企業が成長していくうえで重要な要素が「人材」です。そのため、採用した人材には手間や費用をかけて教育をしていくことになりますが、企業側と求職者側のミスマッチが原因で早期に離職してしまうことがあります。
このようなことからも「なかなか思うような人材が集まらない」と頭を抱えてしまう企業の人事担当者も多いのではないでしょうか。そこで本記事では「採用ミスマッチが起きてしまう原因と対処法」を解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
採用ミスマッチが起きてしまう主な原因
書類選考や面接などをしているのにもかかわらず「どうしてこれほどまでにミスマッチが起きてしまうのだろう……」と考えている方もいるのではないでしょうか。その場合、まず以下のポイントに注意しましょう。
・ターゲティングが不透明
・開示している情報量が少ない
・応募者の適性が判断できていない
・ポジティブ情報のみ伝えている
ここからは「採用ミスマッチが起きてしまう主な原因」について具体的に解説をします。当てはまるものがないか確認しつつ、参考にしてみてください。
求める人物像が不明確
採用のミスマッチが起きてしまう要因の一つは、そもそも求めている人物像が不明確および不透明ということがあります。採用するにあたってどのような人物を求めているのか明確でないため、漠然と募集を募ってしまっていることが多いのが特徴です。
こういったケースでは、雇用したい人物像(いわゆるターゲティング)がはっきりしていないため、戦略的に採用計画を立てていない傾向にあります。またターゲティングができておらず、選考基準も漠然としていることも要因です。
企業側の情報量が少ない
募集を募っている企業にとっては多くの情報を開示していると思っていても、求職者側からみると「情報量が少ない……」と感じていることもあるでしょう。理念や社風はもちろんのこと、実際に配属される仕事内容や職場の雰囲気・人間関係なども、重要な情報です。
応募者にとってこれらがわからない状態だと、書面上に記載されている仕事内容だけで判断せざるをえません。そのため、せっかく入社しても「思っていた環境と違う……」と感じてしまい、早期離職につながってしまうケースがあります。
経歴や成果のみで評価している
応募者にもさまざまな能力があるため、その適性をきちんと判断しなければなりません。しかし、資格や経歴・年齢などの部分だけで判断をしてしまうと、ミスマッチが起きてしまう原因となります。
「〇〇大学卒だから」「前職では〇〇に勤めていたから」のような先入観で判断してしまうと、応募者本来の人柄や企業との適正を判断できないことにもつながるため、結果的に離職してしまうケース少なくありません。
メリットのみ伝えている
企業側からすると有能な人材を確保したいがために「自社のメリットをどのように伝えるか」という部分に目がいきがちです。しかし良い面ばかりを伝えてしまうと、悪い部分が分からないまま応募者は入社します。
メリットの部分だけしか知らない状態のため、入社後の環境にギャップを感じてしまい離職につながってしまいます。
採用ミスマッチによる企業側のデメリット
採用のミスマッチが続いてしまうと、企業にとってもさまざまな損失が表面化してきます。
・定着率・生産性の低下
・周辺社員への影響
・採用コストの問題
・人員計画のズレ
・リソースの問題
事業計画に影響してくるものもあるでしょう。そこでここからは、企業と応募者間で雇用のミスマッチが起こると「どのような損失が想定できるのか」について、具体的に解説します。
定着率が下がる
採用ミスマッチが起こす大きな損失のひとつが、社員の定着率が下がってしまうことです。先にも説明したように、ミスマッチしてしまう原因はさまざまではあるものの、結果的に職場環境に合わず離職してしまうこともあります。
このような状況が続いてしまうことで、離職率は上がり定着率は下がるという現象に陥ってしまうことは少なくありません。
生産性の低下
採用のミスマッチが起きてしまうと、早期離職までいかずとも「生産性の低下」につながるケースがあります。なかには「業務に対する理解が乏しい」「やる気が見られない」といった事も起こりやすいです。
社員と企業でのコミュニケーション不足が起きてしまうこともあるため、業務効率は下がってしまいがちになります。改善されない状況が続いてしまうと、企業側の負担が増えるばかりか、生産性の低下にもつながってしまうでしょう。
周辺社員のモチベーション低下
定着率や生産性の低下は、ミスマッチしてしまった社員だけではなく、周辺社員にまで影響が広がってしまうのがリスクです。社員全体のモチベーション低下につながってしまうと、思いもよらぬ損失が出てしまうこともあります。
例えば社員一人が早期離職してしまうことで、周辺社員の負担が一時的に増加してしまうかもしれません。これがきっかけとなってしまい、次々と周りの社員まで退職してしまうようなこともあるため、企業にとっても大きな損失へとつながってしまうことがあります。
採用コストが無駄になる
また企業運営をするうえで、目に見える形として大きい部分は「採用コスト」です。ミスマッチしてしまった社員に対する採用コストはもちろんのこと、離職したことによってあらたに採用活動しなければなりません。
