社内イントラネットとは違う?ポータルの運用ポイント

社内の広報手段として、社内イントラネットを導入する企業は多いです。ただ、導入したからといって必ず効果が得られるわけではありません。しっかりと成果を出すためには、ポータルサイトやグループウェアなどの類似ツールとの比較検討、読者となる社員のニーズ分析など、いくつかのポイントを押さえることが大切です。

本記事では、社内イントラネットとポータルサイトの比較や最適な運用の仕方、おすすめのサービスについて解説。社内でのデータ管理や情報共有を効率化できる仕組みづくりについて知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみましょう。

社内イントラネットと社内ポータルサイトの違い

社内イントラネットとはそもそもどんなツールなのでしょうか。比較検討されることの多い社内ポータルサイトとの違いについて解説します。

社内イントラネットは「倉庫」

「社内イントラネット」とは、“内部”という意味の「イントラ(intra)」と“網”を意味する「ネット(net)」の2つを掛け合わせた造語。ログインパスワードを知っている人だけがアクセスできる、社内限定で使用可能なネットワーク環境のことをいいます。

イントラネットの主な用途は、社内ドキュメントやファイルなどのデータ保管。社外秘の重要文書から新人向けのマニュアルまで、膨大な量のデータを管理する“倉庫”のような役割で機能します。

社内ポータルサイトは「窓口」

一方、社内ポータルサイトは、データの保管だけでなく、社員が使う各種サービスや社内報などの情報発信・共有としての役割も担います。名前に“入口”という意味の「ポータル(portal)」が使われているように、さまざまな情報へアクセスするための“窓口”として活用されます。

ポータルサイトの構築方法は、社内ネットワーク内で利用する方法と、クラウド環境で構築して外部からアクセス可能にする方法の2つ。いずれの方法も、社員だけがログイン可能です。

社内広報に活用するなら「社内ポータルサイト」

企業の中には社内ポータルサイトをイントラネットと呼んだり、逆にイントラネットと称してポータル的な役割で利用したりするところもあります。ただ厳密にいえば、2つは役割の異なるサービス。イントラネットはポータルサイトよりも閲覧権限が厳しく、重要な機密文書などの保管に適しているのに対し、ポータルサイトはさまざまな情報やサイトへのアクセスしやすさに特化しているという違いがあります。

そして、今後は社内ポータルサイトが社内広報のメインツールとして優位になる時代に。情報共有・発信に役立つ社内ポータルは、社員の意見交換や情報拡散を活性化できるメリットがあります。

また、さまざまな機能を持たせられる社内ポータルサイトには、以下のようなメリットもあるため、社員の業務の中核を担うツールとして活用されるでしょう。

・業務が効率化される
・コスト削減できる
・ナレッジやノウハウが共有できる

社内ポータルサイトの運用ポイント

社内ポータルサイトの失敗例としてよくあるのが「使い方が分からない」「欲しい情報がない」といったケース。ここからはそんな失敗を招かないために、押さえておきたい運用のポイントを解説します。

運用目的を明確化する

社内ポータルサイトを構築する際には、サイトの軸となる「運用目的」が重要になります。運用目的が不明確なままでは、どのような機能を持たせるべきか判断しづらくなり、その結果、機能をとにかく詰め込んだ煩雑なサイトができ上がってしまいます。そのような状態では、社員も使いづらいでしょう。

運用目的を明確化するためには、まず社内の業務課題を洗い出すことが大切。課題を認識できると、その課題解決のために何が必要なのか、サイトの運用目的がはっきりとします。この運用目的の明確化という作業は、サイトの構築段階から運用後の効果分析にまで関わる重要なフェーズ。しっかりと時間をかけて話し合いましょう。

目的に合わせて必要機能を精査する

運用目的が明確化できたら、その目的に沿うように必要機能を精査していきます。この時、目的に沿わない機能、使用頻度の少なそうな機能は極力省き、シンプルなサイトにすることが大切です。

また、ポータルサイトを部署ごとに分ける企業もありますが、できるだけ一元管理することをおすすめします。理由としては、複数のサイトを運用すると、その分の管理コストや負担が増えるから。さらに複数のポータルサイトを操作することになれば、「1つのサイトでさまざまな情報、サイトにアクセスできる」という一番のメリットが失われてしまいます。これではポータルサイトの効果はなかなか得られそうにありません。

運用体制や仕組みを整えておく

ポータルサイトの失敗例として多いのが、「最新の情報に更新されていない」というもの。ポータルサイトをしっかりと活用し、社員にも「活発なサイト」として認識してもらうためにも、管理体制を整えておくことが大切です。

