企業にとってマーケティングとは、市場調査や顧客分析などさまざまな準備があり、すぐに始められるものではありません。
事前準備を適切に行い、自社の現状を把握、分析することで初めてマーケティングのスタート地点に立てます。
今回、紹介するチャーン(Churn)やチャーンレート(Churn Rate)も自社の現状を知るために欠かせない指標の一つです。
チャーン、チャーンレートは、マーケティングを行ううえでどういった役割を果たすのでしょうか。
目次
マーケティングの事前準備として欠かせないチャーン(Churn)とは?
チャーンとは、日本語で解約という意味で、顧客がサービスや契約を解約する際に使われる言葉です。
また有料会員から無料会員へのダウングレードをチャーンと呼ぶ場合もあります。
そして、チャーンレートとは解約率のことです。マーケティングを行ううえで、月に何人の顧客がサービスの契約をすれば利益が出るかを知るのは非常に重要ですが、それだけでは自社の現状把握にはなりません。
例えば、100人契約できれば利益が出るとして、毎月100人の契約を取る戦略を立てたとします。
しかし、チャーンレートが10%だとすると、厳密には月に110人と契約できなければ、利益は出ません。
この場合、チャーンレートを把握していなければ、正しい目標設定ができないことになります。
また、チャーンやチャーンレートを知れば、顧客が離脱してしまう理由、継続的な顧客数の把握が可能になり、それに対する解決策を考えられるようにもなります。
そういった意味でも、チャーン、チャーンレートはマーケティングを行うための事前準備として、必ず把握しなければならないといえるでしょう。
マーケティングを行ううえで知っておくべきチャーンレートの種類
チャーンレートとは解約率を意味するものと説明しましたが、実はひと口にチャーンレートといっても、その種類は3つあります。
ここではその3つのチャーンレートについて、それぞれどういったものかについて説明します。
カスタマーチャーンレート
一般的にチャーンレートといえば、カスタマーチャーンレートを指します。
カスタマーとは顧客を意味しますので、カスタマーチャーンレートを直訳すすると顧客解約率となります。
契約した顧客数のうち、ある一定の期間内に解約した顧客の割合を示します。
レベニューチャーンレート
レベニューとは収益を意味します。カスタマーチャーンレートが顧客数を基準とした解約率であるのに対し、レベニューチャーンレートは収益を基準とした解約率のことです。
ネガティブチャーン
ネガティブチャーンとは厳密には解約率のことではありません。
解約やダウングレードによって上がったチャーンを、新規契約数の増加、アップグレードなどで上回った状態をいいます。
カスタマーチャーンレートを知ることのメリット
では、チャーンレートを把握することで具体的にどういったメリットがあるのか解説していきます。
サービスを継続する顧客の割合がわかり、毎月の収益が可視化される
毎月どれだけの顧客が解約するのかがわかれば、逆にどれだけの顧客がサービスを継続するのかもわかります。
そのため、毎月最低でもどれぐらいの収益を得られるのか可視化されると、新規サービスの開発や投入の目途が立てやすくなります。
顧客獲得にかかるコストがわかり、長期契約が立てやすくなる
チャーンレートがわかれば、100人の契約を取るのに100人と契約すれば良いのか、110人と契約すれば良いのかがわかるようになります。
そうなれば、顧客獲得にかかるコストの算出ができ、長期的な予算計画も立てられます。
顧客離脱の収益低下がわかり、収益目標が明確になる
有料会員の、解約したグレード(またはダウングレード)の種類や数も把握できます。
黒字化のために毎月どれだけの新規顧客を増やせばいいか、また既存有料会員のアップセル(より高いものを買ってもらうこと)をどの程度増やせば良いかが明確になります。
チャーンレートの具体的な算出方法や目標値の設定方法
チャーンレート把握するには、チャーンレートの算出方法を知らなくてはなりません。
ここでは、その算出方法や目標値の設定方法について説明します。
カスタマーチャーンレートの算出方法
カスタマーチャーンレートを算出するための計算式は次のとおりです。
(一定期間内での解約数÷算出時点での契約顧客数)×100
仮に算出時に400人の契約顧客がいて、一定期間内に20人の解約があった場合は
(20÷400)×100=5
つまり、カスタマーチャーンレートは5%となります。
ちなみに一定期間の長さは一ヶ月が基本です。
そしてカスタマーチャーンレートの目標値はサービスの種類や企業規模によっても異なりますが、3%前後が一般的といわれています。
レベニューチャーンレートの算出方法
レベニューチャーンレートを算出するための計算式は次のとおりです。
(サービスの単価×一定期間で解約した顧客数÷一定期間の総収益)×100
仮に月額500円のサービスで、一定期間内に解約もしくは無料会員にダウングレードした顧客数が20人、同期間の総収益が20万円の場合は
(500×20÷200,000)×100=5
つまり、レベニューチャーンレートは5%となります。
レベニューチャーンレートの場合も、一定期間の長さは一ヶ月。目標値は3%前後が一般的です。
まとめ
カスタマーチャーンレート分析を行えば、解約する顧客数、収益の減少率が数字として明確になるため、将来的な計画が立てやすくなります。
また、場合によってはそのサービス自体を継続する、もしくは廃止するための目安ともなるため、大きな損失を生むリスク軽減にもつながります。
そういった意味でも、マーケティングを実践する際にはカスタマーチャーンレート分析を活用し、企業の成長に役立てることをおすすめします。
この記事をシェアする