフトや金銭に変えられるポイントで伝えられる風通しの良い組織風土や組織を活性化を促すコミュニケーションツールです。組織や貢献度の見える化、組織の活性化を促すことによって組織改革を促すことができます。
NotePM(https://notepm.jp/)は、社内版ウィキペディアのように社員が様々な情報を書き込み、蓄積ができ、ファイルサーバーやチャットよりも検索機能に優れているため、知りたい情報や社員間のコミュニケーションが取れるツールで。さらにマニュアル、業務手順書、社内FAQ、議事録などのナレッジの管理や静止画だけではなく動画も共有することができます。様々なツールがありますので、自社にあったものを検討すると良いでしょうか。
社内SNSに動画を活用するツール
社内SNSを導入する際は動画活用もおすすめです。
社員が自発的に情報の書き込みや検索、閲覧した時の文章や写真では伝わりづらい内容を短時間で分かりやすく伝えることができます。特にマニュアルや業務手順書などの紙媒体では伝わらない、見られない情報のペーパーレス化とナレッジ共有の効率的な活用にも役立つため、社員のスキル向上やモチベーションも期待できます。
Video BRAIN(https://video-b.com/)は動画の活用したことがない初心者でも「社内広報」「社員インタビュー」「業務マニュアル」といった2700以上の動画テンプレートが用意されており、パワポ感覚でお手持ちの素材やテロップやナレーション機能を利用するだけで簡単に動画制作と配信をすることができるツールです。制作した動画を社員間で共有できるURL発行や配信後にどのくらい見られているかの分析もできます。
関連記事:社内報に動画を活用するメリットとおすすめコンテンツを解説
社内SNSが失敗する原因は?
社内SNSを活用するとさまざまなメリットを得られることが分かりました。しかし、それは社内SNSを上手に活用できたとき限りで、メリットを得られず失敗してしまう可能性もあるのです。以下では、社内SNSが失敗する原因について解説していきましょう。
社内SNSの目的が明確になっていない
社内SNSの目的が明確になっておらず、なんとなく導入してしまうと失敗する可能性があります。社員が導入された社内SNSをどう活用したら良いのか分からず、結局、既存のツールに頼ってしまうでしょう。
ルール作りがなされていない
社内SNSを導入する際は、活用を社員に丸投げするのではなく、ルール作りをしておく必要があります。ルールが決まっていない状態で、会社に対する不満や他の社員への批判的なコメントなどのネガティブな投稿が自由にされていると、社員がSNS離れを起こす可能性があります。
業務以外のプライベートな投稿が多い
気軽に投稿できる点が社内SNSのメリットですが、プライベートな投稿が多いとSNS疲れを起こす社員も出てくるでしょう。プライベートな投稿は自分に直接関係のない内容であることが多いため、社内SNSを面倒に感じてしまいます。また、プライベートな投稿によって重要な投稿が埋もれてしまったり、閲覧の重要性を低下させたりしてしまうでしょう。
社内SNSを活性化させ成功へ導くポイント
上述のように、社内SNSを導入しても活性化できずに失敗してしまう事例も少なくありません。そこで以下では、社内SNSを活性化させ成功させるためのポイントを紹介していきます。
課題と社内SNS導入の目的を明確にする
社内SNSを活性化させ成功に導くには、課題と導入目的をはっきりさせることが重要です。課題と導入目的があやふやなまま社内SNSを導入すると、盛り上がりに欠けて社員にとってネガティブな存在になってしまうでしょう。
個人のプロフィールを充実させる
大企業など、大人数で社内SNSを利用する場合には、個人のプロフィール情報を充実させておく必要があります。同じ会社とはいえ、面識のない者同士でコミュニケーションを取る場合があるからです。個人のプロフィールを充実させておくことで、利用者が投稿者の人物像を知ることができ、投稿された内容への理解もしやすくなります。
既存ツールとの棲み分けを行う
社内SNSを利用する際は、既存ツールとの棲み分けが必要です。主に、使用目的が重複しそうなものは、社内掲示板や社内メールです。既存ツールとうまく棲み分けをするには、コミュニケーション内容をフォーマル・インフォーマルで分けたり、すぐに返信がほしいものといらないもので分けたりするなどの工夫をするとよいでしょう。
ポジティブに活用できる環境を作る
社内SNSの導入を成功に導くためには、ポジティブに活用できる環境作りが大切です。せっかく投稿したのに批判的なコメントをされたり、誰もリアクションしてくれなかったりすると、社内SNS離れが起こる可能性があります。
グッドニュースや感謝を伝える内容が投稿されたり、投稿に対して前向きなリアクションがされたりすると、社内SNSをポジティブに活用できるでしょう。最初は、SNSが得意な若手社員を巻き込むなどして盛り上げるのがおすすめです。
社内SNS運用チームを立ち上げる
