ROIやCPCなど、マーケティング分析に利用できる数多くの指標がありますが、その中でも費用対効果を分析するうえで役に立つのがLTVとCPAです。
この2つの指標を組み合わせて考えることで、効果的にマーケティングを展開できるようになります。それぞれの算出方法や、マーケティングの費用対効果を上げるコツを押さえ、自社の更なる成長を目指すと良いでしょう。
この記事では、LTVとCPAの概要、マーケティング分析において2つの指標が重要な理由、そしてマーケティングの費用対効果を上げるためのポイントについてご紹介します。
目次
マーケティングの費用対効果を測るうえで重要な2つの指標
マーケティングの費用対効果を測るためには、LTVとCPAという2つの指標の関係性を意識することが大切です。
ここでは、LTVとCPAのそれぞれの特徴についてご紹介します。
LTV
LTVは「Life Time Value」の頭文字をとった略称で、日本語では「生涯顧客価値」といいます。
「1人の顧客が企業にもたらす利益の合計」と考えると分かりやすいでしょう。
LTVを求めるときは、広告の出稿によって獲得した1人の顧客が、繰り返し商品を購入する中でどれくらいの利益をもたらしてくれるのか計算します。LTVの計算方法はさまざまですが、基本的には以下の式から求められます。
LTV=平均購買単価×平均購買頻度×平均購買年数
例えば、あるECサイトの平均顧客単価が2,000円、平均購入頻度が2ヵ月に1回、平均継続期間が10ヵ月だと仮定しましょう。このケースでは、ECサイトを訪れるユーザーが2,000円分の買い物を平均5回行うと考えられるため、
LTVは1万円ということになります。
CPA
CPAは「Cost Per Acquisition」または「Cost Per Action」の略称で、日本語では「顧客獲得単価」と訳します。
「1件の成果獲得するために費やしたコスト」を意味する指標であり、マーケティングに投下した金額を獲得した顧客数で割って算出します。CPAを求める計算式は以下の通りです。
CPA=広告宣伝費÷獲得した成果件数(コンバージョン数)
例えば、50万円かけてリスティング広告を出稿し、100件の商品注文を獲得した場合のCPAは5,000円となります。
LTVとCPAの分析がマーケティングで重要な理由
顧客を新たに獲得したり、維持したりするために、企業はさまざまなマーケティング施策を行います。
そうした施策にはコストがかかるため、LTVだけでマーケティングの成果を判断する訳にはいきません。
LTVからコストを差し引いたうえで、利益が残るかどうかを確かめる必要があるのです。
また、競争が激化しているWebマーケティングではリスティング広告などの出稿費用が高騰しており、CPAも上昇しやすくなっています。
CPAにある程度の予算を割かなければ、現代社会では効率的に顧客を獲得することはできません。しかし、いくらまで予算を組めるのかという線引きができないと、CPAの適切な金額を見極めるのは難しいでしょう。
このとき、LTVから商品原価などのコストを差し引いた金額をCPAの予算の目安とすることができます。CPAがこの金額を超えなければ赤字になることはないので、安心してマーケティングが行えるようになるでしょう。
LTVとCPAを分析し、投資できる金額の上限を見極めることで、効果的なマーケティング戦略を展開できるようになるのです。
LTVとCPAを改善して費用対効果を上げる方法
ここからは、LTVとCPAを改善してマーケティングの費用対効果を上げる方法についてご紹介します。
既存顧客と良好な関係を築く
マーケティング業界で浸透している考え方の一つに「1:5の法則」というものがあります。
これは、新規顧客の獲得には既存顧客を維持する場合の5倍コストがかかるという考え方です。新規顧客の獲得もないがしろにはできませんが、費用対効果を考えるなら既存顧客の維持を優先するべきだといえます。
同時に、LTVを上げるためには既存顧客になるべく長く、頻繁に自社を利用してもらうことが重要です。
既存顧客との積極的なコミュニケーションを図る、アフターフォローを充実させるなど、顧客ロイヤルティを高める施策を実践していきましょう。
顧客維持コストを見直す
既存顧客を維持するべきとはいっても、やみくもにコストをかければ良いというものではありません。
利用していない媒体との契約は解除する、慣例的に続けているが効果の上がらないメールの配信はやめるなど、施策内容をこまめに見直して無駄を省くことも大切です。
商品の改良や開発を怠らない
常に顧客の意見に耳を傾け、すでにある商品の改良や新商品の開発を怠らない姿勢も重要です。
顧客を飽きさせないための工夫を凝らしながら、時代のニーズに合った高品質な商品を提供し続けましょう。
効率的な集客を図る
マーケティング戦略を工夫することで集客の効率が上がれば、CPAを下げることができます。
例えば、リスティング広告ではクリックされるごとに課金が発生しますが、コンバージョンにつながらなければそのコストは無駄になるでしょう。そこで、成果の上がらないキーワードを除外することで無駄なコストが削減でき、CPAが下がる効果も期待できるのです。
まとめ
効率的にマーケティングを展開するためには、LTVとCPAを分析したうえで戦略を立てることが重要です。
また、現代の企業には1人ひとりの顧客に丁寧な対応をすることが求められており、新規顧客を開拓するハードルも日々高くなっています。こうした現状を踏まえると、LTVを伸ばすことを特に重視するべきだといえます。
LTVを上げることでCPAに充てられる予算が上がり、新規顧客も獲得しやすくなるはずです。
顧客との積極的なコミュニケーションを図り、商品の質を改善しながらLTVの上昇を図っていきましょう。
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