さまざまな企業が行っているブランディングですが、今後は農業や農家でもブランディングが重要といえます。農産物は一般的に価格競争が激しく、営農型によっても利益率は大きく異なります。ブランディングをすることで、農産物に付加価値を付与することができるため、ファンがつけば長期的な売上げが見込めます。
本記事では、農業・農家のブランディングのメリットや項目、ブランディングの流れについて紹介します。
目次
農業・農家のブランディングの重要性
農作物の消費者の多くは、価格重視で値段の安いものを求める傾向があります。そのため、農作物を低価格で販売する企業や農家が多く、低価格帯で勝負するとどうしても価格競争に巻き込まれてしまいます。
低価格で利益を出すためには多くの農作物を生産・販売しなければなりませんが、規模の小さい企業や農家では大企業や大規模農家の大量生産には太刀打ちできません。
そこで、価格より品質を優先する客層をターゲットにし、ブランディングを行うことにより高品質高価格帯の農作物で、一定数のファン層を確保することができ、大量生産をせずに少ない販売数でも利益を出すことが可能です。特に、知名度の低い企業や規模の小さい農家では、競合企業と戦うためにはブランディングが重要といえるでしょう。
農業のブランディングにおける3つのメリット
農産物のブランディングには、価格競争に巻き込まれにくくなるだけでなく、他にも以下のメリットがあります。
- ・競合との差別化ができる
- ・逆営業をかけられる
- ・後継者が見つかりやすくなる
ブランディングがなぜ重要視されているのか理解し、ブランディングへの取り組みのモチベーションを高めましょう。
競合との差別化ができる
ブランディングをすることで、競合と差別化を図ることができます。商売をする以上は、競合よりも少しでも多くの商品を売る必要があるため、ブランド力を高めて商品のファンを獲得することが求められます。ファンがつけば販売数が安定するようになり、長期的に売上げが期待できるでしょう。
逆営業をかけられる
ブランディングに成功し認知度が広まれば、自分から営業をかけなくても商品を取り扱ってもらえるようになります。取引先を見つけるのに苦労することが多い業界ですが、ブランド力が高まれば、先方から取引を持ち掛けれられることが増えます。
ブランディングによって、消費者だけでなく取引先への影響も大きくなることが期待できます。
後継者が見つかりやすくなる
知名度が高まれば労働力を維持できるようになり、後継者を見つけやすくなります。農業全体で後継者不足に悩まされており、黒字倒産をする会社や引退する農家も多い業界です。
しかし、ブランディングによって注目度が高まれば、労働力も集まりやすくなり、後継者不足を解消できる可能性が高くなります。自分の世代で終わらせたくない人は、会社や商品の知名度を上げて労働力の確保に努めましょう。
農業のブランディングで押さえるべき項目
ブランディングの前にまずは何を押さえておくべきなのか知っておくことが大事です。
ここでは、ブランディングで押さえておくべき項目を紹介します
品質保証
品質にこだわる客層をターゲットにするには、品質を保証する名称やマークをつけましょう。農作物への信頼度を高めるために、客観的に品質を判断する機関から評価をもらうと効果的です。例えば、有機JASマークなど客観的な品質基準の基で承認された印をつけることで、消費者は安心して購入することができます。客観的な意見は購入決断のヒントになりやすいので、品質を保証してくれる機関に登録をしましょう。
地域性
どこの産地で取れたものなのか確認する消費者は多いため、産地は記載した方が良いでしょう。
特に、特定の地域や気候でしか生産できないものや伝統的なものは、消費者の興味を引きやすくなります。美味しさも重要ですが、産地を強調して多くの消費者に手に取ってもらえるようにしましょう。
パッケージ
消費者に気持ちよく手に取ってもらえるように、パッケージにもこだわりましょう。ブランディングでは良い農作物を作るだけでなく、良い状態で消費者に届けることが重要です。
農作物が美味しく見えるように水洗いをしたり、形が変形しないように丁寧にラッピングしたりと、農作物の状態を良好に保ちましょう。また、生産者の方がどんな方なのかわかるようにするのも一つの方法です。
農業のブランディングのポイントとは?
ブランディングをする際、どんなところに注意すればいいのでしょうか?
ここでは、ブランディングを行う際のポイントについてご紹介します。
農作物の魅力をアピールする
農作物の品質を重視する消費者をターゲットにするので、価格以外の点でアピールする必要があります。
例えば、安全性(有機栽培をしているなど)や希少性(特定の地域でしか栽培できないなど)、適地適作(文化的に伝統として受け継がれているなど)を売り文句にすることで、消費者は安心して農作物を購入でき、生産者は農作物に対して消費者の注目を集めることが可能です。
ブランディングにおいて消費者に認知されることが重要なので、農作物の魅力を前面に出して、他の農作物との差別化を図りましょう。
消費者目線でPRする
消費者目線で農作物をPRして消費者に購入してもらうことが、ブランディングにおいて重要です。消費者から高評価をもらい多くの人から信用を勝ち取らなければ、農作物の価値は高まりません。
消費者に利用してもらわなければ評価をもらうことができないので、購買率を高めるために、消費者が購入したくなるようにPRすることが求められます。
PR方法では動画を活用すると効果的に伝えることができます。実際のレシピをわかりやすく開設したり、生産者の声などを多く伝えることができるため、消費者にとってのメリットも付加させることができます。
また、動画までの導線としてはパッケージを印刷するときにQRコードを印刷するなど、追加の費用を抑えることができ、動画についても簡単なものでスマートフォン一つあれば撮影から編集、アップロードできるため、比較的簡単に導入することができます。
流通チャネルを広げる
ブランディングをするには、多くの消費者の手に渡るように流通チャネルを広げましょう。直売所や道の駅、スーパーなど直接消費者に販売するだけでなく、オンラインで全国の消費者に販売できる体制にすることがポイントです。消費者はWebサイトを通して、農作物のこだわりや魅力などの情報を得た上で購入するか検討できるので、無駄な買い物を防ぐことができます。
一方、生産者はニーズが一致した消費者に販売できるので、高評価を得やすくなります。SNSで拡散しコミュニティを形成すれば、ファン層の獲得につながるので、インターネットを使った流通チャネルを中心に広げていきましょう。
まとめ
農業・農家のブランディングでは、強豪との差別化や価格競争に巻き込まれにくい、逆営業をかけられるなどさまざまなメリットがあります。
ブランディングの項目はさまざまありますが、特に農産物は口に入れるものであるため、消費者には高い安全性や美味しさが重要になります。また、ブランディングの際は、市場調査で競合に勝つ見込みがあると判断してからターゲットを決めることが重要です。
消費者のニーズに沿った商品を開発できたら、商品のPRに全力を注ぎましょう。PR方法も多岐にわたっていますが、無料で活用できるSNSやYouTubeなどを活用し、商品だけでなく、生産者についての詳細や、実際に農産物を育てる方法など、動画をうまく使いながらPRすることが有効的です。
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