社員を動かす社内報のトップメッセージ!心を掴むコツを徹底解説

社員に向けトップの意向や思いなどを伝えられるのが、社内報のトップメッセージです。せっかくトップメッセージを発信するのであれば、社員の心に響く内容や文章を目指したいものです。トップメッセージで社員の共感や信頼を得ることにより、組織力の強化や社員のモチベーション向上も期待できるでしょう。

この記事では、社内報のトップメッセージの目的やメッセージの組み立て方、トップメッセージを書くコツを紹介します。社内報のトップメッセージを有効活用したい担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

トップメッセージとは

トップメッセージとは、会社のリーダーである社長から発信されるメッセージのことです。自社の社員に向けて、自社の価値観や今後の成長戦略などについて発信したいときに用いられます。

社内報にトップメッセージを掲載する目的

社内報に掲載するトップメッセージには、ミッションやビジョン、バリューといった会社の経営方針を伝えることにより、社員に理解および浸透させる目的があります。会社が目指していく方向が明確に分かれば、モチベーションの喚起もしやすくなるでしょう。

さらに、トップメッセージは従業員エンゲージメントの向上を図る目的としても活用されています。従業員エンゲージメントとは、社員が会社の掲げる目標や価値観に共感し、自発的に自社に貢献しようとする意思のこと。トップメッセージを用いて必要に応じた情報を適宜発信していけば、トップはしっかりと現場に目を向けてくれている印象を社員に与えられるでしょう。これにより、社員からの信頼が得やすくなり、従業員エンゲージメントの向上にも繋げられます。

トップメッセージが重要になる場面

コロナ禍や災害発生時、事業の事故・不祥事といった状況においては、トップメッセージが非常に重要な役割を果たします。

たとえば、新型コロナウイルスの影響により、2020年4月に7都道府県に向け発令された緊急事態宣言下では、迅速な対応や判断が難しい会社も多くありました。社員は、自己判断で時差出勤や在宅勤務をすることができないため、会社の判断を待つほかありませんでした。こういった場面こそ、トップメッセージにより社員が抱く不安に対して思いやりや共感を示すことが大切です。そして強いリーダーシップのもと、事業環境の変化に迅速に対応し、会社は常にアップデートしていく必要があります。

社員向けトップメッセージの組み立て方

では、社員へ向けたトップメッセージは、どのように書けば良いのでしょうか。ここでは、社員が読んで伝わりやすく、共感を得やすいトップメッセージの組み立て方を解説していきます。

伝えたい内容を明確にする

トップメッセージは、伝えたい内容を1つに絞って、適切なタイミングで発信しましょう。

「なぜこの内容が発信されたのか」「なぜこのタイミングなのか」といった理由が分かりづらい場合、読み手である社員に正しく意図が伝わらない可能性があります。不必要な憶測やネガティブな反応を引き起こす恐れもあるため、注意が必要です。

また、社員が求めている情報を把握し、社員に伝わる内容に推敲したうえで発信する必要があります。

ストーリー仕立てにする

抑揚のない印象とならないよう、トップメッセージの構成をストーリー仕立てにするのもひとつの手です。思わず読み進めたくなるような文章であれば、社員は関心を持ちやすくなるはずです。

<構成の例>

  1. 会社の現状や市場の動向
  2. 現状をふまえた今後の目標について
  3. 2に対するトップ自身の考えや心構え
  4. 社員への呼びかけ・激励

まずは伝えたい内容を整理し、順序を整えます。そこにトップの率直な感想や体験談など、社員がイメージしやすい要素を盛り込みます。たとえば、今後の目標についてトップメッセージとして発信したい場合、結論だけ伝えるのではなく、目標に対する背景や考えもきちんと説明することが重要です。

ポイントは一方的なメッセージではなく、社員と共有できる文章であること。そうすることで、社員がトップメッセージを自分事としてとらえ、業務と関連づけながらイメージしやすくなるでしょう。

事業環境の実態を伝える

トップメッセージを通して、事業環境の実態を社員へ伝えることも大切です。昨今では、社会の目まぐるしい変化により今後の不透明性や不確実性が増しており、事業環境における共通認識のズレが生じやすくなっています。

このようななかで、社員は指針となる「拠り所」を求めているはずです。社内報は、短時間で会社全体の共通認識を示し続けられるため、社員の拠り所になり得るツールと言えるでしょう。社員が何を考え、どう行動すべきかを、トップメッセージで的確および適切に伝えることが求められています。

