社内報を作成する際、「何を書いたら良いだろう」と悩む人事担当者は少なくないのではないでしょうか。社内報は情報共有だけでなく、社内コミュニケーションの活性化に役立ちます。せっかく社内報を作るのなら、効果の高いコンテンツを作りましょう。
一般的に社内報といえば紙媒体の冊子が定番でしたが、近年は働き方の多様化やペーパーレス化に対応すべく、Webで公開したり、動画を活用したりする企業が増えています。
本記事では社内報の目的をふまえ、効果を高めるための作り方を解説します。
この記事を読むことで、社内報作成におけるヒントを得ることができるでしょう。作成の手順も記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
社内報ってどんなもの?
社内報とは、社員やその家族に向けて社内広報を行うための媒体です。企業が独自に制作し、自社のビジョンの共有や社内コミュニケーションの促進を助けるツールとして活用されています。
実はリーマンショック以降、多くの企業ではコスト削減の一環で社内報作成を縮小する傾向にありました。しかし、転職するケースが一般化し、社歴の浅い社員が増えたなどの理由から、企業のビジョンを共有したり、人間関係を円滑にしたりするための手段として再び注目されています。
従来の社内報といえば、冊子などの紙媒体を発行することが主流でした。ところが、在宅勤務などの働き方の多様化やペーパーレス化の影響もあり、最近ではWeb上に公開したり、動画を盛り込んだりするなど、さまざまな形で発行されるようになっています。
社内報を作成する目的は?
社内報を作成するにあたり、まず何のために作成するか「目的」を明確にしましょう。社内報を作成する代表的な目的を4つ取り上げます。
目的1. インナーブランディング
インナーブランディングとは、自社の企業理念やブランド価値を社員に浸透させる活動を指します。社内報は、インナーブランディングの手段として活用できます。たとえば、社歴の浅い社員に自社の歴史や商品が作られたプロセスなどを伝えられたら、愛社精神が高まり仕事への意欲向上にもつながるでしょう。
また、社内報は人材採用のツールとしても活用可能です。情報がまとまっていることで、企業理念や会社の雰囲気を求職者に伝えやすくなるでしょう。
目的2. 従業員のコミュニケーション
社内報があると、社員間で共通の話題ができ、コミュニケーションの活性化につながります。
たとえば、社員同士の理解を深めるために社員インタビューを掲載することはひとつの方法です。また、その内容に対して経営陣からコメントがある仕組みを作れば、社員と経営側の双方向からのコミュニケーションを図ることができます。
目的3. 情報共有
社内報は、会社からのお知らせを伝達するツールとしても利用できます。たとえば社内イベントの告知や報告事項などです。
また、業績や経営状況などを定期的に掲載することで、社員が今後何をすべきか目標を明確にできます。
目的4. モチベーションの向上
社内報は、社員の働く意欲や成果向上を促すことができます。企業理念やビジョンを定期的に発信することで、会社のビジョンやゴールを社員が再認識する機会を増やせるからです。
社員一人ひとりが「この会社で働きたい」という気持ちを高められるでしょう。
社内報作成の手順
それでは社内報を作成する手順について、一つひとつ確認していきましょう。
Step1. 目的やコンセプトを定める
まずは、社内報の目的やコンセプトを明確にしましょう。情報共有がメインなのか、社員のモチベーションや成果を向上させたいのかなど、何を目的とするかによって運用方法が異なるためです。
Step2. 掲載先や発行する手段を決める
社内報をどのようなかたちで発行するかを決めましょう。これまでは紙の冊子を発行して配るのが一般的でしたが、最近はWebで公開するかたちをとる企業が増えています。
まず、紙媒体の社内報は、現物が手元にあるため家族などにも共有しやすく、モノとして愛着が湧きやすいというメリットがあります。ただし、配送コストがかかったり、本当に読まれているかどうか確認したりすることが難しいというデメリットも。
一方、Webの社内報は速報性に優れており、配送などの手間が省けます。加えてデータの集積や解析が可能となるため、閲覧数や閲覧した社員、人気コンテンツなどの効果測定ができます。デメリットとしては、専用のツールを使った場合にフォーマットに入れ込むかたちを取ることが多いため、デザイン・レイアウトに制限があったり、家族などとの共有が不便であったりする点でしょう。
Webの社内報が選ばれる強みとして、動画が活用できるので、よりリッチなコンテンツに仕上げることができる点があります。たとえば、経営者からのメッセージを動画配信すれば、文字だけを読むよりも臨場感があり、社員に伝わりやすくなるでしょう。
紙とWebにはそれぞれメリット・デメリットがありますので、社内報を発行する目的や予算などを考慮しながら選択しましょう。
Step3. 企画を考える
