2025/12/09

霧島酒造株式会社

守り抜かれた“自社の味”を伝承するため、動画活用を推進。老舗企業が辿り着いた育成体制

業種: 小売

1916年の創業以来、本格焼酎の製造会社である霧島酒造が大切にしてきたのは、「もっと美味しい焼酎を」という変わらぬ思いです。その姿勢は今も変わらず、徹底した品質管理と伝統技術の継承によって、飲み手に愛される味を提供し続けています。

しかし、その“変わらぬ味”を守り続けることは決して容易ではありません。特に工場の現場では、製造工程や機械操作など多岐にわたる作業が存在し、社内では属人的な指導や膨大な紙マニュアルが教育の障壁となっていました。

そうした課題を解決するために選ばれたのが、「動画」という選択肢です。紙から動画マニュアルへの転換によって、現場はどのように変化したのでしょうか。2019年ごろから段階的にVideo BRAIN の導入を進め、約5年が経過した現在、その取り組みはどのように社内に浸透し、変革をもたらしたのでしょうか。

今回は、Video BRAINを活用した教育改革について、霧島酒造株式会社の豊丸賢吾さんに伺いました。

▼Open BRAIN 導入に関する記事はこちら


◆導入前の課題

  • ベテラン層の定年退職が近づいており、技術の継承ができない
  • 若年層へ指導する中堅層が不足している
  • 若手の戦力化に時間がかかっている

◆見込まれる成果
・技術やノウハウを動画で記録することで、正確な技術継承が可能になる
・いつでもどこでも何回でも動画を視聴できるので、時期や会場を選ばず研修・教育が可能
・紙での管理と比べ、印刷する手間や紛失リスクが減らせて管理面がラクに
・マニュアルの情報などのメンテナンスが容易にできるとともに、水平展開がスムーズに
・若手自身で疑問を解決するなどスキルアップにつながると共に上司への確認もスムーズになる
・若手の早期戦力化が進んだ


膨大な手順書を動画に。現場の教育コスト削減を目指した

ーー御社では、数年前から手順書を動画化されています。そもそも、動画の活用を開始したきっかけは?

もともとは「手順書を動画にしたい」というシンプルな思いからでした。

私が所属するボトリング本部では、容器に焼酎を充填し、安全に出荷・配送できる状態へ整える業務を担っています。扱う機械や作業工程も多く、必要な知識は多岐にわたります。紙の手順書を使用していた当時、その内容は全部で600種類ほど。つまり、600項目の作業を覚える必要があります。

▲実際に使われていた手順書を元に作成したイメージ例

ボリュームが多い上に、写真や文字では伝わりづらい手順も少なくなく、動画化が有効だと感じました。

さらに、手順書には書かれていない“現場のコツ”のような情報も多く、若手社員は先輩から口頭で聞いた内容を自分なりに補足して覚えていました。その結果、理解の深さに個人差が出たり、教える側によって説明がばらついたりする状況に課題を感じていたんです。

そんなときVideo BRAIN の存在を知り、試してみると操作がとても簡単だったんです。これは導入できると確信しました。

ーー動画にする以前は、膨大な手順書を参考に作業されていたんですね。

私が入社した当時は、まだ手順書自体が存在せず、「先輩の背中を見て覚える」が当たり前でした。

当然ながら、新人は一度で覚えきれず、同じ質問を何度も繰り返す。教える側も毎回説明しなければならず、非効率な部分が多かったんです。

その後、2010年代半ばに入り事業が拡大し、形として残るマニュアルの整備が始まりました。そしてさらに2022年、よりわかりやすく伝える方法として動画を導入。現在は導入から約3年が経ち、教育における課題解決のために研修で使ったり、アップデートなども進んでいます。

マニュアルは一度作ったら終わりではなく、社内の課題や状況に応じて、必要なマニュアルの情報も変えていく必要があると思っています。

ーー具体的にどのようなところが変わっているのでしょうか。

動画にもたせる役割が変わった、と言えるかもしれません。以前は単純に、必要なポイントを確認できることを動画の目的としていましたが、現在は自分で学習する教材としても活用しています。

手順書の場合、テキストや写真がベースですので、どうしても実際に現場で見なければわからなかったり、自己学習のツールとして活用したりするのには限界があります。しかし、動画なら、後から見返して復習することが可能です。

