インターンシップは、本採用の前段階として行う採用ステップとして、企業の採用活動の中で重要な位置付けです。インターンシップを導入することで優秀な人材を確保するきっかけ作りや企業PRなど、さまざまなメリットが得られるでしょう。
この記事では、インターンシップを実施する企業の狙いや実施形態、成功させるためのポイントなどについて解説します。ぜひ、インターンシップ導入のためのヒントとしてお役立てください。
目次
インターンシップ実施の背景
企業がインターンシップを実施する理由は、課題解決や目標達成などさまざまです。ここでは、インターンシップ実施の背景には何があるのか見ていきましょう。
優秀な学生の早期確保
インターンシップは、本格的な新卒採用の時期より早いタイミングで実施されているケースがほとんどです。
例えば、2024年卒業予定の学生に対する採用活動の解禁は2023年3月以降。それに対し、インターンシップを実施する時期についてはこのような制約はありません。
インターンシップが盛んに行われる時期は、夏季休暇にあたる7月〜9月と、採用活動解禁直前の2月です。特に、7月〜9月に行われるインターンシップは「サマーインターン」とも呼ばれ、他の時期のインターンシップに比べて大規模に行われることが少なくありません。また、より長期間にわたる「プロジェクト型インターン」や「長期インターン」を実施する企業も増えています。
「株式会社Hajimari」が行った2024年卒業予定学生のサマーインターンに関する実態調査によると、7割以上の学生がサマーインターンへ参加に意欲的であることが明らかになりました。
【引用】株式会社Hajimari、24卒のサマーインターンに関する実態調査|PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000099.000031819.html
こうした背景もあり、インターンシップを優秀な学生といち早く接点を持つための手段として位置づける会社は少なくありません。
本格的な採用活動解禁前から学生と接触し、終了後も「フォロー」という形で継続的にアプローチできる手段がインターンシップというわけです。
イメージ向上・PR
本来、インターンシップは企業の採用活動に直結させるというよりも、学生の企業に対する理解を促すために開催されると位置付けられています。
もちろん、企業側には他にもさまざまな思惑がありますが、インターンシップを通して企業が提供する情報や就業体験が、学生の企業理解を深めるきっかけとなっていると言えるでしょう。より深く企業を理解してもらうことで、イメージアップにつながります。
また、企業独自のインターンシップの実態を多くの学生に周知できれば、PR活動としても効果的です。「あの会社のインターンシップは面白い」「役に立つ」という評判が広まれば、より好意的に受け止めてもらえるでしょう。
社員教育
一般的に、インターンシップの進行は担当社員が行います。インターンシップに関わる社員の年齢や役職はさまざまですが、学生とより年齢が近い若手社員が主導的に関わるケースが少なくありません。
まだ部下を持った経験のない若手社員にとっては、学生を指導する経験を通じてマネジメントの一端に触れることができるため、今後企業が社員に期待する指導力の向上にも役立つでしょう。そのため、インターンシップは企業にとって社員教育として有用なのです。
インターンシップの実施形式
インターンシップの実態は、開催人数や期間などの要素によって変化します。特に開催期間の長短は、インターンシップで行われるプログラムの内容や、合宿形式にするかどうかなどの実施形式にも大きく関わってくるでしょう。
ここでは、インターンシップの実施形式にはどのようなものがあるのかご紹介します。
1dayインターン
「1dayインターン」は、1日という短期間で実施されるインターンシップ。夏季休暇や2月といった、インターンシップが最も盛んに行われる時期だけでなく、通年開催されるケースが少なくありません。
1dayインターンの多くは、通常の会社説明会に近い形式で開催されます。一般的な会社説明会は1〜2時間程度ですが、1dayインターンでは1日を通じて行うというわけです。
1dayインターンの内容は、会社説明会のように事業や仕事を紹介する、あるいは参加した学生同士でチームを編成し、グループワーク形式で課題に取り組んで仕事や企業への理解を深める機会を提供するのが一般的です。
開催期間が1日と短いため、学生にとっては長期休暇などまとまった時間がなくても参加しやすく、企業側にとっても頻繁に開催してより多くの学生に参加してもらえるので、双方にメリットがあります。
プロジェクト型インターン
「プロジェクト型インターン」は、おおむね2〜3週間程度の期間を設けて開催されるインターンシップ。開催期間が比較的長いため、夏季休暇や冬季休暇などの時期に開催されるのが一般的です。宿泊施設や社員寮などを利用し、合宿形式で実施するケースも少なくありません。
プロジェクト型インターンの主な内容として、学生同士でグループを組み、与えられたテーマに対して協働して取り組むことが挙げられます。初日にオリエンテーションやグループ決めを行い、チームで課題に取り組んだのち、最終日に発表および社員からのフィードバックを行うという流れで進行するのが通常です。
プロジェクト型インターンで得られる学生側にとってのメリットは、より深い知識や経験を得られ、企業への理解を深められること。一方、企業側のメリットは、課題に取り組む様子をじっくり観察できること。各学生の課題解決力や協調性、リーダーシップ、プレゼンテーション能力などを評価できるため、本採用時に優秀な学生へアプローチするきっかけが作れるでしょう。
長期インターンシップ
「長期インターンシップ」は、3ヶ月以上の開催期間で行われるインターンシップ。会社説明会に近い内容のインターンシップとは異なり、実際に就業の機会を与えて現場で働いてもらう実施形式です。例えば、営業や企画業務に従事したり、インターン生が作成した資料を実際の業務に使用したりするケースが多い毛校です。ただし、その期間インターン生は労働基準法上の「労働者」にあたるため、有給のインターンシップとなります。
