新卒の内定辞退が起こる理由は?辞退率を下げる対策

新卒採用では、内定を出しても内定辞退されてしまう場合があります。残念ながら、新卒採用において内定辞退は珍しくはありません。しかし、企業としてはできるだけ内定辞退を防ぎたいものです。

そこで今回は内定辞退が起こる理由をふまえ、内定辞退を防止するための対応を解説します。内定辞退率をできるだけ下げたいと思っている人事担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

新卒採用での内定辞退率

内定辞退は決して珍しいことではありません。就職みらい研究所の「就職プロセス調査(2023年卒)」によると、就活を行う大学生(大学院生除く)の内定辞退率は57.8%であることがわかりました。

新卒からの人気が高い企業の場合、内定辞退率も当然下がるでしょう。そのため、中小企業や学生の知名度が低い企業は、さらに内定辞退の確率が高くなる恐れがあります。

参照:就職プロセス調査(2023年卒)「2022年7月1日時点 内定状況」https://shushokumirai.recruit.co.jp/research_article/20220708001/

新卒採用で内定辞退が起こる理由

では、一体なぜ内定辞退が起こるのでしょうか。就活生が内定辞退する理由を把握していきましょう。

複数の企業に応募している

就活生は複数企業の選考に応募している場合がほとんどです。「就職プロセス調査 (2022年卒)」では、2社以上の企業から内定や内々定を取得した2022年卒大学生は62.8%だと発表されています。

複数の内定をもらった場合は最終的に1社に絞らなければなりませんので、複数企業に応募している就活生が多いことも内定辞退率が上がる理由です。

参照:就職プロセス調査 (2022年卒)「2021年8月1日時点 内定状況」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20210817_hr_01.pdf

企業イメージにギャップがあった

選考前のイメージと実際にギャップがあった場合に、内定辞退が起こってしまう場合もあります。例えば、働いている社員に対してポジティブな印象があったにもかかわらず、実際に選考を通して社員と会う中でギャップを感じるケースがあります。

その際、選考の途中で辞退する学生もいますが、「内定をもらってから実際に入社するか考えよう」と選考を進める場合も。結果として、他社の入社を選択し、内定辞退を引き起こします。

希望条件に合わない

理想の希望条件に合わなかった、というのも内定辞退によくある理由です。業務内容から福利厚生まで、さまざまな条件があります。より自身の条件に合致した企業があった場合、他社を選択してしまうのです。

自社の魅力を伝えきれていない

自社の魅力を就活生に伝えきれなかった場合にも、内定辞退は起こりやすいです。

実は就活生の希望条件に合う会社だったのにもかかわらず、就活生が把握できないまま内定辞退に進んでしまうケースもあります。

担当者の説明が足りず自社の魅力が伝わらないと、他社の方が魅力的に見えてしまう可能性は高くなるでしょう。自社の魅力や就活生が入社するメリットを明確に伝えることも、内定辞退を避けるのには重要なポイントです。

内定後のフォロー不足

内定を出したら後は入社手続きの連絡を待つだけではありません。内定通知の発送後にもフォローが必要です。現在の就活状況や入社に迷っていないかをヒアリングして、就活生の悩みを解決してあげましょう。

また、新卒採用でのフォロー不足は内定通知前後以外にも発生しやすいので、内定通知発送後にかかわらず定期的に就活生とコミュニケーションを取れる施策を考えておくのも良いでしょう。

社員に対する印象が悪かった

内定辞退は自社の対応が原因だった、という可能性もあります。一度は内定を受諾したものの、社員に対するネガティブな印象を抱いているために、辞退されてしまうのです。

人事担当者はもちろん、面接官や懇親会に参加したメンバーなど、学生とコミュニケーションをとる社員は対応にも注意が必要です。事前に社員に対して研修を行うと良いでしょう。

また、内定者へのヒアリング、インターネットやSNSで自社の評判をチェックしてみるのをおすすめします。学生に悪い印象を与える箇所がなかったかをチェックできます。

内定辞退はいつまで発生するのか

企業側の印象としては内定通知書を発送した後、すぐに入社連絡や内定承諾書が返送されてくると期待しがちです。しかし、提出日まで悩みたいと思っている場合も少なくありません。内定承諾書を受け取ったのち、人事担当者はいつごろまで内定辞退が発生すると考えれば良いのでしょうか。

まずは、内定承諾書の提出日が一つの目安になります。

内定辞退の提出期限目安

内定承諾書には必ず提出期限が必要と先述しましたが、内定承諾書に記載する提出期限の平均は約2週間と言われています。

1週間〜1ヶ月にする企業もありますが、期限が早すぎても就活生が冷静な判断ができなかったり、長すぎても他社と比べる期間が長くなってしまい目移りしてしまいます。

そのため平均的な2週間に設定しておいて、延長申請も可能としておけば就活生も自身にあったちょうど良い期間で内定について考えることができるでしょう。

内定辞退が新卒採用で発生したときのケース別の対応

内定辞退がメールや電話で届いてしまったとき、焦ってしまい上手に対応できない担当者も少なくありません。新卒採用の内定辞退はメールと電話の2パターンで発生する可能性があります。

