2024/08/22

中国電力株式会社

マニュアルから各種案内、発電所での映写まで。電力会社にとって、重要な情報を動画で量産

電力会社の一つとして、中国地方を広くカバーする中国電力株式会社。同社では2021年の秋からVideo BRAINを導入し、社内で動画の活用を進めています。社員の安全に直結する注意喚起や作業マニュアルを中心に、月平均74.6本の動画を制作し、業務改善やコスト削減にも役立てています。

社内のDX推進を手掛けるデジタルイノベーション本部の三谷健太さんと安田佳歩さんに、取り組みの現状と成果についてお聞きしました。

※2024年7月のインタビュー内容です。


 主な制作動画

  • 社内向けの案内(注意喚起、業務のトラブルやリスクなど)
  • 作業マニュアル
  • 研修動画
  • SNSで配信する広報・告知
  • 自社の発電所で流すコンテンツ
  • グループ内の病院で使用する、レクチャー動画
  • オフィス紹介動画 など

◆導入前の課題

  • 技術系の社員に対し、工事や作業での安全を確保するため、発生し得るトラブルやリスクに関して注意喚起を行う必要があった
  • 注意喚起の動画を外注して制作したものの、制作に時間がかかることからスムーズな情報発信が難しかった
  • 当社では、写真やテキストでの情報発信が基本となっていた

◆成果

  • 当初予定していた注意喚起用途に限らず、マニュアル・研修・SNS・広報など……様々な場面で動画を活用できた
  • パワーポイントの資料をそのまま動画化したり、操作マニュアルを作ったりするなど、以前よりも情報をわかりやすく伝えることに成功
  • 直近では、動画の制作数が月平均74.6本と、各部署が量産できるまで定着した

電力会社の業務には、安全に関わるトラブルや各種リスクも。“迅速な注意喚起”が動画の内製化に踏み切ったワケ

――Video BRAINの導入は2021年の秋。まずは導入のきっかけから教えてください。

三谷:当社グループで、送配電事業を担う中国電力ネットワークより、技術系社員や工事会社作業員の安全確保・注意喚起に関する相談を受けたのがきっかけです。中国電力ネットワークでは、電気設備の工事・作業が多くあるため、工事に携わるスタッフには、高所から墜落したり感電したり、あるいは蜂に刺されたりなど……日々、様々なトラブルのリスクがあります。

安全を確保するためには、工事や作業に従事する者へ具体例を伴った注意喚起が欠かせませんが、現場で起こる問題だけに、文章や写真で実感を得てもらうには限界があります。「リスクに関する感受性を高め、注意意識を啓発するには、動画を活用するのがベストだろう」という考えに至りました。

そこで、当初は外注して動画を制作していたものの、外部の会社に依頼する場合はどうしても完成までのタイムラグが生じます。

事故や災害が起きてから、注意喚起の動画を発注して制作するのでは、迅速に情報を発信したくとも難しいものです。できるだけ早くリスクを社内に伝え、次のトラブルを未然に防ぎたい我々としては、動画を内製してクイックに展開するのが理想的でした。

――なるほど。動画を外注する以前は、紙の資料や掲示物で注意喚起を行っていたのでしょうか。

三谷:そうですね、注意喚起のシーンに限らず、文字や写真をベースにした情報発信が主流でした。

しかし、たとえば社内のマニュアルにもいえますが、具体的な作業をイメージさせるには、文字と写真だけでは内容が伝わりにくいものです。電気設備工事の作業手順など、「この部分の電線を切断します」と解説するにしても、複雑な配線のどの部分を指しているのか、なかなか伝わりにくい難点がありました。

切断する際、どういう角度で工具を構えるのか、手はどの位置に置いておくと安全なのかなど、込み入った部分は熟練の技術でもあり、対面指導で継承していくほかなかったのが実状です。

その点、動画であれば多角的に、動きをもって作業の様子を伝えられます。ベテラン社員から新人への引き継ぎやレクチャーも、人手不足やスケジュールの問題から調整に苦慮していたので、動画を見てもらえればある程度のノウハウを拡げられるというのは、非常に助かっています。

―では、数あるツールの中で、Video BRAINを選ばれた理由は?