そのためには、しっかりと管理工数を割けるように、専任担当や専任部門を配置することをおすすめします。専任者が管理することで、「更新して終わり」ではなく、サイト更新後のフィードバックまでしっかりと行えるでしょう。

使用方法のレクチャーを行う

社員にとって使い方が分かりにくいサイトは、どんどん利用者が減っていき、いつの間にか過疎化してしまいます。そんな事態を招かないように、導入時にはチュートリアル動画やマニュアルを公開すると良いでしょう。担当者が社員を集め、実際にレクチャーする場を設けるのもおすすめです。

サイト導入時の工数はかかりますが、後々の閲覧数の伸びを考えたら、しっかりと操作方法についてフォローするのは大切なこと。一人でも多くの社員に「使いやすそう」「役立ちそう」と感じてもらうことが重要です。

SSL証明書でセキュリティ対策を行う

利用者が社内に限定された社内ポータルサイトは、外部に情報が漏れないことが絶対条件。一度、情報漏洩してしまうと企業の大事な情報が悪用されるばかりか、社員を危険にさらしてしまうこともあります。

そのためにも、SSLサーバ証明書によってセキュリティ対策をしておきましょう。SSLサーバ証明書とは、そのサイトの健全性を証明するためのものであり、SSLによってインターネット通信の暗号化をするための電子証明書のことです。情報を暗号化して通信するので、サイトの安全性を高めることができます。

社内ポータルサイトの活用方法

次は、さまざまな社内ポータルサイトの活用方法の中から主なものをご紹介します。

社内規定やマニュアルの公開

社内規定やマニュアルは、全ての社員がすぐに閲覧できる状態が理想です。特に新人のうちは、分からないことや困ったことがあれば、すぐに確認できた方が良いでしょう。社内ポータルサイト内にまとめておけば目につきやすく、すぐにアクセス可能です。社員教育の際にも役立ちます。

社内報の公開

社内広報ツールとしても社内ポータルサイトは便利です。例えば、社内報を社内ポータルサイトの目立つところで公開し続ければ、自然と閲覧数もアップしていくでしょう。なぜなら、社内ポータルサイトは日々の業務で頻繁にアクセスすることになる社員も多いため、社内報単体で公開するよりも目につきやすいからです。

また、社内ポータルサイト内であれば、最新情報や経営陣からのメッセージなどを動画でアップすることも可能です。コンテンツの公開方法の選択肢も広がるでしょう。

スケジュールの共有

社員全員が閲覧できるポータルサイトは、スケジュールを共有したいときにも便利です。例えば、会社の記念日やイベント、長期休暇の予定を書き込んでおくと周知しやすくなります。

そして、個人単位やプロジェクト単位でスケジュールを記録できるようにしておくと、タスク管理や日程調整にも役立ちます。業務の効率化にもなるでしょう。

ワークフロー申請

例えば交通費精算や見積り、各種届出書など、複数人の承認が必要な申請を、ポータルサイト上で一元管理できます。ワークフロー申請機能をオンライン上で行うことは、ペーパーレス化、管理コストの削減にもつながるでしょう。また、申請から承認までスピーディに行えるので、業務効率もアップします。

コミュニケーションツール

社内チャットや社内SNSなど、コミュニケーションツールとしての使い方も可能です。どのような仕様にするかにもよりますが、メールよりも簡潔で気軽にメッセージが送信できるようになったり、チームごとやプロジェクトごとにグループを分けやすくなったり、といったメリットがあります。

各種サービスへのリンク

例えば、顧客管理や営業支援など専用システムを使って管理している場合、ポータルサイトにリンクをまとめておけばアクセスしやすくなります。リンクと併せてシステムのマニュアルも閲覧できるようにしておけば、新人社員がシステムの操作方法を確認する際にも便利です。

おすすめの社内ポータルサイトサービス

ポータルサイトは、少人数向け、かつシンプルな機能であれば無料サービスを使って自社で構築することが可能です。ただ、HTMLなどの専門知識に長けていなければ、かえって制作工数がかかってしまうこともあります。

また、セキュリティ対策が疎かになったり、後々のカスタマイズがしづらくなったりするため、サイト構築を請け負う企業に依頼するか、有料サービスを利用する方が得策といえるでしょう。最後に、社内ポータルサイトとしてさまざまな企業で導入されている、代表的なサービスをご紹介します。