長期インターンシップを開催する企業は、ベンチャー企業がメイン。また、就活生にあたる学年(大学3年生以上)以外の学生も参加可能としている企業も少なくありません。
就職活動に熱心に取り組む学生の場合、大学1〜2年生の段階で参加することも多く、グループワークのような疑似的な就業体験以上に深く企業や業務を理解できるのが学生側にとっての大きなメリットです。
一方、企業側にとっては、実際に就業する様子を観察できるため能力や特性をより正確に把握でき、意欲の高い学生を早期に取り込めるというメリットがあります。
インターンシップを成功させるポイント
インターンシップは企業側にも大きなメリットがあるため、プログラム内容に工夫を凝らす企業も少なくありません。意義あるプログラムやユニークな内容を提供できれば、インターンシップを通して企業の認知度やイメージを高めることができ、採用活動を有利に展開できるでしょう。
ここでは、インターンシップを成功させるポイントをご紹介します。
プログラムの魅力・面白さ
ユニークな内容のプログラムや、企業あるいは社会に対する理解が深まる意義深いプログラムを実施することで、参加する学生に「参加してよかった」と満足してもらえます。
魅力的、かつ面白いプログラムを提供できれば、参加した学生本人の満足度が高くなるだけでなく、友人やインターネット上の口コミなどで企業の良い点を伝えてもらえる可能性があるでしょう。特にSNSでのコミュニケーションが活発化している昨今、インターンシップに関する評判が広く拡散されるケースは少なくありません。
評判の良いプログラムはPR効果も期待でき、結果として本採用においても優秀な学生を広く採用できる可能性が高まるでしょう。
業務理解を促す
インターンシップの内容が業務理解を促す内容になっているかどうかも非常に大切です。参加した学生の満足度を高めるだけでなく、マッチした人材が選考に進んでくれるよう促す効果も期待できます。
企業の風土や業務内容を本質的に理解できれば、学生は「この企業が自分に合っているか」という判断がしやすくなります。結果として、より適性のある学生が選考に進む可能性を高められるでしょう。
有効な工夫としては、業務をわかりやすく説明する以外にも、「社員への質問会」や「グループワーク」の機会を提供し、参加した学生に直接対話を通して企業の雰囲気をつかんでもらうことなどが挙げられます。
内定者にも参加してもらう
入社前の内定者は学生と年齢や立場が近く、親近感を抱いてもらえる対象です。また、その企業に就職を決めているわけですから企業の良さを認めており、PRにも熱心だと言えるでしょう。インターンシップに参加する学生が内定者との交流を通して満足度を高め、「あの先輩と一緒に働きたい」と考えるケースも珍しくありません。
また、内定者に対して働きかけられる効果も大きい点は見逃せません。内定者が入社前のタイミングで他の内定者や社員と交流したり、インターンシップに参加した学生に対して先輩として接したりすることで、社会人としての心構えを養うきっかけにもなり得るからです。
インターンシップ導入の流れ
では、インターンシップを導入する際の流れはどのように進んでいくのでしょうか。具体的な手順について見ていきましょう
テーマの決定
最初に行うべきなのは、インターンシップのプログラム内容や実施期間など、テーマの大枠を決定することです。どのようなプログラムができるかについては実施期間の長さにも左右されるため、まずは長期間にするか短期間するか決定してください。
長期間のインターンシップは、一般的な会社説明会では得られない貴重な経験を学生に与えられます。
企業側にとっては各参加者について情報を集めやすいですが、会場確保などの物理的なコストに加え、担当社員を配置するため人的コストがかさみます。したがって、予算に余力があるか確認する必要があるでしょう。
担当者を選定
次に、インターンシップを担当する社員を選定します。社員に任せる役割は、主に以下の通りです。
・「学生との座談会」のような形で参加し、インタビューに答える
・学生の相談などにのる「メンター」としての役割を担う
・基調講演など、企業からのメッセージを伝える役割を担う
・裏方として事務作業を担当する
基調講演などを行う社員は、通常は役員あるいは役職者であることが多いです。
広報内容を練る
いくら魅力あるインターンシップのプランを練っても、学生に周知できず参加してもらえなければ当初の目的が果たせません。そこで重要なのが、インターンシップにおける広報戦略の内容を練ることです。
従来、インターンシップの募集にあたっては、リクナビやマイナビなどの就活ナビサイトを介するケースが一般的でした。しかし、近年ではSNSを通じてPRする方法も広まりつつあります。学生の間でも、特に就職活動初期のタイミングではSNSを通じて情報収集しているケースが少なくありません。
株式会社Hajimariの調査によると、就活ナビサイトを除けば、InstagramやTwitterを主な情報収集に活用していることが明らかとなりました。
中小企業の場合、大手企業と互角以上のPRを展開するためにもSNSの活用は非常に重要。広報内容を練るうえでカギとなるでしょう。
【引用】株式会社Hajimari、24卒のサマーインターンに関する実態調査|PR TIMES
まとめ
新卒採用におけるインターンシップは、本格的な採用活動の前に学生にアクセスできる重要な機会です。学生側にとっても企業研究や社会への理解を深められるというメリットを得られるため、印象深いプログラムを提供できれば、採用活動の促進につながるPR効果も期待できるでしょう。
また、インターンシップの認知度を高めて参加者を増やすためには、SNSの活用も重要です。魅力あるプログラムの提供とともに広報戦略にも注力してみてはいかがでしょうか。
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