三谷:動画の内製化を決めてから、様々なツールをリサーチしましたが、Video BRAIN はとにかくUIが優れていたのが印象的でした。まずは我々が試しにさわってみたところ、マニュアルを見なくても簡単に動画が作れてしまう点に驚きました。

当社は現場で働く社員も多いため、パソコンの操作に慣れていないケースも存在します。そこで実際に、現場のスタッフにもVideo BRAIN を試用してもらい、「使い勝手が良い」と好評を得たため、2021年に導入を決めました。導入までは私が担当し、現在は安田が中心に運用を進めています。

安田:昨年、私がデジタルイノベーション本部に配属された時点で、Video BRAIN の契約アカウントの半数以上がすでに使われている状況でした。今後、さらに社内へ浸透させて広げていくべく、社内への推進を行っています。

それぞれの部署がニーズに応じて制作。社内で活用が広がった理由

――現在、社内で制作されている動画の内容について教えてください。

三谷:各部署の担当者がそれぞれ、業務に必要な動画を制作しています。

まず一つは当初の想定通り、リスクに対する注意喚起作業のマニュアルになります。マニュアルは技術系のメンバーが、業務のインプットや作業安全に関する内容を動画化しています。

社内研修においては、元々あったパワーポイントの資料を動画化したり、システムの操作マニュアルを作ったりするなど、動画にした方がわかりやすい内容はVideo BRAIN を活用しています。

また、当社には、地域や団体のみなさまに見学いただける、発電所展示施設もあります。そこでは、クイズを盛り込んだ動画を制作し、お越しいただいたみなさんに楽しんでいただくためのコンテンツとして使われているんです。

▲実際に発電所で流しているという動画の一部(実際の映像より抜粋)

パソコン操作があまり慣れていないベテラン社員の方が、工夫しながら積極的に動画を作られていたので、我々としても見ていてうれしかったです。

そのほか、広報関係では、公式SNSに掲載する動画なども制作しています。スマートフォン向けの動画として効果的な縦長の素材もテンプレートに搭載されているので、配信先に応じたコンテンツが作りやすいですね。

▲中国電力の公式SNSで公開する動画なども制作する

あとは、少し変わった活用例ですと、当社グループ内の病院採血のレクチャーを動画化した事例もあります。当社の業務内容は多岐にわたるため、それぞれが業務の中で動画化したいものを制作しているような状況です。

――電力会社といっても、大企業だけに様々な業務がある中で、それぞれが違ったシーンで上手に活用されているのですね。一体、どのようにVideo BRAINを社内に浸透させていったのでしょうか。

三谷:私が所属するデジタルイノベーション本部の役どころのひとつに、デジタル技術で業務を変革することがあります。新しいツールを導入するからには、徹底的に使い倒さなければなりません。そこで半年ほどかけて、社内のほぼ全部署に対してPR活動を行いました。

単純にツールの宣伝をするのではなく、各部署に応じて「こんな動画を作ってみたらどうでしょうか」と提案してまわったのです。

業務で動画を扱ったことがある人であれば、導入するイメージもつきやすいかと思いますが、これまで動画のニーズを感じていない部署にとっては、メリットを理解できず、不要と判断する可能性があります。

しかし、実際に使ってみると、業務負担が軽減したり、PRや告知に使えたりするなど、動画はメリットが多いものです。そこで、イメージを持ってもらうために、私自身が具体的なアウトプットの例を伝えるようにしたのです。

たとえば、コンプライアンスや人材育成に関わる部署に対しては、「これまでパワーポイントで作っていた研修資料を動画にしてみたらどうか」など。簡単に動画が作れるという操作説明とあわせて、少しずつ地道に各部署から火を付けていった形ですね。

――提案していく中には、ネガティブな反応をされるケースもあったのでは?