※今回、ご紹介するサービスの料金や動作環境はすべて2022年9月時点での情報です。

Garoon

大企業向けのグループウェアサービスである「Garoon」は、医療系や金融系などのセキュリティ基準が厳しい業種も含め、多くの導入実績を持つサービスです。安全にカスタマイズがしやすい設計や、使いやすいシンプルな機能が特徴で、教育コストや管理コストの削減にもなるでしょう。

【主な特徴】
・シンプルな操作、機能で使いやすい
・大規模な企業の複雑な組織構造にも適応しやすい
・専門知識がなくても管理・運用がしやすい

料金<クラウド版>
~300ユーザー:月額845円/1ユーザー(年額9,935円/1ユーザー)
301~1,000ユーザー:月額800円/1ユーザー(年額9,405円/1ユーザー)
1,001ユーザー~:お問い合わせください
<パッケージ版>
~50ユーザー:600,000円/50ユーザー
51〜249ユーザー:11,000円/1ユーザー
250~499ユーザー:10,000円/1ユーザー
500~999ユーザー:9,000円/1ユーザー
1,000~2,499ユーザー:8,000円/1ユーザー
2,500~4,999ユーザー:7,500円/1ユーザー
5,000ユーザー~:お問い合わせください
※上記は通常の基本価格です。業種によって特別価格があります。
動作環境<Windows>
Microsoft Edge最新版(Chromium版のみ)/Mozilla Firefox最新版/Google Chrome最新版
<macOS>
Safari最新版/Mozilla Firefox最新版/Google Chrome最新版<iOS/Safari>最新のiOS 14、15
<iPadOS/Safari>
最新のiPadOS 14、15<Android>Android 8.1以降のAndroid Chrome最新版
運営会社サイボウズ株式会社

kintone

クラウド型のポータルサービスである「kintone」は、カスタマイズ性の高さが最大の特徴。豊富な拡張機能や直感的にできる機能追加によって、企業の業態にマッチするサイトを構築できます。無料トライアル期間もあり、本格的に導入する前に使用感を試せるところもメリットです。

主な特徴】
・IT担当者以外でも直感的にカスタマイズができる
・高い柔軟性であらゆる業種、業態でも対応できる
・4言語対応、マルチデバイス対応で勤務地を選ばない

料金月額1,500円/1ユーザー(年額17,640円/1ユーザー)
※30日間の無料お試し期間有
※上記価格は、外部サイト連携や拡張機能使用可能なスタンダードコースです。
動作環境<Windows>
Microsoft Edge最新版(Chromium版のみ)/Mozilla Firefox最新版/Google Chrome最新版
<macOS>
Safari最新版/Mozilla Firefox最新版/Google Chrome最新版
<iOS/Safari>
最新のiOS 14、15
<iPadOS/Safari>
最新のiPadOS 14、15<Android>Android 8.1以降のAndroid Chrome最新版
運営会社サイボウズ株式会社

Global Portal

パナソニックが提供する「Global Portal」は、社内外の情報を一元管理することを目的としたポータルサービスです。またカスタマイズ性にも優れ、HTMLの専門的な知識がなくてもある程度の自由な変更ができます。

【主な特徴】
・社内外の情報を一元管理できる
・専門知識がなくても管理や運用がしやすい設計になっている
・自社でのカスタマイズをサポートするポートレット開発APIが提供されている

料金お問い合わせください
動作環境Microsoft Windows 8.1 32bit版/64bit版
Microsoft Windows 10 32bit版/64bit版
iOS 11.0.2(iPad)
運営会社パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社

concrete5

アメリカのPortlandLabs社によって開発された「concrete5」は完全無料で使えるポータルサービスです。無料とはいえ、ワークフローの基本機能は搭載されています。また、優れたCMSによって専門知識がなくてもカスタマイズが簡単にできるところも特徴の1つです。

【主な特徴】
・完全無料で使える
・世界中に導入実績があり、多言語対応している
・デザインや機能のカスタマイズが簡単にできる

料金無料
動作環境PHP8のフルサポート(PHP 7.2.29 以上)が必須(バージョン9の場合)
運営会社PortlandLabs

まとめ

情報の一元管理や社内のコミュニケーションツール、さまざまなサービスへアクセスするための窓口として活用される社内ポータルサイト。データ保管だけの機能を持たせた社内イントラネットを利用している企業は、社内ポータルサイトへの移行によって業務効率化を図ることができるでしょう。

構築サービスもさまざまなものがあり、企業の業態に合わせたカスタマイズも簡単にできます。日々の業務に課題を感じている企業は、ぜひ社内ポータルサイトによる解決方法を検討してみましょう。


 

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