経営理念に基づくメッセージを入れる

トップメッセージには、経営理念に基づいたメッセージを入れ込みましょう。今後の展望や行動について語る際には、経営理念に結び付けた内容を心がけると説得力が生まれ、社員からも受け入れられやすくなります。

また経営理念に基づいたメッセージを発信し続けることで、社員全体への理念浸透や経営理念に即した組織風土の定着を目指せるでしょう。

今後の目標やビジョンを語る

事業環境の実態を受け、今後の目標やビジョンもトップメッセージに入れてほしい内容の一つです。今後の目標やビジョンを明示することで、社内に浸透し、会社全体の共通認識とすることができます。これにより会社のあるべき姿に則り、社員全体で同じ方向を向きやすくなるでしょう。

トップメッセージでは、ゴールとなる目標を簡潔な言葉で伝え、さらに目標を定めた背景や目的、意義などを付け加えます。成功したときに得られるメリットや、見込まれる成長度合いのイメージを共有できれば、社員全体への浸透も加速するはずです。

社員への期待と要請を述べる

社員への期待や要請を内容に盛り込みましょう。社内報は、社員に焦点を当ててトップが伝えたいことを具体的に伝えられるツールです。トップが社員に向けた期待や展望を明らかにすれば、社員は業務の目的や目標を設定しやすくなります。日々の業務に目的や目標ができることにより、社員のモチベーションも高まりやすいでしょう。

締めくくりとなるあいさつ

締めくくりとなるあいさつも、実は重要なポイントです。成功するイメージをここで再度共有し、従業員への激励を加えましょう。「共に頑張りましょう」というポジティブな姿勢を示すことで、社員のモチベーションを高めやすくなります。

また、ビジョンに向けたトップ自身の取り組みや個人の目標についても触れ、トップ自身も努力する姿を伝えるのも一つの手です。強いリーダーシップを発揮しやすくなります。

モチベーションアップにつながるトップメッセージの例

社内報にトップメッセージを載せることにより、社員のモチベーション向上につながります。ここでは、社員のモチベーションアップにつながるトップメッセージの例を紹介していきます。

社員への激励の言葉やエールを送る

トップが率先して激励やエールなどのポジティブなメッセージを発信し、社員の士気を高めましょう。

  • 「社員一丸となってこの荒波を乗り越え、より成長していけるように皆で頑張っていきましょう。」
  • 「未来は、一人ひとりのアクションから創られます。」
  • 「当面は困難な時期が続くと予想されますが、その後はきっと明るい未来が待っているはずです。未来に希望を抱き、組織全体で協力し合って乗り越えていきましょう。」

今できることを社員に提示する

社員が今できることをトップメッセージから提示することも、モチベーション向上につながります。

  • 「このような状況下だからこそお客様のニーズを的確に把握し、どのように提供していくかを真剣に考えることが重要です。」
  • 「どのようにすれば付加価値を生んでいけるのかを、今こそ冷静に考えるべきです。」
  • 「優れた技術と製品開発により社会に貢献していくことが、創業以来の当社のミッションです。社員一人ひとりが改めてそこに立ち返り、業務に取り組んでいただきたいと感じています。」

会社の方針を明確に示す

トップメッセージにより会社の方針を明確にし、社員の道筋を提示することが重要です。会社の方針を見せれば、社員の結束強化も図れるでしょう。

  • 「今重要なのは、自社が生き残るかどうかということです。社会のために会社を潰さないことが、企業責任であると考えています。そのため、協力会社との連携も視野に入れている状況です。また、社内に対して私たちは雇用を守ることを宣言します。」

コロナ禍に応じた変革や変化に関するメッセージ

コロナ禍に応じた変革や変化に関するメッセージも加えましょう。先行きがわからない状況下で不安を感じている社員も多いはずです。コロナ禍に応じて会社がどのように変わっていくのか、どのような姿勢で応じていくのかがわかるようなメッセージを発信すると良いでしょう。

  • 「社会を支えるインフラとして国民の社会生活維持のため、マスクや手指の消毒、検温など感染症対策を万全にしたうえで業務遂行をしていただいています。」
  • 「コロナの影響により、海外で生産を行うグローバルサプライチェーンの縮小が予想される状況です。したがって我が社では、グローバル生産から国内生産への回帰を始めます。」

社内報のトップメッセージを書くコツ

トップメッセージを書く際には、表現方法や更新の頻度・タイミングなどのコツをおさえることが大切です。ここでは、トップメッセージを成功させるコツをお伝えしていきます。トップメッセージを有用なものにするためにぜひ参考にしてください。

