動物を動画に出演させるメリットと注意点を紹介

主役級の扱いで犬や猫がテレビCMに登場するなど、動物を企業のプロモーション動画に起用するケースが増えています。動物の動画は、なぜこんなにも人気が高いのでしょうか。

この記事では、動物の動画が注目される背景や企業動画に出演させるメリット、撮影時の注意点についてご紹介します。

動物の動画が注目される背景

見た目や仕草が愛らしく、自然体の動物は、見ている人間の心に「癒し」や「安心」を与えます。
実際に、アニマルセラピーという活動の通り、動物の存在は現代人のストレス軽減や精神的な安定に効果的とされています。
また、ペットを飼う人も増えており、いまや国内のペット関連市場規模は、1兆5000億円を超える勢いです。
こうした背景から、動物の動画は多くの人に受け入れられやすいといえます。

中でも、近年の猫ブームは見逃せません。
犬のように「吠えない」「散歩が不要」などの理由から、猫はひとり暮らしやマンション住まいの人にも飼いやすく、飼いやすいペットの筆頭になりつつあります。
テレビや雑誌で猫特集が組まれるなど、メディアで猫を目にする機会は確実に増えており、こうした猫ブームによる経済効果は「ネコノミクス」と呼ばれるほど莫大なものです。

猫特有のユニークな仕草や行動を捉えた動画はSNSとの親和性も高く、その魅力を「潜在的猫好き」にも知らしめることになりました。
猫の動画は、SNSで拡散されやすく、幅広い層に話題にされる可能性が高い傾向にあります。
人間に適度な親密さを示しつつも、絶妙な距離を保つことの多い猫の存在は、神秘的で魅力的でもあり、ハイブランドの企業動画に起用されるケースも多くあります。

参照:ペットビジネスに関する調査を実施(2020年) | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

動物を出演させるメリット

ここからは、企業の動画に動物を出演させるメリットについて詳しく説明します。

好感度がアップする

動物は、「ピュア」「素直」というイメージが強く、視聴者を自然と優しい気持ちにしてくれます。
企業や商品を知らなくても、動物への興味や愛着をきっかけとして、最後まで動画を見てもらえる可能性が高いでしょう。また、動物に対する好感度を、そのまま商品イメージにつなげやすいという面もあります。

注目されやすく、印象にも残る

動物が登場する動画は増えているものの、人物よりも動物を起用した動画のほうが数は少なく、おのずと注目が集まります。動画を見た後の印象にも残りやすいため、視聴後の消費行動も促しやすいでしょう。
動物を起用した動画は、視聴後の反応も良い傾向にあり、高いエンゲージメン率が期待できます。

幅広い層に受け入れられやすい

動物は年齢や性別に関係なく、幅広い層に受け入れられやすい存在です。
ファミリー層をターゲットにした商品やサービスなどと親和性が高いほか、一度で大勢に認知させたい新商品のプロモーションに起用するのも効果的です。

メッセージ性が高まる

動物にはそれぞれ、習性や特性があります。
一般的に周知されている動物であれば、その習性は言葉で説明しなくても表現可能です。
動画を通じて訴求したい要素に適した動物を選ぶことで、メッセージの伝達力を高めることができます。

動物の動画制作のポイント

動物の動画制作

メリットを押さえたところで、ここからは実際に動物を起用した動画を制作する際のポイントについて説明します。

動物の特性を生かす

単に「かわいい」だけの動画では他の動画との差別化が図れず、埋もれてしまう恐れがあります。
メリットでも説明したように、動物の特性を理解し、うまく生かすことで動画の存在価値を高められます。

動物の特性を生かした動画の代表例が、メルセデス・ベンツの「Chicken」というCMです。
体は動いても頭の位置は常に固定されているというニワトリの特性を生かし、「頭が揺れない」「酔いにくい」といったクルマの乗り心地の良さをアピールしています。

実写にこだわらない

動物の特性を伝えるのに、必ずしも実写である必要はなく、むしろアニメーションなどのほうが動物の特性を無理なく表現しつつ、愛らしさも強調できる場合もあります。

アニメーションでも、イラストのテイスト次第で、動画の世界観を調節できます。
本物の動物を起用する主なメリットは、臨場感と意外性です。
画面に迫力が欲しいときや驚きを与えたいときには、実際の動物の存在がその手助けになります。
いずれにしても、大事なのは動画の目的です。目的を達成するためには、動物をどんな手法で登場させるのが良いのか、熟考しましょう。

ストーリー性を持たせる

ストーリー性のある動画のほうが、人々の共感を集めやすく、奥深いメッセージを届けられます。
まずは、登場人物や動物のキャラクターを設定しましょう。
次に、最終的にどのような結末で終わらせたいかを考えます。

結末を先に決め、そこまでの展開を逆算して考えるとスムーズです。
動物の存在感が光るストーリー展開を練りましょう。動物を擬人化し、人間の言葉を喋らせたりするのも一つの手です。

動物を出演させる際の注意点

動物は人間の言葉を話しません。そもそも、猫のように人間に服従する習性を持たない動物もいます。
そのため、動画撮影においては、動物の目線に立った配慮が必要です。
最後に、特に注意が必要なポイントを2つご紹介します。

想定外のトラブルが起きやすい

CMなどの大がかりな撮影となると、長時間に渡って動物を拘束する場合もあるでしょう。
人間には問題のない環境でも、動物には大きなストレスになるかもしれません。

例えば、犬や猫は、人間よりもはるかに優れた聴覚や嗅覚を持ちます。
大勢の見知らぬ人たちが動き回ったり、大きな音がしたりする場所に連れてこられたことで、パニックを起こしても不思議ではありません。

普段は温厚で大人しい性格でも、撮影現場では狂暴化してしまう可能性もあります。
パニックを起こした動物が、ケガをしたり、逃げたりしないよう、安全管理には十分に気を付けたうえで撮影に臨みましょう。

動物愛護のガイドラインに沿う

人間と同じように、動物にも明確な意思や感情があります。
例えば、無理やり服を着せる、二本足で立たせるなどは、動物の人権を無視した演出です。
そのような行動がガイドラインに違反すると判断された場合には、動物愛護団体などから批判が来る可能性もあります。リスクを軽減させるためには、動物と子どもの福祉の向上を目的とした非営利団体であるAHA(アメリカ人道協会)のガイドラインを熟読し、遵守することをおすすめします。

動物好きな人は、動物の嫌がる姿や表情には敏感です。動物の習性や特性を蹂躙したような内容は、好感を持たれるどころか、かえって嫌悪される可能性が高くなってしましますので注意しましょう。

まとめ

日本でも、ペットを家族の一員として大事にする人が増えています。
習性や特性に配慮しない撮影は、動物に強いストレスを与えるだけでなく、企業のブランドイメージを失墜させる恐れがあります。

大切なのは、人間に対するのと同じように、動物にもリスペクトマインドを持って接することです。
実写での撮影する場合は、その動物について丁寧に下調べを行ったうえで、できるだけ負担のない撮影内容や環境を整えましょう。
動物の魅力を最大限に引き出した質の高い動画は、幅広い視聴層から支持されることでしょう。


 

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