広報におけるKPI設定のポイントは?

広報活動の場合、売上や顧客獲得など分かりやすい効果を測ることが難しいもの。しかし、成果をチェックしなければ、どのように進めていくべきなのか判断できません。そこで、KPI設定が肝心になります。「どのようにKPIを決めたら良いのかわからない」と悩んでいる広報担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、広報活動におけるKPI設定のメリットや効果を紹介。KPI設定の流れや目標設定例まで詳しく解説します。

KPIとは 

目標達成するために重要となるのが、KPIの設定です。達成度を評価するための指標であるKPIの目標設定が難しいと感じている広報担当者の方も多いようです。

KPIとはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標のことを指します。目標に対して、現状がどのようになっているのかを数値で比較できるため、客観的な進捗状況を把握できることが特徴です。また、課題がどの項目にあるのかを抽出できるので、必要に応じて軌道修正することが可能になります。

広報におけるKPIとは

では、広報におけるKPI では実際にどのような数値を確認することができるのでしょうか。一例をご紹介します。

例:採用広報の場合

・採用サイトのPV数
・採用動画の視聴回数
・投稿の表示回数など

とくに採用広報の場合は、認知度を重要視した採用チャネル(求人広告や採用サイト、SNSなど)における成果指標を設定し評価されます。反響のあるコンテンツを把握することができるので、自社に必要なアピールポイントを分析することが可能です。

KGIとの違い

ちなみに、似たような指標として挙げられる「KGI」とは、Key Goal Indicatorの略。重要業績達成指標を指します。

KPIは目標を達成するための小さなゴール設定である一方、KGIは最終的に組織全体が達成すべき大きな目標を指します。KPIはKGIまでの道のりを、業務レベルまで細分化した中間目標と認識しておくとよいでしょう。

KPIの設定によって得られる効果

KPIを設定すれば、客観的に広報活動を評価できるだけでなく、各業務における目標が明確化され、進捗状況や達成率の管理、評価基準の統一が図れます。その結果、より効果的な広報活動ができるようになり、業務の生産性アップを目指すことが可能です。では、具体的にどのようなメリットや効果が得られるのか確認していきましょう。

個人目標を明確化できる

個人一人ひとりが達成すべき目標が明確になることがKPIを設定するメリットのひとつです。個人単位で何をすべきかがはっきりするため、業務スピードが向上するだけでなく、目標に向けたモチベーションもアップさせる効果が見込めます。さらに、目標達成に対する問題点も分析しやすく、有効的な広報活動が可能になります。

チームの進捗状況が認識できる

KPIを設定すると、目標ごとの達成状況が可視化されるため、チーム全体で進捗状況を把握することができます。達成状況に応じて、手の空いたメンバーが未達成の仕事をフォローしやすくなるなど、チームワークの向上・団結力を高める際にも効果的です。

業務の効率化が可能になる

中間目標であるKPIの進捗状況を把握することは、KGI達成のためには欠かせません。KPIを設定すれば、広報のコンテンツを改善したいといった最終目標に向けての改善点や、反対に上手くいっている点も分かるので、業務の効率化を図ることができます。

評価基準が統一される

KPIでは、明確な数値や行動指針が示されます。はっきりとした数字が目標値になるので、評価基準が統一され、誰が見ても公平な評価をすることが可能です。広報以外の社員の協力を得て活動する場合も、どのような効果があるのかを明確に伝えることができるため、他部署からの評価や理解が得られやすいこともKPIの効果と言えるでしょう。

KPI設定の流れ

KPIを設定する手順は、以下になります

(1)最終目標であるKGIを決める
(2)KGIを達成するために必要なプロセスを洗い出す
(3)洗い出したプロセスを細分化する
(4)細分化したプロセスを数値化する
(5)数値化したプロセスを業務に反映させてKPIとして設定する

KPIを設定するためには、KGIの設定が重要です。やみくもにKPIばかりに注目すると、達成すべき目標からずれてしまう可能性があります。必ずKGIを設定し、逆算する形でKPI設定を行いましょう。また、KPIは、細分化しすぎないよう注意が必要です。KPIが多すぎて業務に集中できない事態に陥らないよう、無理のないKPI設定を目指しましょう。

KPI管理におけるポイントは?

KPIを管理する上で、どのようなことに気を付けると効果的なのでしょうか。広報担当者としてKPI管理で押さえておくべきポイントをご紹介していきましょう。

KPIの質を見る

数値ばかりに着目しがちなKPIですが、質が伴っているかをチェックすることがポイントとして挙げられます。単純に、メディアへの掲載回数を昨年比よりアップさせることだけを目指すと、リソース的に苦しい状況や、効率が悪くなってしまう可能性も否定できません。それよりも、検索エンジンでの指名検索数といった、消費者の行動変容が分かりつつ、業務改善も図れるような質の高いKPI設定になっているかをチェックしたうえで、KPIの進捗状況を管理していきましょう。

KPIの数を絞り込む

効率的にKPIを管理するためには、質だけではなく、設定した目標の量も切かどうかを見極め、簡潔にしておくことも大切です。KPI数は多ければ多いほど、資料作成や検証、評価などに時間がかかってしまいます。誰が見ても理解でき、リアルタイムで把握できる指標設定を目指しましょう。非効率な業務になってしまわないよう、多くても3つ程度にするのがおすすめです。

