企業にとって「動画」は、広報をはじめとした外部向けの情報発信に使うツールとしてイメージされがちですが、近年、社内向けのコミュニケーションを促進するツールとしても活躍するようになりました。
この記事では、社内のコミュニケーション改善につながる動画活用の事例や制作手順について詳しくご紹介します。
目次
社内のコミュニケーションに動画を活用する効果
近年、動画プラットフォームが急速に普及し、テキストコンテンツよりも動画コンテンツを好むユーザーが増えてきました。その影響は個人だけでなく企業にも及び、社内のコミュニケーション手段として動画が選ばれるケースも増してきました。
社内コミュニケーションとして用いる動画の内容は、新入社員研修や経営陣からのメッセージ、各部署からの告知などです。動画を活用することで、テキストだけでは伝わりにくい部分をわかりやすく伝えられます。
動画の発信元は経営陣や部署に限らず、従業員個人からの発信も可能です。例えば、社内にまだ顔の知られていない「新人の自己紹介」を動画にして発信することで、直接話したことのない他の従業員にも自己紹介ができます。
動画の社内共有に使う主な媒体
社内で動画を共有する際には、「社内メール」「社内SNS」「ポータルサイト」などの媒体を使用します。媒体ごとに性質が異なるため、それぞれの特徴を押さえ、自社の動画共有にどれを使うのか、複数の媒体を組み合わせるのかといった点を決めることが大切です。
社内メール
社内メールでの動画共有は、比較的フォーマルな形の情報共有手段です。社内メールを社員一人ひとりに直接送ることができ、メールを送られた社員が気づきやすく、視聴してもらいやすい点がメリットだと言えるでしょう。
そのため、重要な動画やリアルタイムで見てほしい動画は、社内メールで送信するのがおすすめです。
社内SNS
近年、社内SNSを活用する企業が増えてきました。社内SNSの形態は、大きく以下の2つに分けられます。
・「LINE」など一般的に使用されているSNSサービスを使って、社内専用のグループを作って使う形態
・TalknoteやSKIP、Slack、LINE WORKSといった社内専用のSNSサービス(あるいはビジネスチャットツール)を使う形態
小さな組織であれば前者で十分事足りるかもしれません。ただし、一定以上の規模の組織や、動画をはじめとしたデータのやり取りが多い組織の場合は、部署を横断するコミュニケーションが可能で動画・ファイルの共有がしやすい後者が便利でしょう。
また、社内SNSの中にはビデオ会議などの機能を備えたものもあるため、リモートワークを採用している企業にも適しています。
動画共有に関しては、LINEや「Facebook」などのSNSサービスと近い感覚で気軽に使えるため、一般社員もリラックスして情報を投稿でき、フラットなコミュニケーションに適しています。
ポータルサイト
社内向けポータルサイトとは、社員のみが閲覧できる社内利用専用のWebサイトです。コミュニケーション目的以外にも、業務マニュアルなどを掲載して検索できるようにするなど、社内の情報を集めたインデックスとして活用できます。
ポータルサイトは、これまでさまざまな部署でバラバラに管理されていた情報を一箇所に集約する効果があるため、特に大規模な組織では運用するメリットが大きいでしょう。
社内向けのポータルサイトを作れば、「YouTube」など外部の動画プラットフォームを利用せずに社内で動画を配信することも可能なため、情報が社外に漏洩する心配もありません。
動画を使ったコミュニケーションの例
社内の動画は、経営陣が社員へ情報を伝える「縦のコミュニケーション」に使われる場合もあれば、社員同士の「横のコミュニケーション」に使われる場合もあります。
動画を使ったコミュニケーションの例を知り、使い方のバリュエーションを理解したうえで、制作に着手するといいでしょう。
ノウハウの共有
動画を使ったコミュニケーションは、テキストベースのマニュアルでは伝えることが難しい業務のコツやノウハウを共有するのに役立ちます。
例えば、営業担当者が顧客とセールストークをしている様子、また工場で機器を取り扱う際の手順など、言葉だけでは説明することが難しい部分を説明するのに動画は最適です。特に、営業トークなどで音声をそのまま記録して伝えられることは、動画媒体ならではの強みだと言えるでしょう。
仕事の成功事例を動画で共有できる環境を整えることで、社内でノウハウの共有と社員同士のコミュニケーション活性化、両方を目指すことが可能です。
社員紹介
動画は、現場で活躍する社員や新入社員などの紹介でも活かせます。もちろん、動画を使わずとも写真や文書だけで社内報を制作し、社員紹介する会社も多いですが、動画を使って社員の声や表情、身振り手振りを交えた情報を配信することで、より生き生きとした社員の様子を伝えられるでしょう。
