企業が抱える採用課題の解決策として、「スローガン」が挙げられます。
現在、採用活動において「求めている人材が採用できない」「応募者が集まらない」といった悩みがある人事担当者も少なくないのではないでしょうか。
スローガンやキャッチコピーは、自社の魅力をコンパクトに伝えられ、就活生の印象に残る効果があります。そのため、採用活動を行う際にはスローガンを作成するのが重要です。
しかし、具体的にどのようなスローガンが効果的なのでしょうか。本記事では、採用における企業のスローガンやキャッチコピーを紹介。効果的な活用法もあわせて解説します。
他社の事例をふまえて、自社のスローガンを考える際に参考にしてみてください。
目次
採用のスローガンを作る目的
そもそも「スローガン」とは、理念や目的、主張などを簡潔に表した標語を指します。企業はもちろん、学校やスポーツチーム、政治団体などさまざまな組織や場面で用いられています。
すでに「企業スローガン」として、自社の理念やミッションなどを設けている企業は少なくないでしょう。しかし、採用活動を行うにあたって、企業スローガンだけでなく採用のスローガンも必要です。
採用におけるスローガンは、採用ページや求職サイトなどに掲載する目的で作成します。「どのような企業なのか」「どのような人材を募集しているのか」といった情報を端的に伝えることができます。
企業スローガンとは、ターゲットや目的が異なることをおさえておきましょう。
・企業スローガン:消費者や従業員などに対し、自社の理念やビジョンを広く伝える
・採用のスローガン:就活生に向けて、自社に興味を持ってもらう
また企業スローガンは一度作成したら、頻繁に変えるものではありません。一方、採用の場合は毎年新たに作成する場合もあります。その年の採用方針や募集する内容に応じて変える必要があるためです。採用したい人材像を考える際に、あわせて作成するのがおすすめです。
スローガンが採用活動にもたらす効果
では、採用においてもスローガンを作成することで、どのような効果があるのでしょうか。ここでは3つのメリットを解説します。
応募者の増加
採用ページの冒頭に採用スローガンを配置すれば、求職者の興味を引いて応募者の増加につながります。ただ募集条件や事業内容を提示するよりも内容に目を通してもらえる可能性が高くなり、結果的に採用活動の活性効果があります。
ブランディングの役割
自社の文化や理念を示す言葉を取り入れたキャッチコピーは、競合となる企業とのユニーク化を促す作用があります。企業ならではの特色が見えなければ比較材料が得られないため、応募の選考外になる可能性が高くなります。キャッチコピーで企業風土やビジョンを伝えることができれば、自社ならではの価値を構築できるでしょう。
ミスマッチの防止
企業イメージを明確にすることで、求職者とのミスマッチ軽減効果が期待できます。
あらかじめ職場環境のイメージを伝えておくことで、新入社員が入社後すぐに辞めてしまうという状況を改善できるでしょう。応募者をスクリーニングする効果もあり、希望する人材を得やすくなるのもメリットです。
採用のスローガン・キャッチコピー事例
では、実際に使われている企業のスローガンやキャッチコピーの例を10つ紹介します。
ヤマト運輸
「変わる」が創る「未来のスタンダード」
ヤマト運輸といえば、宅急便として知られている企業です。しかし、あえて「そんなイメージを超えていく」という思いをもとに作られたスローガンです。
現在、最先端テクノロジーを導入した運送実験をはじめ、地域活性ビジネスや企業物流コンサルティングなど、物流に関する事業を積極的に推し進める同社。そのため、従来のイメージから脱却し、新しい未来のスタンダードを作っていくことを
「あなたの新たなパワーとチャレンジ精神が、ヤマト運輸を変え、そして社会の変革を一気に推し進める」として、新しいことにチャレンジしたい人材に届くような狙いがこめられています。
DeNA(ディー・エヌ・エー)
「面白がり」、求む。
DeNAといえば、新しいことに挑戦し続けるような社風のイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。同社では「『面白がり』、求む。」として、困難な状況に直面したときにも、面白がってポジティブに取り組めるような人材を求めていることがうかがえます。
トゥモローゲート
「ようこそ。ブラックな企業へ。」
「ブラックな企業」というフレーズをあえて入れることで、インパクトを与えているのが特徴です。テキストを読み進めると「ブラックな企業」というのを切り口に、自社の魅力を紹介していることがわかります。ネガティブなワードを使ったことにより、就活生の印象に残させる一例です。
サッポロビール
「誰かの、いちばん星であれ」
市場にあわせて変化が求められる中で、自社のサービスを通じて人の心を動かすにはどうすれば良いのかを問いかけています。「いいお酒を造るだけではなく、“ひとりひとりの心を動かす物語”を紡いでいく必要がある」として、サッポロビールでおなじみの星マークを想起させたコピーです。
読売広告社
「広く、告げることの、その先へ。」
広告代理店である読売広告社の採用スローガンは、広告業から新しい領域へ踏み出す意気込みを感じられます。新しいことへ挑戦するには自ら考え、実践する行動力が求められます。広告のみならず、その先を見すえて働きかけられる人材を求めていることがうかがえます。
日清食品ホールディングス
「挑戦と創造のみが、おいしさの未来を超えられる」
長きにわたって日本の食卓を支えてきた日清食品らしい、食への追及とおいしさへのこだわりが感じられるスローガンです。自社のモットーや考えを採用スローガンに用いれている例だといえます。
伊藤忠商事
「アオい情熱を待っている」
時代を作るのは知識や経験ではなく情熱である、という考えを表しています。情熱といえば、赤という一般的なイメージとは異なり、「アオい」と表現することでより印象に残りやすくなっています。また、伊藤忠商事の企業カラーが青である点もポイントでしょう。
明治ホールディングス
「もっと、しよう。」
新しいことをやる、変化を生み出す、チャレンジするといった前向きな姿勢を「もっと」というシンプルな言葉に込められています。アクティブな気持ちと考えをもった人材が求められていることがわかります。
大和ハウス工業
「次の手は、君の手に。」
建設業で広く知られる大和ハウス工業のスローガンは、次世代の力はあなたであると訴えかけるシンプルな内容です。ストレートなだけに分かりやすく、リズムの良さもあって強く記憶に残ります。
GMOアドパートナーズ
「想像できるすべてのことを、ともにつくろう。」
主にインターネット広告やメディア運用を手掛けるGMOアドパートナーズは、これからも進化し続けるために“想像力”を重視しています。事業を通じて新しいことにチャレンジしていく姿勢が伝わってきます。
スローガンは動画と組み合わせると有効
作成したスローガンは、さまざまな場面で活用できます。採用サイトはもちろん、パンフレットやSNS、web広告など多岐にわたります。
求職者に企業の魅力を伝えるには、採用活動に動画を導入するのが効果的です。採用スローガンは文字のみで構成する以上、どうしても伝えられる情報量には限界があります。動画は動きのある映像や音声、BGMなどを盛り込めるので表現の幅が広く、短い時間でより多くの情報を伝達可能です。
先に紹介した企業事例でも、採用サイトに動画を取り込んでいる企業が多くあります。良いスローガンを作成しても、就活生に届かなかったら意味がありません。込められた意味を伝えるためにも、ぜひ動画と組み合わせて打ち出しましょう。
まとめ
自社の魅力や求めている人材を伝える上で、採用のスローガンは有効です。多くの企業を調べている就活生に対し、コンパクトに情報を伝えることは重要になるからです。自社のどんなポイントを打ち出していくべきか、採用計画を立てる際に洗い出すようにしましょう。
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