採用プロセスを見直すことで、自社の課題を解決できる可能性があります。
優秀な人材の確保や採用後の定着率は、企業が抱える課題のひとつです。しかし、「何を改善すれば良いのかわからない」と悩む人事担当者の方もいるのではないでしょうか。その場合、採用プロセスに問題がある可能性があります。
また、採用プロセスの改善によって採用の課題だけでなく、自社のファンを増やすことにもつながります。
本記事では、採用プロセスの重要性と改善するべきポイントを解説をします。
目次
採用プロセスとは
採用プロセスとは、採用活動の流れを指します。採用計画の作成から入社の手続きまで、採用活動にはさまざまな工程があります。人事担当者は採用プロセスに沿って、進めていきます。
新卒採用におけるプロセス
新卒採用のプロセスは主に以下の流れとなります。
・求めるターゲットの要件や採用人数を決める
・募集要項をまとめる
・求人サイトなどを通じて募集を行う
・説明会やセミナーを実施する
・選考を行う〜内定を出す
・内定者のフォローや研修を行う
2021年以降、新卒採用のスケジュールは大きく変わりました。以前は「就活ルール」として、説明会や面接、内定などの採用活動を開始する時期が制限されていました。しかし、ルールが廃止されたことにより、企業は自由なタイミングで採用活動を行えるように。早い段階から優秀な学生を採用することが可能になりました。
ただし、23卒の就活においては以下のスケジュールが名残として残っています。
・広報活動:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
・選考活動:卒業・修了年度の6月1日以降
・内定出し:卒業・修了年度の10月1日以降
もちろん、就活ルール自体は廃止されたため、必ずしもスケジュールに沿って進める必要はありません。全体のプロセスをふまえ「いつまでに・何をしておくべきか」を考えておきましょう。
採用プロセスが重要な理由
採用に関して課題があると感じている場合、採用プロセスの見直しによって発生する利点も多くあります。ここからは、採用プロセスが重要な理由を解説します。
求職者の企業理解が深まる
採用プロセスを通じて、求職者が企業に対して理解を深めることができます。採用イベントに参加したり、選考を通じて実際の社員と話したりすることによって、「どのような企業なのか」というのがわかるようになります。
離職率を防止する
早期離職は、企業が抱える採用課題の一つです。採用活動はコストがかかるだけに、早期離職率を下げたいものです。早期離職を引き起こす理由はさまざまですが、最も大きなポイントが「ミスマッチ」です。入社前のイメージと異なると、企業に対する不満が高まる可能性があります。
そのため、採用活動の中で自社の情報をきちんと伝えることが重要です。適切な採用プロセスを通じて就活生の企業理解が深まれば、早期離職の防止につながります。
採用プロセスの中で生じる課題
採用業務のなかで生じる課題を理解した上で、採用プロセスを見直していく必要があります。ここからは、改善するべき課題について解説します。
母集団形成
新卒採用や中途採用に関わらず、いい人材を確保するには「母集団の形成」が重要になってきます。母集団形成とは、いわゆる応募者数を指すことが多いですが、応募者数以外にも「質」を高めなければ、優秀な人材を確保していくのは難しいです。
株式会社ディスコが2018年に行った企業調査では、全体の56.1%が「母集団の形成が想定よりも少ない」と回答しています。つまり、企業にとって母集団をいかに形成していくかが課題です。
参照:採用活動の感触等に関する緊急企業調査
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/04/KigyoReport201804.pdf
人材のミスマッチ
ミスマッチを感じる可能性があるのは、社員だけでなく企業側においても同様です。入社後に「想定と違った」と感じてしまうケースも少なくありません。
内定辞退
優秀な人材の確保は、どの企業にとっても同じ課題のひとつです。応募者に関しても、複数の企業に対してアプローチをしていることが多いため、選考過程で時間がかかってしまうとライバル企業に先を越されてしまうこともあります。
本来であれば採用できるはずの人材も、選考や自社のプレゼンが弱いことによって内定辞退されることも多いため、改善するべきポイントのひとつです。
定着率
採用後の課題として挙げられるのは「定着率」です。早期離職をしてしまえば企業にとっては損失になってしまううえに、採用から育成までにかけてきたさまざまなコストも無駄になってしまいます。
このようなことからも、採用した人材の定着率を安定させていくことは、企業が成長していくうえでも重要な課題です。
採用プロセスにおけるフェーズごとのポイント
価値のある人材の獲得や育成を目指すのであれば、本質を理解した採用プロセスを考えていきましょう。
これらの各セクションをきちんと精査していくことで、より良い人材の獲得と育成につながります。ではここからは、フェーズごとのポイントを解説します。
