「ROAS」は広告の成果を正しく測るための指標の一つで、広告費に対してどれだけ売上が上がったのかを示す数値です。この指標は広告を運用するにあたり重要な概念となるため、マーケティング担当者は理解を深めておく必要があります。
この記事では、ROASの概要や計算式、ROI・CPAとの違い、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。
目次
ROASとは?
ROASとは、「Return On Advertising Spend」の略語であり、日本語で「投資したものに対する利益」という意味です。
具体的には、広告費に対して売上がどれくらいになったのかを%の数値で示した値です。このROASが高ければ、広告経由での売上が高いということになり、反対に低ければ、売上は低いということです。
しかし、ROASが良くても、利益はマイナスというケースもあるため、広告成果をROASだけで判断するのはよくありません。これについては後で詳しく説明します。
ROASの計算方法
計算式は、「ROAS=広告で得られた売上÷広告費×100」です。
例えば、広告経由の売上が150万円で、使った広告費が40万円だった場合、「150万円÷40万円×100=375」となります。つまりは、かけた広告費に対して、375%の売上を得られたということです。
ROASは100%を物差しとして、どれだけ売上を上がったのかを判断するため、このケースでは広告の費用対効果は高いことが分かります。
ROI・CPAとの違い
広告の指標においては、ROAS以外にも、「ROI」と「CPA」があります。
これらも重要な指標であり、ROASにあわせてよく使用されます。
そのため、ここで違いを把握しておきましょう。
ROI
ROIとは、「Return On Investment」の略語で、広告費に対してどれだけの利益が出たのかを%の数値で示したものです。
ROASは売上を示し、ROIは利益を示す、と考えると違いが分かりやすいでしょう。
計算式は、「ROI=広告で得られた利益÷広告費×100」です。
例えば10万円の広告費をかけ、売上のうち利益が200万円だった場合、「200万円÷10万円×100」でROIは200%となります。
ROIは利益を示す指標であるため、どれだけ広告で採算がとれているかを見られるのです。
しかし、短期的な指標であることから、長期的な施策での広告効果を測る際にはROIの活用は向いていません。
CPA
CPAは、「Cost Per Acquisition」の略語であり、1件あたりのコンバージョン獲得でどれだけ費用がかかったのかを示すもので、計算は、「広告費÷コンバージョン数」になります。
例えば、50件のコンバージョンを獲得するにあたり広告費を1万円かけた場合は、「1万円÷50件」でCPAは200円です。
CPAが高いと、1件あたりのコンバージョンを獲得するのに多くの費用がかかっていると判断できます。
その場合、CPAを低くするための施策を実行する必要があります。
ROASのメリット・デメリット
ここでは、ROASを広告でどのように指標として活用していくのかをメリットを踏まえて説明します。
また、デメリットもあわせて解説します。
メリット
ROASは、広告費に対してどれだけ売上が上がったのか見るための指標です。
そのため、売上ベースで数値を確認したい場合は、ROASで見ましょう。
過去の売上や将来の売上予測といったデータは取得しやすいメリットがあります。
例えば、「3月の売れ行きはあまり良くないが、7月は売上が良い」と過去のデータから把握できれば、7月に多くの広告費をとっても採算がとれると判断できます。
このように、広告の売上に対する成果がわかりやすいため、効果がある広告の予算を増やすなどの施策を実行できるのです。
デメリット
ROASは、売上ベースで広告の費用対効果を判断します。
そのため、かけた広告費に対して実際に利益が発生しているかどうかは分かりません。
例えば、ROASの数値が高くても、利益はマイナスということもあるのです。
経営層に対して費用対効果を説明する際には、広告の費用対効果よりも投資対効果で説明したほうがいいなどあるため、ROASを使うのか、ROIを使うのか見極めることが重要です。
ROASを活用するときのポイント
先ほど説明したように、ROASの数値が高くても実際に利益は得られていないこともあります。
そのため、広告の費用対効果を測る際はROASのみで判断するのではなく、ROIもあわせて見て、利益が出ているかどうかを確認する必要があります。売上といった一部だけでなく、全体的な広告の費用対効果を測ることがポイントです。
まとめ
ROASは、売上ベースで広告の費用対効果を測るときに役立てられます。
ただし、利益が出ているかも重要であるため、ROIなどもチェックしながら、全体的な視点で効果測定をしなければなりません。
ROASやROIなどの各指標の計算方法を理解しておくことで、広告の費用対効果を客観視できます。
そして、そこから課題を発見し、新たな施策につなげる意識を持つことも大切です。
ROASやROIを活用し、効果的な広告運用をしましょう。
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