NPS(ネットプロモータースコア)とは?顧客満足度との違いは?

欧米においては3割以上の企業が導入しているともいわれている「NPS」。
NPSは「顧客ロイヤルティ」を計測する指標であり、これまで一般的だった「顧客満足度」よりも事業の成長率との相関性が高いことから、日本でも注目度が高まっています。

この記事ではNPSの基礎知識や計算方法、顧客満足度との違い、メリットや注意点などについて解説していきます。

参照:NPS®(ネットプロモータースコア)とは?NPSの誕生の背景と概要をご紹介- NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社

NPSとは?

NPSは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の頭文字をつなげた言葉で、「顧客ロイヤルティ」を計測する指標です。ロイヤルティとは一言でいえば「忠誠度」のことを指します。

NPSを計算することで自社の商品やサービスに対する顧客の愛着度や信頼度を数値化することが可能です。
米コンサルティング大手のベイン・アンド・カンパニーのチームが2003年に開発した顧客調査手法であり、世界各国のさまざまな業界の企業がNPSを導入し始めています。

参照:ベインが開発したNPS® (ネット・プロモーター・スコア)とは?| Bain & Company

NPSの計算方法とは?

NPSは「+100」から「-100」の間で示されます。計算の際には、3つのステップを踏みます。

顧客に対して質問する

まず顧客に対し「この商品・サービスを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」と質問し、0〜10点をつけてもらいます。

回答を分類する

点数をつけてもらったら、0〜6点を「批判者」、7〜8点を「中立者」、9〜10点を「推奨者」に分類します。

「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引く

その後、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引きます。
例えば、10人に質問して「推奨者」が5人、「批判者」が2人いたとします。その場合、「推奨者の割合」は50%、「批判者の割合」は20%となり、「50% − 20%」で「NPS=30」と算出されます。
NPSが100の場合は「推奨者」しかいない状態、-100の場合は「批判者」しかいない状態となります。

NPSを把握するメリットは?

NPSのメリットは大きく分けて3つあります。それぞれについて解説していきましょう。

業績の将来予測に役立つ

NPSでは顧客に対し「友人や同僚に薦める可能性」という質問をします。
「薦める」ことは「将来的な行動」であるといえ、現時点の満足度を顧客に聞いた結果よりも、今後の業績予測に役立つ情報になり得ます。

統一的な成果指標(KPI)として設定しやすい

NPSは1つの質問で計算されるため、企業がさまざまな事業を展開していても、統一的な成果指標(KPI)として設定しやすくなります。
統一的なKPIとして導入することで、問題を抱えている事業部門を見つけやすくなるでしょう。

競合企業との比較に使用しやすい

企業によってNPSの計算方法が異なるわけではないため、自社のスコアと競合企業のスコアを比較することで、マーケットにおいて自社の商品やサービスにどれだけの将来性があるかを知ることができます。

調査会社などが各社のNPSや業界のNPSの平均値を公表していますので、自社のスコアを算出した後に比較してみると良いでしょう。

顧客満足度との違いは?

NPSと似た指標としては「顧客満足度(CS)」があります。
先ほども少し触れましたが、NPSは「将来の行動」を質問しているのに対し、顧客満足度は「過去の経験」に対する質問をして計算されるものです。

そのため、NPSの方が企業や事業の将来性を予測する上では有効に使えます。
顧客満足度のスコアが高くても、その商品を継続購入してくれたり、他者へ勧めてくれたりするかは予測しにくいのです。

NPS導入のポイントと注意点

NPS導入のポイント

NPSを導入する際のポイントと注意点を3つ紹介します。

サンプル数

NPSは、得られる回答数が多ければ多いほど、結果の精度は高くなります。
正確性(誤差)を±5%程度に抑えたい場合は400サンプル以上、±2%程度に抑えたい場合は2,000サンプル以上の回答から算出する必要があるとされています。

対象の設定

調査対象を適切に設定する必要があります。
たとえばBtoBビジネスにおけるNPSを計算する際には、質問に答えてもらう相手を企業の責任者レベルにするか現場担当者レベルにするか、などを事前に決めます。

継続的な計測

NPSもほかの指標と同様、継続的に計測することが重要です。
1カ月ごと、3カ月ごと、半年ごとといった頻度で継続的に計測することで、自社の商品開発やマーケティング施策の妥当性が検証可能になります。

NPSの活用・応用方法の活用例

NPSにはさまざまな活用・応用方法がありますが、主な活用例として3つ紹介します。

複数の将来性の比較に

例えば商品Aと商品Bを販売している場合、各商品の購入者のスコアをそれぞれ計算すれば、どちらの商品により将来性があるかを判断することができます。

異なる顧客対応におけるスコアを比較

カスタマーセンターなどの、お客様相談室の場合、Web対応と電話対応した顧客のNPSをそれぞれ計算すれば、どちらの対応がより高い顧客ロイヤルティにつながるかなどを判断することができます。

独自の質問を加え、より深い分析に

共通の質問をすることで比較が容易になることがNPSのメリットですが、NPS調査の際に独自の質問を設け、より深い分析に結び付けているケースも多くあります。
「何を改善すべきか」といった質問を追加する形です。

まとめ

NPSには、業績成長との相関性が高いことやKPIとして統一的に設定しやすいなどの特徴があることのほか、計算方法や導入の際のポイントなどについて解説してきました。

顧客ロイヤルティを測る指標として導入する企業が増えていますが、ほかの指標と組み合わせることでより効果的になる、という視点も持っておきたいところです。

たった一つの質問で、事業の成長率と相関性の高いデータが得られるNPS。
実施する際には、質問の言葉、点数の幅(0〜10点)、とサンプル数の確保に注意を払いましょう。
顧客満足度は高まっているのに業績は思うように向上しない、とお悩みの方はいちど導入してみてはいかがでしょう。


 

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