社員の紹介や会社理念などの情報を、社内向けに発信するツールである「社内報」。
そんな社内報をどうやって作成すれば良いのか、具体的な方法が分からず足踏みしている人もいるでしょう。また、せっかく作った社内報が、社員にあまり読まれないといった悩みも多いよう。
そのような悩みを解決するために、社内報の詳しい作り方の流れと、上手な運用方法を詳しくご紹介します。
目次
社内報の目的とは
まずは、社内報の目的からチェックしていきましょう。目的をしっかり把握してから社内報の作成に取りかかることで、より意義のある内容に仕上がるはずです。
目的1:経営理念やビジョンを社内に伝える
社内報の代表的な目的の一つが、経営理念やビジョンを社内に共有すること。
企業ごとに経営理念やビジョンが定められています。基本的な方向性は変わらないことが多いかもしれませんが、具体的なミッションや目標などは状況によって変動するものです。
そのときの社会情勢やトレンド、思い描いていたビジョンを達成した際には、新たな経営理念やビジョンを設定する必要があります。掲げられた理念やビジョンの内容を理解してもらうためにも、社内報は役立っているのです。
目的2:社内のトピックスを共有する
社内報には、理念やビジョンだけでなく、社内のトピックスを共有する目的もあります。たとえば、新製品やサービスの情報や関連した知識などが代表的です。新製品の情報を社内報で広報することにより、社員一人ひとりの商品に対する理解が深まり、営業や販売などに活かせるでしょう。
また社内報は、人事異動といったトピックスを共有するツールとしても役立ちます。人事異動の詳細を明記することで、組織の動きが明確になります。
目的3:社内コミュニケーションのツールとして活用する
社内報は、社内のコミュニケーションを図るツールとしても重要な役割を担っています。たとえば、社内で開催したイベントや社内の部活動の様子を社内報に掲載したとします。すると、この社内報がきっかけとなり、社員同士の会話が盛り上がったり、チームワークがより深まったりするなど、職場でのコミュニケーションに大いに役立ちます。
社員同士のコミュニケーションが深まると、そこから新たな企画やコミュニティが生まれ、ビジネスに活かせることもあります。
目的4:自社のブランディングツールとして利用する
企業内部の情報が掲載される社内報は、自社のブランディングツールとしても利用可能です。社内報には、自社の経営理念やビジョン、新商品や人事情報、社内イベントなど、とにかく自社に関する内容がギュッと詰まったもの。そこでうまく情報発信すると、社員の愛社精神や愛着が高まったりするなど、ブランディングツールとしても役立ちます。
また、社内報は基本的に社員に向けて発信するツールですが、自社の内情がわかりやすく、幅広い内容が記載されていることから、採用活動の場面で使用することも可能です。「オープン社内報」として、ブログやSNSなどに掲載することで不特定多数の第三者に見てもらうこともできます。
読まれる社内報を作るために必要なスキル
では、読んでもらえる社内報とはどのようなものなのか、必要なスキルをチェックしていきましょう。
シンプルで伝わりやすい「ライティングスキル」
社内報を作成する上で重要なスキルの一つが、シンプルかつわかりやすいライティングスキル。基本的に社内報では、テキストで情報を伝えることが多いでしょう。そのため、内容をシンプルかつかりやすくまとめなければ、何を伝えたいのかが不明瞭になり、せっかくの社内報を活かしきれません。
また、読み手を引きつけるライティングセンスも重要なポイントです。事実だけをただ書いてあるだけの文章はもちろん、反対に表現に凝りすぎた文章も考えものです。わかりやすさを意識し、起承転結をふまえて執筆しましょう。そして、正しい情報を発信するためにも誤字脱字のないように校正するスキルも身につけておく必要があります。
ブランドイメージにマッチする「デザインスキル」
社内報に書く内容だけでなく、自社のブランドイメージにマッチするデザインスキルも磨いておく必要があります。自社の情報が込められた社内報は、会社の顔ともいえる存在です。場合によっては、採用活動や取引先の企業に配るケースもあります。そこで、デザインが自社のイメージにマッチしていなければ、誤解を招くこともあるでしょう。自社のブランドイメージのトンマナに沿って、デザインしていく必要があります。