動画を研修教材として二次活用することで、教育コストの削減や教育効率アップにもつながります。これまでは属人化していた教育体制でしたが、統一された動画コンテンツがあることで、現場の負担も軽減したように感じます。

単なるマニュアルから、自己学習できる研修教材へ

ーーでは、具体的に制作している動画の内容について教えてください。

まずは、焼酎を生産する機械のマニュアルが中心です。現在は全体の1/4ほど、動画のマニュアルを制作できており、出来上がったコンテンツは実際に活用しています。

現場には各所にiPadを置いているので、社員はiPadをタッチすれば自由に動画を視聴できます。また動画のQRコードを機械に貼っており、どの機械に・どのマニュアルが必要か、というのが一目でわかるようにしています。そのため、マニュアルを探す手間もありませんし、効率的に業務を進めることができているんです。

ーー動画化したことで、必要なマニュアルを検索するスピードも短縮されたんですね。実際に活用する現場の反応は?

実際に使っている若手の社員からは、業務理解度や作業効率が向上したという声をもらいました。今までと比較して、マニュアルの内容がわかりやすく、いつでもクオリティの高いコンテンツが見られるのは学習する側にとってメリットも大きいのだと思います。

ーーマニュアル以外に、動画を活用する場面はありますか?

そのほかで言うと、工場内のラインを紹介する動画であったり、社内会議の報告資料などにも使っています。

報告資料は、会議に出られないときなど、発表内容をVideo BRAIN でまとめておき、会議の場で再生してもらう形を取ることがあります。出張などで参加できなくとも、共有しておきたい情報をわかりやすく社内に展開できます。

同僚からも「どうやって動画を作ったのか」と聞かれることもあり、Video BRAIN の普及活動にも一役買ってるのかもしれません(笑)。

通常よりも1〜2カ月ほど早く新入社員が成長するほど、効果を実感

ーーこれまで活用されてきた中で、成果を感じられた点について教えていただきたいです。

動画のマニュアルは、品質の向上、担当者の属人化解消など、様々なメリットがあります。そうした中で、やはり最も成果を実感しているのは、人材教育においてでしょうか。

自分が担当する業務で「動画のマニュアルを使って、学習する体制を作ろう」と決め、新入社員に教える際、動画を見せながら説明したんです。すると、通常よりも1〜2カ月ぐらい早く、新入社員が成長したと感じました。

独り立ちできるまでの時間が短縮されたので、やはり繰り返し学習できるコンテンツがあると、非常に効果的だと改めて思わされましたね。

何よりも、膨大なマニュアルを動画化できているのは、Video BRAIN の簡易性が役立っています。「作業効率を上げよう」と思い、マニュアル動画を作ったとしても、動画の制作に時間がかかってしまっていたら意味がありません。

簡単に短時間で動画が作れ、それを使って教育のコストも下げられるという流れが重要ではないでしょうか。

ーー今後の展望について教えてください。

現在は私が所属する部署を中心に使っていますが、来年度はVideo BRAIN を全社展開していくことが決まっています。

ボトリング本部での成果は十分に出たと感じているので、これを横展開して全社員がスムーズに業務へ取り組めるようになると良いなと思います。

一個人としては、会社のためにもこの運用体制をもっと活発化させていくことで、社内全体の士気もより高くなったらうれしいですね。

終わりに

霧島酒造が大切にしているのは、創業以来変わらぬ美味しさを守り、次世代へとつないでいくこと。技術や知識の継承を担う現場において、Video BRAIN の導入は単なる業務効率化にとどまらず、“味の伝承”を支える基盤として定着しつつあります。

時代とともに進化する製造現場の在り方。その中で、動画という新しい表現手段を取り入れながらも、本質である「守るべき価値」に誠実に向き合う霧島酒造の姿勢は、多くの企業にとってもヒントになるはずです。

霧島酒造株式会社

7.ビル、百貨店、ホテル及び研究施設等の施設管理
8.動産、不動産のリースに関する事業
9.土地建物の売買、賃貸借、管理及び仲介
10.労働者派遣事業に関する事業
11.前各号に付帯関連する一切の事業

本社所在地:〒456-0031
名古屋市熱田区神宮四丁目3番36号
https://mei-ei.co.jp/

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