売り手市場になっている昨今の採用環境では、企業はいかに自社の魅力をアピールするかが重要な課題になっています。対応策として採用ピッチ資料を公開する企業が増えていますが、「採用ピッチ資料に何を掲載すればいいのか分からない」「他社はどのように活用しているのだろう」と疑問に思っている担当者もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、基本的な採用ピッチ資料の構成や活用方法についてご紹介します。
目次
採用ピッチ資料とは
採用ピッチ資料とは、企業が求職者のために用意する自社の解説資料です。「ピッチ」は簡略的なプレゼンテーションを指しており、自社をプレゼンしてアピールするための資料であることを意味しています。
プレゼン資料は通常はクローズドな場で用いられることがほとんどですが、採用ピッチ資料はオープンにして多くの人に見てもらうことが目的の資料です。
採用ピッチ資料の4つのメリット
採用ピッチ資料を導入することで企業にどのようなリターンがあるのでしょうか。ここでは、採用ピッチ資料の4つのメリットを解説します。
学生の認知度が上がる
採用ピッチ資料をパブリックに公開することで、認知度向上効果が期待できます。学生は
聞いたことのある企業に応募する傾向にあります。そのため、BtoBの企業をはじめ、消費者の知名度が低い企業は応募者を集めにくいものです。
そんなときに役立つのが採用ピッチ資料です。通常、学生は業界研究などを行い、志望する業界にどんな企業があるのか調べます。そのとき、あまり情報が出てこないと、応募につなげることができません。
WebやSNSで採用ピッチ資料を検索する際に自社の資料がヒットすれば、自社のことを覚えてもらいやすくなります。
自社の求職者の認知を統一できる
企業説明会などでは担当者が企業紹介を行いますが、毎回同じ人物が担当できるとは限りません。担当者が変われば紹介の内容も変わるため、求職者ごとに理解に差が出てくる問題があります。採用ピッチ資料を読んでもらえば担当者に依存せずに均質の情報を提供でき、認知の統一が可能です。
求職者に判断材料を提供できる
採用ピッチ資料には求人広告よりも詳細な情報を掲載できるので、求職者により多くの情報を届けられます。社風が自分に合っているか判断する材料が多ければ企業への理解が深まり、ミスマッチを軽減できるのも強みです。
使い勝手が良い
採用ピッチ資料は用途が広いのも長所です。デジタル媒体や紙媒体などで使用でき、シーンに合わせた使い方ができます。説明会やセミナーで印刷して配布すれば別に資料を作成する必要がなくなり、採用コストの削減に貢献可能です。シチュエーションに合わせてフレキシブルに活用しましょう。
採用ピッチ資料に入れるべき4つの情報
採用ピッチにどのようなコンテンツを入れればよいのか分からないという方もいるでしょう。ここでは、採用ピッチ資料の代表的な4つの構成要素を紹介します。
会社・事業紹介
自社がどのような企業で、どのような事業を行っているのか紹介する項目です。自社を紹介するうえでの最も基本的な内容であり、採用ピッチ資料を作成するにあたって欠かせない要素と言えるでしょう。今後のビジョンなども掲載すれば求職者の判断材料になります。
組織・企業カルチャー
資料では、代表のメッセージや企業文化などを載せるケースが多いもの。自社の特徴や魅力を伝える項目でもあるので、写真や動画などを用いながらアピールするのも良いでしょう。自社のリアルな姿を見てもらうことで、親しみをもってもらいやすくなるメリットもあります。
募集要項
自社に興味を持ってもらった学生を応募につなげるためにも、必ず募集要項は記載しましょう。募集する職種や業務内容、求めている人物像といったペルソナを詳細に伝えることがポイントです。詳しく書けば企業と学生のミスマッチが起こりにくくなり、内定辞退や早期離職のリスクを軽減できます。応募方法や面接の日程など選考フローもあわせて記載しても良いでしょう。
付加情報
学生から見てプラスに感じる付加情報もまとめておくと差別化につながります。給与テーブルや昇給実績、福利厚生など、学生から見て魅力的なポイントがないか確認しましょう。
また、学生からよくある質問などをQ&Aとして載せておくと便利です。
採用ピッチ資料の作成方法
では、具体的にどのようにして資料を作成していけば良いのでしょうか。採用ピッチ資料の作成手順を解説します。作成のポイントは目的の設定、担当者決定、掲載内容決定の3つです。
作成の目的を明確に設定する