それぞれのケース別で、上手く内定辞退に対応していきましょう。

内定辞退をメールで受け取った場合

もし就活生からの内定辞退をメールで受け取った場合、丁寧な対応を行うことが前提です。

ーーーーーーー

【例文】
お世話になっております。

株式会社◯◯ 採用担当の◯◯でございます。

この度は弊社の新卒採用募集にご応募頂き誠にありがとうございました。

誠に残念ではございますが、内定辞退のご連絡よりお申し出を承ります。

なお、お預かりしていました履歴書やお写真等の応募書類は弊社にて破棄させていただきますのでご了承ください。

もしよろしければ、内定辞退をご決定された理由がございましたら具体的にお伺いできますと非常に幸いでございます。

末筆ではございますが、◯◯様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

株式会社◯◯ 人事部◯◯

ーーーーーーー

もし内定辞退を検討し直してほしい場合は「弊社としては◯◯様とぜひご一緒させていただきたいと考えておりまして、どうか再度ご検討いただくことは可能でしょうか。」という文章を付け足して、再検討をお願いしょう。

ただ、何度も再検討をお願いすると企業イメージの棄損にも繋がるので、基本的には上記の例文を使用し再検討をお願いする流れにすると良いでしょう。

内定辞退を電話で受けた場合

内定辞退を電話で受けた場合は、下記のような流れで対応しましょう。

  1. 内定辞退の理由を聞く
  2. 理由から自社が対応できそうだと感じたら再検討をお願いする
  3. 理由から自社が対応できないと感じたら内定辞退の承諾をする
  4. どんな理由にせよ誠意ある対応ができなかったことを謝罪する
  5. 最後に電話をしてくれたことにお礼を言う

内定辞退がどんな理由であったとしても、誠意ある対応ができなかったと伝えることで企業の印象が良くなります。

また、内定辞退の電話をするのにはとても勇気が必要で就活生も緊張しています。最後に勇気を持って電話をしてくれたことに感謝を述べるとなお良い印象で終わることができます。

例え新卒として入社する機会がなくなった就活生にも、配慮ある回答をすることが今後の自社の評判に繋がるでしょう。

新卒内定者の辞退率を下げる対策

内定辞退率を下げるには、しっかりとした戦略を持って取り組むことが重要であり、対策方法としては以下の5つが挙げられます。

就活生からも評価されているという意識を持つ

常に就活生からも評価されている、という意識を持つことが大切です。就職を希望している就活生は会社を見学しにきたり、事前に会社の雰囲気を知ろうとさまざまなリサーチをしてきます。

会社全体で協力し常に社内の雰囲気を良くしておいて、自社の雰囲気の良さをアピールできる場やエピソードを作っておくと良いでしょう。

選考中に自社の課題も説明しておく

就活生には、あえて自社が抱えている課題のことも説明しておくと良いです。

採用側としては採用したいあまりに自社のメリットばかり伝えがちですが、「社員全員は、こういう課題に向かって仕事をしている」というのを伝えておくと、新卒が入社後に感じるギャップを抑えることができます。

選考結果は早めに伝える

選考結果を早めに就活生に伝えることも、内定辞退率を下げる対策の1つです。

選考結果はなるべく早く伝えてスムーズに進めることで、新卒内定者への印象をよくすることができるでしょう。

内定通知後にもこまめなフォローを行う

内定通知後の辞退率を下げるには、内定を通知した後もこまめにフォローすることが大事です。

メールや電話で現在の就職活動がどのような状況なのかヒアリングしたり、現在ではChatWorkやLINEなどのコミュニケーションツールの普及によりチャットで気軽に話す採用担当者もいます。

内定通知後は就活生も慎重に考えているので、なるべく気軽に優しくアプローチすると良いでしょう。

内定者同士の交流を図る

内定者同士で交流できる場を設けることも、内定辞退率を下げる重要なポイントです。

昨今では内定が決まった人同士で交流ができる、内定者懇談会を開く企業もいます。

内定者懇談会では、実際に面接で就活生がどういう印象を受けたか、内定前後でどこを改善した方がいいと思ったかを聞くことができます。
面接の感想や採用フローの欠点を知ることで、今後の内定辞退率を下げるポイントを知れるでしょう。

内定者懇談会があると公開していると、新卒希望者にさまざまなポイントでフォローが入る会社であるという印象を与えることができます。

まとめ

今回は新卒の内定辞退が起こってしまう原因や理由から、内定辞退率を下げる対策方法まで解説しました。

新卒の内定辞退はどのような企業でも起こるものです。新卒を思うように採用できないという結果になる前に面接の対応や内定通知後のフォローアップを改善しなければなりません。新卒の内定辞退率を下げるためにも、会社全体で常に社内の雰囲気を気にしておくのも非常に重要です。

この機会に新卒の内定辞退率を下げて、優秀な新卒の内定承諾を獲得していきましょう。


 

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