また、新入社員が入ってきた際の自己紹介に使うことで、新入社員ならではのフレッシュな雰囲気を伝えることも可能です。
部署の紹介
特に全国展開している企業の場合、他支店にある部署の様子を知ることは難しいでしょう。社内コミュニケーションの動画を各部署の紹介に活かすことで、交流が少なくなりがちな別部署との交流を増やすきっかけを作れます。
各部署の活動をまとめた動画を作成し、社内SNSや社内のポータルサイトに掲載しておくことで、社員がいつでもチェックできる状態にすると便利です。
社員の激励
動画は社員を激励するためにも、活用できます。たとえば、社長や役員が激励のメッセージを伝えたり、社外の著名人にゲストとして応援メッセージを添えてもらったりすることで、試聴した社員のモチベーションを高められるでしょう。
同じ内容をテキストでも伝えられますが、動画のほうが熱意や迫力を届けやすいです。具体的には「社内総会のオープニング動画で用いる」、「士気の下がっている部署へ社内メールで送る」といった形で利用できます。
社内用動画を作る手順
ここからは、社内用動画を作る際の基本的な手順をご紹介します。
動画共有の目的・狙いを設定
まずは、動画共有の目的・狙いを設定しましょう。「どのような意図で動画を作成するか」、「どんな層の社員をターゲットとするか」といった方針を決めることで、会社や組織の目標達成や課題解決に資する動画を制作できます。
「会社や組織にとっての目標・課題は何か」に関して、制作担当者間でディスカッションする機会を設ける他、社員からヒアリングするのも効果的です。
動画のテーマを企画
動画制作を開始するにあたって事前に決めた目的・狙いのもと、これを達成するために動画のテーマを決めていきます。
映像制作の世界では、実際の撮影や編集の前に行う企画のプロセスを「プリ・プロダクション」と呼び、実際の撮影よりも長い時間をかけて取り組むケースも少なくありません。
テーマを企画する際のポイントとして、さまざまなメッセージを詰め込むよりも、動画制作の目的・狙いに沿って決めた一つのメッセージの伝達に専念することが大切です。
メッセージを詰め込みすぎると、一つひとつの印象が薄まって記憶に残りにくくなるため、特定のメッセージを一貫して伝える構成にするといいでしょう。
出演者の選定と出演交渉
動画のテーマに合う出演者を選び、出演交渉をします。出演交渉の際は、社員個人のプライバシーを尊重し、動画の使用目的や公開範囲についても事前にしっかりと説明しなければなりません。また、外部から出演者を用意する場合は、出演料などのコストがかかる場合もあるでしょう。
出演交渉がまとまったら、動画の中で出演者に話してほしい内容についての台本なども用意します。前もって台本を共有し、撮影当日までに準備をしてもらってください。
撮影・編集
事前に計画した撮影日に動画を撮影し、その後、編集を加えます。
撮影ならびに編集は社内で行う、あるいは動画編集のプロである外部業者にアウトソーシングする手段もあります。社内で行う場合は、動画制作サービスを利用することで知識・スキルがなくても、簡単に動画の制作が可能です。
普段のコミュニケーションで使う動画は自社で制作し、社外向けの重大なイベントに使用する動画はプロの業者に任せる、という使い分けをしてもいいでしょう。
完成後の内容確認
編集完了後の動画をあらためて確認し、「テロップの誤字脱字」や「BGMの相性」などの変更点がないかチェックします。本来の目的やテーマを踏まえ、ターゲットとする社員に視聴してもらい、フィードバックを受けるのも効果的です。
変更点があれば動画を再編集し、期日までに完成させます。
社内での共有
完成した動画を、実際に社内の動画用媒体で配信します。媒体を決める際には、動画を流す目的やテーマに基づいて決めることが大切です。
例えば、社員同士の日常的なコミュニケーションに使う場合であれば、社内SNSなどに投稿して、会話のネタとしてもらえる形にするのがおすすめです。業務内容やスキルアップに関することを共有する場合なら、社内の情報共有用ポータルサイトにアップロードし、投稿から時間が経っても見られる形にするといいでしょう。
まとめ
動画というツールを社内コミュニケーションの活性化に役立てる企業が増えてきました。社員同士のコミュニケーションを活性化させることで、業務生産性や職場への満足度を高め、離職率を抑えるなど、企業経営に有益な効果を期待できるでしょう。
動画制作の方法には、動画制作サービスなどを利用して内製化する、あるいは外部業者にアウトソーシングする方法があります。目的・テーマや予算を踏まえて自社に合った方法で動画を制作し、社内コミュニケーションの活性化に役立ててみてはいかがでしょうか。
関連記事
この記事をシェアする