コロナ禍や働き方の多様化により、採用活動のオンライン化が進んでいます。「自社にオンライン化は必要なのか」「何から始めたらいいかわからない」と悩んでいる採用担当者の方も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、採用活動をオンライン化するメリットや、オンライン採用を成功させる具体的なポイントについて解説します。オンライン化の必要性や導入時の注意点を押さえ、採用活動のオンライン化をスムーズに進めていきましょう。
目次
オンラインで採用活動を行うメリット
コロナ禍を経て浸透しつつあるオンライン採用には、従来の形式では得られなかったメリットがあり、効率的かつ効果的な人材の獲得を期待できます。
全国から志望者を集められる
オンラインで採用活動を行うと距離的な制約がなくなるため、より広範囲から志望者を集められるのがメリットです。
オフラインの採用活動では、志望者が説明会や面接会場に直接出向く必要があったため、距離的・時間的に制約のある遠方からの志望者の場合、エントリーを見送るケースもありました。
一方、オンライン採用では、地方に住んでいても距離を気にせず都市部の企業の選考に参加できます。同様に、東京・大阪といった都市部の人材が地方の企業にエントリーしやすくなるため、Uターン・Iターン就職の促進にもつながるでしょう。
さらに、海外居住者へのアプローチも可能となるなど人材募集の幅が大きく広がり、オフラインの採用活動では発掘できなかったかもしれない人材を獲得できる可能性が高まります。
開催コストを抑えられる
会社説明会や面接をオンライン化することにより、オフラインでの開催に比べてコストを抑えられるのもメリットです。
オフラインで説明会を開催する場合、社外の会場を手配する必要があります。会場選定に加え、資料の印刷、当日の設営や片付けなども行わなければなりません。運営には受付担当や案内担当、進行サポートなど多くの人員も必要であり、遠方での開催であれば担当者の交通費や宿泊費もかさみます。
この点、オンライン開催であれば、会場を確保する必要もなく、最低限の人員で運営できます。採用担当者も自宅やオフィスからリモートで参加できるため、移動などのコストも削減することが可能です。
また、企業の認知度を上げるために露出を増やしたい場合は、オンデマンド配信を活用することも効果的です。あらかじめ録画しておけば複数回配信できるため、担当者の稼働を減らして効率的に採用活動を進められるでしょう。
エントリー数の増加につながる
採用活動をオンライン化することにより、オフラインに比べてエントリーのハードルが下がるため、エントリーを集めやすくなります。
オフラインの採用活動では、スケジュールを調整して説明会に出向き、実際に話を聞いてからエントリーシートを郵送するというプロセスが一般的でした。一方、オンライン化が進んだことで、応募者は自宅にいながら説明会へ参加し、Webでエントリーを完了させるなど、より気軽に選考に応募できるようになったのです。
エントリーのハードルが下がれば、より幅広い人材からの応募が得られ、優秀な人材の獲得につながる可能性が高まるでしょう。
事前準備しやすい
オンライン説明会やオンライン面接では、動画を取り入れるなどの工夫を施すことで、事前に準備をしやすいうえに内容が伝わりやすいのがメリットです。
例えば、面接の流れや注意事項などリアルタイムで説明しなくても支障のない部分を動画形式にすれば、事前に収録でき、当日は進行に集中できます。面接前の緊張をほぐすような動画をアイスブレイクとして取り入れてもいいでしょう。
具体的な業務への理解促進や雰囲気の伝達などが課題となるオンライン採用では、カジュアル面談を行っている企業も増えてきました。カジュアル面談は、応募者と企業担当者のコミュニケーションの場として設けられていますが、実質的には選考を兼ねているケースも少なくありません。
こうしたカジュアル面談の場にも日常業務の様子や社員の雰囲気がわかるような動画を取り入れると、自社への理解を深めてもらいやすいですし、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながるでしょう。
オンライン採用の進め方
オンラインでの採用活動を効率的に進めるためには、しっかりと計画を立て、自社の実情に適した選択が重要です。
採用計画を立てる