企画を考えるときは、「4月は新入社員の紹介」「秋は内定式」など季節ごとの会社行事に合わせるとスムーズです。テーマを決めて社員からアンケートをとり、社内報で結果報告をまとめても面白いでしょう。
ここでは企画のアイデアを3点紹介します。
企画例1. 会社情報・業績報告
経営方針やビジョンなどを発信する「会社情報」、決算後や年度末などの「業績報告」は社内報にぜひ掲載したい内容です。新入社員が入ったタイミングなどに改めて特設コンテンツとして、基本的な会社の情報を載せるのも一つでしょう。
企画例2. 社員インタビュー・座談会
社員インタビューや座談会は、社員同士の関係構築やコニュニケーション向上に役立ちます。
Webの社内報であれば動画を上手に活用すると、より面白く、興味を引き立てるコンテンツに仕上げることができます。社員インタビューや座談会の様子を動画にすることで、場の雰囲気まで伝えられるでしょう。
企画例3. 職場紹介
企業によっては拠点や部署が多かったり、複数のグループ会社にまたがっている場合も少なくありません。全社に向けて社内報を発行する場合は、職場ごとの紹介を企画してみてはどうでしょうか。
日ごろ接点がない職場を知ることは、社内の垣根を取り払う上で有効です。写真や動画を入れ込むと、より職場の雰囲気が伝わりやすくなります。
Step4. スケジューリングを行う
企画した内容を元に、社内報を発行するスケジュールを決定します。まずは年単位で何回発行するかを決め、次に1回の発行ごとにスケジューリングします。
各号における企画の決定時期、原稿の締切日などを定め、インタビューなどを掲載する場合は、インタビューを受ける人へのアポ取りも必要です。
決定したスケジュールはスケジュール表に落とし込み、関係各所と共有します。できるだけ余裕を持ってスケジューリングしましょう。
Step5. デザインを決める
記事のデザイン構想を決めます。どのような記事を書くのか、どのような写真が何枚必要であるかなども事前に決めておくと、全体像がつかみやすくなります。あとで「写真が足りない」「内容が多すぎる(少なすぎる)」といったトラブルが防げるでしょう。
Step.6 取材や執筆・撮影を実施する
デザイン構想に合わせて、必要な素材や情報を集めます。取材や写真撮影を行うにあたり、担当者とは別の人が行う場合は、事前に仕上がりイメージをすり合わせておくとスムーズです。
Step7. 原稿を確認する
読者が読みやすく、興味を持ってもらえるような文章構成やレイアウトを施します。文章は校正を行い、必要に応じて修正を依頼しましょう。できれば複数人で確認すると安心です。紙媒体の場合、入稿前には実際に1部印刷をしてみて、レイアウトのズレなどがないかもチェックするようにしましょう。
Step8. 発行・入稿~公開する
紙媒体で発行した場合は後から修正はできません。しっかり確認してから入稿するようにしましょう。
完成後は多くの社員に見てもらえるように、社内メールやチャット、グループウェアなどでアナウンスすると良いでしょう。
社内報作成の方法は「内製」もしくは「外注」
社内報を作成するには、社内報作成ソフトを使って自社で作る方法と外注する方法があります。
社内報作成ソフトを使うと簡単!
自社で作成する場合は、社内報作成ソフトを使うと便利です。
社内報や広報誌が作成できるデザイン制作ソフトがあり、なかには無料で利用できるものも存在します。あらかじめ文字組みや画像位置が設定されたテンプレートを編集するだけで、社内報が完成します。
表紙にもこだわりたいという場合は、グラフィックデザインツールなども併用すると良いでしょう。
紙で発行する場合に対応したソフトもあれば、Webに対応したソフトもあります。発行するかたちに応じて選択していきます。
またソフトには、パソコンにダウンロードして使用するものと、Webブラウザ上で操作するクラウドタイプのものがあります。社用パソコンで利用可能かを確認した上で選ぶようにしましょう。
社内報を外注して手間を省くのもおすすめ
社内報を自社で作るのは手間がかかるもの。そんなときは外注の検討をおすすめします。
プロのデザイナーやライターが手がけることで、クオリティの高い社内報が作成できるでしょう。また、これまで社内報作成のために使っていた時間を別の業務にあてることが可能となります。
一方、外注するデメリットは、自作するよりコストが高くなる点や、社内報を作成する目的やコンセプトを外注先とすり合わせる時間が必要となる点です。
外注と内製のどちらが適しているのか、予算や社内のリソースをふまえて見極めましょう。
まとめ
社内報を作成するには、まず目的の明確化が不可欠であることが理解できたでしょう。大まかな運用が決まったら、きちんとスケジューリングしてから進めるとスムーズです。もし自社で作成するのが難しいようであれば外注しましょう。
社内のコミュニケーションが見直されている現在、より社内報の重要性が高まっています。目的にあわせて読み応えのあるコンテンツを考え、社内報の作成に取り組んでいきましょう。
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