2023/03/17
株式会社大宮製作所
マニュアル資料がない状態から動画化に着手!長年のノウハウを伝承する重要性を実感
大宮製作所は昭和23年(1948)の創業以来、自動給餌機を中心とした畜産用設備機械器具の設計・製造・施工を手掛け、国内販売シェアトップクラスを誇ります。
老舗メーカーだけに、社内には長年培われた多くのノウハウがある中、社員には対面の研修やOJTを通じて技術を習得してもらっていたといいます。そんな研修体制に課題を感じ、約1年前からVideo BRAINを導入し、マニュアルの動画化を進めています。
さらに最近では、マニュアルをスムーズに共有し、社内のノウハウとして構築するために、新たにビジネスポータルクラウドの活用も開始。こうしたDX化はどのような成果を生んでいるのでしょうか。
本記事ではVideo BRAINの活用法について、代表取締役の栗山裕光さんと、動画編集を担当する坂井勇也さんに伺いました。
▼ビジネスポータル機能「Open BRAIN」 の導入経緯を紹介した記事はこちら
※2023年2月のインタビュー内容です。
◆ 主な制作動画
- 作業手順のマニュアル
- 福利厚生サービスの使い方 など
◆ 導入前の課題
- 長年にわたって、製品の組み立てや施工に関するマニュアルが存在していなかった
- ノウハウが属人化し、従業員の退職に伴いナレッジの継承に苦労していた
- 全国に点在する営業所と、スムーズにマニュアルの共有が行えていなかった
- パーツを含めると、何千種類にも及ぶ膨大な数を取り扱っており、マニュアルを作るなら多くの動画が必要だった
- 社内の制度やシステムについて、総務への問い合わせが多くて非効率だった
◆ 成果
- 1年弱のうちに、40本ほど動画を制作できた
- 動画マニュアルにより、業務のノウハウを共有し、人材育成がスムーズになった
- 他の動画編集ツールと比べて、動画の制作効率が大幅に向上した
- 自社製品への理解、ナレッジの継承が促進された
目次
今までは紙の資料も存在しなかった。動画で“脱・属人化”を決意
――まず、マニュアル動画を作ろうと思った経緯を教えてください。
栗山:弊社では非常に多くの畜産用設備機械器具を手掛けており、製品ごとに組み立てや施工に関する込み入ったノウハウが必要になります。以前から、社員向けのマニュアルを動画で制作したいという考えはありました。
なにしろこれまでは紙のマニュアルすら存在しなかったため、社員には自身でメモを取りながら業務を覚えてもらっていました。
その結果、指導するには、どうしても熟練スタッフの知見に頼らざるを得ないという、典型的な属人化のデメリットを抱えていました。いざ、そのスタッフが退職する段階になって「どうしよう」と引き継ぎに頭を悩ませることが多く、共有しやすいマニュアル作りが不可欠だったわけです。
――社内ナレッジの共有や継承という点で、長年にわたって課題を抱えていらっしゃったと。
栗山:そうですね。伝統のある会社なので、古参社員にノウハウが偏りがちなのですが、口承で引き継ごうとすると、製品に関する細かな知識がどうしても途中で漏れてしまうんですよ。
そこで「せっかくマニュアルを作るなら、紙よりも動画のほうがわかりやすく、スタッフの育成も効率化できるだろう」と考えたことが、動画編集ツールの導入を決めたきっかけでした。これまでの経験上、紙のマニュアルを作っても、あまり読んでもらえないこともわかっていましたから。
――動画を作るにあたり、制作会社に外注する選択肢もあったと思います。内製化を決めたのはなぜですか?