また、文字だけが並んだ社内報は、読みにくく、途中で飽きられてしまう場合も。こういったマイナスの要素を避けるためにも、ブランドイメージにマッチし、誰もが読みたくなるようなデザインが作れるスキルを身につけておきましょう。
トレンドを押さえた「取材・撮影スキル」
より内容が充実した社内報を作るには、トレンドを押さえた取材を行い、目を引く写真を撮るための撮影スキルも必要です。
誰もが知っていることを社内報に記載しても、読んでもらえる確率は低いでしょう。そのため、業界だけでなく社内のトレンドをおさえた企画を立てることが肝心です。「最新情報を経営陣に取材する」「まだあまり知られていない部署を深堀してみる」など、社内にとってトレンド感のある内容に仕上がるような、詳しい取材を行うことがポイントです。
また、社内報に掲載する内容をより魅力的に見せるには、写真も必要不可欠です。写真全体の雰囲気をチェックし、構図や明るさなど事細かにチェックしておく必要があります。いつどんな写真が必要になっても対応できるよう、撮影時には多めに撮りためておくと良いでしょう。
また、社員にインタビューなどを行う際に動画を撮影する場合もあります。そのため、動画撮影のスキルも身につけておけるとベターでしょう。
基本的な社内報の作り方
ここでは、社内報の基本的な作り方を流れに沿って解説していきます。作成を開始する前に、手順を把握しておくことでミスを防止でき、スムーズに完成させられるはずです。
手順1:企画を決める
社内報を作るには、まず企画を決めるところから始めましょう。どのような目的があって、何を発信したいのか明確にすることで、より充実した内容に仕上がります。
社内報でよく用いられる企画としては、経営陣からのメッセージ、売上の実績や活動内容の紹介、社員や部署の紹介などが代表的です。ときには、季節のイベントや時事情報など、業務とは直接関係のない企画を盛り込むこともあります。社内報を社内コミュニケーションの手段として活用したい場合は、社内の雰囲気がわかるようなコンテンツも毎回入れるようにしましょう。また、社内アンケートを行い、社員が今抱えている思いや意見を記載するページを設けるのも一つです。
手順2:スケジュールを組む
社内報にどんな企画を掲載するかが決まったら、スケジュールを組みます。
まずは年間でいくつの社内報を作成するのかを明確にし、大体の発行日を決めましょう。売上の実績や新製品など最新の情報を載せる場合は、発行日から逆算していつまでに情報が必要になるのかをチェックしておくことが大切です。
取材やアンケートなどを盛り込む場合は、取材日やアンケート配布・回収日などを決めます。いつまでに何を行うのかを決定すると同時に、誰が何を担当するのかも一緒にまとめておくとスムーズでしょう。
手順3:ライティング・デザインのアウトラインを作成する
実際に執筆を行う前に、ライティングとデザインのアウトラインを完成させておきます。
一度にどの程度の企画を掲載するのか、一つの企画あたり何文字ほど執筆するのかなど、社内報の設計図になるようなアウトラインを決めましょう。どの企画をメインにするか、企画の優先順位を決めてからアウトラインを作成するとやりやすいはずです。
大体のアウトラインが決まったら、実際の社内報と同じサイズの用紙を準備して、決定したアウトラインを参考にデザイン案を作りましょう。このとき、写真や挿絵などの配置も一緒に決めておくと、バランス良く仕上がります。
手順4:取材やインタビュー、写真撮影を行う
ライティングとデザインのアウトラインが決まったら、取材やインタビューを行います。その際、事前に説明書を用意し、スムーズに取材・インタビューできるよう、下準備を忘れてはいけません。説明書には、社内報の概要や企画の目的などをまとめておきましょう。取材の依頼をする際にインタビュー対象者に送るのはもちろん、当日もきちんと説明し、意図を理解してもらうように工夫するのがおすすめです。
手順5:ライティング・校正を行う
取材やインタビューを通じて必要な情報や素材が集まったら、ライティングや校正作業に取りかかります。社員や経営陣のインタビューを行った場合、まずは取材で得た情報を書き出し、内容ごとに仕分けして整理します。余裕があれば、インタビュー全体を書き起こすと良いでしょう。その後、不要な情報をとりのぞき、文章にまとめていきます。大まかなあらすじを決め、起承転結を意識しながらライティングするとスムーズです。