社内SNSを上手に活用するためには、運用する担当者やチームを作ることがおすすめです。担当者やチームを作ることによって、社員をまとめ先導することができ、目的が達成しやすくなります。
運用チームのメンバーは、人事部はもちろん、他部署の社員を募るのもおすすめです。部署を超えたコミュニケーションの充実が目指せるでしょう。有志でメンバーを募ったり、SNSに慣れている若手を中心メンバーにしたりするのも有効です。
関連記事:社内報をSNSで動画配信!Web社内報との違いや活用ポイントを紹介
社内SNSの成功事例3選
社内SNSを活用して成功した会社は、どのように進めていったのでしょうか。以下では、どのようにして課題解決へと至ったのかという経緯を含めて、成功事例を3つ紹介していきます。
事例1.シチズン時計株式会社
シチズン時計株式会社は、腕時計の部品製造から組み立てまで行う、1918年創業の歴史ある会社です。社内SNSを導入する前は、情報共有がうまく行われなかったことによってさまざまな課題がありました。古い技術の継承に時間と手間がかかって新しいことになかなか取りかかれなかったり、部門内だけの情報共有で終わり他部署もしくは海外拠点に共有されるべき情報が共有されなかったりなどの課題が勃発していたのです。
こういった課題解決のために、電話やメール、Web会議、社内SNSも含め、その他さまざまなコミュニケーション手段のメリット・デメリットを精査しました。そして、基礎性能・パートナーシップ・使い勝手・費用・セキュリティなどあらゆる角度からさまざまな製品を比較し、今の社内SNSの導入に至ったのです。
実際に社内SNSを利用してみた結果、部門内だけに留まっていた情報が部門外へと共有されるようになり、他部署のことが知れるきっかけになりました。さらに、連絡や報告、フィードバック、引き継ぎなどの業務スピードが上がるなどして課題の解決につながっているのです。
事例2.福島トヨペット株式会社(I&Iグループ)
福島トヨペットは株式会社は、グループ3社間での連絡手段として主にビジネスチャットツールやメール、社内ポータルサイトを活用していたが、コロナの影響で社員同士の交流の現象や繋がり、理念浸透の希薄化が起きていた。従業アンケートにより「経営陣の考えていることをもっと知りたい」「よりコミュニケーションを取りたい」という声や従来の業務上の連絡だけではなく、よりオープンでフランクなコミュニケーションが取りたい、ペーパレス化の推進をするために社内SNSを導入した。
内容によってグループ毎に分けることや社内限定のため通常のSNSのように変に気にしなくても良いことや、経営陣からの声が届きやすくなったといった環境づくりにも貢献をしています。
引用:福島トヨペット、強い組織をつくる社内SNS「Talknote」を導入
事例3.京都信用金庫
京都信用金庫は、92店舗あり、2000人の従業員を抱えている信用金庫です。社員数が多いため、人間関係が店舗内に限定されてしまうことが課題でした。そんな中、縦・横・斜めのコミュニケーションを取れるよう、社内SNSの導入を決めたのです。
まずは支店長と若手社員に登録してもらい、後から説明会を開いたり動画を作成したりして進めていきました。社内SNSを導入してからは、一人一人の社員が投稿によってフォーカスされ、社員同士を知るきっかけになり、内線で話したり同じ趣味を持つ社員同士で集まったりなど、さまざまなコミュニケーションが生まれたのです。さらに、リアルタイムで社内の情報が知れたりするようになりました。
引用:2,000人全職員との“対話”を徹底して行うために。つながりの場としてTUNAGを活用(TUNAG導入事例)
事例4.ぜんち共済株式会社
ぜんち共済株式会社は、社員数が10名程度の保険会社です。当時はメールでしかやりとりができず、その情報量の少なさに不満を抱く社員が多くいました。さらに、他部署との交流もできておらず、風通しが良い会社とはいえませんでした。
そんな中社内SNSが導入されてから、リアルタイムでの報連相ができるようになったうえに、やり取りをすることが楽しいと感じる社員もいて、殺伐とした雰囲気は改善され、2016年にホワイト企業大賞で風通し経営賞を受賞しています。
引用:殺伐とした会社から、笑いが絶えない会社へ(Talknote導入事例)
まとめ
社内SNSは、コミュニケーションの活性化や情報の共有・伝達の円滑化など、さまざまな効果を生み出す効果的なツールです。しかし、導入目的が明確になっていなかったり、ルールが定められていなかったりすると、社内SNS離れが起こり失敗する可能性もあります。そうならないためにも、社内SNSを導入する際には、課題・目的を明確にし、ポジティブに活用しましょう。働き方が多様化している昨今では、こういったツールを活用して社員間でのコミュニケーションを活性化させることが重要です。社内コミュニケーションや情報の共有・伝達などについて課題を抱えている方は、検討してみてはいかがでしょうか。
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