栗山:単純に、たくさんの動画を作る必要があったためです。畜産用設備機械器具というのは、細かなものまで含めれば何百種類、あるいは何千種類という膨大な数にのぼります。必要に応じて継続的にマニュアル動画を制作するのであれば、やはり社内で作るのがコスト面でも最適だと考えました。
Video BRAINを導入したタイミングで入社した坂井が、写真を撮ったりレタッチしたりといった作業が得意だったので、現在は彼を中心に動画制作を進めています。
坂井:趣味で写真や動画を撮っていたので、もともと編集作業は好きなんです。経営企画をはじめ、販売促進など幅広く担当するサポートチームの部署に在籍しており、その中で動画制作を通じて社内の業務をサポートすることになりました。
栗山:実際に動画制作を始めて1年ほどなので、現状では手探りのところもありますが、適材適所でうまくやれていると感じます。
直感的なインターフェースで、Video BRAIN は誰でも使いやすい
――では、さまざまな動画編集ツールがある中で、Video BRAINの導入を決めたポイントは?
栗山:いくつか編集ツールも試して自分で動画を作りましたが、1本作るのに時間がかかり「これを何本も作り続けるのはしんどいな」と思っていたところで、Video BRAINを知りました。
社内で動画制作の機運が高まり始めた昨年4月ごろ、展示会でブースを見かけ、説明を受けたのがきっかけです。実際に動画を編集するプロセスも見せていただいて、これなら確かに効率的だなと納得できました。
――実際の使用感についてはいかがでしょう。
坂井:自分で使ってみて、まず感じたのは“取っつきやすさ”でした。「Adobe Premiere Pro」を使ったこともありますが、比較すると直感的に操作できるインターフェースです。極端に言えば何も説明がなくても、誰でもスムーズに使えるのではないかと思います。細かな設定も不要ですし、Video BRAINを使ったことで、作業効率は格段に上がっています。
――この1年弱の期間に、どのくらいの本数の動画を制作されましたか。
坂井:厳密には私が専任でやるようになったのは半年ほど前のことで、その期間だけでも30本くらいは作っていると思います。前任者のころに作った動画を含めれば、40本は超えているはずです。
栗山:並行して、前任者の時代に作った動画の修正や再編集も進めています。ちょっとした追加作業やブラッシュアップも、非常に楽なので助かっています。
――ハイペースで、安定的に動画を制作されていますね。
栗山:先ほども申し上げたように、うちはとにかく製品数が多いですからね。もちろん、数千種類の製品すべてにマニュアル動画を作る必要はないのですが、実務だけでなく、人事や総務まわりのマニュアルも必要ですから、どうしてもまとまった本数の動画が求められます。
たとえば、福利厚生の一環で本社オフィスの1階に設置した「オフめし」(※食材や飲料などを提供する置き社食システム)の使い方マニュアルも、Video BRAINで制作しました。こういった動画がなければ、社員が総務のスタッフに使い方を聞きに行くことになりますから、担当者の負担が減り、業務効率の向上に繋がっていると思います。
現場とうまく連携しながら、専門性が求められる動画を制作
――現在、1本の動画を作成するのにどのくらいの時間がかかっていますか?
坂井:見やすさを考慮して、作っている動画は1本あたり2~4分程度の長さですが、素材さえ手元に揃っていれば、半日もかからないで完了します。
――紙のマニュアルが存在しない状態から動画を作るとなると、具体的に手順などを洗い出す作業も発生しますよね。編集作業にあたって、現場の専門知識も必要になるのでは?
坂井:動画を作る前に、各現場の担当者にエクセルのシートを入力してもらって、組み立て手順や作業上の留意点などを事前に収集するようにしています。各部門、各営業所から寄せられたシートに基づいて、私が動画に落とし込んでいくわけです。
栗山:これは意外と重視している工程で、坂井に任せておけば勝手に動画が仕上がるような体制では、誰もが彼に頼り過ぎて、負担が偏ってしまいます。そうではなくて、動画ひとつを作るにしても、皆で知見を持ち寄ることは大切だと考えています。全社で取り組むことによって、社内のノウハウが詰まった良いマニュアルができあがると思います。
――すると、写真や動画素材なども、行く行くは各現場から坂井さんのもとに集まってくる体制が理想ですね。
坂井:その通りです。現在は私が各現場へ撮影に行っていますが、この部分を省力化できれば、さらに動画の制作スピードは上がるでしょう。
――現在、まだマニュアルを作り続けている段階かと思いますが、動画によって生まれた効果や手応えなどはありますか。
栗山:成果が業績などの数値に表れるのはこの後だと思いますが、今の時点でも業務上、ポジティブな成果が得られそうな気配は十分に感じています。たとえば、製品の組み立てマニュアルなどは、書類ではなく動画で見なければわからないことがたくさんありますからね。
また、動画でマニュアルを制作するには、手順や情報をいったん整理する必要があります。そのためのディスカッションを通して、製品への理解がいっそう深まる効果は間違いなくあるでしょう。
それは動画ができあがった後も同様で、担当部署のメンバーがマニュアル動画を見ながら、「もっとこうしよう」、「ここはこうしたほうがわかりやすいのではないか」などと議論することも、業務を行う上で非常に大切だと思います。
必要な修正作業がその場で行える、クラウドの魅力
――Video BRAINがクラウド上で操作できることのメリットは、どのような点に感じますか?
