多くの業界に打撃を与えている新型コロナウイルスですが、特に「対面仕事」が必須の業界は影響が非常に大きいです。大きく打撃を受けている業界のひとつが不動産業界。売上減が予想できる不動産業界は、Withコロナ時代をどう生き残るべきか?Web×動画が必須なワケを解説します。
目次
コロナ影響でお問い合わせは減少傾向?
2020年春ごろから国内でも流行した新型コロナウイルスの影響で、飲食業界や観光業界は致命的なダメージを受けました。これらの業界と同じく、市場が停滞しているのが不動産業界です。不動産需要の現状はどのようになっているのでしょうか。
新規物件の問い合わせは大幅減
不動産業界の需要を分解すると、「投資用の物件」と「住宅用の物件」に大きく分かれます。そのうち、「投資用の物件」は言わずもがな大幅に需要が減少しているようです。今後の市況がどう変化するか予想がつかないなか、投資家が不動産投資に積極的になるわけもありません。
一方、「住宅用の物件」はどうなのかというと、こちらも新規物件の問い合わせは減少傾向にあるそうです。コロナ以前に賃貸契約や引っ越しの相談をしていたお客さんもコロナの状況が悪化してからキャンセルを申し出るケースも多かったといいます。
いわゆる個人のお引っ越しであっても、初期費用にまとまったお金が必要なので、新規の賃貸契約を渋る方も多いということです。
REITから伺える投資家離れ
不動産投資の指標からも、今後の市況が厳しいことが伺い知れます。不動産投資信託の「REIT」の価格変動を見てみましょう。(SBI証券「東証REIT指数」)
コロナが国内で本格的に広まる20年2月ごろまでは指数が「2,200」くらいだったのにも関わらず、3月を過ぎた頃には指数は「1,200」くらいまで落ち込んでいます。その後、指数はある程度回復しましたが、9月時点でも「1,700」前後。つまり、REIT(不動産投資信託)の価値は約3割ほど減少したことになります。
このコロナの影響がいかほどか理解するために、かつてのリーマンショックと比べてみると影響の大きさが明らかです。リーマンショックでは、1年ほどかけて不動産価格が約20%下落したので、今回のコロナのほうが影響が早く大きいことがわかります。
また、実際の市場の不動産価格はREITの指標を後追いするように下落する傾向にありますので、業界の方は今後の動きを注視する必要があります。
国の補助金もわずかな延命措置にしかならない?
ニュースでも話題のように、国による「雇用調整助成金」や「持続化給付金」を利用して直近の経営をやりくりするという術もあります。しかし、助成金のMAX支給額は200万円超ほどしかありませんので、多くの固定費がかさむ会社経営の目線から考えると、わずかな延命処置にしか過ぎないでしょう。
企業によって差はありますが、およそ半年以内ほどでWithコロナに適合した経営体質に変えないと、その後の”生き残りが厳しくなる”と予想されます。
Withコロナで不動産業界はどう生き残るべきか
コロナとともに事業を展開しなければならない「Withコロナ時代」。不動産業界はWithコロナをどう乗り切っていけば良いのでしょうか。
「徹底した安全対策」の訴求
投資目当てでも住居目当てでも、不動産物件の購入または賃貸には「内見」が欠かせません。価格の安い日用品ならまだしも、高額な不動産を実際の物件を見ずに購入する人はほとんどいないでしょう。
しかし、一時期に比べると落ち着いたコロナですが、まだまだ感染対策に予断を許さない今の状況。コロナ以前と比べて「内見予約数」が少なくなっているのは、全体の傾向といえます。
このような状況ですから、「内見」に来てくれるお客さんには安心して物件を見ていただき、購入までご案内したいところ。「内見」を行なうにあたって、お客さんを不快にしない徹底したコロナ感染予防が重要だと考えられます。
内見動画で確度高い問い合わせ獲得
コロナの影響で購買のオンライン化が進む今、不動産物件の「内見動画」をWebサイトに掲載するのがその後のコンバージョン率を高める効果があると期待できます。
顧客目線に立つとわかりますが、「せっかく時間を作って物件を内見したのにイメージと違った……」という体験は、時間も労力も無駄になります。ですから、まずはオンライン上で自分の希望物件とギャップがないか、事前に照らし合わせられると顧客の不満も減ると考えられます。確度の高いお問い合わせ獲得のために、Webサイトへの内見動画の掲載を急ぐべきといえます。
不動産業界が集客に動画を活用すべき理由
「Video BRAIN Marketing MEDIA」は『ビジネス×動画』の可能性について伝えるメディアですから、ここからは不動産業界における動画の可能性をお伝えします。というのも、不動産業界が動画を活用しないともったいない理由があるのです。
内見動画で事前に期待値調整できる
集客に「内見動画」が効果的、というのは先ほども伝えた通りですが、実ははっきりとしたデータあるのです。2019年2月に株式会社クロス・マーケティングが発表した資料をみて見ましょう。