ライティングが完了したら、情報が正しいか、文章が不自然ではないか、誤字脱字がないかなど、チームや上司、同僚などに確認してもらう校正作業に入ります。内容がしっかり整ったら、インタビュー対象者にもチェックしてもらい、間違った情報がないかどうかなどを確認できれば完成です。
手順6:デザインを決める
記事が完成したら、デザインを決めていきます。
完成した記事と写真を一つの社内報にまとめるため、手順3で決めたアウトラインを参考に配置していきます。このとき、一記事あたりの情報量が多すぎないか、文字の大きさは見えやすいか、読みやすい配色かどうかなどもチェックしましょう。情報量が多すぎると、読み手に伝わりづらくなります。
文字の大きさも同様に、小さすぎたり大きすぎたりすると読みにくくなるので注意が必要です。また、配色が派手すぎると、読みにくくなる可能性も。基本的には黒をベースに、強調したい場所や記事には部分的にカラーを用いるのがおすすめです。
手順7:発行、公開する
全体が完成したら、あとは社内報を発行、公開すれば完了です。
発行・公開後は社内周知を忘れずに行うようにしましょう。社内のSNSやチャット、グループウェアなどがある場合はそれを活用して広報するのも一つの方法です。
Web上に社内報を載せる際は、公開時間にも気を配る必要があります。忙しい時間帯や気づかれにくい時間帯に社内報を公開すると、業務連絡などに埋もれて読まれる機会を逃してしまいがちです。朝一番や昼休憩直後など、メールチェックするタイミングに合わせて公開すると、多くの社員の目にとめてもらえるはずです。
社内報を運用するポイント
せっかく作った社内報をより多くの人に読んでもらうために、ここでは運用のポイントをご紹介します。
ポイント1:目的に合った媒体を選択する
社内報には、主に紙媒体とweb媒体の2種類があり、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて目的にマッチする媒体を選びましょう。また、読者アンケートなどを実施して、読まれやすい媒体を選ぶ、もしくは紙媒体もweb媒体もどちらも取り入れるのも一つの方法です。
紙媒体は、コストが高く、一方的な発信になりがちですが、読みたい記事が探しやすく、デザインの自由度が高いメリットがあります。一方で、web媒体は、流し読みされやすい、社内報全体が見えないためデザインや雰囲気が伝わりにくいといった点がデメリット。しかし、PV数などがチェックできるため読者の反応が分かりやすい、動画を使うことができるなどメリットも多くあります。配信した動画の視聴ログを分析するサービスを展開している動画編集クラウドを活用すれば、その効果を測定することができるため、社内報の運用法として導入してみるのも良いでしょう。
ポイント2:社内報の存在を周知する
社内報が存在していることを、できるだけ多くの人に周知することも、運用において重要なポイントです。せっかく社内報を作っても、その存在の周知度が低ければ、読まれる機会も当然減るでしょう。また、作った社内報が公開されている事実をしっかりと広めることも大切です。前もって発行日をメールや掲示板、SNS等を用いて拡散し、読んでもらいやすい環境を整えましょう。
ポイント3:読者の意見を収集して、次号に反映させる
社内報を多くの人に読んでもらえるよう上手に運用するには、読者の意見が盛り込めるようアンケートツールを使うのもおすすめです。自分自身の意見が社内報に掲載されているとなれば、気になって読みたくなる人が多いはず。また、「今回の社内報で会社理解が深まったか」など、社内報の感想や意見が得られるアンケートを作成して、今回の内容を振り返り、次回以降の制作時に役立てるのも良いでしょう。
まとめ
社内報は、在籍する社員が会社への理解を深め、結束力アップのサポートとなるツールの一つです。ときには、人材採用への活用や社外へのアピールにもなるため、しっかりと作り込んで運用することで、自社へ貢献することもできます。基本的な制作の流れを把握するとともに、必要となるスキルや運用のポイントもしっかりと頭に入れて、多くの人に読まれる社内報を完成させてみましょう。取材やアンケートも積極的に行って、誰もが読みやすく興味を引きつけられるよう工夫することも大切です。
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