まずは、オフラインでの採用と同様に、新卒者を何名採用するか、いつ会社説明会や書類選考を行うか、面接は何次まで行うかといった採用計画を具体的に立てましょう。
次に、策定した採用計画の中で、どの部分をオンライン化するのかを検討していきます。採用試験のすべてをオンライン化している企業もあれば、最終面接は対面式で実施するなどオフラインと併用しながら運用している企業もあります。オンライン採用のメリットや課題をふまえ、自社の採用活動ではどこまでオンライン化するのが最適なのか、全体の見通しを立てることが大切です。
採用サイトを立ち上げる
採用計画が決まったら、次は自社専用の採用サイトを立ち上げましょう。
採用サイトとは、コーポレートサイトとは別に立ち上げる、採用情報に特化したWebサイトのこと。具体的な業務内容や福利厚生、社内の雰囲気や社員のインタビューといった求職者の知りたい情報を中心に盛り込み、エントリーにつなげるのが目的です。
新卒者に向けて求人情報を公開するためには、新卒採用のメディアを活用するという選択肢もあります。これらのメディアは、「就職活動のはじまりは就職サイトへの登録である」といっても過言ではないほど、新卒者にとって影響力のある媒体です。新卒採用サイトに自社の情報を掲載すれば、多くの学生に自社をアピールでき、より効果的な採用活動につなげられるでしょう。
オンライン会社説明会・書類選考を進める
続いて、自社に興味をもった学生に対し、より深く理解してもらうための会社説明会を開催します。
数ある採用プロセスの中でも会社説明会はオンライン化に適しているため、オンライン説明会を導入する企業は少なくありません。Zoomなどのオンライン会議ツールを用いて行うオンライン会社説明会には、参加者とコミュニケーションが取れる「ライブ型」と、収録した動画を学生の都合の良いタイミングで試聴してもらえる「録画型」があります。
オンライン会社説明会を終えたら、エントリーのあった学生に対して書類選考を行います。エントリーシートの提出もWebで受け付けられるため、オンライン化が可能です。
オンライン面接を行う
書類選考が終わったら、通過した応募者に対してオンライン面接を行います。
オンライン面接の形式は、Web面接と録画面接の2種類。Web面接は、Webツールを用いて通常の面接同様にリアルタイムで質疑応答を行う面接であり、オフラインの面接に近い雰囲気で選考できるのが特徴です。一方の録画面接は、面接官が事前に設定した質問に対して、応募者が回答の動画を送信する形式。スケジュール調整が不要、かつスピード感をもって選考を進められる点が特徴です。
自社の採用計画に合わせて、適したオンライン面接の形式を選択して実施してください。
オンライン採用の面接を成功させるポイント
オンライン面接を成功させるためには、以下のポイントが重要となります。
評価項目を再考する
画面越しの会話となるオンライン面接の場合、非言語コミュニケーションが難しいため、どうしても感情や人間性といった部分を判断する要素が不足してしまいがちです。そのため、これまでの面接における評価基準の一つとなっていたフィーリングなどの直感的な要素は効果的ではありません。
そこで、オンライン採用に合わせて評価項目を再考する必要があるでしょう。面接官の主観や場の雰囲気に評価が左右されてしまうことを防ぐため、まずは自社の求める人物像を明確に定義することが大切です。
さらに、自社の求める人物像に合致するかどうかを客観的に評価するために、「主体性のある行動をとれるか」「失敗から学ぶことができるか」といった具体的な評価項目を設定します。面接官はこうした項目に沿って質問し、判断するのです。
オフラインの採用フローと併用する
オンライン採用だからといって、必ずしもすべての採用試験をオンラインで行わなければならないわけではありません。
例えば、オンライン面接では志望度の高さなどの感情的な部分を読みとることが難しいため、意思確認の意味を含む最終面接はこれまで通りオフラインで行う企業が多いのも現状です。また、カジュアル面談と称して、より具体的な業務内容や社員の雰囲気を肌で感じてもらうために、オフラインでのイベントを実施している企業も少なくありません。
必要に応じてオフラインの採用フローと併用し、効果検証をしながら最適化を目指していくことが望ましいと言えるでしょう。
Webツールの使用手順を共有する