効果的なサービス・ツールを活用する

KPIの数値管理にエクセルを活用している企業もあると思いますが、集計に時間がかかるケースも多く効率的ではありません。KPI管理を円滑にし、最終目標に向けて適確なアプローチを進めていくためには、さまざまツールを活用していきましょう。導入時は、自社に必要なサービスを選択できるよう、導入後の運用も想定することが重要です。以下にツール例を挙げるので、期待できる効果も含めて参考にしてみてください。

・顧客管理システム(CRM)
会員数や注文履歴といった顧客の情報を一括で管理できる機能。活動報告の入力を一度行えば、スケジュールや他の機能にマルチにアウトプットが可能になります。

・営業支援ツール(SFA)
営業活動を可視化し、データ化する機能。名刺情報をデータ化し共有したり、営業リストやメール配信ターゲットを作成したりすることが可能です。

広報には社外広報と社内広報がある

広報には社外広報と社内広報があり、それぞれにKPI設定が異なります。社外広報は、株主やお客様に向けて、企業がどのように活動しているのかを知ってもらうことが目的です。一方で社内広報は、社員に対する行動指標を発信します。社員一人ひとりの価値を上げることで、企業全体の価値を向上させることを目的としています。したがって、社外広報と社内広報では達成すべきKGIが違うため、設定すべきKPIも異なることを認識しておきましょう。

【社外広報】KPIの目標設定の例

社外広報は、自社のサービスや製品などの認知度をアップさせる、採用広報では優秀な人材に入社してもらえるよう自社の働く環境をアピールするなど、社外を対象にした働きかけをする役割があります。では、社外広報における効果的なKPIの目標設定の例をご紹介していきましょう。

メディアへの露出・掲載件数

社外広報のKPIとして設定されることが多いのが、メディア掲載件数ではないでしょうか。しかし、やみくもに掲載されれば良いというわけではありません。メディア掲載は、事件や事故といったニュースなどに影響を受けやすいという特徴があります。したがって、重視すべきメディアを決め、そのメディアでの掲載数をチェックすることがポイントになってきます。さらにるBtoBの場合は、顧客満足度やサービスへのロイヤルティを定量的に示すことができるNPS計測をKPIに設定することも視野にいれるとよいでしょう。

コンバージョン数・コンバージョン率

マーケティング分野で使用頻度の高いCV(コンバージョン)数も社外広報のKPIとして設定されるケースが多くあります。CV数とは、ホームページに訪問した人がウェブサイトで狙ったアクションを起こした数を指します。最終的な成果を表すものとして使われるCV数ですが、自社の目標や状況にあった設定をすることが大切です。CV数として設定されることが多いものは以下の通りです。

・イベントの申し込み件数
・問い合わせ件数
・商品購入数
・資料ダウンロード件数など

【社内広報】KPIの目標設定の例

社外だけでなく、社内広報においてもKPIの目標設定は行っていきましょう。組織としての課題の浸透や理解、解決のためには、 社内報を活用し、どのように周知させるべきかなどの方向性を決めることが大切です。ここからは、社員に対する社内報の認知度アップを目標とした場合のKPI設定の例を挙げるので、参考にしてみてください。

コンテンツのPV数

まずは最初に設定するとよいKPIに、コンテンツ(記事や企画など)に対するPV(ページビュー)数があります。PV数とはコンテンツの観覧数のことです。例として、PV数の目標値を100%とした場合、達成評価の基準を、優良:85%以上、健康:55%以上、危機:16%以下などで設定しておくと分かりやすいでしょう。

各記事に対するPV数は、見出しが魅力的かどうか、目を引くものであるかなどの成果の指標になるため、改善に繋げやすいKPIといえるでしょう。動画も含まれる場合は、コンテンツの再生回数なども指標になるため、効果的な記事や企画作成を目指すことができます。

コンテンツに対するリアクション

次に設定しやすいKPIとして、コンテンツに対するリアクション率が挙げられます。コンテンツに対してどのような反応があったのか、記事へのクリック数やコメント数なども指標にしておくと成果が分かりやすいです。PVからアクションにまで繋がった割合を100%とした場合、目標例は優良:85%以上、健康:55%以上、危機:16%以下などで設定しておきましょう。

さらに、社内報そのものの認知度を測るKPIに、アクティブ・ユーザー率もあります。全アカウント数に対して何割の社員が閲覧しているかが分かるので、周知対策に活かすことが可能です。

記事の読了率やサイト内の回遊率

一度のセッション(訪問)で、どれだけの記事が読まれ続けたかが分かるサイト内回遊率や、記事の読了率もKPI設定におすすめです。サイト内回遊率はPV数÷セッション数(訪問数)で計算することができます。数字が大きいほど、社員の関心を惹きつける発信ができたという指標になるので、記事に対する効果測定が可能です。目標値は、優良:4.0以上、健康:2.5以上、危機:1.0のような形で設定しておきましょう。

また、スクロール率やコンテンツのボリュームだけでなく、記事ごとの平均ページ滞在時間も重要です。とくに平均滞在時間は、最後まで読まれたかの推測もすることができます。最後まで読まれた記事は魅力的な記事として判断できるため、効果的なKPI設定と言えるでしょう。

まとめ

広報におけるKPI設定の重要性について解説しました。数値化しにくい広報の業務ですが、KPIを活用することで成果を可視化することができます。最終的なKGIを明確にし、業務を細分化してKPIを設定していきましょう。社外だけでなく社内での他部署へのアピールにも繋がります。広報活動では活用が難しいと言われるKPIですが、この記事を参考に、効率的で効果的なKPI設定を目指してみてください。


 

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