栗山:弊社が展示会に出展したときに、クラウドのメリットを痛感した出来事が実際にありました。当日、会場には縦型のサイネージを準備してもらっていたはずが、いざ現場へ出向いたら横型のサイネージが用意されており、その日のために作成した動画の画角とマッチしなかったのです。
こうなると、縦型の動画を無理やり横型のサイネージに投影するほかないですが、Video BRAINはノートパソコン1台あれば、その場で修正が行なえます。結果、当日のその場で動画を修正して、事なきを得ました。
また、作業分担がしやすいのもクラウド型の特性で、今後、動画制作チームの人員を補強する際には大切だと思います。現に今、新たにチームに加えようと思っている社員が地方の営業所勤務なので、スムーズに連携できると期待しています。
――そのほか、編集作業のプロセスで、Video BRAINに感じる特性や特徴があれば教えてください。
坂井:細かい部分で言えば、ある動画を編集中に、別の動画の1シーンだけを抽出して持っていきたいときに、非常に簡単にできるのがVideo BRAINの特徴だと思います。
他の動画編集ソフトでは、元動画の立ち上げて必要な部分をカットして持ってくる作業が必要ですが、動画の場合はデータ容量が大きいのでこれがなかなか手間なんです。その点、Video BRAINではアプリ内のコピーアンドペーストで済むのがすごく便利ですね。
――Video BRAINの活用により、御社が最終的に目指すものは何でしょうか。
栗山:やはり社内向けのマニュアルを作って、人材育成するという目的が第一ですので、誰もが必要なときに必要な知識を得られる環境を整えるのが目標です。取り扱っている製品の専門性が高いので、これから新たにジョインする人材にとっても、必要だと考えています。
また、製品の組み立てマニュアルだけでなく、営業部向けの営業マニュアルや、お客様にプレゼンする際に使う営業資料など、動画が役立つシーンはたくさんあります。CS担当者の方にサポートいただき、お知恵を拝借しながらどんどん動画で作っていきたいですね。……という話を私がすると、坂井の顔が引きつっていくのを感じますが(笑)。
坂井:いえいえ(笑)。こういう作業は苦にならないので、社内のノウハウを詰め込んだマニュアルを拡充できるよう、まずは頑張ります!
終わりに
長い伝統で培われてきた知見を、余さず今の世代、次の世代に繋いでいく手段のひとつとして、動画の活用に着目した大宮製作所。今後は製品の組み立てマニュアルだけでなく、対外的な営業ツールの作成にまで動画活用の幅を広げていきたいと語る栗山社長と坂井さんにとって、専任のCS担当者が伴走し、継続的なサポートを行うVideo BRAINの体制は、大いに貢献できるはず。
クラウドのメリットを存分に生かした同社のVideo BRAIN活用術は、業務効率や業績の向上はもちろん、社内的な労働環境の整備にも通じるでしょう。同社の今後の成長と発展に、Video BRAINがどう寄与していくのかご期待ください。
株式会社大宮製作所
事業内容 :畜産機械器具の製造販売
本社所在地:〒611-0043 京都府宇治市伊勢田町中ノ荒30
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