Webツールの使用に慣れていない志望者もいるため、オンライン面接ではオフライン面接以上に志望者に対する配慮が求められます。
オンライン面接を行う際には、事前にWebツールの使用手順を共有する必要があります。ZoomやGoogle Meetなど一般的なものであってもしっかり使用方法を説明するべきですが、自社独自のWebツールを用いる場合などは、特に丁寧な説明を心がけましょう。
Webツールの使用が不安な志望者に対しては、ミーティングルームを開放して練習できる時間を設けるなどの対応を行うと親切です。
通信トラブルに備える
オンライン面接では、音声の途切れや映像の乱れ、タイムラグといった通信トラブルが起きやすいため、こうしたトラブルに備えて対策を講じる必要があります。事前に通信環境のテストを行い、面接環境を整えてください。
いくら準備をしても本番でトラブルに見舞われるケースもあるため、あらかじめ複数のWebツールを用意しておき、有事の際に他のツールで代用できる体制を整えておくと安心です。
トラブル発生時に円滑に案内できるよう、応募者には電話番号を共有してもらいましょう。
通信トラブル発生時の対処法を決めてマニュアル化するとともに、担当者が対応できるように練習しておくことも大切です。
オンライン採用の面接に使えるWebツール
オンライン面接では、応募者の利便性や自社ネットワークとの相性などを考慮してWebツールを選定することが大切です。
Zoom
Zoomは、最も有名なオンライン会議ツールの一つです。学生から社会人まで属性や世代を問わずユーザーの多いツールであるため、応募者にとっても使い慣れたWebツールである可能性が高いと言えるでしょう。操作性にも優れていて誰でも使いやすいため、オンライン面接に適したツールです。
ミーティング中に参加者を複数のグループに分けられる「ブレイクアウトルーム」の機能があるため、グループワークなどの選考にも活用できます。
パソコンではURLを共有するだけでミーティングに参加できますが、スマートフォンやタブレットでは事前にアプリのダウンロードが必要な点には注意してください。
Google Meet
Google Meetは、世界中に多くのユーザーをもつGoogle社が提供するオンライン会議ツール。Zoom同様に使いやすい機能が充実しています。GmailやGoogleカレンダー、Workspaceなどと連携できるため、Gmailユーザーにとっては非常に便利なツールです。
応募者にURLを共有するだけで面接を開始できる他、背景の設定や画面共有などの機能も備えているため、オンライン面接に最適なWebツールだと言えるでしょう。
Microsoft Teams
Microsoft Teamsは、Microsoft社が運営するオンライン会議ツールであり、Zoomと同様に世界中に多くのユーザーを持つ安定したツール。Microsoft社のオンライン会議ツールであるため、WordやExcelなどのOffice系ツールとの連携に優れているのが特徴です。
応募者はアカウントを作成する必要がなく、共有されたURLにアクセスするだけでオンライン面接に参加できます。難しい操作や設定が不要なため、オンライン面接に適したWebツールだと言えるでしょう。
Skype
Skypeは同じくMicrosoft社が運営し、2003年と比較的古くから存在するWebツールです。ビデオ会議機能を搭載してからは、オンライン面接をはじめさまざまなWeb会議のシーンで利用されています。
知名度も高く利用に抵抗のない応募者が多い反面、アプリのダウンロードやコンタクト申請などオンライン面接までに一定の工数がかかる点には注意が必要です。
URLのみで参加できるZoomやGoogle Meetと異なり、オンライン面接参加に関する事前説明が煩雑になりやすいため、わかりやすい案内を心がけてください。
まとめ
オンラインで採用活動を行うと、さまざまなコストを削減しながらもアプローチの幅を広げられるため、より効率的な人材の獲得が可能になります。オンライン採用を成功させるためには、客観的な評価基準を設定するとともに、通信環境や使用ツールにも配慮しなければなりません。
採用計画をしっかり立て、必要に応じてオフラインの採用フローも併用しながら、自社の採用方針に合わせてオンライン採用を最適化していくことをおすすめします。
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