採用計画
自社にあった人材を獲得していくためには、どういった採用計画を立てていくのかが重要になります。例えば「求める人物像」や「採用基準」など、明確に決めておく必要があります。
また「なぜ」人員が必要で、採用後の人材には企業の「どのような」課題を解決していってもらうのかも定めておきましょう。事業計画を作成しておくことで、明確な採用計画を立てることができます。
募集
ひとくちに人材を募集するといっても、自社の求人特設サイトや人材紹介サービス、説明会などさまざまな採用手法があります。ここで重要なことは、「質」と「量」にこだわった母集団形成ができるのかどうかです。
自社の社風などにも合わない人材をいくら集めても、採用後の定着率が悪くなってしまったり、別の課題が出てきてしまうこともあるでしょう。質のいい人材をより多く集めることに注目しつつ、もっとも自社に合う採用チャネルを選択していくことが重要です。
選考
選考のプロセスは、これから人材を自社に起用するかどうか判断するための最終工程になります。明確な「採用基準」がないまま進んでしまうと、面接官や担当者の裁量によって決められてしまうため、採用される人材の能力や人柄にもばらつきが出てしまいます。
そのため、企業が求める人物像に合った採用基準をきちんと作成し、採用する人材の能力にブレがないようにしていく必要があります。
採用
ここまでの選考プロセスを経ることで、自社に合った人材を採用できます。しかし選考過程で時間がかかりすぎてしまったりすると、内定を出しても辞退されてしまうこともあるため、応募者のフォローは欠かさないようにしましょう。
基本的に応募者は他社でも選考されていることが多く、より労働条件や社内環境がいい職場を探しているため、細やかなフォローが重要です。
採用プロセスを改善する5つのポイント
ここまでに解説してきた採用プロセスで、改善していくといいポイントが5つあります。
・求める人材の明確化
・求人媒体・採用サイト
・管理システムの採用
・採用代行・コンサルの活用
・フォロー体制
では具体的にこれらのポイントを「なぜ改善する必要があるのか」について解説をします。
求める人材の明確化(ペルソナ)
営業活動と同様に、採用活動をする際にもターゲティングを明確にすることは重要です。いわゆるペルソナをきちんと設定し、どのような人物像を求めているのかを事前に決めておくようにしましょう。
採用プロセスの募集・選定・内定のセクションが変わっても、求めている人物像が明確なのでブレることがなくなります。面接などをおこなう際にも明確な基準があるため、裁量による判断も少なくなります。
求人媒体・採用サイト
質のいい母集団を形成していくことが、採用活動を成功させるカギとなります。そのため、自社の社風や求めている人物像に合わせた採用手法・チャネルを選択していくことが重要です。
またひとくちに採用サイトといっても多くの種類があります。そのためIT関連や士業・建設など、業種別に特化している採用サイトを選ぶのもいいでしょう。よりマッチング精度を高めていくことで生産性の向上や定着率アップにもつながっていきます。
採用管理システム
採用難のこの時代において、他社よりも早く優秀な人材を確保していくことは、成長する上でも重要な要素です。しかし応募者に対して連絡ミスなどがあったりすると、採用できたはずの人材も取りこぼしてしまうことにつながります。
そのようなケースが多いのであれば、採用管理システムなどを検討してみるのもいいでしょう。管理システムを導入すれば、連絡に漏れが出てしまうこともなくなるうえに、応募者の選考進捗状況もリアルタイムで把握・視覚化できます。
採用代行・コンサルの活用
優良な人材を採用するには、今回解説しているさまざまな採用プロセスを経なければなりません。しかし一般的な求人サイトではなく「採用代行」や「コンサルタント」などを活用すれば、トータルの採用コストを抑えられる場合があります。
また募集のプロセスを外部委託できるうえに、選考のフローにより力を入れられるメリットもあります。採用業務には多くの労力と時間もかかってくるため、キャパがオーバーしているケースなども含めて、採用代行を検討してみるのもひとつの選択肢です。
求職者への対応・フォロー体制
新しい人材をようやくの思いで確保しても、適切なフォローアップをしていかなければ早期離職につながってしまいます。採用直後は、職場の雰囲気にも慣れていないため不安を抱えているケースも多いです。
そのため、周辺社員の裁量に任せるのではなく、企業としてサポートしていくことが大切です。企業と社員の間で信頼関係が構築されていくことで、定着率は上がっていきます。
まとめ
採用プロセスを見直すことにより、社内の負担が減ったり、採用課題を解決したりすることができます。現在、採用活動を進める中で課題に感じているポイントがあれば、まずは採用プロセスを見直すことをおすすめします。
自社の進め方を洗い出し、スムーズに採用活動を進めていけるように整理しましょう。
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