飲食店で実施するべきブランディングとは?施策について徹底解説!

統計局が公表している平成28年度のデータによれば、国内における飲食店の事業者数は約45万。平成24年度の調査と比べると20%近くも増加しています。少子高齢化による人口減に反して飲食店が増加しているという事実は、顧客の奪い合いのさらなる激化を意味しているともいえるでしょう。そんな外食産業の分野において、個人事業主は大手企業やチェーン店との熾烈な生存競争を戦い抜いていかなければなりません。

一方、インターネットの普及により、顧客が事前に飲食店の情報を調べてから足を運ぶケースが増えました。このことから、飲食店は積極的にブランディングを推し進め、自らの店の価値を高めることが重要な時代になったといえます。

では、飲食店が他店にはない魅力を発信してブランドを築き上げるためにはどうすれば良いのでしょうか。今回は、飲食店が実施するべきブランディング施策について解説します。

参照:平成28年経済センサス-活動調査 調査の結果

飲食店業界におけるブランディングとは

飲食店におけるブランディングは、「自分の店がどんな価値を顧客に提供できるか」を定め、その価値を最大化するための施策をとることが重要です。

大量生産や安定した労働力の確保でコストを抑えることができる大手チェーンに、個人の飲食店が価格競争で挑むことは難しいでしょう。安さで勝負するのではなく、「自分の店にしかない魅力を持った価値あるメニュー」を適切な価格でユーザーに提供することこそ、飲食店が生き残る道ではないでしょうか。

飲食店のブランディング戦略で重要なポイント

ブランディングを成功させるには、戦略を立てる上で重要なポイントがあります。次の3つのポイントに注意しながら、ブランディング戦略をたてましょう。

メニューや店舗が他店と差別化されている

ユーザーは、飲食店ごとのコンセプトと自分の目的が合致した店を、その都度選んでいます。たとえば「ランチにお金をかけたくないし、休憩も長くはとれない。でも野菜不足は気になる」という場合なら、「すぐに用意されて安価に昼食を済ませられる、野菜中心のメニューが充実したファーストフード店を選ぼう」と考えるでしょう。

このようにユーザーにとって「選びたくなる店」になれるよう、独自性を打ち出し、他店との差別化をはかることが大切です。

立地を考慮する

店舗がある地域のニーズと提供するメニューの価格帯やジャンルがマッチしていないと、なかなか集客につながらないといったことが起こる可能性があります。

「高級住宅街の一等地にあるリストランテ」「ファミリー層が多く住む街の気軽に入れるレストラン」など、地域性に合わせた店舗づくりもブランディングの一つです。その地域の住人や街の特徴を事前にとらえ、提供したいメニューや価格とマッチしているかを考えると良いでしょう。

宣伝の方法を工夫する

飲食店を宣伝する方法にはさまざまなものが考えられますが、広告を打ち出す際には、他店と差別化されている点がすぐにわかる内容にする必要があります。自分の店にしかない強みを持っていたとしても、広告でそれが分からなければ、来店してもらうことは難しくなります。

飲食店のブランディングは、広告を利用して自店の魅力を適切に発信することによって初めて成功します。そのため、どのような媒体を使って宣伝を行うかは非常に重要なポイントとなります。

飲食店のブランディングを行う手順

飲食店のブランディングは、順序立てて計画的に行うことが重要です。ここでは、ブランディングを行う際の3つのステップを紹介します。

メニューの付加価値を高める

飲食店のブランド価値を高めるには、独自の魅力をアピールすることが重要です。「この店だけのオリジナルメニュー」や、「国内ではほとんど取り扱っていないスパイスを使用したメニュー」など、ユーザーが魅力を感じるような付加価値のある商品を扱うことで、「あのメニューが食べられる店」という店舗のブランディングにつながります。

独自のスキルを持ったスタッフを育成する

店舗のスタッフが独自のスキルを持つことも、ブランディングの施策としては有効です。たとえば「日本酒マイスター」という資格がありますが、一流の日本料理店で日本酒マイスターの資格を持つスタッフが日本酒を選んでくれることは、お店にとって大きな価値となります。

これは、スタッフ自身がお店にとってブランドの一つであり、店舗のブランディングに直結しているということに他なりません。このように、スタッフのスキルアップを利用したブランディングも積極的に取り入れることが大切です。

販促活動を行い店舗のブランド価値を向上させる

店舗のそばを通る潜在顧客に向けて外装などでアピールすることはもちろん、Webを利用した広告展開も非常に重要です。ホームページでメニューや店舗について紹介したり、SNSなどを利用して口コミを投稿してくれたユーザーにクーポンを配布するなどのキャンペーンを行ったりして拡散を狙う戦略も有効です。

動画を利用したブランディングの価値が再認識されている

飲食店を宣伝する方法はさまざまですが、近年は動画を利用したブランディングの有効性があらためて注目されています。映像と音楽を使い短い時間の中で高密度な情報を表現できる動画は、店舗の魅力を分かりやすく詳細に伝えられるという点で有効です。

たとえば飲食店が動画を活用してブランディングを行った事例として、次のようなものがあります。

東京都内にある日本料理店を紹介する動画で、ターゲットを「まだ一度も来店したことがないユーザー」に定めることで、初回の来店を促す構成になっています。店内の様子を映すことによって一度も足を運んだことがないユーザーでもお店の雰囲気を掴むことができ、実際に提供される料理の映像を含めることで「お店に行って食べてみたい」と思わせる効果があります。

最大収容人数や電話番号などの情報もテキストで合わせて表示することで、ユーザーが問い合わせなどの具体的な行動を起こしやすいつくりになることもポイントです。

このように動画を効果的に利用することで、店舗が持つ特徴や魅力を的確に伝えることが可能となります。

参照:【江戸懐石 若福】東京・亀戸天神の日本料理店

まとめ

飲食店におけるブランディングには、その土地に根差した地域向けのブランディングから動画を使いより広範に顧客を獲得するブランディングまで、さまざまな手法があります。その中でも動画を使ったブランディングは、ライバル店との差別化を図り、これまで店の存在を知らなかった層にまでチャンスを広げるものとして、有効です。ブランディングを行う際には、動画を取り入れた戦略を検討してみてはいかがでしょうか。


 

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