同社では全国47都道府県に在住する20〜69歳の男女を対象に「賃貸物件の部屋探しに関する調査」を実施しました。その調査の中に「内見動画・オンライン内見の利用有無」を調べたものがあるのですが、ここに内見動画のポテンシャルが明らかになっています。
調査によると、特に2〜30代の男女で約2割ほどが「内見動画」を事前に視聴しており、そのうち約8割が「参考になった」と回答しています。この調査はコロナ前の2019年ですから、現在はより幅広い年代で「内見動画」が視聴される傾向にあると考えられます。「内見動画」は視聴されさえすれば顧客の参考になる率は高いので、やはり事前の期待値調整に一役買っているといえそうです。
※ 参考:PRTIMES「[部屋探し経験者1,000人に調査]動画内見・オンライン内見の利用は約1割だが、利用者の8割が「参考になった」と回答」
動画はチャネルを問わず再利用が効く
不動産業界が集客に動画を活用すべき理由に、「動画はチャネルを問わず再利用しやすい」という点があります。動画は何もWebサイトにのみ掲載するのではなく、FacebookやTwitterといったSNSや動画プラットフォームYouTubeにそのままアップしても、比較的遜色ないでしょう。
つまり、一度マーケティング用の動画を制作すれば、幅広いチャネル(媒体)で使用することができ、長く集客に効果をもたらすことができるのです。オンライン上だけでなく、オフラインのイベントやモデルハウス内にモニターを設置し、配信することも可能でしょう。
具体的にどんな動画が適しているか
不動産業界が動画を活用するとしたら、どのような動画の使い方があるのでしょうか。いったん一通り洗い出してみましょう。
物件の内見情報の動画
一つ目は何度もあげていますが「内見動画」です。本来は実際に物件を訪れてみないと分からない部屋内部の様子を動画で撮影することで、ユーザーにリアルな情報を届けることができます。
物件の写真を掲載しているWebサイトは多くありますが、写真だけでは「部屋の広さや雰囲気がわかりづらい」「加工してよく見せているのではないか」という感想もユーザーに抱かせてしまい、高い信頼獲得までは至りづらいです。
その点、動画であれば部屋の様子がはっきり分かるので、「内見に行ったら想像と違った!」ということも少なくなるでしょう。
担当営業マンの紹介動画
二つ目は「担当営業マンの紹介動画」です。一人暮らしの引っ越しであっても、不動産の契約は家計から見て大きな買い物。契約後に後悔するようなことは、できることなら避けたいところです。
満足のいく不動産契約のために重要なのが、担当する営業マンとの強い信頼関係。自分のニーズをしっかりヒアリングしてくれて、有益な情報を顧客目線で伝え調整してくれる営業マンが理想的です。
だからこそ、不動産会社にどんな営業マンがいるのかを明確にユーザーに伝えるのが効果的です。写真とテキスト(文章)のみの説明ではなく、そこに動画で営業マンがお客さんへの言葉を伝えていれば、人柄や雰囲気のアピールになると考えられますし、他社との差別化にもなります。Webサイトに訪れたユーザーの不動産契約までのハードルを下げるためにも「担当営業マンの紹介動画」は効果的です。
自社サービスの訴求動画
三つ目は「自社サービスの訴求動画」です。一つ目にご紹介した「内見動画」や二つ目の「営業マンの紹介動画」のような個別具体的な動画だけでなく、そもそも自社がどのようなサービスを提供しているのかを発信する動画も集客に効果的です。
不動産のサービスはカタい契約内容や家賃等の金額の数字が並び、ユーザーによってはテキスト(文章)だけでいまいち理解できないという方もいるでしょう。せっかく魅力的なサービスが提供されているのに、ユーザーに届いていないのではもったいないです。
ユーザーがサクッと視聴できるように、1分前後のサービス説明動画を必要であれば小分けにして、Webサイトに掲載されてみてはいかがでしょうか。予約~内見、契約までの流れや、店内の様子などもわかると、特に引っ越しに慣れていないユーザーに大きな安心感を与えられることができます。
社内で動画制作を小さく始めてみるのがおすすめ
不動産業界がどのように動画を活用できるかについてお話してきました。
効果的であることは分かったものの、動画制作はコストがかかるから簡単には始められない…と悩む方も多いのではないでしょうか。
高価な機材をそろえなくても、スマホだけで十分に動画は撮影できます。いきなり予算を使って大きなプロジェクトを立てるのではなく、できる範囲から小さく始めてみるのがおすすめです。
スマホでも十分に自社や商品(物件)の魅力を伝えられるはずなので、機材や人件費など大きなコストをかける必要はありません。
編集もプロ向けの高度なものだけではなく、未経験者向けのツールも数多くあります。できるだけ負担にならないかたちで、動画活用を始めてみてくださいね。
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