広告施策を行う場合、その成果を判断する基準として「費用対効果」あるいは「投資対効果」がテーマとされることがしばしばあります。
この2つは混同されることが多いですが、実際にはそれぞれ違うものを表しています。
ここでは、その2つの概念の違い、また広告運用の成果の指標である「ROI」「ROAS」に違いについても解説します。
目次
費用対効果と投資対効果の定義と相違点
さっそく、「費用対効果」と「投資対効果」のそれぞれの定義と相違点について見ていきましょう。
費用対効果とは
「費用対効果」はビジネスにおいてはよく聞かれる言葉です。ある製品やサービスを生産、販売する上で、どの程度の費用をかければどの程度の効果があるのかを示しています。
「費用対効果が高いサービス」と表現される場合には、そのサービスの導入費用に対して得られる効果が高いということになります。
複数のプランを検討する場合などに、「どちらのほうが費用対効果が高いか」という表現で用いられます。
投資対効果とは
「投資対効果」は、一般的には馴染みがない用語かもしれません。
投資に対して得られるリターン、つまり利益または損失の割合をあらわし、投資収益率(ROI)と呼ばれることもあります。
ROIは、企業の事業そのものや人材、設備といった資産の収益性を測る時に用いられ、この数字が大きければ大きいほど収益性が高くなります。
投資家の視点から見れば、企業が投資に見合った利益を生み出しているかどうかの判断材料となります。
広告やソーシャルメディアにおける「費用対効果」と「投資対効果」
では、広告やソーシャルメディア(SNS)の領域における「費用対効果」と「投資対効果」について考えてみましょう。
まず、効果や施策に即効性があるかどうか、投じた資金に応じてはっきりとした収益として成果が上がってくるか。これは「費用対効果」の視点から施策を評価していることになります。
例えば、予算を大量にかけて広告の出稿量を一時的に増やせば、短期的には製品やサービスが売れるかもしれません。この場合には「費用対効果」の観点からその施策は成功したと評価されることも考えられます。
しかし「投資対効果」の視点からはどうでしょうか。投資対効果において重視されるのは、短期的な売り上げだけではなく、投資された金額に応じた収益が中長期的なリターンとしてしっかり期待できることです。
広告料を集中投下的に使うことより、サービスや企業の価値について長期的に考える視点が求められます。
ソーシャルメディアにおいて投資対効果を上げる施策としてわかりやすい例に、企業の公式アカウントを作ることが挙げられます。
公式アカウントによる発信の多くは、短期的に製品やサービスの売り上げが激増するという効果をあまり期待していないことが多いと思われます。
それよりも、企業にとっての顕在的なユーザー数がどのくらい存在するのか、そして開拓できる新規の潜在ユーザーがどのくらいいるのかを測る指標としての意味合いが大きいのが特徴です。
これはまさに「投資対効果」にあたるものといえるでしょう。
もちろん、ソーシャルメディアの広告にコールトゥアクション(CTA)ボタンを仕掛けることなどにより、購入や予約といった即決型の収益が期待される場合もあります。
この場合は、投入費用と効果が明確に比較できる「費用対効果」にあたるものとなります。
ROIとROASの違いについて
広告運用の成果を測定する指標としてよく使われるのが、「ROI」と「ROAS」です。この2つも混同されて使われることがあり、正確な違いについて認識されることは少ないように思われます。
ここでは「ROI」と「ROAS」の違いについて確認します。
ROIとは
ROIは、「Return On Investment(投資収益率)」の略です。
前述の通り、一般的には投資対効果と同義ですが、広告においては「投資額(ここでは広告費)に対してどれだけの利益を得ることができたのか」を測るための指標として使われます。
広告におけるROIは、「ROI=(売上ー売上原価ー投資額)÷ 投資額×100(%)」で計算できます。
例えば、広告費が1,000万円であるのに対してROIが120%であれば、1,000万円の広告費によって1,200万円の利益(投資効果)を得たことになります。
ROIは、どちらかというと短期的な効果を評価する指標であり、複数の広告を比較する場合、どの広告がどれだけ採算が取れているかを数値として可視化できるのがメリットです。
一方、長期的な施策に関する効果を測る指標としては適切ではない場合があります。
ROASとは
ROASは「Return On Advertising Spend」の略で、広告運用に対する売上を表す指標です。
こちらはいわゆる「費用対効果」に相当するものとなります。
ROASは「売上÷広告費×100(%)」で求めることができます。
例えば、500万円の広告費で2,000万円の売上があった場合、2,000万円÷500万円×100でROASは400%となります。
ROASでは、投入した広告が商品の売上に貢献しているかどうかを数値で判断することができます。
ROASが高ければ売上に寄与していることが明確なので、もっと効果を上げるためにさらに予算配分を高くしたり、ネット広告であれば入札価格を上げたりするなどの施策を行うことができます。
ただし、あくまでも売上を表す指標であり、商品自体の販売・生産コストや売上利益を考慮したものではありません。
ROIとROASとは紛らわしい用語ではありますが、その定義や使い方、評価のポイントは大きく違いますので、両者の意味するところを正しく理解した上で指標とすることが必要です。
まとめ
このページでは、「費用対効果」と「投資対効果」の違い、また広告運用の成果を測定する指標としてよく使われる「ROI」と「ROAS」について解説しました。
これらの用語が表す意味の違いをよく理解した上で、広告やSNSの運用、効果の評価の指標として役立てていただければと思います。
それぞれの意味を理解し、正しい成果測定を行い改善を繰り返していくことで、より効果の高い広告を作成することができます。また、高い「ROI」や「ROAS」を目指すのであれば、広告に動画を取り入れるのもおすすめです。
最近では、各ソーシャルメディアに適した動画コンテンツの制作が簡単に行える動画編集ツールも数多く出ています。この機会に是非、導入を考えてみてはいかがでしょうか。
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