社員の気持ちを考えて発信する

トップからの一方的なメッセージでは、社員の印象に残らない恐れがあります。そのため、自社の状況と社員が現在どのような状況でどのような感情を抱いているかを把握、もしくは仮説を立てる必要があります。その上で、社員の意識や行動の変化を喚起するメッセージを発信すると良いでしょう。

具体例として、社員が不安を抱くような状況下では安心させる内容、意欲が下がった状態であればモチベーションアップにつながる内容などが挙げられます。ただし、注意してほしいのが対外的にネガティブな情報が公表されているにもかかわらず、そのことに触れないといったケースです。社員の不信感を招く恐れもあるため、事実に基づくフェアな情報発信を心がけましょう。

具体的な数字やわかりやすい表現を使う

トップメッセージには、具体的な数字やわかりやすい表現を使うようにしましょう。数字は客観的な指標となるため、主張に具体性や信憑性が増します。「業績が飛躍的にアップしました」よりも、「経常利益が○億円上がりました」と表現する方が、納得感を得やすいのです。また、具体的な数字を示さなければ「何を根拠に述べているのか」といった疑念につながる可能性もあるため、数字の活用は不可欠と言えます。

加えて、カタカナ言葉や専門用語などの多用を控え、かみくだいたシンプルな文章になるようにしましょう。威厳を保つために難解な言い回しをすると、読み手が途中で離脱する恐れがあるので注意が必要です。

定期的に更新する

トップメッセージは、一度発信したら終わりではありません。月1回、週1回、もしくは中長期計画の進捗状況や株主総会、創立記念日といった節目などタイミングを定めて発信するようにしましょう。社員から求められているのは、会社の今の状況や経営の現状に対するトップの判断と、それに至る背景などの情報です。経営側から社員に向けたコミュニケーションの量は、社員のエンゲージメント向上に関係します。常に最新の情報が届けられるよう、定期的にトップメッセージの更新をしましょう。

動画を活用する

社内報のトップメッセージにおいて、動画の活用も成功させるコツの一つです。動画は話し手の表情や言葉の抑揚、雰囲気などが加わるため、文章のみの場合よりも相手に伝えたいことが正確に伝わりやすい傾向にあります。また、トップの姿が見えることでメッセージがよりリアルに感じられるのもポイント。単に言葉を伝えるだけでなく、言葉に込められたトップの思いや細かなニュアンスを伝えるためにも動画の活用は非常に効果的だと言えます。

また動画コンテンツは汎用性が高い点もメリットです。社内報だけではなく、プレゼンテーションや社員研修の資料としても活用できるでしょう。

まとめ

社内報のトップメッセージは、トップが会社の理念や方針、思いなどを社員に伝達するための重要なツールです。トップメッセージの活用により、社員への企業理念の浸透や緊急時における不安感の払拭、モチベーション向上などが図れます。また動画を活用すれば話し手の表情や声の抑揚、雰囲気などが加わるため、より正確に情報が伝わりやすくなるでしょう。今回ご紹介した内容を参考に、社員の心を掴むトップメッセージの作成にチャレンジしてみてください。


 

関連記事

社内外の広報にSNSを活用するポイントは?社内向けのコツも紹介

現在、社内外に向けた広報ツールとしてSNSを活用する企業が増えています。広告配信だけではなく、担当者がSNSを使って広報活動を行う例も少なくありません。また、社内広報にSNSを活用することも有効であ ...

読まれる社内報を作りたい!ネタ探しのコツ&企画例

多くの企業において、社内報は定期発行するケースがほとんどでしょう。そのため、ネタ探しに毎回奔走する担当者も多いものです。 ただ、今や社内報のネタはネットで簡単に探せる時代。イチからアイディアを ...

社内報のテンプレート作成・レイアウトのポイント

社内報とは、社内広報を行うために制作された媒体のこと。社内のトピックスを社員やその家族に共有することはもちろん、社員同士のコミュニケーション活性化やモチベーションアップのためのツールにもなり得えます ...

社内報の作り方は?制作の流れと運用のポイント

社員の紹介や会社理念などの情報を、社内向けに発信するツールである「社内報」。そんな社内報をどうやって作成すれば良いのか、具体的な方法が分からず足踏みしている人もいるでしょう。また、せっかく作った社内 ...

社内に伝わる動画を作成!必ず押さえたい共有方法と編集ポイントを解説

今、スマートフォンやパソコンでの情報収集に、動画を使う人が増えています。ビジネスシーンでも、数多くの場面で動画を使った情報発信が行われていることをご存知でしょうか。動画を会議や研修などで共有すること ...

この記事をシェアする