ブランド構築に欠かせない「ブランディングデザイン」の効果と制作手順を徹底解説

企業が継続的に繁栄するためには「ブランディングデザイン」が欠かせません。しかし、ブランディングデザインについて、その重要度に比べて理解が広がっていないのが実情です。

今回は、ブランディングデザインとは何か、また、それにより得られる効果と成功事例、実際の作成手順までご紹介します。

ブランディングデザインとは

ブランディングデザインとは、企業のブランディング(ブランドの構築)における「デザイン面全般」を指す概念です。ブランドのテーマカラーやロゴの選定、広告・パッケージの作成やWebサイトの構築など、あらゆるデザイン業務が含まれます。

ブランディングデザインの目的は、企業の持つブランド(メッセージやコンセプト)をユーザーに視覚的に訴えることです。どのようなブランドなのかを広く周知していき、最終的には「このロゴが入っているから(○○社製だから)安心」という信頼感の獲得を目指します。

信頼感の獲得は固定客の増加につながり、固定客の増加は価格競争からの脱却をもたらします。その結果、経営基盤が安定し、商品・サービス開発へ投資できるようになり、品質の高い商品が新たな固定客を生み出すという好循環を生みます。特に安価な海外製の商品とも市場を争わなければならない現代のグローバルな環境において、長期的な繁栄を目指すためにはブランドの構築が必要不可欠なのです。

ブランディングとデザインの関係

まずは、ブランディングにおいてデザインが果たす役割を見ていきましょう。

ユーザーが最初に目にするのは「デザイン」

どのような商品やサービスであれ、ユーザーが最初に目にするのはデザインです。デザインは「こんな雰囲気のブランドかな?」とユーザーにイメージさせ、購買に結びつける役割を持ちます。

企業がどれだけ素晴らしいコンセプトや信念を持っていたとしても、デザインで好感を持たれなければ機会損失に繋がってしまいます。ブランディングの実現には、優れたデザインが必須なのです。

ブランドのイメージを視覚的に表現することが重要

ブランディングにおける「優れたデザイン」の基準は、ブランドの世界観やコンセプトをうまく表せているかどうかにあります。必ずしも「良いデザイン」である必要はありません。良いデザインにしようと独自性を出すあまり、ブランドの雰囲気からかけ離れてしまわないよう注意しましょう。

ブランディングデザインの成功事例

それでは、実際の事例からブランディングの魅力やポイントを解説します。

今治タオル

日本を代表するタオルブランド「今治タオル」は、ブランディングデザインによって経営改善に成功した好例です。

2006年ごろ、今治タオルは海外製の安価なタオルに市場を奪われ、経営危機に陥りました。そこで経営陣は、価格競争で勝負するのではなく、品質の良さ、すなわち「ブランド」を全面に押し出していく方針を決定。ロゴを製作しブランディングを進めました。今治タオルのロゴは、赤・青・白の3色が使われたシンプルなデザインです。日本を象徴する「赤」、品質の安心感・落ち着きを意味する「青」、清潔感や柔らかさを表す「白」と、ブランドのイメージに沿った配色が採用されています。

このロゴを中心にブランディングを進めた結果、今では高品質かつ安心なタオルブランドとしての立場を確立。ブランドイメージとデザインに統一感を持たせることでユーザーの信頼を勝ち取ることに成功しました。

参照:今治タオル公式ブランドサイト

スターバックス

人魚のイラストが特徴的な大手コーヒーチェーン「スターバックス」のロゴは、経営の舵取りが変動するタイミングで随時変更が加えられています。直近の2011年の変更では、ロゴから「STARBUCKS COFFEE」の文字が消えたことが大きな話題となりました。これは、コーヒー以外の事業にも乗り出すというブランド戦略の表れです。

変更時には賛否両論がありましたが、最終的にはユーザーに受け入れられ、ニューヨークにお茶の専門店を開くなど事業の多角化にも成功しました。

ブランディングデザインを通じて企業からのメッセージをユーザーに伝えられることや、ロゴがユーザーへどれだけの影響を与えているのかを伺い知れる事例です。

ブランディングデザイン作成の流れ


それでは、ブランディングデザインを作成していく流れを見ていきましょう。

ブランドコンセプトを明確化する

まずは、自社の目指すブランドのコンセプトを定めます。自社の製品・サービスを通じて「どのような人」に「どうなってもらいたいのか」深く考えてみるとよいでしょう。

たとえば、女性向けの化粧品を提供している企業が「40代の女性」に「肌のみずみずしさを取り戻してもらいたい」と考えたとします。

次に考えるべきは、この40代女性がどのような人物なのかです。仕事に疲れているのか、育児に疲れているのか、経済状況はどうか、など細部を詰めることで、自然とブランドイメージが構築されていきます。
「育児に疲れている女性に、自分へのご褒美として喜んで貰えるような化粧品を提供する」というように、明確なコンセプトにまで落とし込みましょう。

コンセプトを固めたあとは、ブランドを表すキーワードを選定します。たとえば、今治タオルでは「安心・安全・高品質」を合言葉に各種施策が行われてきました。ユーザーのみならず社内でイメージを明確に共有するためにも、言語化しておくことは非常に大切です。

コンタクトポイントの把握

コンセプト、キーワードの設定後には、どこでブランディングを行うべきなのか、コンタクトポイント(ユーザーと企業が出会う媒体)を把握します。自社サイト・SNS広告・チラシ・実店舗など多岐にわたりますが、そのすべてに対してデザインを考えなければなりません。

重要なのは、すべてのデザインをブランドの世界観で統一することです。広告では高級感を売りにしていたのにパッケージが安っぽいと、購買意欲が損なわれてしまいます。

デザイン作成

コンタクトポイントの把握まで完了すれば、あとはデザインを作成していくのみです。「落ち着いた」「かっこいい」「高級感のある」など自社のブランドに合ったキーワードをイメージしつつ、作業を行います。

なお、ブランドのイメージを画像やテキストのみで伝えるのは至難の業です。よほど優れたデザインを思いつかない限り、伝えきれないコンセプトが出てきてしまいます。SNS広告やWebサイトなど、動画を利用できる媒体では積極的に動画を活用しましょう。

まとめ

このページでは、ブランディングデザインとは何か、重要性や成功事例、作成手順までを紹介しました。

ブランディングデザインの成功は、固定客の増加や価格競争からの脱却など、企業へ大きな恩恵をもたらします。その中で大切なのは、企業のコンセプトや世界観をユーザーに十分に伝えることです。そのためにも、雰囲気を直感的に伝えやすい動画を積極的に活用していきましょう。


 

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