まずは、何のために採用ピッチ資料を作成するのか目的を明確にします。目的がはっきりしていないとコンテンツの方針が定まらず、ぼやけた内容になってしまう可能性が高くなります。目的が明確化すれば、採用ピッチ資料全体のビジョンが定まって訴求力のある資料を作成できるでしょう。
担当者を決める
続いて作成作業の担当者を選出します。採用ピッチ資料の作成はコストがかかるため、頻繁に1から作り直すのは難しい面があります。作成した資料は長期間使い続けるケースが多いので、担当者は慎重に決めましょう。1人に任せることは避けて、複数人で相互チェックしながら進めると安心です。
掲載する内容を決める
どのようなコンテンツを掲載するのかを洗い出していきます。つい自社の良いところだけを載せたくなるかもしれませんが、採用ピッチ資料では改善すべき点などのネガティブに思われる情報に触れた方が無難です。自社への理解を深めてもらうために装飾のない本来の姿を公開するのがポイントです。
採用ピッチ資料の活用方法
採用ピッチ資料はさまざまなシーンで活用されていますが、主な運用方法は以下に分けられます。
Web上で公開する
Webで公開して自由にアクセスしてもらう方法があります。自社のサイトで掲載するのが基本ですが、近年ではSNSで公開するのも一般的です。SNSには話題性が強ければ爆発的に拡散されるというメリットがあり、うまく活用すれば高いブランディング効果を得られます。
学生に送付する
学生に直接送付するのも効果的です。面接前に送って自社の知識を深めてもらえば、共通認識を持って面接に臨めます。面接時に資料について質問すれば本人のモチベーションを図る指針になり、スクリーニングできるのもメリットです。送付するタイミング早すぎると忘れられる可能性が高くなるので、面接の2日~3日前が妥当でしょう。
必要に応じてアップデートする
採用ピッチ資料にとって重要なのは、学生に分かりやすく情報を伝えることです。面接の際に資料の感想を聞いて、フィードバックを反映させて内容を更新しましょう。知りたい情報や分かりにくいところのデータが蓄積すれば、より良いアップデートが可能です。事業内容や組織図が変化した場合もその都度更新しましょう。
効果的な採用ピッチ資料を作成するポイント
採用ピッチ資料を作成する際は、求職者に与える影響を考慮することが大事です。押さえておきたいポイントを2点紹介します。
読後に記憶に残る内容にする
興味を持ってもらうには、読んだ後に記憶に残る資料を作成する必要があります。情報の選択や表現方法にも気を配ってインパクトのある内容に仕上げましょう。自社に具体的なイメージを感じてもらえるように、コンセプトやキーワードを決めて内容に反映させるのがポイントです。
イメージはビジュアル化して伝える
イメージや雰囲気を文字だけで伝えるのは限界があります。文字だけでは伝わりにくい情報を伝えるときは、動画や画像なども積極的に使用しましょう。使用する素材はフリー素材ではなく実際に社内で撮影したものがよいでしょう。実際に働く場所や人が確認できるのは大きな安心材料になります。
採用ピッチ資料の事例
では、実際に企業が制作した採用ピッチ資料の例を見てみましょう。
SmartHR
クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHRは、自社の情報をわかりやすくまとめた採用ピッチ資料を公開しています。資料によって応募数が5.3倍に増加し、閲覧数は40万回を超えるなど、大きな成果が出ています。
参照:面接用スライドを公開した結果、全部見せます!
https://blog.shojimiyata.com/entry/2019/02/28/115119
カオナビ
カオナビでは、デザイン性にこだわった採用ピッチ資料を作成しています。イラストやグラフを効果的に用いることで、パッと見たときにわかりやすい内容になっています。
コンカー
外資系クラウドシステムのコンカーは、入社を検討している学生に向けて「コンカーを職場に選ぶ理由」という切り口で資料を作っています。メッセージを絞っていることで、伝えたい内容をしっかりと届けることができています。
まとめ
採用ピッチ資料は、企業の顔ともいえます。学生の目線に立って作ることで、良い印象を持ってもらえたり、志望につながったりします。伝えるべき内容をきちんと見極め、内容をブラッシュアップさせていきましょう。
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