早期退職して開いてしまった穴を放置すると、穴埋め作業は周辺の社員がしなければなりません。当然各々の負担が増えることになるため、状況を改善しなければ連鎖退職にもつながってしまいます。
人員計画にズレが生じる
会社の事業計画をもとにした人員計画を立てますが、ミスマッチによる早期退職が出てしまうと、当初想定していた計画にズレが生じてしまいます。また離職しない場合であっても「成長見込みなどを見誤ってしまう」「やる気がない」など別の要因で計画通りにいかないこともあります。
戦略的な計画を立てていても、人員計画に穴が生じてしまうと実行できなくなってしまうこともあるため、企業にとっても大きな損失にならないよう注意が必要です。
新たに採用リソースを割く必要が出てくる
社員一人採用するには、募集から選定・選考そして内定というようなプロセスを経ていかなければなりません。さらに内定後に入社すれば社内教育をしていくことになるため、多くの工数と費用がかかってきます。
しかしそこまでの労力をかけていても、早期退職されてしまうと最初の工程から始めなければなりません。多くの時間と労力を再度かけていくことになるため、リソース不足に陥ったりするケースも出てきてしまいます。
採用のミスマッチを防ぐ適切な対処法
採用ミスマッチが生むデメリットは非常に多いため、あらかじめ対策を打つべきなのは明白です。とはいえ「どのような対策を打てばいいのか分からない……」という人事担当者の方もいるのではないでしょうか。その場合は、以下の点に注目しましょう。
・採用ターゲットの明確化
・コンテンツの拡充
・ネガティブ情報も提供
・リファラル採用の活用
・適性検査や体験入社の実施
ここからは具体的に「ミスマッチを防ぐ適切な対処法」について解説します。
採用ターゲットを明確にする
先にも解説したように、そもそもどういった人材を募集したいのか明白でなければなりません。そのため、漠然と求人募集をするのではなく、あらかじめ「どのような人材を求めているのか」など、採用ターゲット(いわゆるペルソナ)を明確にするようにしましょう。
学歴や年齢はもちろんのこと、保有している資格や人物の性格・価値観など、細かい部分まで明確にするのがおすすめです。ペルソナを細かく設定していくことで、企業側が選定する際にもブレることがなくなります。
採用コンテンツの拡充
求人掲載をおこなっても、掲載されている情報量が少なければ企業のすべてを理解できるわけではありません。より企業のことを周知してもらうためにも、書面やテキストベースだけではなく動画コンテンツを導入するのもおすすめです。
書面ではなかなか伝わらないようなことでも、動画にして紹介をすることで直感的に理解してもらえる傾向にあります。事前に企業のことを周知・理解してもらえることで、採用後のトラブルを減らすことにもつながります。
デメリットについても伝える
応募者を募る際で、会社をよく見せようとするばかりにメリットばかり伝えていると、入社後にミスマッチが生じてしまいます。情報が誇張されてしまうと、応募する側もどんどん期待していってしまうため注意しましょう。
ポジティブな部分だけではなく、ネガティブな部分についても正確に伝えることが重要です。「こんなはずじゃなかった……」と思われないためにも、リアルな会社の情報を開示しましょう。
リファラル採用を活用する
近年注目を集めている採用方法のひとつに「リファラル採用」があります。自社の社員から紹介を受ける形の採用活動で、一般的な募集方法と比べて質もよく定着率が高いため人気の採用方法となります。
既存社員からの紹介で入社するという経緯からも、会社に馴染みやすい特徴もあり、結果的に離職率を下げられる効果があります。また紹介手数料を支払う場合でも、一般的な採用コストと比較して低く抑えられる傾向です。
適性検査の実施
入社時に応募者の適性を確認する方法として「適性検査」があります。人間性や素質などを総合的に測定する方法で、履歴書だけでは分からない応募者の人物像を把握できます。
また性格などのパーソナリティな部分以外にも、学力や能力などの基礎能力を測定できます。「本当に応募者が活躍できるのか」などを判断したり、「どういった部署に配属させるのか」を可視化して判断できます。
体験入社の導入
「思っていたのと違う……」「会社の雰囲気が自分には合わない……」のような理由で離職につながるケースは少なくありません。これらのミスマッチを未然に防ぐために、体験入社を実施するのもひとつの選択肢です。
体験入社を実施することで、応募者自身も会社でおこなう実務や社風を判断できるほか、企業側にとってもどのような人物なのか判断できます。体験入社によって双方の理解が深まるため、負担にならない期間での体験入社を導入するのもいいでしょう。
まとめ
企業側にとって人材を採用していくことは重要なプロセスであると同時に、優良な人材を見つけるのが難しいという課題もあります。ただし採用コンテンツ拡充などの対応策を施すことによって、より良い人材の確保が期待できます。
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