三谷:その点は懸念していましたが、実際に各部署をまわっていると、動画に高いニーズがあったことを感じる場面が多かったですね。

研修動画など、以前は社員が何度も失敗しながら、自分の声でナレーションを吹き込んでいたので、「Video BRAINなら、自動でナレーションを生成できますよ」と伝えたところ、新しいツールに対する抵抗感よりも、現在の不便な点を解消できるメリットの方が圧倒的に上回ったようです。

先ほどの発電所で流す動画においても、以前は複数の拠点で同じ内容の映像を使っていました。しかし、発電所ごとに特色や設備は異なるので、実は「それぞれが自分たちでPR動画を作れた方が良い」と前々から感じていたそうです。

安田:また、当社には社内向けのポータルサイトがあり、その中でVideo BRAIN の活用事例を掲載しています。サイトを通して、他部署の活用状況を見て「うちでも使いたい」と問い合わせが来るケースも増えており、ポジティブな印象を持っていただけているようです。社内の成果を発信していくことで、どんどん横展開されている実感があります。

三谷:当社のグループ内には、同じような業務を担っている部署も複数あります。「あの拠点が動画を活用しているなら、うちでも使ってみよう」と、共鳴して広がっている流れも感じますね。

技術継承に、動画は不可欠。社内のあらゆる課題解決に向けて、より推進を強化

――弊社の担当者による試算では、今年4月から6月半ばまでの制作数が月平均で74.6本。仮に、1本あたり10万円で外注したとすると、746万円のコストがかかる想定になります。

三谷:厳密な数字は前後すると思いますが、Video BRAIN の月額コスト以上の成果は出せていると実感しています。だからこそ、継続利用に繋がっていることは間違いありません。

また、現在のコスト面だけでなく、やはり技術部門におけるノウハウの継承は、我々にとって急務ですので、その点でも動画の活用は今後も欠かせません。何度も座学での研修を実施するよりも、動画を繰り返し見てもらう方が業務効率的にもメリットがありますから。

――おふたりが所属するデジタルイノベーション本部でVideo BRAINを利用することもありますか?

安田:最近では、新オフィスの紹介動画を作りました。昨年、デジタルイノベーション本部のフロアを改装したのですが、オフィスのコンセプトや使い方などを紹介した内容になります。

働く空間づくりのモデルケースとして参考にしてもらうため、現在社内の各部署を対象に見学会を実施しているのですが、動画を見てもらえれば、見学者の方に対して繰り返し説明する必要もなくなります。普段、様々な部署に動画活用をサポートする立場ですが、改めて、身をもって自分自身が動画の利便性を感じました。

――今後さらに、社内で動画の活用が広がっていく手応えはありますか? 目標や展望があれば聞かせてください。

三谷:昨年から、社員1人に1台ずつ、スマートフォンが貸与されるようになったので、パソコンを開かなくても動画が見られる環境になりました。とくに作業現場では、その場でマニュアルの動画をチェックできるようになると、業務効率が大きく改善されるのではないでしょうか。

いつでもどこでも動画視聴できる状況を活かし、マニュアルはもちろん、業務に必要な情報をスムーズにキャッチできる体制を強化していきたいです。

安田:最近、私の同期や後輩から、Video BRAIN の利用申請が来るケースが増えています。若手社員が動画の活用や操作方法をマスターしていけば、数年後にはその下の世代にも引き継いでいけるようになるはずです。
そうなると、自ずと動画のクオリティも上がっていくでしょうし、さらに動画の重要性は増していき、業務効率や売上アップ、PR強化など、社内の課題解決に繋がっていきます。

三谷:確かに、まだまだ、既存業務で動画に置き換えられる領域も山ほどあります。「DX推進」というミッションがある我々だからこそ、目先の活用状況だけでなく、中長期的な取り組みを意識して進めていきたいですね。

――まさしく、DX推進に取り組むおふたりらしいお言葉ですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

終わりに

「DX推進」と言っても、組織の規模が大きいだけに「なかなか一筋縄ではいかない」と語る三谷さん。しかし、クラウドツールであるVideo BRAIN はうまく現場のニーズにアジャストしていると言い、デジタルイノベーション本部としても手応えを感じているとのこと。大企業だからこそツールの浸透が難しい一方、コツコツと各部署に向き合って導入をサポートする姿がありました。

安田さんという若い戦力を得た同部署を中心に、社内での動画活用はいっそう活発化していくように見られます。社内のデジタル化が進んでいる現在、より動画を活用した施策や取り組みを実現しやすくなっているようです。

中国電力株式会社

事業内容:発電事業、小売電気事業 等

本社所在地:
〒730-8701 広島県広島市中区小町4-33

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