動画広告の市場規模が年々拡大しています。
インターネット広告代理店大手サイバーエージェントの調査によれば、2018年の国内動画広告の市場規模は1,843億円でしたが、2023年には5,000億円以上まで膨れあがる見込みです。
こうした調査結果は、動画広告を出稿している企業が増えていることを物語っていますが、動画広告を出稿する際に注意したい点は、適切なKPI(成果指標)の設定と目的に合った課金方式を選ぶことです。
その上で理解しておきたいのが、動画広告の完全視聴に対するコストを示す「CPCV」という指標です。
この記事ではCPCVの基礎知識のほか、類似指標であるCPVとの違い、CPCVの計算方法、CPCVベースの課金方式などについて解説します。
参照:サイバーエージェント、2019年国内動画広告の市場調査を実施 | 株式会社サイバーエージェント
目次
CPCVとは?
CPCVは「Cost Per Completed View」の頭文字をつなげた略語で、動画広告のKPIの一つです。
日本語でいうと「Completed View(完全視聴)」あたりの「Cost(コスト)」のことで、簡単にいえば、動画広告が完全視聴される際の1回当たりの費用のことを指し、「視聴完了単価」などと呼ばれることもあります。
CPCVの算出の際には「完全視聴」が条件となるため、動画の再生途中で視聴がスキップされた場合は対象となりません。
CPVとの違いは?
CPCVと似た指標としては「CPV」があります。
CPVは「Cost Per View」の略語で、CPCVとは異なり、動画広告が最後まで視聴されなくてもカウントの対象となります。
CPVの場合はカウント対象がさまざまで、動画のクリックのみでもカウントされるケースや、30秒といった規定秒数以上の視聴でカウントされる場合などがあります。
例えばYouTubeの動画広告「TrueView」の場合には、30秒以上の再生などがカウント対象となる課金形式として、「TrueViewインストリーム広告」があります。
CPCVの計算方法は?
CPCVは以下の計算式で算出されます。
CPCV=動画広告の出稿コスト÷完全視聴回数
例えば、動画広告の出稿コストが10万円で完全視聴回数が1,000回だったとします。
その場合、CPCVは「10万円÷1,000回」と計算され、100円となります。
CPCVを計測する目的は?
動画広告はバナー広告(画像広告)とは違い、途中で視聴をやめるか最後までみるかで、ユーザーにおける広告内容の理解度などが異なってきます。
そのため、動画広告の完全視聴のコストを表す指標であるCPCVを計測することで、広告出稿費用に対してどれだけユーザーの深い理解につながったかを分析することが可能になります。
CPCVと広告出稿
動画広告を出稿するクライアント側が、商品やサービスの露出度や認知度よりも、商品やサービスに対するユーザーの深い理解を求めて広告を出稿する場合、完全視聴されて初めてコストが発生する課金方式での出稿が有力な選択肢の一つとなります。
こうした課金方式を「CPCV課金方式」などと呼び、大きくわけてCPCVが「固定型」の場合と「入札型」の場合があります。固定型と入札型のいずれにおいても、完全視聴数ベースで課金されるため、広告投資のリスクを抑えられやすいことが特徴です。
ほとんど動画が最後まで見られずにコストだけかさむ、といった状況を回避しやすいわけです。
固定型
固定型の場合は1完全再生あたり◯円と決められており、たとえばCPCVが100円の場合は10万円の予算で1,000回の完全視聴が約束される形となります。
入札型
入札型の場合は入札状況によってCPCVが変動します。
相場は1完全視聴あたり数円程度から200円程度といわれています。
検索キーワードに連動したリスティング広告として出稿する場合には基本的に入札型となり、競合が多いキーワードの場合はCPCVが高めになります。
まとめ
CPCVとCPVとの違いやCPCVの計算方法のほか、CPCVベースで動画広告を出稿することで広告投資のリスクを抑えることができることなどを説明してきました。
初めてYouTube広告やリスティング広告として動画広告を出稿する際には、こうした点を知っておくとよいでしょう。
CPCVが動画広告のKPIの一つであることも解説してきましたが、ほかにも動画広告でKPIに設定できる指標はいくつかあります。
単純に認知度を高めることや露出回数を増やす目的とする場合は「インプレッション」(表示回数)をKPIに設定するのも一つの選択肢ですし、購入などに結びつくアクションをKPIに設定したいと考えるのであれば、動画広告の「クリック数」に注目しても良いでしょう。
重要なことは、目的に合わせてどのKPIを採用するかの判断を誤らないことです。
判断を誤らないためには、各指標についての知識を持っておくことが不可欠です。
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